違った意味でかっこいい「映画ジャイアン」が拝める『がんばれ!ジャイアン!!』
「映画になると途端にいい人になる」のが定番のジャイアン。大概、主力を担ったり兄貴分的部分を見せ、男らしい意味合いでのカッコ良さを見せてくれますが、この作品では通常の「映画ジャイアン」とは違った一面を見せてくれます。それ即ち、「兄」としての側面です。
『がんばれ!ジャイアン!!』とは
声優交代前なので、世代によっては違和感を覚えるかもしれませんが、泣ける作品であることは間違いないかと。強大な敵に立ち向かう話ではなく、兄妹愛がテーマ。「兄貴分」ではなく、本当の意味で、「お兄ちゃん」として奮闘するのがこの作品のキモです。
通常のジャイアン
物凄い理論と腕力と歌声で皆を恐れさせるガキ大将、といったところ。
料理でも恐れられています。
映画になると…
ガキ大将のいい面が目立つのです。即ち情に厚い、頼りがいがある存在に。これはもうよく言われていることです。
『がんばれ!ジャイアン!!』のあらすじ・ストーリー
たった一人の妹、ジャイ子に好きな男の子ができました。出会いはほんの些細なきっかけ。相手はイケメンでもないのにモテる少年です。漫画を描くという共通項から仲良くなり、二人で同人誌を出すことに。初めはよく思っていなかったジャイアンですが、相手の少年と話して好感を抱き、ジャイ子の漫画制作に協力するのでした。ドラえもんの道具まで使って。しかし、食事の差し入れや、勝手に相手の少年と接触したことなどでジャイ子の怒りを買い、兄妹に溝が…。そして、ある事態が起こるのでした。
どんな点がいいか?
妹のために徹底協力する兄。いいですね。「妹想い」な点は原作一話目で既に描かれてましたし、大長編のような大冒険とは違う、でも日常での兄妹喧嘩(というよりもジャイ子が勝手なことをするなと怒ったんですが)という些細ないざこざでもちゃんと物語になっています。
何よりもジャイアンの「お兄ちゃん」ぶり!兄も漫画も嫌いだというジャイ子に、「漫画は嫌いになるな!」と説いてます。本編でも「ジャイ子は天才」と信じて応援しているお兄ちゃん。でも言葉だけではないんです。風に飛ばされた原稿を回収するのですが…。
「大長編」でなくとも
「みんな原稿を頼む!」と一旦ジャイ子の説得に向かってるんです。脅しでもなく、頼れる兄貴分としての面が出ていました。大長編メンバーも進んで回収に協力します。皆が集まり、確認を取ると、笑顔で「全部揃った」と、頭を下げて礼を言うのでした。本当は数枚残っているのに、既に夕刻で雪も降り始めた頃。これ以上皆の手を煩わせるわけにはいかないという漢心で涙腺が刺激されます。
もう一人の「お兄ちゃん」の粋な計らい
ジャイアンがまだ原稿の残りを探していることを知ったのび太たちですが、ドラえもんは「特定のものを探せる」道具(作中で一度使用済み)をそっとジャイアンの進路途中のガードレールに。
ドラえもんからのせめてもの気持ちを受け取り張り切るジャイアンも漢ですが、「兄として、楽に探せる道具は使いたくない」という気持ちをくみ取って道具を、それも手渡しではなく置いて置く形で渡したドラえもんもまた粋です。本人も言ってましたが、同じく妹を持つお兄ちゃんとしてジャイアンの気持ちが分かっていればこその行為です。いつも以上に頼もしいです、ドラ兄ちゃん。
ガキ大将の兄
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