傷物語(物語シリーズ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『傷物語』とは、西尾維新によるファンタジー小説、及びそれを原作としたアニメ・ゲームなどのメディアミックス作品「<物語シリーズ>」の第2作目である。小説は2008年に刊行され、劇場版アニメーションが2016年に公開された。出来事の時系列は第1作目「化物語」の前にあたる。主人公の阿良々木暦が、高校生2年生から3年生の間の春休みに「吸血鬼」と巡り合うことで体験した出来事を描く。アニメーション制作はシャフト、監督は新房昭之。

『傷物語』の概要

『傷物語』とは、西尾維新によるファンタジー小説、及びそれを原作としたアニメ・ゲームなどのメディアミックス作品「<物語シリーズ>」の第2作目である。小説は2008年に刊行され、劇場版アニメーションが2016年に3部作として公開された。アニメ第1作目「化物語」の前の話であり、前々から触れられていた「高校三年生の春休みの出来事」が描かれている。

偶然にも最強の怪異である「吸血鬼」の女、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード に出会う。四肢を失って死にかけていた彼女を救うために自分の血を吸わせたことにより、暦はキスショットの下僕的存在である「眷属」となり、キスショットから彼女の四肢を取り戻すよう命じられる。

小説のサブタイトルは「こよみヴァンプ」。劇場版アニメーションのサブタイトルは「I:鉄血篇」「II:熱血篇」「III:冷血篇」となっている。アニメーション制作はシャフト、監督は新房昭之。「I:鉄血篇」では暦と吸血鬼の出会い、「II:熱血篇」は吸血鬼を救う暦の奮闘、「III:冷血篇」では暦と怪異の決着が描かれた。

『傷物語』のあらすじ・ストーリー

高校二年生の終業式の日、自転車置き場に向かう阿良々木暦は、同級生で「優等生」として有名な羽川翼と偶然会う。1・2年生のときはクラスが違い交流もない2人だったが、たまたま翼のスカートが風に煽られていたところを暦が目撃したのをきっかけに、他愛もない話を始める。その中で暦は、街に存在するという「吸血鬼」の噂を知る。同時に、「友達」がいないという暦に、翼は「友達」になる話を持ちかけ、半ば強引に暦の携帯電話に自身の連絡先を登録する。

その日の夜、本屋に行った暦は、帰る途中で四肢をもがれ瀕死状態に陥った美しい金髪の女性に遭遇する。それこそが、翼が言っていた街を騒がせている吸血鬼、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードだった。あまりの恐ろしさに一度は逃げ出そうとする暦だったが、「死にたくない」とみっともなく命乞いをするキスショットに情が湧いてしまい、自分の命と引き換えに血を差し出すことにする。死ぬかと思っていた暦だったが、「吸血鬼」に吸血されたことで「吸血鬼」として意図せず蘇ってしまう。また、吸血されたことで吸血鬼化した者は、吸血した吸血鬼の「眷属」となることから、暦はキスショットの下僕の存在となる。太陽の下に出ようとしたところで焼死しそうになったことで暦は「自分が吸血鬼になった」ということに気がつき、人間に戻りたいと望む。四肢を失くしたキスショットは幼児の姿となってしまい、完全体に戻るため、そして暦を「人間」に戻すため、「主人」として「眷属」の暦に、自身の四肢を奪った3人の「吸血鬼ハンター」から四肢を取り戻すように命令する。

吸血鬼となった暦は、キスショットを襲った3人の「吸血鬼ハンター」に同時に襲われ危機に陥るが、怪異の専門家であり、「被害者自身の姿勢などにも責任がある」という考えを持つことから世界のバランスを保つ「バランサー」を生業としている忍野メメに助けられる。それぞれの「吸血鬼ハンター」の力が強いことから3人同時には戦えないと悟った暦は、「暦と吸血鬼ハンターのどちらが勝つかわからない」という「中立」の状況を保つため、キスショットと暦の助力を申し出た忍野に協力を仰ぎ、1対1で戦えるように彼らに交渉してもらうようにする。
最初の決闘の日、急ごしらえで戦闘用に合気道や野球の本を買って知識を身につける暦だったが、その場面を目撃した翼と思わぬ再会を果たし、買った本の内容や翼の勉強したこと、いじめを解消する方法といった他愛もない会話をする。その中で、「吸血鬼に会うことを期待している」と話す翼に、実際に吸血鬼化してしまった暦は苛立ちを隠せない。それに加え「翼を事件に巻き込みたくない」という思いが綯い交ぜとなり、翼に冷たくしてしまう。

そしていよいよ、暦は「吸血鬼ハンター」たちと対峙することになる。

忍野の交渉により、暦が地をよく知り有利に立てる場所である直江津高校のグラウンドで「吸血鬼ハンター」と対決することになる。1人目の「吸血鬼ハンター」は、「吸血鬼を『仕事』として始末する」吸血鬼狩りを行なっている吸血鬼・ドラマツルギーだった。武器を持っているのではないかと予想して暦はグラウンドに乗り込むが、ドラマツルギーは丸腰でグラウンドに鎮座していた。ドラマツルギーの目的は、暦と「戦う」ことではなく、暦を「吸血鬼狩り」の仲間に勧誘することだったのだ。そしてその第一の仕事として、「キスショットを『始末』すること」を提案する。暦がその提案を断ったことにより、交渉は決裂。「暦が勝てばキスショットの右足を返してもらう」「ドラマツルギーが勝てばキスショットの居場所を教える」ことを条件に、2人は戦うことになる。

ドラマツルギーの巨漢から繰り出されるパンチの威力は凄まじく、暦はあっという間に腕を失う。しかし、吸血鬼の「再生能力」のおかげで、その腕は即座に復帰する。この事で恐怖が薄れた暦は、習得した合気道でドラマツルギーに立ち向かう。しかし、またもや腕を失ってしまう。ドラマツルギーは吸血鬼の能力により、自身の腕を大剣に変えることができたのである。接戦では危険だと判断した暦は、急ごしらえで身につけた野球の知識を総動員し、次々とボールを投げつけるが、野球のボールは軽すぎてドラマツルギーにダメージを与えることはできない。苦肉の策で砲丸を投げつけたことで、ようやくドラマツルギーにダメージを与えることができた。より重いものを投げつけることで勝利できるのではないかと考えた暦は、野球部のローラーを投げつけようとするが、「そんなものを投げつけられては重傷を負ってしまうため、さすがに再生に時間がかかってしまう」と判断したドラマツルギーは、勝利することができないと確信したゆえにあっさりと暦に降伏し、忍野経由でキスショットの右足を返すことを約束して消え去る。こうして暦は、1人目の「吸血鬼ハンター」であるドラマツルギーに勝利するが、その戦闘場面を翼に目撃されてしまっていたことを知る。

翼は、暦が忘れていた合気道の本を返すために暦を追っていた。何かできることはないかと事件に介入しようとする翼をまたもや暦は翼を突き放そうとするが、翼はめげずに助力を申し出る。諦めさせようとした暦は、助力の交換条件として「下着を見せてくれ」と提案する。翼は恥じらいながらもあっさりと下着を見せる。そこで暦は、翼はただの「良い人」として助力を申し出ているのではなく、「強さ」を持って立ち向かおうとしているのだと知る。そんな翼の強さに気がついた暦は翼に謝罪し、改めて友達になってくれと申し出た。

右足を取り返したことにより、キスショットと忍野に褒められる暦。キスショットが体内に右腕を取り込むために「食事」をする必要があることから、その場面を見られたくないキスショットに、暦はその場を追い出される。そこで暦は疑問を抱く。吸血鬼には「再生能力」があるにも関わらず、キスショットの四肢が再生しなかったのは何故か。そして、キスショットが「食事」をしなかった理由である。吸血鬼が血を吸う目的は「眷属づくり」と「食事」であるが、暦と会ったときに「眷属づくり」ではなく「食事」をすれば、今よりも完全体に近い姿に戻ることができたのではないかと暦は推察する。そもそも、キスショットは「眷属」を作ることに乗り気ではない様子だった。では、何故暦を「眷属」にしたのか。その疑問に答えたのは忍野だった。キスショットは、「自分を助ける」という選択をした暦に、少なからず恩を感じていた。だからこそ、自分も暦も助かる方法を選んだのだと。案外誠実なキスショットのことだから、心配しなくても人間には戻れると忍野は答える。「食事」を終えたキスショットは、10歳くらいの幼女から12歳位の姿に変化していた。

翌日、暦は改めて翼に「事件」について説明する。翼は、相手が「吸血鬼」という特殊な存在であることから、合気道や野球といった通常の戦法は効かないのではとアドバイスを送り、異能バトルの漫画を差し入れした。

暦が戦うことになった2人目の「吸血鬼ハンター」は、ヴァンパイアと人間のハーフであるエピソードだった。エピソードは半分人間であることからヴァンパイアに受け入れてもらうことができず、それからヴァンパイアを憎むようになり「ヴァンパイア・ハンター」となった人物である。エピソードはハーフである故に通常のヴァンパイアより能力は低いものの、同時にヴァンパイアの弱点が通用せず、ヴァンパイアの弱点である「十字架」を武器として使う。翼から差し入れられたバトル漫画を参考に戦う暦だったが、吸血鬼の「変化」の能力により、霧となり居場所をわからなくさせたところで「十字架」を繰り出してくる戦法をとるエピソードに翻弄される。こっそりとその様子を伺っていた翼はエピソードの前に躍り出る。エピソードは人間相手でも容赦無く攻撃するため、翼は重傷を負う。それを見て駆けつけた暦に、翼は力を振り絞り「相手は霧であること」「走り幅跳びはどれくらいできるか」というアドバイスを投げかける。その意味を即座に理解した暦は、十字架が投げつけられ砂場に突き刺さったのを見はからい、その場所に向けて飛んでいく。砂が舞い、その砂が霧となっていたエピソードの姿を露わにした。十字架を取り戻せず丸腰状態のエピソードに、暦は翼を傷つけられた怒りもあり馬乗りになって首を絞める。しかし殺す直前のところで忍野に静止される。

暦はエピソードに勝利したが、翼は傷ついたままだった。なぜ翼を止めなかったのかと怒る暦に、料金外だと答える忍野。しかし追加料金を支払えば翼を助けるヒントを与えると言う。暦は忍野にアドバイスを求める。忍野が言うには、吸血鬼の血には治癒能力があるということだった。即座に暦は自身の血を翼の傷に垂らす。その効果で翼の傷は治ったが、翼は戦闘の記憶を失っていた。翼が生きている事実に安堵する暦。こうして、2人目の「吸血鬼ハンター」との戦いは幕を閉じた。

エピソードから取り返した左足を取り込み、17歳ぐらいの見た目まで取り戻したキスショットから、暦は最後の「吸血鬼ハンター」の説明を受ける。3人目はギロチンカッターという男であった。「仕事」で吸血鬼を狩る吸血鬼であるドラマツルギーや、「憎しみ」の気持ちからヴァンパイア・ハンターをしているエピソードとは異なり、ギロチンカッターは「新興宗教から与えられた『使命』」として吸血鬼退治をしているただの人間である。下手をすれば、割り切って「仕事」として吸血鬼狩りを行うドラマツルギーや「憎しみ」という感情論で動いているエピソードよりも厄介かもしれないということを知らされる。どうすれば良いのかと尋ねる暦に、キスショットは「好きにするが良い」と答える。

そんな折、翼は暦を尋ねて廃ビルにやってくる。これ以上翼を巻き込みたくないと漏らす暦に、自分自身ができることはもうないかもしれないと答える翼。しかし、暦は「できることはある」と言う。それは、「春休みが終わったあと、暦が登校するのを待つ」ということであった。そう言われた翼はその場で下着を脱ぎ、「春休みが終わったら返して」と約束の証にそれを渡して帰って行く。

その後、浮かない顔でやってきた忍野は「委員長ちゃんがさらわれた」と暦に告げる。
翼を攫ったのは、3人目の「吸血鬼ハンター」であるギロチンカッターだった。その日の夜に決闘を申し込まれ、直江津高校に駆けつける暦。そこには、ギロチンカッターと首を掴まれた翼がいた。翼を人質にする容赦のないギロチンカッター。それに構わず戦って欲しいと翼は暦に頼む。それに応えた暦は、吸血鬼の「変化」の能力を使い、自身の足を植物にし、エピソードの背後をとった。忍野が教えてくれた「人間を捨てる」という策に則った戦法であった。翼を助けギロチンカッターを地面にたたきつけた。勝負は一瞬にしてつき、暦はキスショットの両腕を取り戻した。

3人の「吸血鬼ハンター」を倒した暦は疑問に思う。それは「何故、『眷属』の自分でも倒すことができた3人を、完全体であったはずのキスショットが倒せなかったのか」ということだった。その話を忍野にすると、忍野は心臓を差し出す。その心臓の本来の持ち主はキスショットだった。怪異を追う専門家であった忍野もまた、キスショットと対峙していたのだ。その際に、キスショット は「吸血鬼ハンターとキスショット のどちらが勝つかわからない状況にする」という目的を持つ忍野により、弱点の1つである「心臓」を奪われていた。キスショットが「吸血鬼ハンター」に襲われたのはその後だったという。一見完全体に見えても、実はキスショットは一番肝心な「心臓」を既に失っていたのだ。それでは「吸血鬼ハンター」たちに勝てないのも無理はないと暦も納得する。本来なら、忍野は暦と心臓を賭けて戦おうとしていた事を話した。それでこそバランスが取れるはずだった。しかし、羽川を巻き込んで傷つけてしまった事を後悔していた忍野は、戦う事なく暦に心臓を渡した。忍野から受け取った「心臓」を返すことで、ようやくキスショットは完全体を取り戻した。

完全体を取り戻したキスショットと暦は他愛もない話をする。祝杯をあげようというキスショットの言葉に、暦がケーキやお菓子を買うためにコンビニに行く。廃ビルに戻ってくると、そこには「食事」をしているキスショットの姿があった。キスショットは、変わり果てた姿のギロチンカッター、つまり「人間」を食べていた。

吸血鬼は、吸血をしない場合は「人間」を食べることで生きながらえる。キスショットを完全体に戻すということは「人間に危害を加える」ということであると、暦は初めて理解した。人間を食べてはいけないと諭す暦だったが、キスショットにとって「人間」は「食べ物」でしかなかったので、暦の考え方が受け入れられない。その上、「友達」である翼を「携帯食」と呼んだことで、「吸血鬼と人間という存在は相容れないものであり、吸血鬼となった自分もまた人類の敵であるのだ」と自覚する。そしてまた、今まで「敵」とみなしていた「吸血鬼ハンター」たちこそ、人間にとっては「正義」だったのだと理解し、いつか自分も「食事」をしなければならないという事実に恐怖し、体育館倉庫に閉じこもった。恐怖に耐え切れない暦は、キスショットを復活させてしまったことの責任をとるために自死を決意する。その前に事件に巻き込んでしまった翼に話をしようと連絡を取ろうとすると、すぐに「すぐ行く」という返事がきた。言葉通り翼はすぐに暦のもとに駆けつける。暦は自死の決意を話すことはなかったが、何かを察した翼に先回りして「それは駄目だ」と止められる。そして自死をするよりも、「眷属」であるキスショットを止める方が適切であると翼は言う。そして翼は、暦が人間に戻るたった一つの方法を教える。それは「主従関係に害をなしたときに、『眷属』は吸血鬼の資格を剥奪される」ということだった。それはつまり、「暦とキスショットの対決」を意味していた。

暦が体育館倉庫を出ると、既にキスショットは校内に待ち構えていた。元人間である暦が「食事」に対する抵抗を示すことに対する理解はできるというキスショット。その上で自分の元に戻れと頭を下げるが、暦はそれを拒絶する。かくして、2人の凄惨な殺し合いが始まるが、それを見ていた翼は違和感を覚え、その違和感に暦も気づいた。それは「元々どのようにして暦を人間に戻すつもりだったのか」という疑問だった。翼が調べた限りでは、暦が吸血鬼ではなくなる条件は「主従関係が逆転したとき」だけであった。そこで翼は、キスショットに「元々、暦に負けて人間に戻すつもりだったのでないか」と問う。観念したキスショットは、本当のことを話し始める。キスショットは500年と随分と長く生きていたせいで、生きることに退屈していて、ずっと「死に場所」を探していたのだ。しかし、四肢を失くし、いざ死にかけると恐怖が勝り、「死にたくない」と思ってしまった。そこに暦が現れた。最初は人間を食べるための命乞いだったが、自らの命を差し出してまで助けようとしてくれた暦に恩を感じ、殺さずに「眷属」にすることを決めたのだった。

キスショットが以前作った「眷属」は、吸血鬼化した自分に耐え切れずに自殺してしまった。その姿が人間に戻りたがる暦と重なり、死なせてしまうのであれば解放してやろうと「わざと負ける」、つまり「自分を憎ませて戦わせる」ための道を選んでいたのだ。わざと暦の目の前で「食事」をしたのも、暦が自分に憎しみを向けるきっかけを作るためだった。

キスショットの真意を知った暦は動揺する。そして、キスショットは「負ける」つもりでも、やはり本当は「死にたくない」という気持ちがあるのだと理解した。暦はたまらず、どこかで見ているであろう忍野に呼びかける。案の定忍野はこの戦闘を傍観していた。この戦闘は忍野の想定内だったという。そして、ギロチンカッターからキスショットの両腕を取り返せたのも、四肢が揃ったら人間に戻るために暦がキスショットを倒すということを伝えたからであったということも明かした。全ては、「暦がキスショットを倒す」という方向に向かうように忍野に仕向けられていたのだ。暦は、みんなが幸せになる方法はないのかと忍野に尋ねるが、忍野は「そんな方法はない」と切り捨てる。ただし、「みんなが不幸を分け合う方法はある」と答えた。それは暦がキスショットの血を吸うことで、キスショットの吸血鬼としての能力をギリギリまで奪うという方法だった。吸血鬼の能力を最小限にし、「吸血鬼もどきの人間もどき」のような存在にしてしまえば、キスショットは「食事」をすることができなくなる。ただしその代わりに、暦はキスショットが死なないように自身の血を与え続けなければならない。そうすることで、暦はいつまでたっても吸血鬼性が消えず、「人間もどきの吸血鬼のような存在」となり続ける。また、人間たちも「吸血鬼」の復活のリスクを持ち続けることになる。死に場所を求めていたキスショットはその提案に反抗するが、キスショットに情が移り「生きていてほしい」と望んでしまった暦は、忍野の提案を受け入れることにする。

こうして、暦の波乱の春休みは終わった。暦は人間に戻ることはできず、かつて「キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード」と呼ばれた怪異は、人間に近い吸血鬼の搾りかすのような名もなき幼女になった。暦は幼女に血を吸わせるため、廃ビルに足を運ぶ。互いに「傷物」となり、一連の事件は幕を閉じた。

『傷物語』の登場人物・キャラクター

主要人物

阿良々木暦(あららぎ こよみ)

CV:神谷浩史

私立直江津高校に通う男子学生。「友達を作ると人間強度が下がる」という理由で友達を作らない生活をしていたが、高校二年生の終業式の日に自転車置き場に向かっている最中、同級生の羽川翼と会って他愛もない会話をしているうちに、翼が強引に暦の携帯電話に自身の連絡先を登録してしまった結果、翼と「友達」となる。その日の夜、本屋で買い物をした帰りに、四肢を失くして瀕死状態であったキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードに巡り合う。逃げ出そうとしたものの、命乞いをしてくるキスショットを見過ごせず、自らの命と引き換えに吸血させることで彼女を助けた。死ぬかと思っていたものの、暦はキスショットに吸血されたことにより吸血鬼の眷属となり、自身も吸血鬼と化して蘇る。主人となったキスショットに完全体に戻るために失われた四肢を取り戻すように命じられ、キスショットの四肢を奪った「吸血鬼ハンター」たちと対決することになる。

羽川翼(はねかわ つばさ)

CV:堀江由衣

直江津高校に通う女子高生。暦の同級生であり、1・2年生の頃はクラス委員長を務めていた。品行方正で、まさに「優等生の中の優等生」。終業式の日、自転車置き場に向かう途中の暦と出会い、吸血鬼の噂を教えると同時に、自身の連絡先を強引に暦の携帯電話に登録して『友達』となる。キスショットの命を受けて「吸血鬼ハンター」と戦うために修行を積んでいた暦と偶然再会したことにより、暦と「吸血鬼ハンター」の戦いに巻き込まれていく。

キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード

CV:坂本真綾

金髪の妖艶な美女。その正体は、怪異をも殺すことができるほどの強大な力を持つ最強の怪異「吸血鬼」である。それゆえに「吸血鬼ハンター」に狙われている。「吸血鬼ハンター」に四肢をもがれて瀕死状態に陥っていた時に暦と出会う。恐怖に逃げ出そうとした暦に命乞いをし、血を吸わせてもらうことで最低限の「吸血鬼」としての力を取り戻し、幼女の姿になる。自分が血を吸ったことで「眷属」となった暦に、「主人」として、「自身が完全体に戻るために必要な失くした四肢を取り戻してこい」と命ずる。

忍野メメ(おしの めめ)

CV:櫻井孝宏

一見放浪人のようだが、実は怪異の専門家。学習塾跡の廃ビルで寝泊まりしている。ただし、怪異を退治するのではなく、あくまで「交渉人」という立場になり、バランスをとることを信条としている。暦がキスショットに吸血鬼ハンターから四肢を取り戻すことを命じられた際も、交渉人として暦と吸血鬼ハンターの間に立つ。

吸血鬼ハンター

ドラマツルギー

CV:江原正志

吸血鬼狩りを「仕事」にしている吸血鬼。キスショットから右足を奪った。吸血鬼となった暦を吸血鬼狩りに勧誘するが、最初の仕事が「キスショットを始末すること」であると知った暦に断られ、キスショットの右足と居場所を賭けて戦闘することとなる。巨漢から繰り出されるスピーディーなパンチと、大剣化する特殊な腕を駆使して暦を追い詰めるが、吸血鬼化し怪力となった暦に野球部のローラーを投げつけられそうになったことから「これが当たれば再生に時間がかかる」と負けを確信し降参する。

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十二大戦(西尾維新)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

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『十二大戦』とは、原作西尾維新による現代ファンタジー小説、および小説を原作としたアニメ作品である。12年に一度だけ開催される十二大戦。干支の名を宿し、干支にちなんだ能力を持つ12人の戦士たちが、己の命をかけて戦う物語である。廃墟となった街中が舞台で、策謀と殺戮が繰り広げられる。どんな願いでもただ一つだけ叶えてくれる、史上最高のバトルロイヤルが開戦される。

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少女不十分(西尾維新)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

少女不十分(西尾維新)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『少女不十分』とは2011年に執筆された西尾維新によるミステリー小説、およびそれを題材としたミステリー漫画。小説家を目指す僕は、謎の少女Uの異常なある行動を見てしまったことをきっかけに、彼女によって誘拐されてしまう。彼女との一週間の監禁生活を送る中、Uの行動に隠された謎を紐解いていく。その巧みな場面描写により、一種のモキュメンタリーとして成立させ、そのリアリティさにより人気を博した。キャッチコピーは「西尾維新、原点回帰にして新境地の最新作。」、「この本を書くのに10年かかった。」

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美少年探偵団(西尾維新)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

美少年探偵団(西尾維新)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『美少年探偵団』とは2016年に執筆された学園ミステリー漫画、及びそれの題材となったミステリー小説、アニメ、舞台作品。主人公・瞳島 眉美は校内の有名人で構成された謎の組織・美少年探偵団と遭遇する。美少年探偵団の一員となった眉美は、彼らとともに学園で起こる様々な事件や怪奇現象を解決するために奔走する。登場人物たちの美しいデザインや、グロテスク過ぎない事件が人気を博した。

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大斬-オオギリ-(西尾維新)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

大斬-オオギリ-(西尾維新)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『大斬-オオギリ-』とは、2014年から集英社の複数の漫画雑誌をまたいで掲載された漫画。編集者が出したお題に沿ったネームを西尾維新が書き、それをさらに9人の漫画家が形にするという、他漫画でも類を見ない構成が人気を集めた。9編全てがまったく異なるテーマを採用しているため、アクションからミステリー、恋愛ものやSFなど幅広いジャンルのストーリーが展開されている点が特徴である。

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【アニメ】化物語から始まる西尾維新の「物語シリーズ」視聴順まとめ

【アニメ】化物語から始まる西尾維新の「物語シリーズ」視聴順まとめ

西尾維新プロジェクトと称されるアニメ化真っ最中の【物語シリーズ】は、現代の怪異に出会った少年少女の姿を描いた作品です。その多さ故、視聴前は混乱必至ですが各シリーズの放送順を知ることでスムーズに楽しむことができます。今回は各シリーズの大まかなあらすじ/放送順/時系列順でご紹介。

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【ネタバレ注意】物語シリーズを時系列で整理してみた!

【ネタバレ注意】物語シリーズを時系列で整理してみた!

時系列が複雑になった人のために、細かく時系列を整理、一覧年表にしました。化物語・傷物語・偽物語・猫物語・傾物語・花物語・囮物語・鬼物語・恋物語・憑物語・暦物語・終物語・愚物語・業物語・撫物語・結物語・忍物語・宵物語に関して画像付きで記しています。ぜひ最後までご覧ください。

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