化物語の名言・名セリフ／名シーン・名場面まとめ

お金よりも大切なものが、世の中にはある。

撫子に取り憑いた呪い「蛇切縄」を祓うため、暦と神原が付き添って夜遅く、山奥の神社まで向かうことになった。手持ちの少ない二人に代わり暦が懐中電灯や虫よけスプレー、お祓いで使う品々を購入し、神社まで赴いてお祓いの準備をしていく。そこで、お祓いの際はできるだけ肌を晒す方がいいということで、神原が「たまたま持っていた」というスクール水着を撫子は着ることになった。
神原は他にもブルマーをたまたま持っていたりしており、「懐中電灯を買う金は持っていない癖にブルマーやらスクール水着は持っているのか」という暦のツッコミに対する神原の返答である。
確かにその通りではあるが、それは決してブルマーやスクール水着ではない。字面だけ見れば真理をついた名言のようで、しかし神原の変態性が露見しているだけのものである。

やればできるなんて、聞こえのいい言葉に酔っていてはいけませんよ、阿良々木さん。その言葉を言うのはやらない人だけです。

定番の、八九寺と暦の会話劇の一部である。
暦に「大学受験」という目標を語られる八九寺は、「阿良々木さんはやればできる人だからきっと大丈夫」と激励をかける。さらに続けて「もう受かってるも同然」「もう大学卒業してるも同然」などと散々褒めちぎっていき、その末に放った辛辣なセリフ。上げて落とすというだけでなく、セリフそのものは全く間違っていない真理を突いたものであるあたり、小学生女子のおふざけとはいえ馬鹿にできない。

たかが？ 十数年積み重ねてきた家族の苦しさが、数ヶ月募らせた恋愛の切にゃさに劣っちゃいけにゃい理由でもあるのかニャ？

羽川は以前、猫の怪異に関わっていた。羽川家の色々と複雑な家庭事情からくるストレスで、羽川は後に「ブラック羽川」と名付けられる、猫の怪異に憑依された二重人格のごときもう一人の自分を生み出していた。
すでに解決したはずのその事件だったが、再びブラック羽川が出現する。
ブラック羽川が再び出て来た原因のストレスというのが、「暦への恋慕」というものだった。同じクラスになってずっとアプローチしてきたものの、そこへ突然現れたひたぎと交際することになったことを知り、ブラック羽川出現のきっかけとなった。それからも普段通りに暦と接し続け、時には恋愛相談にまで乗り、そうして蓄積して爆発したという次第だった。
それをブラック羽川本人から聞いた暦だったが、前回からのスパンが短すぎることに疑問を呈する。「以前は十数年分溜まってようやく怪異として現れたストレスが、たかが数ヶ月で再び現れるとは思えない」、そんな旨を問う暦にブラック羽川が返した返答である。
人の気持ちは数値にはできない。羽川がどれほど暦を想っていたのかが分かり、同時にその苦しみも知らされる言葉である。

あいつが明日死ぬのなら、僕の命は明日まででいい。

暦は以前吸血鬼と遭遇し、事件の末に半分吸血鬼化していた。忍野によって「忍野忍」と名付けられたかつての吸血鬼は、今や暦と一心同体、週に一度暦の血を吸うことで生き続けられているだけの存在だった。吸血鬼は吸血によってエナジーを吸い、その相手を己の眷属にすることができる。吸血を断てば忍は死ぬし、逆に言えば吸血され続けているからこそ暦が未だ吸血鬼のままなのである。
忍さえ見捨てれば暦はいつでも人間に戻れる。ブラック羽川に推奨されたその事実を暦は否定し、上記のセリフを述べた。
怪異は存在するだけであり、そこに首を突っ込む人間がいるだけである。加害者はむしろ人間の方であり、暦はまさにその最たる例だったらしい。「化物語」では詳しく語られていないが、殺されてもおかしくないほどだと語られ、暦にもそれほどの自覚があった。その責任や覚悟が察せられるセリフである。