最上の明医〜ザ・キング・オブ・ニート〜（最上の命医）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

帝王大の研修医として一日を終えた後、父親に向かって「帝王大は俺がぶっ壊す」と宣言する。義明は病院を一度壊して、立て直そうと決意したのだ。

誤診されそうになった患者に、義明は手術時に付き添うように頼まれる。
義明は研修医という身分を利用し、見学ということで付き添うことにした。手術は三好政安の叔父にあたる三好永逸（みよしながよし：三好政安と区別するために以後「永逸」）、そして二人の助手の看護師と助手としてもう一人の医師がいた。

義明から見て永逸の手術はお粗末なものだった。
義明は止めようとするが、永逸は聞き入れない。看護師も帝王大のしがらみに捕らわれて永逸以上に義明の意見を聞こうとしない。

どうにか患者を救おうとする義明に手を貸すものがいた。助手の一人、瀬名マリア（せなまりあ）である。前作では平成中央病院の医師として登場していたが、現在は帝王大の医師として勤めていたのである。

彼女の協力により、永逸に代わり義明が手術を続行することになった。手術は成功するが、義明に加勢したことで瀬名も帝王大全体を敵に回すことになる。

人は成長する

義明が帝王大に配属されて数週間が経ち、三好政安（以後三好）とも良好な関係を築き始めていた。そして義明は海外の病院から交換研修生としてやってきていたミランダと再会する。
ミランダはアフリカ研修の時に大統領の依頼で診察し義明が救った患者の一人である。義明のように人を助けたいと思い看護師になったのである。

ある日、救急部担当の義明、三好、ミランダの三人は、交通事故で重傷者が出たということで現場に出向くことになった。そこで三好は全力で救命に当たる。義明と出会ってすぐの頃は物事を打算的に考える三好だったが、いつの間にか患者を思い、人命を優先させるようになっていたのである。

義明の救急部研修期間はこの一件で幕引きとなるが、ミランダと義明も三好のことをかなり見直していた。

義明の得意

帝王大の理事長を倒すべく、義明に頼れる仲間ができた。
その人は義明の指導医で神（じん）と名乗った。義明は瞬時に、眼鏡をかけただけの上杉であると見抜く。帝王大を立て直すという義明のために、再び義明に力を貸すべくやってきたのである。

帝王大は患者に負担のかかりやすいが、利益の出る開胸手術を積極的に行っていた。そこに目を付けた上杉は患者の負担の少ないカテーテル手術で、外科の患者を横取りしまくるという方法を提案する。
カテーテル手術はゲーム経験者の方が成績がよい傾向にあると言うデータがあり、ゲームの得意な義明に向いていると考えたのも提案された理由の一つだった。
狙いは嵌り、急成長する義明。更に上杉は自身がモテるのを利用して、院内の看護師を片っ端から引き抜いていった。

義明の技術も安定し始めた頃に一気に進撃を開始する。まず義明か上杉が外科の患者にカテーテル手術を提案し、上杉が引き抜いた看護師と共に手術を行うというものだった。カテーテル手術のメリットから計画は順調に進む。患者の方から義明にカテーテル手術を指名するようになり、理事長は義明達に下手に手を出せなくなる。この短期決戦には見事勝利し、理事長の不正を暴き出す時間も稼ぐことに成功した。

どんな人間でも絶対に救う

理事長は義明に下手に手を出すことができなくなっていたため、新たな手を考えようとしていた。そこで事故が起こり、理事長は大怪我を負う。

義明はすぐに上杉を呼んで手術の準備を始めようとするが、上杉は理事長を救うことに反対していた。「敵対していた理事長をこのまま見殺しにすれば病院内も改革されるだろう」と言い、手術に参加しようとしなかった。義明はカテーテル手術であれば救えるかもしれないと思いつく。

「病気」ではなく「怪我」に対し、カテーテル手術で治療する方法は現在法的に認められていなかった。その場に居合わせた義明以外の全員はこの方法に猛反対していた。義明は皆の反対を振り切り理事長をカテーテル室へ運ぶ。そこで伊達が助けに駆け付ける。規定的にかなり危険な行為だったため、義明は「絶対に協力するな」と伊達をはじめ仲間全員に釘を刺していた。それでも伊達は覚悟を決めて義明の手術に参加することにしたのである。

義明と伊達がカテーテル室へ到着すると、そこには釈や吉川、松前など義明の人徳により信頼を寄せていた仲間たちが手術の準備をしていたのである。理事長の心臓周辺の血管は通常よりもかなり太く、手術は非常に難しいものであったが、義明は成功する。上杉は義明が自分の領域に到達していたので「よくやった」と心の底から褒めていた。

根っからの悪人ではなかった

義明たちがかなり危険な手術を行っていると知った西條命が、医道審議会に上手く手を回していたため、義明たちは医師免許剝奪を免れることができた。
手術が成功した後、義明は会話が可能な程度まで回復していた理事長のところに向かった。義明は理事長の経緯を知っており、なんとなく根っからの悪人ではないということに気付いていた。
理事長も医療業界の闇に飲まれてしまった一人でもあったのだ。
理事長も看護師から手術中の話で、義明が医師免許剥奪を懸けてまで自身を救ってくれたことを知り、義明に心底感謝をしていた。

帝王大病院を改革すべく、義明の後ろ盾としていた外部の協力者は、理事長が倒れていた隙に不正資料の山を入手していたのである。
理事長が不正に搾取していた莫大な手術費用や裏金などは、全額孤児関連の施設に寄付されていたのだ。もちろん、不正をしていた事実に変わりはないが、義明の意向でそのまま理事長の座に留まらせておくことになった。
「仮に現理事長を失脚させたとしても、次の理事長も同じように不正をするようでは意味がない。それならば今の理事長の弱みを握りつつ、病院を改革していった方がいい」ということであった。

後日、その協力者は理事長の元に行き、義明の依頼通り理事長をこれまで通り存続させていくことを伝える。理事長は驚いていたが、同時にいつかは裏切るかもしれないと言った。
義明の伝言には続きがあり、「その時にはもう一回治してやるからかかってこい」と言っていた。この言葉に完全に心を打たれた理事長は良心的な院長へと変わっていったのである。

それから一年半後、出世街道を外されていた義明の父親も帝王大教授に出世した。義明も南米研修を条件に平聖中央病院に移籍が決まったのである。

ドラマ版『最上の命医』のあらすじ・ストーリー

原作『最上の命医』を元に創られたドラマ、『最上の命医』。2011年1月から3月の期間にテレビ東京にて22時から23時に放送されていた医療系ドラマ。主演西條命（さいじょうみこと）役を斎藤工、瀬間マリア（せなまりあ）役を比嘉愛未、桐生危（きりゅうあやめ）役を池内博之が演じる。物語は主人公西條命が航空機内で34週目を迎える妊婦を救うところから物語は始まる。原作では物語は西條命の幼少期から生い立ち、アメリカへの留学なども描かれているが、ドラマではその後の帰国中の航空機内から始まっている。物語の全体的なストーリーは原作を引き継いでいる。主人公、西條命が平聖中央病院に小児科を設けるべく経営を理由に小児科設置を反対する副院長の桐生奠（きりゅうさだめ）と戦う本格医療ドラマ作品。放送期間は二か月と短いが、内容は医療ドラマのなかでもかなりの見応えのある名作品。

『最上の明医〜ザ・キング・オブ・ニート〜』の登場人物・キャラクター

主人公と周囲の登場人物

最上義明（もがみよしあき）

本作の主人公、最上義明（もがみよしあき）。心臓外科の医者を父親に持ち、元々医療には興味を持っていた。ニートに憧れ学校にもまともに通わないだらしない性格をしており、自分勝手でよく周りを振り回す。身長が高く体格もいいので喧嘩も強い。だらしない性格をしているが、一度やる気になると寝る間も惜しんで勉強をしたりと努力家な一面もある。自分の担当でなくても困っている患者には親身に接しその病気を治すまでは徹底的に尽くすという精神で治療に臨む。仮に医者をクビになったとしてもニートになればいいと考えており、患者のために危ない橋も躊躇なく渡る。ゲームや漫画、アニメなどあらゆる娯楽に精通し、そこから医療をはじめ様々な知識を吸収し、一見医療に関係なさそうな知識も応用し組み合わせることでその患者に適した治療法を編み出せる柔軟な思考も持ち合わせている。
また、病気的に苦しんでなくても面倒ごとに関わりかけている人間を見ると積極的に助けている。理不尽な理由で苦しんでいる人を一人でも多く救うため、医療業界の闇と戦う。

伊達正宗（だてまさむね）

幼少期にベーチェット病になりその時のトラウマから常時サングラスをかけている。作中では終始義明を支える一番の理解者である。ヤンキーのような外見をしているが、その性格は生真面目で我慢強い男である。義明のがさつな部分は伊達が補っている部分もあり、この男にして義明ありともいえる。人命を何よりも優先させ患者のためであれば後先を考えないというところは義明と似ており、そういう性格も相まって今日まで義明の相棒として長い付き合いをしている。
小学生時代にサングラスをかけていたことで、同級生からいじめられていたところを義明に助けられる。自分も人のために何かしたいと思い医者を志すようになる。人当たりのいい性格をしているので同級生とも仲が良い。義明に喧嘩の手ほどきもしてもらっているので高校では番長的な存在でもある。

釈紗英（しゃくさえ）

裕福な家庭で育ったお嬢様気質の美少女。義明とは高校時代の同期で義明のことをずっと好いているこの作品におけるヒロイン。勤勉で後に釈を含めた三股を公認するほどの器の広い性格をしている。知識や技術は義明や伊達には劣るものの幅広い経験値と医学知識を駆使して義明や伊達のサポートに回ることが多い。一見義明とは正反対の性格をしているが時折波長が合うのか同じような口調になる。中学時代から義明に対して恋愛的な好意を持っている。何度もアタックし、中盤辺りから義明もそのことに気づき恋人同士になる。

上杉謙神（うえすぎけんしん）