神之塔(Tower of God)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『神之塔(Tower of God)』とは、韓国のNAVER WEBTOONで連載された冒険ファンタジー作品を基にしたアニメーションのことである。原作は全世界累計閲覧数が45億回を超える人気作品。主人公の少年「夜」が「ラヘル」という少女を探しに伝説の塔の頂点を目指すストーリーとなっている。物語の舞台の「塔」の頂上にたどり着いた者は、望むものすべてが手に入るといわれている。塔の頂上にはすべてがあり、神となれる。星を求めて塔を登るラヘルと、彼女を追って塔を登ることを決めた夜の始まりと終わりの物語。

『神之塔』の概要

『神之塔』とは、2020年の4月に公開されたファンタジーアニメである。原作は2010年から韓国のNAVER WEBTOONでSIUによって連載が開始された。

アニメ監督は『戦国BASARA judge End』で監督を務めた佐野隆史で、シリーズ構成・脚本を担当するのは『刀剣乱舞ー花丸ー』や『ルパン三世 PART IV』の脚本を担当した脚本家兼小説家の吉田恵里香である。また、音楽はオーストラリア出身の作曲家・編曲家で『メイドインアビス』や『盾の勇者の成り上がり』の音楽を担当したケビン・ペンキンだ。オープニング・エンディングは共に韓国アイドルグループのStray Kidsが担当する。シーズン1は全13話で構成されており、シーズン2は2022年8月に制作が発表されている。

主人公の少年「夜」が「ラヘル」という少女を探しに、伝説の塔の頂上を目指す物語である。伝説の塔の頂上にはこの世の全てがあり、世界を手に入れ、神になれると言われている。伝説の塔に挑戦できるのは選別者と呼ばれる人たちで夜は塔の頂上を目指していくうちに仲間をつくる。階級ごとに試験が科せられており、選別者はこの試験に合格しなければ上に進むことが出来ない。夜は塔の最上階へと進むに連れて、自分の秘密や塔の秘密を知っていく。

物語を通して夜の成長を感じられるところが魅力の1つである。初めは自分が何者なのかも知らず、ラヘルしか頼ることができなかった夜が、物語を通して仲間を作っていく。彼は「ラヘルしかいらない」と彼女に対して特別な感情をもち、彼女の後を追うために塔を登ることを決めた。しかし、物語を通して夜のことを思ってくれる仲間ができ、彼の狭かった世界が大きく広がる。最終話では、自分の意思を持つまでに成長する。さらに、選別者それぞれの過去も注目すべきところだ。夜の出生や過去ももちろんだが、クンやザハードの姫たちにもそれぞれ塔を登る理由となる過去があり、塔の上に進むにつれてその過去が明らかになっていく。

『神之塔』のあらすじ・ストーリー

ラヘルを追って塔に登る夜

夜にとって唯一であったラヘルが塔を登るために自分の元から去ってしまう。最上階までたどり着くとこの世の全てを手に入れることができると言われている伝説の塔へ少女ラヘルを追ってやってきた夜。ザハードの姫(家門から選出される女性で、初めて塔を登ったとされるザハード王から特殊な能力を与えられた人物)であるユリから名刀“黒の三月”を借りて塔の1階の試練である”非選別者の試練”をクリアする。試練を突破した夜は次なる試練のために2階に向かった。2階に上った夜はそこで初めて他の選別者たちに会う。2階の試練は400人いる選別者を200人まで減らすという試験であった。その次の試練では3人1組を作るという内容でテストのクリア条件は3人の体が触れていること。このテストが終了した時点で、残りの選別者は120人程度に減っていた。夜は青い髪と目が特徴のクンという少年と体の大きい戦闘派のラークでチームを作り試練をクリアする。次の試練は、10分以内に正解の扉を見つけて開けることだった。この試練は、ラークの勘で突破することに成功する。この試練には仕掛けがあり、制限時間内に扉を見つけないと合格にはならないというものだった。ラークは残り時間1秒で正解の扉を開ける。

扉の先の試練は、王冠の奪い合い。チーム対抗戦で、ゲームが終了した時点で王冠を被っているチームの勝ちとなる。このクラウンゲームで活躍を見せたのは、変幻自在の武器“緑の四月”を持つアナク(トカゲのような肌と尻尾が特徴で、高い身体能力を持つ)だった。一方で、夜は自分たちの出番が来るまで待機していた。夜は参加している選別者の中にラヘルに似た少女を見つける。アナクに戦を挑んだのはラウレ(寝ることが大好き。洞察力が高く、敵の特徴や実力を把握しする力に長けている)のチームだった。この戦いでアナクは彼女の持つ伝説の武器「13月シリーズ」の1つである“緑の四月”を使う。すると、“緑の四月”に反応するのかように夜の持つ“黒の三月”が暴れ出した。アナクは夜が“黒の三月”を持っていることに驚きを隠せない様子だった。アナクは「なぜおまえがその刀を持っている」と夜に迫り、「“黒の三月”をよこせ」と告げる。夜は「借り物だから渡すことはできない」と言うが、アナクは「自分の持つ“緑の四月”と“黒の三月”を賭けて勝負しろ」と勝負を仕掛けてくる。夜のチームがクラウンゲームで最後まで残ることができれば夜の勝ちだと説明し、負けた方が武器を渡すことになった。

夜とラヘルの再会

賭けが決まり、クラウンゲームの3回戦が始まる。多くのチームが王冠を目掛けて勝負を挑み始める。その時、突然竜巻が起こり王冠を手にしたクンが姿を現す。クンが王冠を被れば夜のチームの勝ちとなるが、クンは自分のカバンに王冠を仕舞った。クンは「俺に勝ったら王冠をくれてやる」と言い放ち、他のチームから攻撃を受ける。その後、カバンから王冠を取り出し放り投げた。クンの手から離れた王冠を巡って戦う選別者たちを見てクンは笑う。クンを見ると、彼の手には王冠が握られていた。王冠が2つあることに驚く他の選別者たち。すでに王座に座っていた夜に王冠を渡すクン。他のチームが王冠を奪いに一斉に向かってきたところにラークが立ちはだかる。夜達の完璧なチームワークとクンの頭脳で3回戦は夜チームが勝利する。クンは持っているカバンにはコピー能力があると明かす。4回戦が始まり、王冠を持つ夜チームに挑む他の選別者たち。ラークは戦う気満々だったが、クンは「最終戦まで力を温存しておこう」と言い、他のチームの戦いを眺める。実は、クンはカバンの中に仲間にした選別者をしまっていた。その仲間を3試験の後にカバンから出し、夜チームに協力するように約束をしていた。彼らの助けのおかげで4回戦目も夜チームの勝利で幕を閉じる。とうとうやってきた最終戦で、夜が気にしていた少女が出場してくる。ゲーム開始の合図と同時に夜チームに向かって襲ってくる選別者たち。ラークが攻撃を受け、夜が襲われそうになったところにマントを被ったチームが夜を守った。マントのチームの1人であるラヘルに似た少女が夜のことを守ると告げる。そこに全身タイツの女性が少女を狙って攻撃を仕掛けてきた。その拍子に、少女のフードが外れて顔が見える。少女はラヘルだった。夜はラヘルが攻撃を受けたのを見て、王座から離れてしまう。ラヘルを庇う形で夜が攻撃を受け、怪我を負う。チームのためには王冠を守らなければならないが、ラヘルを助けることために体が動いた夜。夜から突然金色の光が放たれる。その後、“黒の三月”に宿る金髪の少女が現れる。少女のキスと同時に、夜は眠りにつく。

一連の騒動があり、クラウンゲームは終了した。結果は、夜の発動させた光によって王冠が消失してしまったことで勝者なしということになった。夜は頭に受けた怪我により意識が戻らずにいた。クンがそばで見守る中、ラヘルと名のる少女が部屋に入ってくる。そして少女はクンにあるお願いをするのだった。それは、「自分のことを夜に黙っていてほしい」という願い。必死に塔に行くことを止める夜の手を振りほどいてしまったことを後悔していると話す少女。一方で、賭けに勝ったアナクは“黒の三月”を手に入れたが、肝心の刀の扱いが難しく困っていた。

意識を失ってから5日後に目を覚ました夜は、次なる試練を受けることになる。第4試験は“ポジション選別”で、ポジションとは戦闘時に担う任務を5つに分けたもののこと。それぞれのポジションで成績を残した合格者が選別される。夜は“波使い”のポジションを担うことになる。そして、目が覚めてからずっと気になっていたラヘルの存在をクンに尋ねるが、クンは少女の願いを聞き入れて「少女はラヘルではなかった」と告げた。

アナクの目的

それぞれのポジションで訓練が始まり、各自が与えられたミッションに励んでいた。“灯台守”のポジションのクンは、選別者について調査していた。そこでアナクについての有益な情報を手に入れる。なんと、アナク・ザハードはすでに死んでいることが分かる。アナクは敵視しているエンドロシ(ザハードの姫の1人。選別者の中でもトップレベルに強い)とミッションで戦っていた。そこで今のアナクが「ザハードの名を持つものを全て殺して復讐することがこの塔に来た目的である」とエンドロシに言い放つ。アナクは死んだ母親が本物のアナク・ザハードであることを明かす。

夜は波使いとして“神之水”(塔に存在する神秘的なもの。エネルギーの源であり、強力な武器にも防具にもなる)の使い方をラウレに教わっていた。こうしてミッションを通して選別者の仲が深まっていく。エンドロシやアナクも徐々に打ち解け、夜たちと話をするようになる。そんな中、夜と同じ波使いのホー(金髪で頭に赤い角をもつ。明るい性格)が講習でうまく”神之水”を扱うことができずに悩んでいた。落ち込むホーに、何者かから「塔を登りたいか?」というメッセージが書かれた手紙が届く。

4名ずつの2チームに分かれてのポジション合同テストが始まる。この試験は”鬼ごっこ”で、チームごとに行われる。まずはAチームがテストを開始する。クンの策によって試験官からチームの“鬼”を逃がすことに成功したと思ったが、試験官であるクォントがチームの鬼を捕まえたことによりテストは失敗に終わる。しかしこれは全てクンの思惑通りで、夜を次の階まで導くために、敵となるAチームの優秀な選別者を蹴落とす作戦だった。その後Bチームのテストが始まる。エンドロシの作戦で行動するも、突然エンドロシはチームの釣り師(戦闘の中核となる存在。至近距離で戦うポジション)たちを攻撃し始める。彼女は自分の生い立ちを重ね、自分が合格するための策全の方法を使っていたのだった。夜が説得するもエンドロシは他の釣り師を攻撃することを止めない。チームからの攻撃を受ける夜とエンドロシ。一方、ホーは即断で動いてラヘルを殺そうとする。夜が駆け付けるも、ホーの持っていたナイフがラヘルの背中に刺さり重症を負う。ホーはラヘルを見て我に返り、持っていたナイフを自分の胸に突き立てる。ラヘルを治療するべくエンドロシはテストを終わらせにかかる。試験官のクォントからバッジを奪い、Bチームの勝ちで試験は終了した。

夜の決意

クンとラークは、夜について話し合っていた。それは、ラヘルを見つけた夜にはもう塔を登る理由がないことだった。しかし、ラヘルの治療を終えた夜が2人を訪れ、「ラヘルは一命を取り留めたがもう歩くことができない身体になってしまった」と話す。ショックで言葉を失う2人だったが、夜は「自分がラヘルの脚となって塔を登る」と告げた。ホーの葬儀にはラウレとセレナ、アナクやエンドロシも参列した。その後、ラヘルと話す夜。ラヘルは「自分は変わってしまった。夜を置いていった私をあなたも見捨てていいんだよ」と泣きながらも笑顔で気持ちを伝える。それに夜は「ラヘルが自分にとっての光であり、光の向こう側から僕に会いに来てくれたのはラヘルだけだった」と答える。ラヘルはその言葉を聞いて泣き崩れる。

その頃、他の選別者たちは宴会をしていた。セレナは塔の頂上を目指すことは辞めるため、シビスに自分の短刀を渡し、「絶対に死ぬなよ」と言い残して去っていった。一方、波使いの講師・ユガが隠れて何者かと連絡を取っているところを総試験監督のユハンが見つける。ユハンはユガの正体がザハードの王室直属警備隊のレンであるという情報を掴んでいた。ユガは13月シリーズを集めるという任務を命じられており、“緑の四月”と“黒の三月”を狙っていた。ユハンはユガに自分も任務の手伝いをしたいと提案し始める。

合同テストの結果がついに発表された。ラヘルは“灯台守”として合格するが、負傷したことにより失格となってしまう。夜はなんとかラヘルの失格を取り消してもらおうとする。クンも「結果に不満がある。管理人の試験を受けさせてくれ」と申し出る。管理人の試験を受ける条件に“非選別者”のみが試験の交渉が可能だとユハンが申し出を断ろうとするが、夜は自分が“非選別者”であることを皆の前で明かす。“非選別者”は塔にとっても良くない者であるが、クンやラークを含めた選別者たちは夜に協力すると言う。皆の後押しもあって、夜は管理人と面会し、ラヘルと試験を受ける許可をもらうことに成功する。

そして最後の試験“潜魚狩り”が始める。クンの作戦で選別者たちは各自ポジションにつき、それぞれが与えられた仕事を行っていた。マンドルくじらを狙う“牛”を止めるためにエンドロシとアナクが戦うが、そこにユガが登場し2人に自分の正体を明かす。アナクは復讐する相手であることが分かると“緑の四月”を使うが、ユガの操る“牛”に攻撃されてしまう。そこに駆け付けたエンドロシだったが、ユガは彼女に「アナクを始末しろ」と命令する。ラークやハツも仲間が危ない状況であることを察知して助けに向かい、会場が混乱状態に。

ラヘルの考え

アナクとエンドロシを戦わせようとしたユガだったが、2人は共にユガを倒すことを決める。ユガの力に苦戦する2人だったが、そこにユリ・ザハードが駆け付ける。ユリはユガに撤退するよう命令する。その命に背こうとするユガだったが、彼女の前では歯が立たずに手も足も出なかった。

さらに、“縦縞豚”(マンドルくじらの天敵と言える存在。縦縞豚が現れると、マンドルくじらは逃げてしまう)が現れるがクンの作戦で夜たちの邪魔をさせないよう誘導する。そのとき、クンの前には彼にそっくりの少年が現れた。彼は、クンにある提案をするが、クンは断る。すると少年は「頑張って」という言葉を残して去っていった。一方、夜とラヘルはマントルくじらの姿を見つけ、苦戦しながらなんとかゴールの目の前までたどり着く。そのとき、ラヘルが突然夜を突き飛ばす。水中へ投げ出された夜はそのまま水中に沈んでいく。「やっと終わった」とつぶやくラヘル。彼女もまた、夜と同じく塔を登るための1階の試験を受けようとした人物であった。しかし、「こんな試験受かるはずがない」と弱音を吐く。へドン(塔の1階の管理人。選別者の選出の役目を持つ)に特別試験を与えられたラヘルは「“夜の人生の幕を下ろすこと”ができれば、塔に登る権利を与える」と言った。ラヘルにはない力を持ち、友人もたくさんいる夜に対して彼女は徐々に嫉妬心が芽生える。夜に対しての気持ちがぐちゃぐちゃになり、それでも“特別”な存在になりたいラヘルは夜を蹴落として塔を登ることに決めたのだった。

試験を終えて帰ってきたのがラヘル1人だったのを見て悲しむ選別者たち。ラヘルは「夜は途中牛に襲われた」と話した。レロ(試験官の1人。正義感のある人物)はユハンに何をしたのか尋ねるが、ユハンは「彼女が選んだことだ」と告げる。レロは真実のために塔の上に登ることを決め、試験官を辞める。同時にクォントもレロに付いていくため辞職する。一方、夜は神之水に守られて洞窟のような場所で目が覚める。そこに案内人のカレンが現れ、「ラヘルについて知りたいなら塔を登れ」と告げる。夜は自分の手でその答えを見つけることを誓う。そんな彼にカレンは「ようこそ、神之塔へ」と告げるのだった。

『神之塔』の登場人物・キャラクター

非選別者

CV:市川太一

主人公の少年。謎が多い人物で、ラヘルが来るまで人間と関わりがなく孤独な生活を送っていた。ラヘルが塔を登ることに決め、夜を置いて行ってしまったため自分も彼女を追うことに。非選別者のため、初めに試験を受けて合格したため塔に登る権利を得る。塔を登るにつれて他の選別者たちと仲良くなり、皆夜に協力するようになる。夜に秘められた謎や彼が特別な存在であることが塔を登るにつれて明らかになっていく。

ラヘル

CV:早見沙織

夜にとっての「光」。洞窟の中で夜に出会う。自分の求める「光」を求めて塔を登ることに決めるが、管理人のへドンに「塔が求める存在ではない」と言われる。塔に登る権利と引き換えに「夜を排除する」という特別試練を与えられる。自分とは正反対な夜に嫉妬し、目的のために夜を排除しようとする。

選別者

クン

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