『カードキャプターさくら』原作漫画とアニメの違いまとめ

アニメや漫画で大人っぽいと評されているさくらの友人である利佳と、さくら達のクラスの担任寺田先生。2人は漫画では恋人同士である。2人が恋人同士であることを、アニメしか見たことがない者が知ると驚く者が多い。

アニメでは利佳は寺田先生に憧れているだけだったが、原作では2人は物語の始めから付き合っていた。生徒と教師の恋愛は現代社会でも、賛否が分かれる話題だ。さくらの父・藤隆と母・撫子も生徒と教師の恋愛であったが、アニメでも漫画の設定のまま放送された。撫子は物語初めからすでに故人であり、守護霊になってさくら達家族に寄り添い見守っている。撫子が高校生の頃に当時高校教師だった藤隆と出会い、撫子が16歳の頃に結婚する。

藤隆と撫子の場合は、撫子がすでに亡くなっており物語にあまり登場しないこと、藤隆が25歳で撫子が16歳と9歳差であることを考慮した結果、放送することができたのだろう。しかし、利佳は小学4年生であり、寺田先生の正確な年齢はさだかではないが、教師であることから20歳を過ぎた大人である。10歳以上離れた年齢と、小学生と教師の恋愛をNHKで放送することはためらわれたのだろう。

アニメでは観月先生はさくら達のクラスの担任になっている

クロウカード編で、さくら達のクロウカード集めを手助けするために小学校に赴任してきた観月先生。クロウ・リードと繋がりがある月峰神社の娘であり、観月先生も強い魔力を持っている。

漫画では、産休をとった算数を担当していた堤美香先生の代理として赴任してきた。さくらがクロウカードの主になるまで時折助けながら、小学校で教鞭をとっていた。

アニメでは、算数担当の先生の代理となっている。さくらがクロウカードの主になるまで小学校で教鞭をとっていたことは変わらない。だが、アニメではさくら達が小学5年生に進級するので、その時にはさくら達のクラスの担任になっている。

原作ではエリオルと観月先生は両思いだった

漫画では、エリオルと観月先生が心を通わせている描写がある。しかし、これも寺田先生と利佳の関係と同様に、年齢的と見た目を考慮して小学生と教師の恋愛は放送することがためらわれたのだろう。

漫画では、エリオルはさくらと同じ学校に通うために成長を止めていたことになっているが、アニメではその設定がなくなりさくら達と同年齢になっている。

エリオルは、死ぬ間際に己に転生の術を掛けたクロウ・リードの生まれ変わりである。クロウカードをさくらカードに変えてもらうために、小狼を糸で操りさくらを攻撃したり、さくらの作ったくまのぬいぐるみを巨大化させたりなど、不可思議な事件を起こしていく。

漫画でもエリオルの詳しい年齢は明記されていないが、さくら達と同じ小学校に通うために体の成長を止めていたことから、本来の年齢はもっと上のようである。それを考慮すると何も問題ないように思われるが、見た目が小学生なためにアニメではその設定をなくし、さくらたちと同じ歳にしている。

原作ではエリオルだけでなく木之元藤隆もクロウ・リードの生まれ変わりだった

漫画でしか明かされていないが、エリオルだけでなく藤隆もクロウ・リードの生まれ変わりである。しかし、魔力と記憶を所持しているのはエリオルだけで、藤隆は何の力も持たない一般人だ。

漫画では、エリオルと藤隆の2人の雰囲気が似ていることが事あるごとに描写されている。エリオルがさくらへ最後の試練として魔法で町の人を全員眠りにつかせた時も、クロウ・リードの生まれ変わりである藤隆は起きていた。

アニメでは、藤隆はクロウ・リードとは関係のない人間になっているため、町の人と同様に眠りについている。

エリオルが不思議な事件を起こした理由

アニメでは、エリオルはクロウカードを全てさくらカードへ変えさせるために不可思議な事件（小狼を糸で操りさくらを攻撃したり、さくらの作ったくまのぬいぐるみを巨大化させたりなど）を起こしたことになっているが、原作にはもう一つ理由がある。最後の審判でクロウカードの持ち主はさくらに決まった。もともと、クロウ・リードが作ったクロウカードは闇の力を秘めている。しかし、主から魔力を供給してもらわないとクロウカードの魔力は無くなっていき、ただのカードになってしまう。本来さくらの魔力は星の力であり、闇の力を持つクロウカードと魔力の質が異なるため、魔力の供給ができない。このままカードを放っておいたら、いずれクロウカードに留まっていた闇の力は無くなり、ただのカードになってしまう。そうならないために、エリオルは不可思議な事件を起こし、クロウカードをすべて星の力を持ったさくらカードに変えさせるようにした。

ここまでは、アニメも漫画も変わらないが、漫画の方ではエリオルの目的はもう一つあった。それは、最強の魔術師である自分の力を終わらせるためだった。たしかに、さくらカードにすることも目的に含まれているが、強すぎる魔力ゆえに未来を見てしまう己の力に困っていたクロウ・リードは、死ぬ間際に己に転生の術をかけ魂を2つに分けた。本来は藤隆にも記憶と魔力をエリオルと半分ずつ受け継ぐはずだったが、魔法は失敗し、記憶と魔力がすべてエリオルに流れてしまう。そのため、エリオルはクロウ・リードだった時の記憶と魔力を持つが、藤隆は魔力と記憶を持っていなかった。

そこで、クロウカードをすべてさくらカードに変えることができたさくらの出番だ。クロウカードをすべて自分の力で新しいカードに作り替えることは、大量の魔力を消費する。さくらカード編当初、クロウカードの主になったばかりのさくらは、すべてのカードをさくらカードに一気に変えるだけの魔力を持っていない。そこでエリオルは、さまざまな不可思議な事件を起こすことによって、一枚一枚クロウカードをさくらカードに変えさせるように仕向けた。最初はさくらカードを一枚変えるだけで疲弊していたさくらは、みるみる力をつけていく。すべてのカードをさくらカードに変えた時には、さくらはクロウ・リードを上回る魔力を手にした。そのためさくらは、クロウ・リードができなかったエリオルの魔力の半分を藤隆に分け与えることができるようになる。

クリアカード編での相違点

クリアカードの枚数

漫画では単行本6巻の時点でクリアカードは14枚登場し、アニメは全部で20枚とオリジナルのカードが6枚も登場した。アニメオリジナルカードを使うシーンも多数あるが、カードを手にした経緯がしっかりしているので、前作のアニメと変わらず原作を知っている者が視聴しても違和感を生みにくいストーリーになっている。