物語シリーズの名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『物語シリーズ』は『化物語』をはじめとする西尾維新による小説のシリーズ。『化物語シリーズ』と呼ばれることもある。21世紀初頭の日本の田舎町を舞台に、阿良々木暦と「怪異」にまつわる物語が描かれる。
『物語シリーズ』では西尾維新独特の言葉遊びが存分に発揮されており、多くの名言・名セリフや名シーン・名場面が生まれている。名言・名セリフの中にはアニメ主題歌の曲名の由来となった言葉もある。

『物語シリーズ』の概要

『物語シリーズ』は『化物語』をはじめとする西尾維新の小説シリーズ。『化物語シリーズ』とも呼ばれる。『化物語(上・下)』『傷物語』『偽物語(上・下)』『猫物語(黒)』からなる「ファーストシーズン」、『猫物語(白)』『傾物語』『花物語』『囮物語』『鬼物語』『恋物語』からなる「セカンドシーズン」、『憑物語』『暦物語』『終物語(上・中・下)』『続・終物語』からなる「ファイナルシーズン」、『愚物語』『業物語』『撫物語』『結物語』からなる「オフシーズン」、『忍物語』『宵物語』『余物語』『扇物語』『死物語(上・下)』からなる「モンスターシーズン」で構成されている。サブタイトルは基本的に「ひたぎクラブ」のように、メインキャラクターの名前+怪異の名前となっている。
21世紀初頭の日本の田舎町を舞台に、吸血鬼と出会った阿良々木暦(あららぎこよみ)と彼に関わる少女たちの、「怪異」にまつわる物語が描かれる。

作者の西尾は「メディアミックス不可能な小説」というコンセプトで書いたと語っているが、2009年のテレビアニメ化を皮切りに、ドラマCD・ゲーム・劇場版アニメになど他媒体へ進出している。西尾維新独特の言葉遊び、キャラクター同士の軽妙な掛け合いなどから絶大な人気を誇る。テンポの良いギャグや、キャッチーなセリフ、アニメにおける文章・文字そのものを記号的に使った演出が多くの読者や視聴者を虜にしている。

阿良々木暦の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「友達を作ると人間強度が下がるから」

『傷物語』の「こよみヴァンプ」におけるセリフ。
高校2年生から高校3年生になる春休み、阿良々木暦には友人がいなかった。これは高校1年生の時に起きた、同級生の老倉育(おいくらそだち)にまつわる事件に関係している。この事件では人間関係に不信感を覚えるようになってしまったのだ。
それからというもの、周囲に壁を作って高校生活を送っていた暦だったが、終業式が終わったその日、パンツを見たことをきっかけに、同級生の羽川翼と会話をすることになる。そこで暦との会話が思いのほか盛り上がったため、羽川が「何で友達、作らないの?」と尋ねた。これに対して暦は「友達を作ると、人間強度が下がるから」と答えたのだ。他人と距離を置きたがる、当時の暦の考え方を端的に表したものだが、羽川には「意味が分からない」と言われてしまった。

「お前が明日死ぬのなら僕の命は明日まででいい――お前が今日を生きてくれるなら、僕もまた今日を生きていこう」

『傷物語』の「こよみヴァンプ」におけるセリフ。
高校2年生から高校3年生になる春休み、暦は吸血鬼のキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードに出会った。その時の彼女は死にかけで、必死に助けを求めていた。暦は本物の吸血鬼を前にして、一度は逃げようとするが、持ち前のお人よしを発揮し命を賭して彼女を助けた。その結果、暦は死ななかったものの吸血鬼になってしまった。暦は春休みの間中、人間に戻ろうと動き、キスショットもそれに協力してくれた。しかしキスショットが人間を食べている場面を目撃し、暦は彼女と袂を分かつことになる。
暦はキスショットとの一騎打ちに勝利するが、初めからそれは彼女の想定内だった。キスショットは自分の命を犠牲にして暦を人間に戻そうとしていたのだ。キスショットは元々死ぬつもりだった。しかし直前で死ぬのが怖くなり、暦に助けを求めたのだった。
暦はキスショットを殺すことができず、さりとて吸血鬼のままでいるわけにもいかない。そこで怪異の専門家である忍野メメに助けを求めた。忍野は暦とキスショットとの間に繋がりを作り、暦を人間もどきの吸血鬼のごとき存在に、キスショットを吸血鬼もどきの人間のごとき下等な存在にすることで、暦の願いを叶えた。その結果として、キスショットは名前を奪われて暦の血を摂取しなければ生きていけない存在になってしまった。
暦はキスショットへの罪の意識を抱え、「お前が明日死ぬのなら僕の命は明日まででいい――お前が今日を生きてくれるなら、僕もまた今日を生きていこう」と誓う。この誓いは暦にとってとても大切なもので、「つばさキャット」においても「あいつが明日死ぬのなら、僕の命は明日まででいい」と発言している。

戦場ヶ原ひたぎの名言・名セリフ/名シーン・名場面

「戦争を、しましょう」

『化物語(上)』の「ひたぎクラブ」におけるセリフ。
暦の同級生である戦場ヶ原ひたぎ(せんじょうがはらひたぎ)は中学校を卒業して高校に入る前、1匹の蟹に出会って「重さ」を根こそぎ持っていかれてしまった。それからというもの、人との接触を避けて日々を暮らしていた。病院に行って医者にかかったこともあるが、原因は不明。原因究明のためにいろいろと試したようだが、何度も騙されたとのこと。そういったことが原因で、彼女は自身の事情に深入りされることを嫌い、攻撃的になっていた。
しかし高校3年生の時に、暦に極端に軽いことを知られてしまう。一度はホッチキスを口に綴じるというやり方で暦を遠ざけるが、暦は戦場ヶ原を追いかけた。戦場ヶ原は服の中から無数の文房具を出して、呆れたように「戦争を、しましょう」と言った。戦場ヶ原の攻撃的な性格が表れたセリフであり、また「戦場ヶ原といえば文房具」ということを定着させたシーンである。

「銅40グラム、亜鉛25グラム、ニッケル15グラム、照れ隠し5グラムに悪意97キロで、私の暴言は錬成されているわ」

『化物語(上)』の「ひたぎクラブ」におけるセリフ。
体重がたった5キログラムしかないという超常的な現象に遭遇した戦場ヶ原ひたぎ。彼女の秘密に気づき、暦は怪異の専門家である忍野メメのもとへ連れていく。忍野へ紹介する際、戦場ヶ原は自分のことを「こいつ」と呼んだ暦に対して「戦場ヶ原さま」と呼ぶように要求した。2人はそこから漫才のようなボケとツッコミを繰り広げる。その中で発せられたのが「銅40グラム、亜鉛25グラム、ニッケル15グラム、照れ隠し5グラムに悪意97キロで、私の暴言は錬成されているわ」というセリフである。「ほとんど悪意じゃねえかよ!」と突っ込む暦に対し、さらに続けて戦場ヶ原は「ちなみに照れ隠しというのは嘘よ」とボケを入れた。独特な言い回しや、打てば響くような暦と戦場ヶ原のやり取りが、多くのファンの頭に残った。

「I love you」

『化物語(上)』の「まよいマイマイ」におけるシーン。
戦場ヶ原は長年怪異に悩まされていたが、暦の仲介によって解放された。戦場ヶ原は暦の好意を測りかねていたが、「まよいマイマイ」で暦が「困っている人は誰でも助ける」お人よしであることを理解する。戦場ヶ原はその直後に「I love you」と告白して、暦の特別な存在になろうとした。日本語ではなく英語で告白をしたところに、戦場ヶ原らしさが表れている。また暦の返事も秀逸で、戦場ヶ原が語っていた「蕩れ」という言葉を使って「戦場ヶ原、蕩れ」と返している。

八九寺真宵の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「話しかけないでください。あなたのことが嫌いです」

『化物語(上)』の「まよいマイマイ」におけるセリフ。
戦場ヶ原の問題が解決した後の母の日。家族との折り合いが悪い暦は妹と喧嘩して家を飛び出し、公園で暇を持て余していた。その公園で戦場ヶ原と話していた暦は、「八九寺真宵(はちくじまよい)」という名札がついたリュックサックを背負った少女を見かける。少女はしきりに手に持ったメモと住宅地図を見比べていた。迷子だと思った暦が少女に話しかけると「話しかけないでください。あなたのことが嫌いです」と、辛辣な返答があった。暦はショックを受け、すごすごと戦場ヶ原のもとへ帰っていくのだった。
一見すると暦が少女にあしらわれるというギャグシーンのようだ。しかしその後、八九寺は「迷い牛」という怪異であり、家に帰りたくないと強く思う人間の前にのみ現れる存在ということが判明する。「自分についてくると迷ってしまう」ということが分かっている八九寺は、あえて「話しかけないでください。あなたのことが嫌いです」と言って人間を遠ざけているのだ。迷い牛という怪異の性質、そして八九寺の人間性がよく表れているセリフである。

「失礼。噛みました」

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