ナイトメアー・ビフォア・クリスマス(アニメ映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』とは、ティム・バートン原案・原作によるストップモーション・ミュージカル映画。伝統的なストップモーション技法に加え、当時の最新のデジタル映像技術が取り入れられている。ファンタジーとホラーが融合したティム・バートンらしいキャラクターと世界観が多くの人に愛され、アニメーション映画としては初めてアカデミー視覚効果賞にノミネートされた。
ディズニー作品としても独自の地位を確立しており、ハロウィンシーズンには東京ディズニーランドで限定イベントが開催される。
『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』の概要
『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』とは、ティム・バートン原案・原作によるストップモーション・ミュージカル映画。伝統的なストップモーション技法に加え、当時の最新のデジタル映像技術が取り入れられている。ファンタジーとホラーが融合したティム・バートンらしいキャラクターと世界観が多くの人に愛され、アニメーション映画としては初めてアカデミー視覚効果賞にノミネートされた。
2014年にアメリカの大手映画批評サイト「Rotten Tomatoes」が発表した「2014年版クリスマス映画ベスト25」で第7位に輝いている。
ティム・バートンがディズニーのアニメーターとして働いていた頃に書いた詩が原案となっている。1982年、ティム・バートンの初監督作品『ヴィンセント』のヒットを受けて、ディズニーは本作の映像化を企画する。当初はテレビ番組として放送される予定だったが、「内容が不気味すぎる」という理由で中止になってしまった。その後、1990年にふたたび長編映画として本作を映像化する企画が持ち上がり、3年の月日をかけて完成にこぎつけた。ストップモーションの制作には膨大な手間と時間がかかるが、当時ティム・バートンは『バットマン リターンズ』の撮影中だった。そのため、ヘンリー・セリックが監督を務めることになった。
ディズニーは「本作は子どもには不気味すぎる」という判断を下し、ディズニーの実写映画部門の1つだったタッチストーン・ピクチャーズの名義で公開することになった。
『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』のあらすじ・ストーリー
ハロウィンの王の憂鬱
人を怖がらせることが大好きな死者たちが暮らす町「ハロウィン・タウン」は、毎年盛大にハロウィンを祝うのが習わしだ。ある年のハロウィンも、ハロウィン・タウンの王である「パンプキン・キング」、ジャック・スケリントンは最高のハロウィンを演出し、町は大盛り上がり。しかしジャックは、毎年代わり映えのしないハロウィンというイベントに単調さを感じ、思い悩んでいた。
そんなある日、ジャックは森の中で不思議な扉を発見する。扉の向こうには、明るく楽しい「クリスマス・タウン」があった。陰鬱で不気味なハロウィン・タウンとは真逆の美しい町にジャックは夢中になる。クリスマスに心を奪われたジャックは、ハロウィン・タウンを主導して自分がクリスマスを作り上げようと決心する。ジャックに想いを寄せる人形の女性、サリーはそんなジャックを心配し、「よくないことが起きる」と忠告するが、ジャックは気にせず、ハロウィン・タウンに呼びかけてクリスマスの準備をはじめる。しかしジャックも住民たちもクリスマスがどういうものなのかわかっておらず、おぞましいプレゼントを次々に作り出し、ハロウィン・タウンのクリスマスはおかしな方向へ暴走していく。
ジャックは自分がサンディ・クローズ(ジャックがサンタクロースの名前を勘違いしている)となるため、邪悪なギャンブラー「ブギー」の手下である3人の小鬼たちに頼んで本物のサンタクロースを誘拐させる。ジャックはサンタクロースに乱暴するつもりはなく、ただ仕事を代わってほしかっただけだったが、小鬼たちはサンタクロースをブギーに差し出してしまった。
サンディ・クローズ
サンタクロースが危機に陥っていることも知らず、ジャックはサリーが用意した衣装を着こんでサンディ・クローズになり、世界中にプレゼントを配ってまわる。ハロウィン・タウンの住人たちが用意した邪悪で不気味なプレゼントにより、世界中は大混乱に陥った。ジャックは悲鳴をあげる人々を見て「みんなが喜んでくれている」と舞い上がるが、世間では偽のサンタクロースを退治するために軍隊が出動する。大砲で撃ち落とされたジャックはようやく自分の過ちに気付き、深く後悔して嘆くのだった。
ジャックは本物のサンタクロースを解放して事態を収拾してもらうため、ハロウィン・タウンへ向かう。ハロウィン・タウンではサンタクロースと彼を助けようとしたサリーがブギーの魔の手に落ち、絶体絶命のピンチに陥っていた。ブギーはジャックを排除して自分がハロウィン・タウンの王になろうと企んでいた。駆けつけたジャックはブギーに決闘を挑み、ブギーは消滅する。
素敵なクリスマス
解放されたサンタクロースは謝罪するジャックに苦言を呈し、自分の仕事へと戻っていく。本物のサンタクロースは瞬く間に世界中を駆け回り、明るく楽しいクリスマスを取り戻した。それを見守っていたジャックとサリーの頭上から、白く美しい粉雪が降り始める。それまでハロウィン・タウンに決して降ることがなかった雪は、サンタクロースからハロウィン・タウンへのプレゼントだった。心温まる贈り物に、ジャックは心から感謝する。
事件が終わり、ずっと自分に寄り添ってくれていたサリーへの愛情を自覚したジャックは、ハロウィン・タウンの丘の上でサリーと口づけをかわすのだった。
『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』の登場人物・キャラクター
主人公
ジャック・スケリントン(Jack Skellington)
CV:クリス・サランドン
歌:ダニー・エルフマン
日本語吹き替え:市村正親
『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』の主人公で、骸骨のような姿をした男性。人々を恐怖させることにかけては天才的なセンスを持ち、ハロウィン・タウンの住民たちから「パンプキン・キング(かぼちゃ畑の王)」と呼ばれて称えられている。年に一度のハロウィンの祭はジャックの主導で開催される。
楽しいことが好きで、陽気かつ紳士的な性格だが、毎年同じことを繰り返すハロウィン・タウンの生活にマンネリを感じ、悩んでいた。そんなときに偶然クリスマス・タウンを発見し、明るく美しいクリスマスに魅了され、次のクリスマスは自分が主役になろうと決意する。
ヘンリー・セリック監督はインタビューで、「ジャックの姿の着想源は長い脚で華麗に動く蜘蛛だ」と語っている。
主要人物
サリー(Sally)
CV:キャサリン・オハラ
日本語吹き替え:土居裕子
『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』のヒロインで、偶然心を持った人形の女性。ジャックに想いを寄せているが、強く主張できない性格のために上手く気持ちを伝えられない。だが、サリーの行動を制限しようとするフィンケルスタイン博士の目を盗むために毒を盛るなどの行動力も持ち合わせている。
ジャックのクリスマス計画に熱狂するハロウィン・タウンで唯一、本来のあり方からかけ離れていく町に不安を覚えている。
ゼロ(Zero)
ジャックのペットで、ふわふわと浮遊する幽霊犬。鼻がかぼちゃの形をしており、ランタンのように光る。
サンタクロース(Santa Claus)/サンディ・クローズ(Sandy Claws)
CV:エド・アイヴォリー
日本語吹き替え:永江智明
クリスマス・タウンに住むサンタクロース。クリスマス前の晩に、いい夢とプレゼントを世界中のいい子へと届ける仕事をしている。ジャックに名前を「サンディ・クローズ(鋭い爪を持つ男)」と勘違いされている。
クリスマスに憧れたジャックの指示で誘拐され、ブギーに殺されかけるが駆けつけたジャックに救出される。その後は自分の行いを反省したジャックを許し、ハロウィン・タウンに雪を降らせるというプレゼントを贈った。
Related Articles関連記事
ビッグ・フィッシュ(Big Fish)のネタバレ解説・考察まとめ
『ビッグ・フィッシュ』とは2003年に公開されたアメリカ合衆国のファンタジー映画である。原作は『ビッグフィッシュ - 父と息子のものがたり』で、ティム・バートン監督による作品。病が悪化した父エドワードの看病をするために実家に妻とともに戻ったウィル。父はウィルが小さいころから自分の人生をおとぎ話のように語っており、ウィルは年を取るにつれその話を信じなくなり二人の間の関係は悪くなる。しかし、看病を通して時間を過ごすうちに二人の父子の関係は少しずつ変化していく。
Read Article
チャーリーとチョコレート工場(Charlie and the Chocolate Factory)のネタバレ解説・考察まとめ
2005年、ティム・バートン監督とジョニー・デップのコンビで公開された、アメリカの映画です。ファンタジー・コメディーに分類されます。しかし蓋を開ければ内部非公開の工場を見物できるというワクワク感とは裏腹のブラック・ジョーク、皮肉全開のミュージカル調のシーン、美しくも怪しい映像のセンスなどが監督ティム・バートンの世界観をよく表現しています。第78回アカデミー賞衣装デザイン賞ノミネート作。
Read Article
アリス・イン・ワンダーランド(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『アリス・イン・ワンダーランド』とは2010年公開のアメリカの3D映画。監督はティム・バートン。ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ配給。原作はルイス・キャロルの児童文学小説『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』。19歳になったアリスが再びワンダーランドに迷い込み、赤の女王に支配されていたワンダーランドを救う。実写とモーションキャプチャーの技術を使い映画化した。映像が素晴らしく童話の世界観を見事に実写化しており、アカデミー賞では衣装デザイン賞をはじめ、3部門で受賞した。
Read Article
ティム・バートンのコープスブライド(アニメ映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『ティム・バートンのコープスブライド』とは、ティム・バートン監督によるストップモーション・アニメーション映画。同監督の『チャーリーとチョコレート工場』と同時進行で制作され、主演も同じジョニー・デップだ。ジョニー・デップにとっては声優初挑戦作品となった。 結婚を目前に控えた内気な青年が、死体の花嫁と結婚してしまうというストーリー。 第78回アカデミー賞長編アニメーション賞にノミネートされ、2005年ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞の長編アニメ賞を受賞するなど、高い評価を得た。
Read Article
シザーハンズ(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『シザーハンズ』とは1990年に公開されたティム・バートン監督のファンタジー映画。とある発明家により造られた、両手がハサミの男「エドワード」が主人公。エドワードの元に化粧品のセールスに訪れた「ペグ」がきっかけで、エドワードの街での生活が始まる。ペグの娘「キム」との恋愛やエドワードのサクセスストーリーを中心に物語は展開される。街の人たちやペグ一家との触れ合いを通し、人間の勝手さや醜さ、正義とは何かを考えさせる映画である。
Read Article
ナイトメアー・ビフォア・クリスマス挿入歌の日本語歌詞まとめ【ジャックの嘆き】
ミュージカルアニメーション映画の『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』には多くの主題歌・挿入歌が存在する。世界的に見れば英語版が一般的だが、ジャック役の市村正親などが歌う日本語版も負けず劣らず素敵である。 ここでは『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』の主題歌・挿入歌の日本語歌詞をまとめた。
Read Article
ナイトメアー・ビフォア・クリスマスのキャラクター紹介まとめ!【ジャック・サリー】
『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』には個性豊かな登場人物・キャラクターがたくさん存在する。主人公のジャック・スケリントンは丸顔の骸骨のような男性で、人を怖がらせることに長けている。ヒロインのサリーは死体から作られた人形だが、人の心を持っている。
Read Article
クリスマスが題材の名作映画27選!毎年観ても飽きない!【ナイトメアー・ビフォア・クリスマス】
ここではクリスマスを題材とする映画をまとめた。古いものから新しいもの、ラブストーリーからコメディまで、名作と呼ばれる映画ばかりを紹介している。家族や恋人とゆったりとした時間を過ごしたい方におすすめだ。
Read Article
ハロウィンとクリスマスの定番!『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』を徹底解説!
ハロウィンからクリスマスまで楽しめる名作アニメーション映画『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』。今も人気のこの作品、ディズニーランドやゲームで名前を知ってる人は多いけど、意外と本作を観たことがない人もいるのではないかと思い、設定やあらすじについてまとめました。
Read Article
魅惑の世界!おすすめのストップモーション&クレイアニメ映画を紹介!『ジャイアント・ピーチ』など
いつまでも見ていたいおすすめのストップモーション・クレイアニメ映画のまとめです。少年と虫たちの冒険を描いた『ジャイアント・ピーチ』やティム・バートンの世界を堪能できる『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』、『ティム・バートンのコープスブライド』など6作品、あらすじや作品の魅力を紹介していきます。
Read Article
映画『チャーリーとチョコレート工場』を100倍楽しむための裏話・トリビアまとめ
ロアルド・ダールの児童文学小説『チョコレート工場の秘密』を原作とした映画『チャーリーとチョコレート工場』は2005年に公開され、日本を含めた世界中で大ヒットとなった。ここでは独特な世界観と俳優陣の熱演を100倍楽しむことができる裏話、トリビアを紹介する。
Read Article
「鬼才」と呼ばれた海外映画監督たちの名作まとめ!ティム・バートン監督の『エド・ウッド』など
本記事では「鬼才」と呼ばれた海外の映画監督たちの名作50タイトルをまとめて紹介している。「万人受け」はせずともコアな層には深く突き刺さる名作を生み出し続けている海外の「鬼才」達。記事中ではティム・バートンやスタンリー・キューブリック、ラース・フォン・トリアーなど様々な監督たちの「名作」映画を掲載した。
Read Article
【パーフェクトブルー】夢と現実の境界がわからなくなる映画まとめ!脳がとろける不思議な感覚を味わえる!【ビッグ・フィッシュ】
数ある映画作品の中には、夢なのか現実なのか区別がつかなくなるような世界観を持つものがたくさんあります。たとえば、『パーフェクトブルー』や『ビッグ・フィッシュ』などでしょうか。他にもいろいろあるので、この記事でまとめました。こういう映画には相性があり、ハマる人はハマるのですが、ダメな人はトラウマになってしまうこともあるようです。紹介した映画を実際に観るかどうかは、あなた次第ですよ。
Read Article
【ショコラ】チョコレートにまつわる映画11選!バレンタインデーにピッタリ!【チャーリーとチョコレート工場】
タイトルや劇中にチョコレートが出てくる映画を11作品紹介する。見終わった後に思わずチョコレートを食べたくなる大人の童話「ショコラ」や、独特の世界観とほっこりする物語が人気の「チャーリーとチョコレート工場」など。バレンタインの時期にピッタリな物語ばかりとなっている。
Read Article
CGじゃない!『ティム・バートンのコープスブライド』撮影裏画像を紹介【ストップモーション・アニメ】
『ティム・バートンのコープスブライド』の撮影裏が分かる画像を集めました。ジョニー・デップやヘレナ・ボナム=カーターといったティム・バートン監督作おなじみのキャストが集結。キャラクターに命を吹き込む繊細な作業に驚かされる、貴重なメイキングシーンを紹介していきます。
Read Article
大人のための童話原作の実写映画特集!1度は見るべき名作ばかり!
『不思議の国のアリス』や『赤ずきん』、『眠れる森の美女』など、おなじみの童話を新解釈し実写化した映画をまとめました。美しく勇敢なヒロインや、ちょっとホラーな展開など、過去のイメージに囚われない設定ばかりです。上記以外にも『人魚姫』、『美女と野獣』、『ピノキオ』など、どれもこれも「1度は見るべき」といえる名作なので、視聴して損はありません。
Read Article
ティム・バートン作品「チャーリーとチョコレート工場」の撮影裏画像まとめ【ジョニー・デップ】
ティム・バートン作品「チャーリーとチョコレート工場」の撮影裏画像を集めました。キャストと監督の真剣なやり取りを収めた画像やメインキャストのジョニー・デップやフレディ・ハイモアとの3ショットなど、ファン必見のメイキング画像を紹介していきます。
Read Article
目次 - Contents
- 『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』の概要
- 『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』のあらすじ・ストーリー
- ハロウィンの王の憂鬱
- サンディ・クローズ
- 素敵なクリスマス
- 『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』の登場人物・キャラクター
- 主人公
- ジャック・スケリントン(Jack Skellington)
- 主要人物
- サリー(Sally)
- ゼロ(Zero)
- サンタクロース(Santa Claus)/サンディ・クローズ(Sandy Claws)
- ウギー・ブギー(Oogie Boogie)
- 悪ガキ3人組
- ロック(Lock)
- ショック(Shock)
- バレル(Barrel)
- ハロウィンタウンの住人
- メイヤー町長(Mayor)
- フィンケルスタイン博士(Dr. Finklestein)
- イゴール(Igor)
- ヴァンパイアブラザーズ(Vampire Brothers)
- ビヒーマス(Behemoth)
- スパイダーヘアーモンスター(Spider-Hair Monster / Creature Under the Stairs)
- ウェアウルフ(Werewolf)
- ハーレクイン・デーモン(Harlequin Demon)
- メルティングガイ(Melting Guy)
- 『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』の用語
- ハロウィン・タウン
- クリスマス・タウン
- 『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- ハロウィン・タウンの住人たちが歌うオープニング
- ジャックとサリーの想いが通じ合うラストシーン
- 『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- ロナルド・サールやエドワード・ゴーリーを参考にした世界観
- 東京ディズニーランドのシーズン限定イベント「ホーンテッドマンション ホリデーナイトメアー」
- 『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:「This Is Halloween」