化物語の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

「化物語」は、西尾維新によるファンタジー小説、及びそれを原作としたアニメ作品。
主人公の「阿良々木暦」が、クラスメイト「戦場ヶ原ひたぎ」に始まり、色んな少女たちの関わった「怪異」にまつわる事件を解決していく物語である。
ギャグ、パロディ、メタ発言など遊びの多い物語であると共に、西尾維新らしい奥深く尖った作品であり、そのどちらの側面からも多くの名言が排出されている。

『化物語』の概要

「化物語」は、講談社BOX(講談社)から刊行された、西尾維新によるファンタジー小説である。イラストはVOFANが担当している。2009年にテレビアニメ化され、その後もゲーム化や、続編にあたる「傷物語」が映画化され、多くの人々から人気を博す作品である。

直江津高校に通う三年生の阿良々木暦はある日、クラスメイトの戦場ヶ原ひたぎと出会い、彼女の秘密を知ってしまう。ひたぎには、およそ体重と呼べるものがほとんどなかった。奇怪極まるその現象が、ひたぎを何年も苦しめ続けてきた。そんなひたぎに、暦は協力を申し出る。実は、ひたぎに体重がないのは「怪異」と呼ばれるもののせいであり、暦も過去に、「怪異」と呼ばれるその現象に関わった一人だった。
過去に吸血鬼に出会い、現在では半分吸血鬼化してしまっている暦は、当時、怪異のプロフェッショナルである忍野メメによって助けられていた。
ひたぎを始めとし、次々と怪異に関わる少女たちと出会っていき、忍野の力を借りながら暦が怪異事件を解決していく物語。
「とにかく馬鹿な掛け合いに満ちた楽しげな小説を書きたかった」と作者の西尾維新が語る通りにギャグやパロディに満ちた作品でありながらも、ストーリー自体は奥深く尖った内容の、メリハリのある物語となっている。言葉を巧みに操る小説家として評判の高い西尾維新が紡ぐ、名言の数々もこの作品の魅力の一つである。

『化物語』の名言・名セリフ

何でもは知らないわよ。知ってることだけ。

暦のクラスメイトで委員長の、羽川翼の口癖である。
暦はよく羽川に物を尋ねるが、羽川は全国でも随一の頭脳と知識量で何を聞いても返してくれる。暦が「お前は何でも知ってるな」と言い、羽川が「何でもは知らないわよ。知ってることだけ」と返すお決まりのパターン。こういったキャラ同士の掛け合いでお決まりのパターンが多々存在するのもこの作品の特徴である。

きみが勝手に一人で助かるだけだよ、お嬢ちゃん。

暦はある日、階段の上から落ちてくるクラスメイトのひたぎを受け止め、およそ体重と呼べるものがひたぎに全くと言っていいほど無いことに気付く。
怪異と呼ばれるその現象には暦も経験があり、その時に助けてもらった恩人である忍野メメのもとへひたぎを連れて行く。
しかし忍野は決して「助ける」とは言わない。代わりに言う口癖が上記のセリフである。
「人は一人で勝手に助かるだけ。誰かが誰かを助けることなどできない」といった持論があるらしい。色々と謎な一面が多い忍野だが、怪異のプロフェッショナルとしての信念のようなものが垣間見える名言が多々存在する。

被害者面が気に食わねぇっつってんだよ、お譲ちゃん。

怪異というのはそこに存在するだけの現象であり、普通に生きていればまず遭遇しない。怪異に巻き込まれたということは、大抵の場合、少なからず自己責任が圧し掛かる。少なくとも「体重が消えた」という現象に関しては、何かしらの自業自得であると忍野は確信していた。
そんな事情から、被害者面で悲劇ぶるひたぎに対し、忍野がかけた辛辣な言葉である。怪異に限らず、現実世界でもあらゆるトラブルにおいて考えさせられるセリフといえる。

どんな重かろうと、それはきみが背負わなくてはならないものだ。他人任せにしちゃあ――いけないね。

ひたぎの体重を消したのは、「おもし蟹」という怪異であり、その名の通り「重み」を、「想い」を消してしまうというものだった。
この怪異はどちらかというと神様に近い。辛い過去、トラウマを、消し去りたいと願った者に、応えるのがおもし蟹という神様である。母が悪徳宗教に入信したことがきっかけで家庭崩壊した過去があるひたぎも、その過去を消し去りたいと願ってしまい、おもし蟹にその思い出と、重みを消し去られた。それがこの怪異現象の原因だった。
神頼みに逃げて人任せにせず、ちゃんと自分で向き合うべき。忍野によるお祓いの途中、忍野がひたぎにかけたセリフである。

話しかけないでください。あなたのことが嫌いです。

迷子と思しき少女、八九寺真宵に、暦は親切心から話しかけた。話しかけられた八九寺の第一声である。
実はこの八九寺は何年も前に事故で死んだ幽霊であり、かつ「人を道に迷わせる」という「蝸牛」の怪異そのものであった。八九寺は「蝸牛」になって以来、ずっと迷い続けてきたのである。八九寺も自身が怪異であることを自覚しており、「自分と一緒にいては暦も被害に遭ってしまう」という思いから口に出た、優しい突き放しだった。未だあどけない少女の、他人のために孤独を選ぶ、思いやりの名言である。
しかしそうとは知らぬ暦にとっては何故か初対面の初っ端から突き放されただけであり、男子高校生である暦が小学生の少女相手に全力で取っ組み合いの喧嘩する、実に大人げない光景が直後に繰り広げられることになる。

命という漢字の中には、叩くという漢字が含まれているんだぜ。命は叩いてこそ光り輝くってことさ。

話しかけた八九寺に第一声から「あなたのことが嫌いです」と突き放された暦は、それでも諦めずに再び話しかけに行くも、シカトされてしまう。それでもめげずに話しかけに行こう、としていた暦だったが、声をかけるより先に思わず、先手必勝とばかりに八九寺の後頭部を引っ叩いていた。その際の暦の言い訳である。
日本語を巧みに操ることで評判高い西尾維新らしい名言だが、主人公が女子小学生と大人げなく喧嘩する場面に用いられることで台無しであり、その滑稽さも作品の売りの一つである。

失礼、噛みました。

八九寺は「阿良々木」という名前を「阿々良木さん」や「阿良々々木」さんなどとよく噛んでしまう。これはわざとであり、噛んだ直後に毎回述べる白々しい謝罪の言葉である。
この謝罪から、「違う、わざとだ……」「噛みまみた」「わざとじゃないっ⁉」と続く。さらに八九寺が続けて「噛みました」の斬新な噛み方(「垣間見た」や「神はいた」など)を披露し、それに暦がツッコむという定番のパターンになっていく。馬鹿な掛け合いや会話パターンの多いこの作品の中でも、一番有名と言っても過言でないものである。

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