『マチルダ』とは、1996年に公開されたアメリカ合衆国のファンタジー・コメディ映画。監督はダニー・デヴィート。脚本はニコラス・カザンとロビン・スウィコードが担当した。原作はイギリスの作家であるロアルド・ダールの児童文学作品『マチルダは小さな大天才』。
6歳半の天才少女・マチルダが、無知で愚かな大人たちに立ち向かうユーモラスな作品である。児童文学を下敷きにしているからこその強みを持った映画である。
『マチルダ』の概要
『マチルダ』(原題:Matilda)とは、1996年8月2日に公開されたアメリカ合衆国のファンタジー・コメディ映画。監督はダニー・デヴィート。脚本はニコラス・カザンとロビン・スウィコードが担当した。原作は、『チャーリーとチョコレート工場』の原作者でもある、イギリスの作家であるロアルド・ダールの児童文学作品『マチルダは小さな大天才』。
主人公のマチルダは、6歳にして大学レベルの数学を解くことができる読書が好きな天才少女。しかしインチキ中古会社を経営する父を始め、家族からはネグレクト、もしくは叱られてばかりの日々。学齢に達してもとぼけているのか本当に把握していないのか、学校に通うのはまだ早いなどと言う始末。しかし、ひょんなことから、マチルダは異常に子どもを敵視する女性校長の支配する学校に編入することになる。
無知で愚かな大人たちに立ち向かう子どもの姿を描いたユーモラスな作品。児童文学を下敷きにしているからこその強みを持った映画である。
『マチルダ』のあらすじ・ストーリー
6歳半の天才少女
アメリカのとある田舎町に住むワームウッド夫妻は、金儲けしか頭にない俗物。彼らの間に生まれた娘、マチルダ・ワームウッドは、4歳で読書、6歳半で高度な知識を習得する天才少女だが、両親は彼女に一切関心を示さず、邪魔者扱いする。父のハリー・ワームウッドがインチキ中古車販売の仕事、母のジニアがビンゴ、兄のマイケルが学校へ行く間、マチルダは家に置きざりにされ、誰からも顧みられなかった。
マチルダは知識欲を満たすために図書館に通っていたが、両親に学校への入学を訴えるも聞き入れられず、逆に罵倒される。これに対しマチルダは、「悪い大人は罰してもいい」と解釈し、両親の言動に憤るたびに悪戯をしてささやかな報復を始める。
学校入学と心の支え
ある日、暴力的な教育方針で知られるクランチェムホール小学校のトランチブル校長がハリーの中古車販売店にやってくる。子供を暴力で支配する彼女に感銘を受けたハリーは、マチルダをこの学校に入学させる。
マチルダにとって憧れの学校生活が始まるが、校長は恐怖支配で生徒を抑圧していた。そんな中、マチルダは優しく理解のある担任教師、ミス・ハニーと出会い、心を通わせる。
超能力の覚醒
トランチブル校長とのいざこざがきっかけで、マチルダは自身に超能力が眠っていることに気づく。マチルダはミス・ハニーに招かれた家でお茶を飲み、ミス・ハニーが校長の姪であり、校長に実父マグナスを殺され、家と財産を奪われた過去を知る。
マチルダはミス・ハニーのために校長の家に忍び込むが、校長に見つかり失敗。帰宅後、怒りの感情が力の源だと悟ったマチルダは、特訓の末に超能力を自在に操れるようになる。
マチルダは再度夜中に校長の家に侵入し、超能力でミス・ハニーの宝物を取り戻した。そしてミス・ハニーの父であるマグナスの幽霊を装って校長を脅し、家を出ていくよう仕向ける。
平和と新しい家族
翌日、マチルダは超能力を使ってマグナスの霊のメッセージを教室の黒板に書きつけ、校長がマグナスを殺害したことを糾弾。教室に現れた校長に対して、家と財産をミス・ハニーに返すよう警告する。
超能力と生徒たちの反撃によって打ちのめされたトランチブル校長は、学校から逃亡し失踪する。これにより学校に平和が戻り、ミス・ハニーも家を取り戻したのだった。
その後、インチキ商売が露見したワームウッド夫妻は海外へ逃亡する。彼らはマチルダを連れて行こうとするが、マチルダは家族との決別を宣言し、ミス・ハニーに養子にしてほしいと懇願。娘の才能を全く理解できなかった母ジニアは涙ながらに養子縁組申請書に署名し、父ハリーもこれに続く。
こうしてマチルダはミス・ハニーと新しい家族となり、幸せに暮らすのだった。
『マチルダ』の登場人物・キャラクター
主人公
マチルダ・ワームウッド(演:マーラ・ウィルソン)
本作の主人公。ワームウッド家の長女で6歳半の天才少女。赤ん坊の時に既にアルファベットを書くことができ、4歳のときには高度は英文学を読みこなし、数学の才能を発揮している。
性格はその年相応に女の子らしく明るく天真爛漫。無能な大人たちから仕打ちへの怒りから超能力に目覚める。
その他の登場人物
ハリー・ワームウッド(演:ダニー・デヴィート)
マチルダの父親。インチキ中古車販売業者。マチルダをことあるごとに罵倒している。原作では徹底的にマチルダのことを拒絶していたが、映画版ではマチルダ成長後は食事に同席させるなど、ある程度まともな扱いをしている。
ジニア・ワームウッド(演:リー・パールマン)
マチルダの母親。赤ん坊のマチルダの面倒をろくに見ようともせずに遊びに行くような怠惰な性格。原作では最後までマチルダに無関心だったが、映画版ではマチルダのことを理解できないことを悲しむ様子が見られた。
ミス・ハニー(演:エンベス・デイヴィッツ)
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目次 - Contents
- 『マチルダ』の概要
- 『マチルダ』のあらすじ・ストーリー
- 6歳半の天才少女
- 学校入学と心の支え
- 超能力の覚醒
- 平和と新しい家族
- 『マチルダ』の登場人物・キャラクター
- 主人公
- マチルダ・ワームウッド(演:マーラ・ウィルソン)
- その他の登場人物
- ハリー・ワームウッド(演:ダニー・デヴィート)
- ジニア・ワームウッド(演:リー・パールマン)
- ミス・ハニー(演:エンベス・デイヴィッツ)
- トランチブル校長(演:パム・フェリス)
- マイケル・ワームウッド(演:ブライアン・レヴィンソン)
- ラベンダー(演:キアミ・ダヴァエル)
- ブルース・ボグトロッター(演:ジミー・カーツ)
- アマンダ・スリップ(演:ジャクリーン・スタイガー)
- ホルテンシア(演:キラ・スペンサー・ヘッサー)
- フェルプス夫人(演:ジーン・スピーグル・ハワード)
- クッキー(演:マリオン・デュガン)
- FBI捜査官ボブ(演:ポール・ルーベンス)
- FBI捜査官ビル(演:トレイシー・ウォルター)
- 『マチルダ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 映画に散りばめられた象徴性
- 『マチルダ』の主題歌・挿入歌
- 挿入歌:ラステッド・ルート「Send Me on My Way」
- 挿入歌:サーストン・ハリス「Little Bitty Pretty One」
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