チャーリーとチョコレート工場(Charlie and the Chocolate Factory)のネタバレ解説・考察まとめ

2005年、ティム・バートン監督とジョニー・デップのコンビで公開された、アメリカの映画です。ファンタジー・コメディーに分類されます。しかし蓋を開ければ内部非公開の工場を見物できるというワクワク感とは裏腹のブラック・ジョーク、皮肉全開のミュージカル調のシーン、美しくも怪しい映像のセンスなどが監督ティム・バートンの世界観をよく表現しています。第78回アカデミー賞衣装デザイン賞ノミネート作。

3枚目にチケットを引き当てた少女。家はアメリカジョージア州のアトランタにあります。母の教育方針で空手、ガムを噛み続けることなど、あらゆる大会にチャレンジしては優勝を総なめ。ガムに関しては数年間同じガムを噛み続けているという記録を持っており、別の物を食べる際は耳元にくっつけておきます。母が言うには負けず嫌いで、他者、特にチャーリーを見下しており「負け犬」とまで称する勝ち気な印象。先のベルーカとはお互い親友になろうと言いつつ、あからさまなライバル心を燃やしていました。

当然、副賞に当たる誰も予想しないプレゼント(というか優勝)を狙っており、ウォンカに「私が商品をもらう」とまで宣言するなど自信家。工場内で開発中の、一枚でフルコースの味を堪能できるガムを「自分好み」と称し、ウォンカの制止も無視して噛み始めます。一度は味の変化に感動していましたが、フルーツのブルーベリータルトの辺りで全身が膨らみ、名前通りのバイオレット(紫)色に。ジュース室で水分を搾り取られた結果、何故か前以上にしなやかに動けるようになりました。紫色は抜けませんでしたが、一応満足のご様子。

【ボーレガート夫人】バイオレットの母。娘同様バトンなどの大会で優勝経験があり、記者会見の際さりげなく自慢していました。副賞を引き当てることには母子ともに自信がありましたが、バイオレットが膨らんでしまったため断念。しかも紫色のままであることに苦言を呈していました。

マイク・ティービー

4枚目のチケットを当てた少年。アメリカはコロラド州のデンバーに住んでいます。非常に頭が良い半面態度は最悪で、大量の報道陣を前にしても戦争物のゲームの手を休めることなく「死ね!」と連呼。悪意のあるなしに関わらず人を小馬鹿にした印象で、工場見学に同行した父に口答えする様も見られました。彼が言うには「サルでもわかる簡単な計算で、ゴールデンチケット入りのチョコは手に入る」らしく、1枚買っただけでチケットを当てました。

出典: ringosya.jp

「サルでも簡単」とはいえそれは彼の基準であり、実際にはチョコの製造年月日、天候や株価指数のデリバティブなど諸々の要素から導き出される、非常に複雑なもの。ちなみにチョコレートは嫌いだそうで、食べなかったそうです。工場内では、買いに行かなくてもチョコが手に入るという、いわゆる物体をテレビに転送させる機械を見てウォンカを「チョコのことしか考えてない馬鹿野郎」と称し自ら転送機へ。結果小さくなってしまいますが、ウォンカ曰く「大きくする機械はない」とのことで、キャンディー引き伸ばし機により平べったく縦に引き伸ばされた姿になりました。

出典: i1os.com

マイクが吸い込まれたテレビの先。

【ティービー氏】マイクの父。話し方も外見もくたびれた印象。記者会見の時も他の親と違って誇らしげではありませんでした。高校で地理を教えており、ルンパランドの存在を否定。しかしウォンカに「地理の先生なら、あそこがどんなにひどい所かご存知でしょう」と言い返されました。息子の知能の高さについていけず、叱っても言うことを聞いてもらえず。とはいえ教師だけあって好奇心はあるようで、工場内で疑問に思ったこと(内部が異様に暑いこと、ナッツの実をリスに取り出させること)などは質問していました。

ティム・バートン的と思われるシーン

ブラックジョーク・人形炎上

チケットを当てた面々が工場本館入り口前で見た、回る人形とウォンカを称える歌のショー。かわいく楽しげなシーンですが、花火が引火し、人形たちは炎上。グロテスクに溶けていきました。トラウマになりそうなシーンですが、意外と平気な子もいたようです。「ティム・バートンっぽい」との声も。

喜んでいたのはウォンカだけでした。

ウォンカの歯列矯正器

少年時代のウォンカが着けていた歯列矯正器ですが、まるで中世の拷問器具。会話も食事も不自由なくできるものの、口が完全に閉じられそうにない外観。近隣住民も慣れていたのか、「あら、ウィリー・ウォンカ」と特に気にしている様子はありませんでした。

出典: ameblo.jp

消えた家

ウォンカのトラウマの一つ、少年時代の父との別れのシーンも意味深長でした。チョコ職人になると家を出ようとするウォンカに、父は「お前が戻って来ても、家はないと思え」と言い捨てます。何故か世界国旗の展覧会を見に行ったウォンカが一旦戻ると、文字通り建物そのものが消えていました。「どういう意味なんだ」とファンの間でも物議を醸すシーンです。

チャーリーのゴールデンチケット入手方法について

チャーリーは道で拾ったお金を交番に届けることもなく、そのお金でゴールデンチケット入りのチョコを手に入れました。「ネコババなのに、いい目を見るのが納得いかない」との声もありますが、欧米では道に落ちているお金は、少額であれば神様からの贈り物と判断し、ネコババしても問題視されないようです。もちろん国によります。

原作・旧作との相違点

【キャラクター】チャーリーではなくバイオレットが母子家庭などキャラクター全員に大幅なアレンジが成されているようですが、ウォンカは先述の通り父との確執、トラウマが元で完全な大人になり切れていないキャラクター像に変更。原作ではつかみどころのない人物のようですが、今作では歓迎の言葉をカンペで済ます、ギャグが滑るなど、人づきあいが苦手と思われる描写がありました。

【ウンパ・ルンパとの関係】劇中で「直輸入した」とありますが、原作では実際にウンパ・ルンパは箱入りの貨物状態で送られてきた模様。というか、本によっては箱から手足を出して歩くイラストがあるそうです。今作ではちゃんと給料を払うなどの契約を交わすシーンが存在。

【買われたチョコレートの行方】旧作では、ゴールデンチケット目当てで購入する客がほとんどだったらしく、チョコは買った端から包み紙をはがされて、食べられることなく捨てられるという描写が存在。今回はそうした描写はなく、「虫歯の子が増えた」とのナレーションから、それなりにチョコも食べられていた模様。

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