化物語の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

「化物語」は、西尾維新によるファンタジー小説、及びそれを原作としたアニメ作品。
主人公の「阿良々木暦」が、クラスメイト「戦場ヶ原ひたぎ」に始まり、色んな少女たちの関わった「怪異」にまつわる事件を解決していく物語である。
ギャグ、パロディ、メタ発言など遊びの多い物語であると共に、西尾維新らしい奥深く尖った作品であり、そのどちらの側面からも多くの名言が排出されている。

大人の男は、謝らない。魂の価値が、下がるから。

八九寺と本気の取っ組み合いの中、不可抗力で胸に触れてしまった暦だったが、その件を八九寺に言及されたときの返答である。
男子高校生が女子小学生相手に本気の取っ組み合いの末にセクハラしておいて、謝りもせずこの言い草は実に大人げないものである。このストーリーの後も、暦は八九寺と一緒にいると大人げない変態な部分を全面に押し出すキャラに変貌するのが定番となっていき、何故かそれが魅力の一つとして阿良々木暦というキャラクターを引き立てている。

好きなものに飽きたり、好きなものを嫌いになったりするのって、つらいじゃないですか。つまらないじゃないですか。普通なら、十、嫌いになるだけのところを、十、好きだった分、二十、嫌いになったみたいな気分になるじゃないですか。そういうのって――凹みますよ。

八九寺の両親は離婚していた。両親同士は仲が悪く、父親に言っても会わせてはくれないため、八九寺は一人で母親に会いに行った。八九寺が事故にあったのはその道中だった。
人は喧嘩をしたり仲が悪くなるもの。好きになったり嫌いになったり、当然離婚することに繋がったりする。だからこそ、「好きなものを好きでい続けるために頑張らなくちゃいけない」と八九寺は考えていた。
母親にずっと会えないままで、大好きな母親のことを好きじゃなくなってしまうのが怖い。だから、好きでい続けるために、一人でこの町まで来た。そう暦に説明する八九寺の、セリフの一部である。
好きなものを好きでいるために努力する、という八九寺の積極性の強い想いが見て取れる。

ずっと一人でいると、自分が特別なんじゃないかって思っちゃうわよね。一人でいると確かにその他大勢にはならないもの。でも、それはなれないだけ。笑っちゃうわ。

ひたぎは怪異にまつわる問題を抱えていた故に、周りと距離を置き、孤独を極めていた。ずっとそうやって生きて来て、暦もその調子で突き放すが、それでもなお暦は踏み込んできて、ついには解決にまで至った。
しかし、それは「ひたぎだから」助けたのではなく、「困っている人は誰でも」助けるという暦の性格であり、それに気付いたひたぎの自虐的なセリフ。
そんな暦だからこそひたぎは特別視するようになっており、この直後に暦に告白する。

戦場ヶ原、蕩れ。

ひたぎが告白し、それに対する暦の返事である。
何気ない会話の中でひたぎが「見蕩れるの蕩れるってすごい言葉よね。私の中では「草冠に明るい」の「萌え」のさらに一段上を行く次世代を担うセンシティブな言葉」と発言しており、それを実用したもの。この名言により、ネット上などでは実際に、「萌え」の上級活用のこととして「蕩れ」という新しい単語が認識されている。

無知は罪だけれど、馬鹿は罪じゃないものね。馬鹿は罪じゃなくて、罰だもの。私のように前世でしっかりと徳を積んでおけば、そんなことにはならなかったのに、阿良々木くんは可哀想よね。寒さに凍えるキリギリスを見つめるアリの気持ちが、今、まざまざと実感できるわ。この私に虫けらの気持ちを体感させるとは、阿良々木くんも大したものね。

実力テストに向けて勉強会をしているときのひたぎのセリフ。ひたぎが成績トップクラスであるのに対し暦は落ちこぼれであり、暦と同じ進路に行きたいひたぎだったが、暦にとってそれは難しい話であり否定的な態度となる。これでもかというほどの毒舌攻めは、戦場ヶ原ひたぎというキャラクターの魅力の一つである。

私はレズなのだ。

暦はある夜、怪異関連と思しき雨合羽の人物に襲われ、殺されかけていた。その雨合羽の正体が、後輩である女子生徒・神原駿河だと判明する。
神原の左腕は、見た目は完全に獣のそれだった。神原は「猿の手」という「憑依主の意にそぐわない形で願いを叶える」という怪異に憑依されていて、夜になると体のコントロールがきかなくなり勝手に動いてしまうと言う。
暦にそんな話をした直後、二つ目の告白として神原が淡々と語ったセリフ。
この告白をすんなり受け入れてもらえるために、「猿の手」という衝撃告白を先に持ってきたというのだから、優先順位がおかしい滑稽な考え方である。しかし実際、怪異に多く関わる暦にとっては「猿の手」よりもこっちの方が衝撃だったようで、「猿の手」よりよっぽどリアクションを取っていた。
「だから神原はひたぎに想いを寄せていて、彼氏である暦への嫉妬心が猿の手に現れてしまった」という話らしい。
真剣で重大なシリアス展開の中に、滑稽なギャグや馬鹿な掛け合いを容赦なくぶち込む、メリハリのある作品である。

これまで私は、愚問とは『グッドモーニング』の略かと思っていたが、どうやらそういう質問のことを言うらしいな。

神原は初対面時からずっと、暦のことを讃え崇めており、もはや信仰のような褒めちぎり方をしていた。そんな神原に暦が「どうしてそこまで過大評価するんだ」と聞いたときの返答。
格好よさげなセリフに見えて、実際のところ馬鹿が露見しただけである。
神原は学力こそ良いもののこのように言動が馬鹿なキャラクターであり、必然的に馬鹿馬鹿しい会話劇も多い。この作品の「馬鹿な掛け合い」の側面において神原は大きな存在と言える。

犯した罪は償わなければならないけれど、犯してもいない罪で裁かれることはあってはならない。困っている人は救ってあげないと――ね。

千石撫子という少女は同級生に恋愛トラブルで呪いをかけられてしまった。それを知って暦は忍野のもとへ相談に行ったところ、いつものように飄々とした態度でもったいぶるのではなく、今回に限ってやけに重々しい雰囲気で協力的だった。その理由を聞いた際の忍野のセリフ。
怪異とは自ら首を突っ込まなければ存在を知ることすらない、基本的に被害者にも問題のある一種の自業自得である。しかし撫子の場合、一方的なただの被害者であり、忍野は純粋に撫子のことを慮っていた。
怪異の専門家などという不審極まる謎多き男の、人間らしさが垣間見えたセリフである。

6may
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