おとななじみ（漫画・映画）のネタバレ解説・考察まとめ

『おとななじみ』の概要

『おとななじみ』とは、2019年5月号から2021年12月号にかけて『Cocohana』に連載されていた中原アヤの漫画およびそれを原作とした実写映画作品である。加賀屋楓（かがや かえで）と青山春（あおやま はる）は、実家が隣同士の幼なじみ。楓はずっとハルに片思いをしているがハルは鈍感で気づいてくれない。進みそうなのに進まない恋模様が描かれており、もどかしくもキュンキュンする中原アヤのラブコメ作品である。「おさななじみ」のまま大人になった「おとななじみ」な二人の恋を見守るキャラクターたちの人間ドラマも共感を集めた人気作品である。
2023年に久間田琳加とHiHi Jetsの井上瑞稀により実写映画化されている。

加賀屋楓と青山春（ハル）はふたりとも24歳で、実家が隣同士、幼稚園から高校生までずっと一緒のおさななじみである。楓は就職を機に一人暮らしを開始したハルが心配になり、ハルの隣の部屋に住んでいる。楓は幼少のころからハルに片思いをしているが、ハルの世話をしていくうちに「母ちゃん」と呼ばれるようになり、なかなか恋愛関係に発展することができず周囲に相談する日々であった。しかし楓に何かあればハルは騎士となって楓を守ろうとしている。
ハルが以前勤めていた会社の立花恵（たちばな めぐみ）がハルに恋をして積極的にアプローチをかけたり、おさななじみの蓮見伊織（はすみ いおり）が楓に真剣交際を申し込むなど、楓を取り巻く恋愛模様が描かれている。

『おとななじみ』のあらすじ・ストーリー

騎士（ナイト）として楓を守るハル

加賀屋楓（かがや かえで）と青山春（あおやま はる／ハル）は、実家が隣同士。幼稚園から高校まで同じところに通っており、大人になってからは同じアパートの隣同士に住んでいる。楓はハルの面倒を見ることも多いため、ハルからは母親扱いされるることも。そんな楓には、ハルではなく仕事ができて包容力がある彼氏（会社のマネージャー）がいたが、既婚者であることが発覚する。その後、マネージャーと別れ話で揉めてところにハルが迎えに来た。楓の意変にすぐに気づき、楓の手を引いて帰ろうとするハルにマネージャーは憤ったが、ハルは自分のことを楓を守る騎士（ナイト）だと言い、楓のことを守ったのだった。

そんなハルは、最近以前働いていた会社をクビになり、無職になってしまった。楓が理由を尋ねても、ハルはごまかして全く答える様子がない。そこでハルの同僚に辞めた理由を聞いたところ、会社でセクハラされていた女の子を助けたが、セクハラ相手が会社の偉い人であったため、クビになったとのことであった。

楓とハルには、小戸森美桜（こともり みお）、蓮見伊織（はすみ いおり）というおさななじみがいる。楓は美桜と伊織にハルの話を聞いてもらうのが日課となっている。昔から進展しない話に美桜はあきれているが、伊織は楓を優しく励ますのだった。

楓の恋のライバル登場

マネージャーの件で楓が落ち込んでいると思ったハルは、楓を花見に誘う。ハルのやさしさに幸せを感じていた楓であったが、花見でハルの前の会社の人たちと遭遇。ハルにセクハラから守ってもらった女性社員である立花恵（たちばな めぐみ）も現れ、自分のせいでクビになってしまったことをハルに謝る。その際にハルの手を握るなどの恵のアプローチを見ていた楓は、後日二人での花見をやりなおした際に恵のことを持ち出した。しかしハルは、あの時いたのが楓でも絶対助ける、と答えるのだった。

高校時代、ハルは恵と雰囲気の似た女子と付き合っている時期があった。恵が現れたことにより当時のことを思い出した楓は、恵のハルへのアプローチを断固阻止しようとする。ある日、楓は仕事帰りにハルの家に向かおうとする恵に遭遇する。恵は楓にライバル宣言をし、楓は自分たちが幼なじみじゃなかったら、と落ち込むのだった。

伊織からの突然のキスと自分の気持ちを自覚するハル

ある日の仕事終わり、ハルは伊織と夜ご飯に行くことに。ハルのことを話しているうちに泣き出してしまった楓に、伊織は突然にキスをする。ハルなんかやめて俺にしろという伊織に、楓は動揺した。
翌日、伊織からの告白で頭がいっぱいになっていた楓に、ハルは恵の紹介で就職が決まったという報告をしてきた。様子のおかしい楓を見てハルは何かあったのかと尋ねたが、楓は伊織とキスをしたことと、付き合うかもしれないということを伝えるのだった。

突然の告白後、楓は初めて伊織と出かけた。帰り際に、今日のお礼と言いながら、楓が気に入っていたネックレスをプレゼントする伊織。伊織のスマートな様子に、楓は顔を赤くするのだった。
数日後に行われた毎年恒例のBBQでは、珍しく伊織も参加していた。伊織はハルにライバル宣言をし、楓はBBQ中も自分のことを気遣ってくれる伊織を見て、好きになれたら幸せだろうなと感じていた。

一方、ハルも楓への自分の気持ちを少しずつ自覚し始めていた。そんなある日の朝、伊織が楓の部屋から出てくるところに遭遇。伊織は楓の仕事を手伝うために部屋にいただけだったが、なにも知らないハルは動揺する。伊織と楓のことが気になって仕方がないハルは、帰宅した楓に俺以外の男を部屋院入れるなと伝える。突然の話にびっくりした楓はハルには関係ないというが、ハルは俺がイヤなんだと返答した。

ハルと2人同じ部屋で暮らすことに

伊織が働いている会社のホテルのオーナーは、ハルが仕事中にいつも楓のことを相談している「トメちゃん」だった。トメちゃんの計らいで、3人は用意してくれた部屋に泊まることに。最初は3人で食事を楽しんでいたが、伊織が突然楓への気持ちを伝えだしたことで伊織とハルが言い合いになる。楓はせっかくいい部屋に泊めてもらってるんだから言い合いはやめるように伝え、お酒も入り、眠くなってきた3人は同じベッドで眠った。

楓はやはりハルのことが好きだった。楓は伊織の告白に対して、ごめんなさいと返事をした。優しい伊織を振ったことに対して、強い罪悪感を抱く楓であった。
楓は新しいマネージャーに仕事を認められ、九州本社へ行ってみないかと提案されるが、返事を延期していた。しかし、伊織を振ったことをきっかけに九州行きを決意する。住んでいた家も解約をし、九州に向かった楓だったが、到着をした直後に会社が倒産したことを伝えられる。仕方なく住んでいた町に戻ってきた楓は、ハルと遭遇し、ことの経緯を話す。ハルが一緒に暮らすことを提案し、二人は同じ屋根の下同じ部屋で一緒に暮らすことになる。お隣の幼なじみから「一緒に住んでいる幼なじみ」に進展し、嬉しく思う楓だった。

恋のライバル立花恵再び登場

同居生活が始まり、楓は枕を購入するためにハルの働いている店に買い物に行った。ハルのことを狙っている恵は、仕事中もハルに密着したり、楓に圧をかけたりしてくる。恵の様子に楓は大きな不安を感じた。
楓の誕生日、ハルがなかなか帰宅しなかった。楓がハルに電話を掛けると、恵の家にいるという返答があったが、すぐに電話は切れてしまった。翌日帰宅したハルは何でもないと言っていたが、何かしているのではと不安になる楓であった。

ハルから誕生日の祝いなおしを提案された楓だったが、当日ハルは家にいなかった。疑問に感じていたところ、突然恵が訪問してきて、二人で公園に向かうことに。恵は楓の誕生日に起きた出来事を話し出し、急に「楓ちゃんのうた」を歌い始めた。さらに突然のフラッシュモブが始まり、驚いた楓の前にタキシード姿のハルが現れる。俺の気持ちを聞いてほしいと伝えるハルだったが、楓はハルが気持ちを伝えようとしたタイミングで思わず彼の口をふさいでしまった。ハルはへこんでしまい、しばらくの間二人に距離ができるのであった。

念願のハルからの告白

ハルは隣の部屋に引っ越してきた楓と同じバイト先の大学生・雪野（ゆきの）と遭遇する。楓を狙っている様子の雪野に、ハルは動揺した。
その後、楓の職場で雪野の歓迎会が行われ、楓から突然電話がかかってきて呼び出されるハル。酔っぱらった雪野を迎えに来てほしいとのことだった。話を聞くと、元カノと別れたことが辛く、話を聞いているうちに酔いつぶれたそう。雪野を抱え、部屋に送り届けたハルは、雪野に手を掴まれる。続けて楓を狙っていたのは嘘だということを話す雪野。その後、ハルと楓は二人で二次会を楽しむのであった。

雪野に自分の気持ちを伝えた方がよいと言われ、ハルの気持ちが変わる。雪が降る中、雪だるまを作って待っていた楓に、ハルはようやく「好きだ」と伝えた。返事はいらないと言われた楓は、その後もなかなかタイミングがなく、自分の気持ちを伝えられずにいた。ある日、家でテレビを見ていると、恵が出ているフラッシュモブが流れていた。楓は、あの時に告白するつもりだったのかとハルに尋ねる。ハルは肯定し、これから頑張るからと言いかけたところで、楓は私もハルが好きだよ、と気持ちを伝えた。嬉しくなったハルは楓を強く抱きしめ、お隣の幼なじみがやっとカップルになったのであった。

『おとななじみ』の登場人物・キャラクター

主要人物

加賀屋楓（かがや かえで／演：久間田琳加）

24歳。ハルとは実家が隣の幼なじみで、幼稚園から高校まで同じところに通う。現在はハルの好きな唐揚げが売っている「よつばDELI]というお弁当屋で働いており、ハルと同じアパートの隣の部屋に住んでいる。小学生のころからハルに片思いをしているが、ずっと気持ちを伝えられずにいる。どんな時も自分のことを守ってくれるハルに思いを寄せているが、恋が実る様子もなく職場の男性マネージャーとお付き合いをしている。後に既婚者であることが発覚する。素直でまっすぐな性格である。子どものころに母親を亡くしているため、父と二人暮らしをしている。たまに祖母が家に来ている。

青山春（あおやま はる／ハル／ 演：井上瑞稀）

24歳。漫画の最初は無職である。中盤から「GOROホームセンター」で販売員として働く。超鈍感で楓の気持ちに全く気付かないが、楓に何かあると騎士（ナイト）のように助けてくれる。自分の楓への思いに気づくまでにかなりの時間がかかっている。曲がったことが大嫌いで、困った人がいると相手が誰であろうと助けに入る。GOROホームセンターで働き始めてからは、楓のことをお友達のトメちゃんに相談しているが、空回りして気持ちが伝わらないことが多い。

小戸森美桜（こともり みお／演：浅川梨奈）