奥山夏太郎(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ

奥山夏太郎(おくやま かんたろう)とは、『ゴールデンカムイ』の登場人物で、アイヌの隠し金塊争奪戦に参加している「土方一派」と呼ばれる組織の一員。
北海道のヤクザの若衆だったが、ある時土方歳三と出会い、その覇気溢れる様に魅了される。同じ若衆だった亀蔵と共に出奔し、土方を追いかけてその一派に加わり、部下として金塊争奪戦に関与する。一方で「土方に認めてもらいたい」との思いからたびたび無茶なスタンドプレイに走る“血気盛んな若者”としての側面を持ち、その都度幸運によって生き延びている。

亀蔵(かめぞう)

日泥組の若衆。夏太郎とは同世代で、気心知れた間柄。
茨戸での大立ち回りを見て土方に惚れ込み、日泥組の壊滅を機に夏太郎ともども彼の下に加わる。しかしなんら活躍できない日々が続き、なんとか手柄を上げようと、夏太郎と共に独自に刺青人皮を手に入れることを画策。独自に得た情報を元に小樽に向かい、坂本夫婦と共に押し込み強盗を働こうとするも、待ち伏せていた第七師団の攻撃を受けて死亡した。

坂本慶一郎(さかもと けいいちろう)

刺青死刑囚の1人。粗野にして愛情深く、豪放磊落にして狂暴無比な男。1日に200kmを駆け抜けるという健脚の持ち主で、「稲妻強盗」の異名を持つ。
自身も隠し金塊を狙い、自分のもの以外の刺青人皮を手に入れようと画策。その軍資金のために小樽の賭場に押し込み強盗を働こうとするも、待ち伏せていた第七師団の攻撃を受ける。妻のお銀(ついでに一緒にいた夏太郎)を逃がすために囮となり、一時は軍人の追跡をも振り切るも、その動きを予想していた第七師団のリーダー・鶴見中尉によって致命傷を負わされて命を落とす。

蝮のお銀(まむしのおぎん)

坂本慶一郎の妻。自身も凶悪犯で、旅人を狙って殺害してはその所持品を奪っていた。慶一郎とは深く愛し合っているが、2人とも順法意識が低い上にアウトローであるため、法的に婚姻しているかどうかは不明。
慶一郎と共に小樽の賭場を襲撃するも、待ち伏せていた第七師団の攻撃を受ける。自身は夏太郎ともども先んじて逃げるも、囮となってくれた慶一郎が銃弾に倒れるのを見て、「幸せなまま終わりにしたい」と夏太郎に言い残して夫に殉じる道を選ぶ。その際、自分たちで集めた刺青人皮を彼に譲っている。

奥山夏太郎の名言・名セリフ/名シーン・名場面

坂本夫妻との別離

手柄を挙げて土方に認めてもらいたい一心で、自分たちだけで刺青人皮を手に入れようと、亀蔵と共に小樽に向かった夏太郎。そこで坂本慶一郎とその妻お銀と出会い、彼らに振り回されながら賭場で押し込み強盗を働くこととなってしまう。
しかしそこには坂本夫婦の動きをつかんでいた第七師団が待ち構えており、彼らの攻撃を受けて亀蔵は落命。妻を、ついでに夏太郎を逃がすために囮となってくれた坂本も銃弾に倒れ、それを見たお銀も「幸せなまま終わりにしたい」と夫に殉じる道を選ぶ。夏太郎はただ、それを呆然と見送ることしかできなかった。

“血気盛んな若者が手痛い失敗をする”というのは物語でも現実でもありがちなテーマだが、夏太郎はこの場面でまさにそれを経験している。ここでおもしろいのは、夏太郎は友人、横暴だが自分を逃がすために囮を買って出てくれた恩人、凶悪とはいえ女性を目の前で殺されながら、自身は目的を果たして生き残っていることである。
この一件の後に夏太郎の顔に喜びはなく、自分の無力に打ちひしがれている。彼にとっては、小樽での経験は“手痛い失敗”でしかなく、それによって手に入れた刺青人皮にも価値を感じられなかったのだ。夏太郎が本質的には善人であり、悪ぶってはいてもまともな感性の持ち主であることが察せられるエピソードだといえる。それが特に感じられるのがこの場面だ。

その後の夏太郎は、特に目立った活躍が描かれることはないものの、熾烈な隠し金塊争奪戦を生き抜き、その最後の決戦となる五稜郭での戦いにも参加している。小樽での経験は、夏太郎を“無謀な若者”から“己を知る未熟者”へと成長させたのである。

奥山夏太郎の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

夏太郎の夢と現在の北海道

五稜郭での決戦の少し前、いよいよ金塊の在処が分かった時、行動を共にしていた土方一派と杉元一味の面々が「大金が手に入ったら何をするか」について語らうシーンがある。各々が己の夢を口にする中、夏太郎は「羊を飼って事業を拡大し、大儲けする」と胸に秘めた計画を打ち明けている。
この場面では「羊の肉は臭いから絶対失敗する」と一笑に付されているものの、現代の北海道では牧畜が盛んで、特に羊の飼育数は日本一となっている。『ゴールデンカムイ』の時代背景は明治末期であり、この時点で“北海道での羊の飼育”に目を付けた夏太郎には、先見の明があったといえる。

夏太郎の元ネタは不明

『ゴールデンカムイ』には実在の人物が元ネタとなっているキャラクターも多く登場する。たとえば主人公である杉元佐一には元ネタが2人おり、「不死身の分隊長」と呼ばれた帝国陸軍の「舩坂弘」と、作者である野田サトルの曽祖父である「杉元佐一」がモデルであることが作者のブログで明かされている。また、脱獄王の白石由竹の元ネタは昭和の脱獄王である「白鳥由栄」、牛山辰馬の元ネタは柔道家の「牛島辰熊」だ。しかし奥山夏太郎の元ネタについては明かされていない。しかし、物語の最後でその後の夏太郎が北海道に羊の牧場を作って成功したことが明かされていたため、モデルが存在する可能性も十分あるだろう。

夏太郎の年齢は若い順で4番目

『ゴールデンカムイ』の登場人物の年齢は明らかにされていない。しかし「ゴールデンカムイ質問箱」の出張版にて、ファンからキャラクターの年齢に関する質問が多数届いたため、作者の野田サトルが大体の年齢を「<」と「≒」を使って回答した。その解答が「オソマ<チカパシ<アシ(リ)パ<夏太郎<鯉登少尉≒江渡貝くん<杉元≒谷垣≒二階堂<尾形<インカ(ラ)マッ≒白石<月島軍曹<キロランケ≒鶴見<辺見<牛山<二瓶<家永≒永倉<土方≒フチ」であったことから、夏太郎はメインキャラクターの中では4番目に若いことがわかった。また、夏太郎よりも若い3人は明らかに子供であるため、夏太郎もまだ少年・青年と言える年齢の可能性がある。

WOWOW実写ドラマの夏太郎は塩野瑛久

夏太郎を演じる塩野瑛久

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菊田杢太郎(きくた もくたろう)とは、野田サトル原作の漫画・アニメ作品『ゴールデンカムイ』の登場人物で、鶴見中尉率いる第七師団の一員。作中では珍しく、比較的常識的な言動をする男だ。日露戦争で倒したロシア将校の銃を奪い、戦争が終わった後でも持ち歩いている。金塊争奪戦には途中から参戦したが、その正体は軍中央から鶴見中尉に差し向けられたスパイ。また、かつて故郷を出たばかりの杉元佐一(すぎもと さいち)と出会い、軍に入隊するきっかけを作っており、「不死身の杉元」の生みの親とも言える。

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江渡貝弥作(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ

江渡貝弥作(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ

江渡貝弥作(えどがいやさく)とは、野田サトルによる漫画作品『ゴールデンカムイ』の登場人物で、北海道・夕張で剥製工房を営んでいる青年である。剥製職人としての腕は良いが、人間の死体の皮で革細工を作るという歪んだ趣味を持っている。自分の実の母親を剥製にして所有。母親の偏った教育の下で成長したが、母を慕うなどマザコン気質の持ち主である。鶴見の依頼により贋物の刺青人皮を作成したが、刺青を狙う尾形や杉本に狙われる。初めて自分を受け入れてくれた鶴見を慕っており、最期は鶴見の為に自らの命を犠牲にした。

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インカラマッ(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ

インカラマッ(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ

インカラマッとは、『週刊ヤングジャンプ』にて連載されていた野田サトル原作の漫画・アニメ作品『ゴールデンカムイ』に登場する人物で、占いで生計を立て北海道を旅するアイヌ女性。少女の頃にアシリパの父ウイルクと交流があり、金塊争奪戦の渦中にいるアシリパの周囲に現れる。目的を明かそうとせず、周囲を占いで惑わすような行動を取るため、その存在を怪しまれている。鶴見中尉率いる第七師団から離れ小樽のアシリパのコタンで療養していた谷垣源次郎と、疱瘡で家族を失ったチカパシとともに、アシリパを追いかけ旅をする。

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