物語シリーズの怪異まとめ

『物語シリーズ』の概要

『物語シリーズ』とは西尾維新による『化物語』をはじめとする小説シリーズや、それを原作とするアニメなどのメディアミックス作品の総称。『化物語シリーズ』とも呼ばれる。『化物語（上・下）』『傷物語』『偽物語（上・下）』『猫物語（黒）』からなる「ファーストシーズン」、『猫物語（白）』『傾物語』『花物語』『囮物語』『鬼物語』『恋物語』からなる「セカンドシーズン」、『憑物語』『暦物語』『終物語（上・中・下）』『続・終物語』からなる「ファイナルシーズン」、『愚物語』『業物語』『撫物語』『結物語』からなる「オフシーズン」、『忍物語』『宵物語』『余物語』『扇物語』『死物語（上・下）』からなる「モンスターシーズン」で構成される。
21世紀初頭の日本の田舎町を舞台に、阿良々木暦（あららぎ こよみ）と、彼に出会った少女たちの「怪異」にまつわる物語が描かれる。

作者の西尾維新は「メディアミックス不可能な小説」というコンセプトで書いたと語っているが、「ファーストシーズン」から「ファイナルシーズン」まではアニメ化されている。また2018年からは『週刊少年マガジン』にて、大暮維人の作画で『化物語』が漫画化された。

怪異（かいい）とは

本作に登場する生物とは違うカテゴリーに属する存在。都市伝説・街談巷説・道聴塗説といった、人間の信仰や畏怖、噂によって生まれる。人間ありきの存在であるため、人間がいない所では存在が希薄になる。またそこにいるからと言って、誰でも視えるわけではない。怪異は世界と繋がっており、近くにいる人間の影響を受けてその存在が変化する。怪異の種類は様々であり、実体として存在するタイプや、人を媒介に顕現するタイプ、特性だけが存在するタイプなどがいる。怪異が起こした出来事や結果は怪異現象と呼ばれるが、その大半は病気や体調異常、体質や催眠効果などとして現実的に処理されている。
怪異の中には人間に何らかの害をもたらすものもいるが、「怪異と戦って倒す」といった展開はほとんどなく、怪異の出現した原因を探り、怪異の正体を暴く、または謎を解くことで解決に至ることが多い。

『物語シリーズ』の怪異

吸血鬼（きゅうけつき）

作中では主に鬼と呼ばれる、上級の怪異。「怪異の王」（ノーライフキング、キングオブアウトサイダー）とも称される。高い再生力・不死性と身体能力を持つ他、体の一部、もしくは全部を武器や霧などに変える変身能力も有する。再生力は血液や唾液といった体液にも宿っており、他者の回復を促す力がある。また純粋な種は相手を意のままに操ることができる魅了（チャーム）の能力を持つらしい。日光やニンニク、銀の十字架、聖水、毒が弱点であるが、吸血鬼の中でも高い再生能力を持つ者は弱点をつかれてもなかなか死なない。また灰になってもエナジードレインを駆使して肉体を組成することができる者もいる。
その他にも鏡に映らない、他人の家や部屋に入るには許可が必要となるといった性質を持ち合わせている。

吸血鬼には生まれながらの吸血鬼と、吸血によって眷属となった吸血鬼の2通りが存在する。主人公の阿良々木暦（あららぎこよみ）は後者である。眷属を作る行為は失敗することもあり、失敗するとただ死ぬだけでなく生きながら死んでいるゾンビとなる可能性がある。眷属を作る以外に、食事のために吸血を行うこともあり、その場合は肉体を残すことなく喰らう。

阿良々木暦（あららぎ こよみ）

高校2年生から高校3年生になる春休みに、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードに襲われて吸血鬼になる。キスショットが高い再生能力を持っていることから、その眷属の暦も再生能力が高い。作中では日光に全身を焼かれても、日陰に入った途端に魔法のように炎が消え失せている。その他にも人間の同級生・羽川翼の抉れたわき腹を、自身の血を垂らすことで治癒してみせた。また暦は腕を植物に変化させるなど、多少なりとも変身能力も扱っている。
暦は人間に戻ることを望んでいたが、そのために必要なキスショットの殺害ができず、怪異の専門家の忍野メメによって人間もどきの吸血鬼のごとき存在になった。この状態だと「少し治癒能力が高い人間」におさまっているが、ペアリングで紐づけられたキスショットに血を吸われることで身体能力や再生能力が向上する。
その後、暦は何度も吸血鬼化を繰り返すことで、キスショットとのペアリングとは関係なしに吸血鬼になり始めるが、地獄に落ちて吸血鬼の要素を引くという手法で人間に戻った。

キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード／忍野忍（おしの しのぶ）

「鉄血にして熱血にして冷血の吸血鬼」「怪異殺し」「怪異の王」の異名を持つ吸血鬼。吸血鬼としてもあらゆる面で規格外で、並外れた再生能力を持ち、弱点の大半を無効化できる貴重種である。存在するだけで霊的なエネルギーのバランスを乱し、他の怪異を引き寄せてしまうほどの力を有する。
春休み以降はキスショットと言う名前を奪われ、忍野忍（おしの しのぶ）と呼ばれるようになる。力の大部分と真名を失い「人間もどきの吸血鬼」となった影響で、見た目は8歳程度の幼女となるが、それでも怪異に対しては強い。
物質創造スキルを持っており、忍となった後でも暦の影の中ではある程度使用可能な様子。
体の中には怪異のみを斬る大太刀「心渡（こころわたり）」、心渡で斬った怪異を再生する小太刀「夢渡（ゆめわたり）」を宿している。これは彼女の最初の眷属である初代怪異殺しが自らの血肉で作り上げたもの。

ドラマツルギー

53人の同胞を持つ同属殺しの吸血鬼。吸血鬼でありながら、吸血鬼を退治するハンターである。吸血鬼の変身能力で両腕を2本のフランベルジェに変えて武器として扱う。ハンターとしては話の通じる人物であり、吸血鬼となった暦に、身を案じる言葉をかけている。
暦が直江津高校を卒業した後、羽川と怪異退治の旅をしているらしく、日本に立ち寄った際には暦も勧誘を受けている。

エピソード

人間の父と吸血鬼の母をもつハーフの吸血鬼ハンター。ハーフなので日光やニンニクといったものが弱点ではない。しかし吸血鬼の能力も半分ほどしかない。両親が同族から裏切り者として殺された過去を持つために、吸血鬼を嫌っている。吸血鬼を嫌う人間のことも嫌っている。
外見年齢は羽川曰く「自分と同年代か中学生くらい」なのだが、実年齢は8歳とのこと。これは父親が特性に由来するものであるようだ。

デストピア・ヴィルトゥオーゾ・スーサイドマスター

「決死にして必死にして万死の吸血鬼」と言われる女性の吸血鬼。キスショットを吸血鬼にした人物である。死体王に殺された人間の怨念から生まれた吸血鬼で、死体城を拠点としていた。自称最年長の吸血鬼で、約600歳のキスショットよりもはるかに長生きしている。吸血鬼ハンターによる取り締まりや規制の厳戒化により、昔よりも慎ましい節制生活を送っているとのこと。
とてつもない偏食であり、おいしい食材しか食べられない。そのため幾度となく餓死したことがあるという。また「自分で殺した人間しか食べない＝殺したら必ず食べなければならない」という倫理観を持つ。

トロピカレスク・ホームアヴェイヴ・ドッグストリングス

スーサイドマスターの眷属の吸血鬼。死体城の管理監督を任されている。生真面目すぎる性格で、元人間ながらも人間を見下している。人間だったころは魔術師の家系だった。
スーサイドマスターに心酔しており、食べてもらおうと考えている。トロピカレスクが人間だったころのキスショットの美しさによって死亡したのち、スーサイドマスターに食された。