【進撃の巨人】ミカサ「エレンがウォール教に入信した……」【厳選名作SS】

進撃の巨人の厳選名作SSを掲載しています。ウォール教に入信してしまったエレン。連鎖するように104期の仲間達も次々と入信していき、平和だった訓練兵団は一変してしまう…。※鬱展開注意です

ミカサ「エレンがウォール教に入信した……」

1 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/01(日) 22:05:04 ID:dkdFbjk6

~休日~

エレン「おお、やっぱり街は賑わってるな。アルミンも来ればよかったのに」

ミカサ「アルミンは今日、図書室で調べ物をしたいらしい。次の休日に一緒に来ればいい」

エレン「そうだな。さてと、じゃあ適当に店でも回って……」

ニック「そこの少年……」

エレン「ん、なんだおっさん? 俺に何か用か?」

ニック「失礼、私はニックという。ウォール教という宗教を開いている司祭だ」

エレン「えっと……宗教?って、なんだっけ?」

ミカサ「エレン、あまり相手にしないほうがいい。あの男から漂う胡散臭さが半端ない」ヒソヒソ

ニック「ふむ、ご存知ないのなら教えましょう。我々は迷える子羊達を救済し、神のご加護を授ける者……それが我らウォール教なのです。失礼ですが、あなたから良からぬ死相が見えますな」

エレン「はぁ? 死相だぁ?」

2 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/01(日) 22:10:09 ID:dkdFbjk6

ニック「ええ、そうです! あなたは見たところお若いようだが、体つきはしっかりしている。恐らく訓練兵の方でしょう。しかし、私にはそんなあなたの行く先が見えてしまうのです……」

ミカサ「さあエレン、せっかくの休日をこんなところで潰すわけにはいかない。早く行こう」グイ

エレン「あ、あぁ。そうだな」スタ

ニック「お待ちなさい、私には見えるのです! あなたが将来……なんの成果も得られないまま巨人に食べられてしまう未来が!」

エレン「」ピクッ

ミカサ(まずい、エレンが立ち止まった)

エレン「俺が……巨人に食べられる? なんの成果も得られないまま?」

ニック「そうです、そうなのです! ああ可哀想に、あなたもしや、過去に辛い思いをなさいましたね?」

エレン(か、母さんのことか!?)「どうしてそれを!!」

ニック「私には何もかもお見通しなのです。なぜなら私はウォール教の司祭……神の言葉が、この私にそのまま伝わるのです」

4 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/01(日) 22:15:26 ID:dkdFbjk6

エレン「あ、あんた、本物なのか?」

ニック「はい、そうですよ。どうですか少年、あなたもウォール教のご加護を授かれば、神があなたを巨人から守ってくださいますよ」

ミカサ「バカバカしい、それだけで巨人に食べられずに済むのなら人類はここまで苦労していない……」

エレン「…………」

ミカサ「エレン?」

エレン「はっ!? いや、ミカサの言うとおりだよ。祈っただけで巨人に勝てるなら俺達は何のために毎日辛い訓練をしてるんだっつーの!」

ニック「悲しい話です。祈りの力は神の力……それを信じれば辛い肉体訓練などしなくとも巨人に打ち勝つことはできるのです。しかし、世の中にはそれを信じられない者があまりにも多い」

エレン「…………」

5 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/01(日) 22:20:43 ID:dkdFbjk6

エレン「俺、ちょっとだけこのオッサンの話聞いてみるわ」

ニック「おお、少年よ! 実に素晴らしい!」

ミカサ「な、何を言っているのエレン。こんなのは時間の無駄でしかない。それより今日は私と一緒に……」

エレン「大丈夫だって。ちょっぴり聞いてみるだけだから、すぐ戻る。だいたい俺がこんなバカみたいな話、真に受けるわけ無いだろ?」ケラケラ

ミカサ「で、でも……」

ニック「さあ少年、教会はこっちです。ささ!」

エレン「はいよ」

ミカサ「ううぅ……早く戻ってきてねエレン…………」

6 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/01(日) 22:25:23 ID:dkdFbjk6

あれからどれだけ時間が経ったのだろう。エレンは一向に戻ってくる気配がない。

30分が経過した頃、エレンを連れて帰ろうかとも思ったが、そもそも教会がどこにあるのかも知らず、私はその場でただ待ち続けるしか無かった。

そしておよそ6時間が過ぎた頃だ……ようやくエレンが私の前に姿を現した。

ミカサ「エレン! やっと戻ってきた! ずっと心配していた!」

エレン「ああ、悪いなミカサ。長いこと待たせちまって」

ミカサ「全然構わない。エレンが無事に戻ってきて良かった。私はてっきり、あの男に何かされたんじゃないかとずっと……」

ミカサ「…………」

ミカサ「エレン」

エレン「ん?」

ミカサ「……その首飾りは何?」

7 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/01(日) 22:31:15 ID:dkdFbjk6

エレン「ああ、これか。これはウォール教の信者の証だよ。綺麗だろ?」ジャラッ

ミカサ「……なんでエレンが信者の証を付けているの?」

エレン「そりゃあお前、決まってんだろ? 俺、ウォール教に入信したんだよ」ニコッ

ミカサ「」

ミカサ「ちょっと何言ってるか分からない」

エレン「いや、だってさ……最初は冗談半分で司祭様の話を聞いてたんだけどさ。それが本当に素晴らしくてよ、俺感動のあまり思わず涙流しちゃって」

エレン「それで気づいたんだ。ウォール教は本物だ、司祭様は俺を導いてくれる存在だってね!」

ミカサ「」

9 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/01(日) 22:35:10 ID:dkdFbjk6

~夕食~

アルミン「え、ごめんエレン……何の話?」モグモグ

エレン「だからさ、ウォール教は素晴らしいんだってことだよ! いいか、俺達を守ってくれている三つの壁は神が授けてくれたものなんだ。マリア、ローゼ、シーナの神々が俺たち人類を巨人から守るために築いてくださったんだ! そしてその啓示を聞き、壁を守り続けると最初に誓ったのが我らがニック司祭様なんだよ!」

アルミン「……ミカサ、エレンに何があったんだい」

ミカサ「それはエレンの首飾りを見ればなんとなく想像つくはず」

アルミン「なるほど……これは厄介なことになったみたいだね」

エレン「おいアルミン、ちゃんと話を聞けよ! まず今から百年前、俺達人類はな……」クドクド

ジャン「なんだぁ、エレンのやつ。妙に熱心に話し込んでるな」

マルコ「そうだね。それに、なんだか派手な首飾りをかけてるよ」

ジャン「ケッ、だっせぇ飾りだなぁ、おい。まさかあれでおしゃれしてるつもりなのかあのバカは」

マルコ「う~ん、確かにあまり趣味の良い首飾りには見えないけど……どこかで見覚えあるんだよなぁ、なんだっけ」

10 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/01(日) 22:40:30 ID:dkdFbjk6

サシャ「エレン、さっきからご飯が進んでいませんよ! もしや私が食べてもいいってことですね!」

エレン「あ、サシャ。駄目だ、まだ食べてる途中……」

サシャ「」パクッ

エレン「お前、よくも俺のパンを!」

サシャ「す、すみません。てっきり食欲が無いのかと……」

エレン「…………」

アルミン「ははは、駄目だよサシャ、勝手に人のもの食べちゃ。エレンも、怒らなくても僕の分を分けてあげるから」

エレン「いや、いい。それよりサシャ、お前には少し向こうで説教をする」

サシャ「ええ、なんですか、エレンが説教だなんて!?」

エレン「ウォール教の教えにあったんだよ。人の食べ物を盗るべからず……時には自らを制し、神にそれを捧げよと」ズイ

サシャ「って、うわあああ! どこに連れてくんですかエレーン!!」ズルズル

アルミン「あわわ、あんまり女の子に乱暴しちゃだめだよエレン」

11 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/01(日) 22:45:17 ID:dkdFbjk6

~翌朝~

アルミン「ふあぁ、おはようミカサ」

ミカサ「おはよう、アルミン。エレンはどこ?」

アルミン「あれ、おっかしーな。朝起きたら部屋にいなかったから、てっきり先に食堂に来たのかと思ったけど」

ミカサ「……そう言えば、サシャも部屋にいなかった。でも食堂にはいないようだ……」

スタスタ

サシャ「」

エレン「よう、おはようお前ら」

アルミン「あ、エレン、それにサシャも。朝からどうして二人とも一緒なんだい?」

エレン「どうしてってお前、昨日からずっとサシャに司祭様のありがたいお言葉を教えてたんだよ」

アルミン「」

12 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/01(日) 22:51:01 ID:dkdFbjk6

アルミン「え、ごめんエレン……朝から?」

エレン「いや、昨日から。あの夕食の後からだよ」

アルミン「おぅふ……」

サシャ「」

ミカサ「サ、サシャ、どうか返事を」

サシャ「」

サシャ「神はおっしゃいました。我らの民が飢えを覚えるのは、二つのパンを一人で食べるからだと」

アルミン・ミカサ「!?」

サシャ「恵まれた者ほどパンを欲してはなりません。私は恵まれています……ゆえに、パンを欲するべきではないのです」

サシャ「ですのでアルミン……私のパン、あなたにあげます」ヒョイ

アルミン「!!??」

14 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/01(日) 22:55:12 ID:dkdFbjk6

アルミン「だ、駄目だよサシャ! 君もちゃんと食べないと!」

サシャ「いいえ、いんです。私はこれまで多くの方から食べ物を奪い、神に背いてきました。ですからこれからは、私のほうからパンを与えるべきなのです」

アルミン(サシャ……これは本当にサシャなのか……?)

エレン「素晴らしいぞサシャ! ちゃんと神の教えを理解したみたいだな!」

サシャ「エレン、あなたにも感謝します。あなたのおかげで、私は目を覚ますことができました。司祭様のお言葉はなんと素晴らしいのでしょう!」ウルウル

エレン「よし、じゃあお前にこれをやろう!」ジャラッ

サシャ「はっ、それは信者の証たる首飾り! いいんですか!?」

エレン「ああ、司祭様が『お友達が神のご加護を受けたくなったらこれあげてね』って、たくさんもらったんだ」

サシャ「感謝します! 次の休日には必ずや教会に出向かわなければ……!」

エレン「そうだな、司祭様も喜ぶぞ」

17 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/01(日) 23:00:03 ID:dkdFbjk6

クリスタ「あれ、サシャ、エレンと一緒にいるよ」

ユミル「珍しいな、あんなに意気投合して。ん? なんだあの首飾りは」

クリスタ「エレンと同じのだね。なんだか高級そう」

ユミル「はん、悪趣味なだけだろ。それにしてもあいつ、いつもよりなんだか清らかな感じが……いや、気のせいか」

クリスタ「いや、気のせいじゃないかも。ほら、あのサシャが自分のパンをアルミンにあげたみたいだよ!」

ユミル「おいおい、マジかよ。あいつ、頭でも打ったんじゃねーか?」

エレン「よぉクリスタ、ユミル。どうした、こっちをジロジロ見て」

クリスタ「ご、ごめん。なんだかサシャがいつもと様子が違ったから」

エレン「お、興味あるのかクリスタ? いいぞ、お前にも教えてやるよ!」

18 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/01(日) 23:05:07 ID:dkdFbjk6

エレン「なぁクリスタ、お前は自分がいったい何のために生まれ、何のために死ぬか……そんなこと考えたことないか?」

クリスタ(え……?)

ユミル「あぁ? なんだその質問?」

エレン「誰だって一度は考えるだろう? 自分の生きる意味……それを、司祭様が教えてくれるんだ」

クリスタ「私の……生きる意味…………」

ユミル「ぶわっはっはっ! そんなことで真剣に悩んでる奴なんかいるかっつーの!」

エレン「そうかな。世の中には生まれた時から周りから必要とされなくて、どうやって死ねば周りから褒められるか悩んでるような奴もいるかもしれねーぞ?」

クリスタ「…………」

ユミル「けっ、くだらねぇ。そういう活動はよそでやりなよ」

エレン「とにかく、何か悩んでたりしたら俺に言ってくれ。ウォール教の神々が救ってくださるからな。じゃあな」スタスタ

ユミル「おうおう、じゃあな。まったく、アホくせぇ話を聞かされたもんだ。なぁ、クリスタ?」

クリスタ「……そうかな」

クリスタ(ウォール教かぁ……)

20 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/01(日) 23:10:49 ID:dkdFbjk6

~しばらく後~

ミカサ「うぅ、エレンが……エレンが変わってしまった」グスン

アルミン「確かに、あれは異様な光景だね……」チラッ

エレン「神よ、我らを救いたまえ……偉大なる司祭様、この哀れな子羊にどうか力を……!」ジャラッ

サシャ「我らを守りしローゼの神……その慈しみをもって人々の飢えを救いたまえ」ジャラッ

アルミン(二人とも、目をつむり、両手を合わせて何やら唱えている……)

教官「そこの二人、その様子だとこの問題を解くのも余裕に見えるな」

エレン・サシャ「」

アルミン(いや、そりゃあ座学中にそんなことやればね)

21 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/01(日) 23:15:04 ID:dkdFbjk6

~対人格闘訓練~

ミカサ「エレン、一緒にやろう」

エレン「すまん、ミカサ。今日はサシャとやることにする」

ミカサ「ど、どうして?」

エレン「やっぱり同じウォール教を崇める者同士として、ね。親睦を深めたいっつーか、分かるだろ?」

ミカサ「そんな……」

サシャ「エレーン、何してるんですかー? ほら、訓練やりますよー!」

エレン「ああ、今行くぞサシャ!」タタッ

ミカサ「」ブルブルブルブルブル

アルミン「ミ、ミカサ、僕とやろうよ」

ミカサ「」コクリ

アルミン(それにしてもエレンがサシャと急に仲が良くなったな。やっぱり同じ宗教を信じていると親近感を感じるものなんだろうか)

22 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/01(日) 23:20:11 ID:dkdFbjk6

~夕食~

エレン「神に感謝を。いただきます」ジャラッ

サシャ「同じく感謝を。いただきます」ジャラッ

ミカサ「…………」

アルミン(食事も一緒だよ。なんかミカサが凄い形相だよ)

エレン「はは、なんだかお祈りをしてから食う飯って随分美味く感じるな。これも神のご加護に違いない」モグモグ

サシャ「そうですね。欲張ってたくさん食べなくても、少量の食事だけで充分幸福を得られます!」パクパク

ミカサ「あ、あの、エレン……」

エレン「ん、どうしたミカサ?」

ミカサ「わ、私も……私もウォール教に入りたい!」

アルミン「!?」

23 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/01(日) 23:25:03 ID:dkdFbjk6

エレン「おおおお、本当かミカサ!」ジャラジャラ

サシャ「素晴らしい決心です、ミカサ! 神はあなたを歓迎しますよ!!」ジャラジャラジャラ

アルミン「ななな何を言っているんだミカサ!? 血迷ったか!」

ミカサ「このままエレンと心が離れたままでいたくない……それならいっそ、私も同じ宗教に入信しよう」

アルミン「落ち着くんだミカサ! それよりもむしろ、エレンを元に戻すべきだと……」

エレン「おい、なんで邪魔するんだよアルミン! お前、それでも親友かよ!」ジャラジャラジャラジャラ

サシャ「そうですよ! せっかくミカサが私達の同胞になろうとしているのに!」ジャラジャラジャラジャラジャラ

アルミン(ジャラジャラうるせえええええええ!)

24 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/01(日) 23:27:15 ID:dkdFbjk6

エレン「よぉし、じゃあ今度の休日は三人で教会に行こう! そこでニック司祭様から正式に信仰者として認めてもらうんだ!」

サシャ「わぁ、楽しみです、ニック司祭様にお会いできるなんて!」

エレン「もちろん、それまでにミカサに司祭様のお言葉を学ばせ、この首飾りをあげないとな!」

ミカサ「!」コクコク!

アルミン(ああ、三人がなんだか遠くへ行ってしまったような気持ちに……)

25 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/01(日) 23:30:37 ID:dkdFbjk6

~数日後~

エレン「我らが神、我らへの一切れのパン、感謝の限りを」ジャラッ

サシャ「この命、我らに生きる糧を与えてくださる」ジャラッ

ミカサ「偉大なるニック司祭様に多大な感謝を」ジャラッ

アルミン「」

ライナー「なぁ、あの三人……なんか怖くねぇか?」ヒソヒソ

ベルトルト「ご飯に感謝すること自体はいいと思うんだけどね……でもあの三人の雰囲気はなんだか異様だ」ヒソヒソ

ミカサ「ああ、神よ!!」

ライナー「!?」ガタッ

ミカサ「今、見えました! 神の心が……私は、今までなんて未熟だったのだろうか!!」ツーッ

ライナー(なんか涙流してるぞ……)

28 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/01(日) 23:35:06 ID:dkdFbjk6

エレン「いいぞミカサ! お前にも神を感じられるようになってきたんだな!」

サシャ「その調子ですよミカサ! きっと私達、司祭様にも認めてもらえます!」

ミカサ「ありがとう、二人とも。ああ、なんて清らかな気持ちだろう。私はこれまで、実にちっぽけな人生を生きてきたのだと実感した」

サシャ「分かりますよ、その気持ち。私も、この間まで人の食べ物を奪っていた自分がとても浅はかに感じるようになりました!」

エレン「俺もだ。これまでずっと、復讐のために巨人を一匹残らず駆逐してやろう……そう思っていた。でも今は全然そんな気持ちじゃないんだ」

アルミン(……え?)

エレン「決めたぞ。俺は調査兵団なんてもう目指さない……これからは、少しでも司祭様のそばにお近づきできるよう、憲兵団に入るんだ!」

ミカサ「!! エレンが調査兵団を目指すのをやめてくれた! では私もあなたと共に憲兵団を目指そう!」

サシャ「もちろん、私もです! 憲兵団に入って、司祭様にお仕えしたいです!」

アルミン(おいおい、何を言っているんだ!)

ジャン「何を言ってやがる、死に急ぎ野郎!!」ガタッ

29 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/01(日) 23:40:06 ID:dkdFbjk6

エレン「ジャン、何か用か?」

ジャン「用も糞もあるか。お前、あれだけ血眼開いて調査兵団目指すとか言っておきながら、その夢をこんなにあっさり捨てるってのか?」

エレン「別にあっさりじゃねえよ。俺はな、ウォール教の信徒として、今まで見えなかったものが見えるようになったんだ。ちっぽけな復讐心のために壁の外を目指すほうがおかしかったんだ」

ジャン「てめぇ、わけの分かんねぇカルトにハマりやがって……おまけにミカサまで巻き込んで…………だいたいお前、母親の仇はどうしたんだよ、悔しくないのか!?」

エレン「仇? バカバカしい、ウォール教の人間でない限り、どんな死に方をしても地獄行きだ」

エレン「つまり、母さんはたとえ巨人に食われようが寿命を全うしようが、どちらにせよ地獄に落ちる運命だったんだよ!」

ジャン「!? お前、それ本気で言ってんのか!!??」

エレン「ウォールの神を信仰しない者は皆地獄へ落ちる。誰であろうとな」

ジャン「このっ……糞野郎が!!!」

バキィ!

エレン「ぐあっ!」

アルミン(ジャンがエレンを殴った……!)

30 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/01(日) 23:45:06 ID:dkdFbjk6

ミカサ「エレン!」

サシャ「大丈夫ですか、エレン!」

エレン「ぐっ……いってぇ」

ミカサ「」ギロッ!

ジャン「…………」

サシャ「は、早く保健室へ行きましょう!」

エレン「あ、ああ、そうするよ。こんなところでやり返して、憲兵団行きがおじゃんになっても困るしな」

ミカサ「行こう、エレン……やはり、神を信じない異端者は野蛮」

ジャン「…………チッ」

ジャン(これでミカサにも完全に嫌われちまったな……)

31 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/01(日) 23:48:21 ID:dkdFbjk6

ユミル「あーあー見たかよ、ジャンのやつエレンを思いっきり殴っちまったぞ」

クリスタ「……そうだね」

ユミル「喧嘩はいつものことだけどよ、さすがにあの殴り方はやりすぎだったな。エレンのやつ血ぃ出してるじゃねーか」

クリスタ「エレンも珍しく抵抗しなかったね」

ユミル「それはやっぱあれじゃないの? 神の教えとやらだよ。無闇に人を殴っちゃいけません、みたいな」

クリスタ「そっかぁ。偉いねエレン、ちゃんと神様の言いつけ守ってるなんて」

ユミル(偉い……って言うのかねぇ)

33 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/01(日) 23:51:28 ID:dkdFbjk6

~休日~

エレン「じゃあ俺はミカサとサシャと一緒に教会に行ってくる」

アルミン「う、うん、気をつけてね」

エレン「すまんな、またお前を一人で置いてって」

アルミン「大丈夫だよ、僕は平気だから三人とも行ってきなよ」

ミカサ「それにしても、エレンの怪我がすぐに治って良かった。これで安心してニック司祭様にお会いできる」

サシャ「そうですね。あぁ、早くお会いしたいです司祭様に!」

エレン「おう、きっと司祭様もお喜びになるぞ!」

バタン

アルミン「…………」

アルミン(あはは、挨拶もなしに行っちゃったよ)

34 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/01(日) 23:54:07 ID:dkdFbjk6

エレン「それで、この道をまっすぐ進めば……」

クリスタ「あ、あの……」

サシャ「ん? って、クリスタじゃないですか! どうしたんですか?」

クリスタ「えへへ、実はちょっと気になっちゃって」

エレン「気になったって?」

クリスタ「その……ウォール教のこと」

エレン「!! おお、じゃあクリスタももしかして?」

クリスタ「うん、私も……ウォール教に入りたい!」

サシャ「おおおおお!!!」

ミカサ「同胞が増えた!」

35 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/01(日) 23:57:50 ID:dkdFbjk6

エレン「しかし驚いたな。まさか本当にクリスタが入信する気になるなんて」

クリスタ「私もね……やっぱり、救済されたいという気持ちがあるんだ。あはは、我ながら勝手な人間だけど」

サシャ「そんなことありませんよ! 神を信じ、ウォール教の者として司祭様を称えれば、誰もが救済されます! それを求めることは決して悪いことではないのです!」

ミカサ「サシャの言うとおり。だからクリスタも一緒に教会へ行こう」

クリスタ「……うん!」

37 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/02(月) 00:04:45 ID:dD3uzzao

ベルトルト「おや、どうしたんだいユミル。こんな休日に一人テーブルでうなだれて」

ユミル「ベルトルさんか……実はよ、朝からずっとクリスタが見当たらないんだ」

ベルトルト「確かにいないね。いつもなら君と一緒にいるのに」

ユミル「どこ探しても訓練所の敷地内にはいないみたいなんだよ。だからまさか私を置いて誰かと出かけたんじゃ……」

ベルトルト「そ、そんなことないと思うよ。クリスタが理由もなく君を置いてけぼりにするはずないよ。どこかへ出かけたとしたら何か理由があるんだ」

ユミル「だといいけど……ん、ライナー?」

ライナー「よう。何してるんだこんなところで?」

ユミル「ちょっと天使成分足りなくてうなだれてんだよ。お前、クリスタ見てないか?」

ライナー「クリスタか? それなら今朝、そそくさと街へ行くのを見たが」

38 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/02(月) 00:09:48 ID:dD3uzzao

ユミル「本当か? まさか一人で行ったのか?」

ライナー「と言うより、エレン達の後をつけてる感じだったな」

ベルトルト「エレンって……確か今日はミカサとサシャを連れて教会に行くとか行ってなかった?」

ライナー「お、そう言えばそうだな。しかしそうなると、クリスタはなぜその三人の後を……!?」

ユミル「…………」

ユミル「まずい……!!」ガタッ

ライナー「どうしたユミル?」

ユミル「あいつ……もしかしたら、エレン達と同じ宗教に!」

クリスタ「あ、ただいまユミルー!」ジャラッ

42 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/02(月) 00:14:47 ID:dD3uzzao

ユミル「」

ライナー「ク、クリスタ、その首飾りは……」

クリスタ「これ? えへへ、実は私も入っちゃったんだ、ウォール教!!」ジャラッ ジャラッ

ベルトルト「……なんてことだ」

エレン「お、早速見せびらかしてるな、その首飾り」

クリスタ「うん、ユミルには最初に見せてあげたかったの!」

ユミル「…………」

クリスタ「ユミル! 私ね、今まで色んなことに悩んで、実を言うと毎日苦しい気持ちでいっぱいだったんだ。それこそ、いつ死のう、いつ死のうって悩んじゃうぐらい」

クリスタ「でも、今は全然そんなことないの! 司祭様のお言葉を聞いていくうちに、自分の悩みがいかにちっぽけで、そしてそれを救済することが神の前ではいかに容易いかを理解したの!」

クリスタ「私、ウォール教に入って良かったよ!」ニコッ

ユミル「…………そ、そうか」

43 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/02(月) 00:18:30 ID:dD3uzzao

~お馴染みの夕食~

エレン「神よ」ジャラッ

サシャ「神よ」ジャラッ

ミカサ「神よ」ジャラッ

クリスタ「神よ」ジャラッ

アルミン「」

ユミル「…………」

アニ「なんだい、なんか昨日より増えてない?」

ミーナ「隣でアルミンとユミルが呆然としてるよ……」

ライナー「なぜだ、天使よ……どうして」

ベルトルト「クリスタは幸せそうだよライナー。良いことじゃないか……」

47 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/02(月) 00:37:43 ID:dD3uzzao

エレン「さて、祈りは終わったし、飯を食うか」

クリスタ「それじゃあエレン、あーん」

エレン「おう、そうだったな。あーん」パクッ

「「「!!??」」」

ユミル「ちょっと待てええええ!!」

アルミン「おかしいおかしいよそれは」

ライナー「なんだ……何が起きたんだ今!?」

エレン「な、なんだよお前ら、突然」モグモグ

ミカサ「ほらエレン、私からもあーん」

エレン「あーん」パクッ

ジャン「うおあああああああああああ!!!」

マルコ「ジャン、落ち着くんだ! ジャン!!」

48 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/02(月) 00:41:25 ID:dD3uzzao

エレン「なんか急に食堂全体が騒がしくなったな」

サシャ「エレン、私にもあーんしてください!」

エレン「分かった分かった。あーん」

サシャ「あーん!」パクッ!

ユミル「やめろ、それを大勢の目の前でやるな! いったい何のマネだ!?」

エレン「何って、今日司祭様から教わったんだよ。食料とは常に人々の争いの火種となる……だから、これを互いに食べさせ合うことによって心を通わせ、争いをなくすべしと」

クリスタ「そうだよ。だから私達四人はこれからはこうやってご飯を食べさせ合うことにしたの」

ライナー「マジでぇ?」

「おいおい、ウォール教ってそんな教えがあるのか……」
「俺、ちょっとウォール教に興味持ったかも」
「おい何言ってんだ」
「クリスタマジ天使!!」

49 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/02(月) 00:45:03 ID:dD3uzzao

ライナー「…………エ、エレン」

エレン「ん? どうしたんだライナー?」モグモグ

ライナー「俺も……その、なんだ……ウォール教?ってのにさ……入ってみよーかなー、なんて」

エレン「え、本当か!」

「「「!?」」」

「ライナーの奴、クリスタと食べさせ合いっこしたいがために」
「ライナー……お前、それでも兵士かよ!」
「い、いや、俺も入るぞ、ウォール教!」
「あ、なら俺も!!」
「クリスタマジ天使!!」

アルミン(大変なことになってきた……)

50 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/02(月) 00:47:23 ID:dD3uzzao

アルミン(これはまずいぞ。男性陣はクリスタに釣られてどんどんウォール教に入信するだろう……そして、一度そういった宗教が蔓延すれば歯止めがかからなくなり、女性陣もそれに巻き込まれ、訓練兵全体がウォール教に侵されることになりかねない……)

アルミン(別に何を信仰するのも個人の自由だ。しかし、これはあまりにも……)

ユミル(わ、私のクリスタが、なんだか遠く……)

ジャン(チッ、どいつもこいつも女に釣られやがって)

アニ(なんだか嫌な流れだね)

ベルトルト(…………)

コニー「お、今日の飯はなんだか美味いな! ん? みんな何を騒いでんだ?」モグモグ

52 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/02(月) 00:54:52 ID:dD3uzzao

その後、予想通りウォール教は訓練兵全体に広まった。エレンは訓練所ではちょっとした指導者のような立ち位置になり、彼は訓練兵達を一人、また一人とウォール教へ入信させていった。

無論、僕もエレンから勧誘された。しかし僕はそれを断った。エレンは少し悲しそうな顔をしていたが、僕は入信するつもりは全くなかった。周りからどことなく冷たい視線が突き刺さった気がした。

そして気がつけば、僕はエレンと……いや、周りとあまり関わらなくなっていた。一部の人間を除いて。

アルミン「……はぁ」

ジャン「どうしたよ、ため息なんかついて」

アルミン「ジャン……そうか、君はウォール教に入っていなかったね」

ジャン「まあな。ていうか、誰があんな胡散臭い集団に入るかってんだ。俺が入りたいのは憲兵団であって、あんな気持ち悪い連中の一員になりたいわけじゃねーよ」

アルミン「でも、ミカサもいるよ?」

ジャン「…………」

53 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/02(月) 00:57:32 ID:dD3uzzao

ジャン「そんなこと言ったら、お前こそどうして入信しないんだ。幼馴染が二人とも入ってるってのに」

アルミン「多分、ジャンと同じ理由だよ」

ジャン「……そう言えば、ユミルの奴も最近クリスタとめっきり関わらなくなったな。気持ちは分かるが」

ガヤガヤガヤ

ジャン「お、そろそろ夕食だったな。部屋が騒がしくなってきた」

アルミン「じゃあ僕達は隅っこのテーブルに行かないとね、お祈りの邪魔になるし」

56 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/02(月) 01:04:34 ID:dD3uzzao

エレン「ええ、それじゃあみんな、恒例の神への祈りを!!」

ミカサ「神は全てを救ってくださる!」

クリスタ「神を信じなさい! さすれば我らはみな救われる!」

ライナー「全てのものに、神からの祝福があらんことを!」

マルコ「うおおおおおおお神よおおおおお!!!!」

ウオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

アニ「毎度毎度、よく飽きないねぇ」

ユミル「…………」

ジャン(マルコが遠い……)

コニー「なぁ、よく分かんねぇけどみんな楽しそうだぞ? なんで入っちゃ駄目なんだ?」

ベルトルト「コニー、君はそのままでいてくれ」

57 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/02(月) 01:08:29 ID:dD3uzzao

ベルトルト「あれ、そう言えばサシャが見当たらないね」

ジャン「そういえばそうだな。あいつはエレンの次に入信したもんだから、いつも儀式の中心に混ざってたのに」

アルミン「確かにおかしいね。他の信者達は特に気にしていないみたいだ」

ユミル「お前ら今更気づいたのか? そもそもサシャは最近訓練にも出てねーじゃねーか」

アルミン「どういうこと、ユミル?」

ユミル「いや、私だって理由はわからないよ。少なくとも私は最近あいつの顔を見ていない」

ジャン「なんだそりゃ……」

コニー「うぅ、俺ちょっとトイレ行ってくる」スタスタ

58 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/02(月) 01:12:48 ID:dD3uzzao

~廊下~

コニー「えーと、トイレトイレっと……ん?」

ハァ……ハァ……

コニー(あれ、誰か倒れてるぞ? なんでこんなところで?)

サシャ「はぁ……はぁ……」

コニー「!! サシャ、お前どうしてこんなところで倒れてんだ!?」

サシャ「はぁ……はぁ……ぐぅ……お腹が空いて……もう動けません」

コニー「お、お腹が空いたってお前……どうしたんだよその体!? 骸骨みたいに痩せこけてるじゃねーか!!」

サシャ「はぁ……はぁ……」

コニー「と、とにかく今は夕食の時間だ! ほら、早く食堂へ行くぞ!!」

サシャ「ひっ! だ、駄目です! それだけはいけません!!」

59 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/02(月) 01:15:46 ID:dD3uzzao

コニー「何言ってやがる! そんな体じゃ、いつ餓死してもおかしくないだろ!」

サシャ「これは天罰なのです。私がこの間、食の誘惑に負けて食料庫へ忍び込んだところを他の信者に見つかってしまったのです。その罰として、一週間断食するようエレンから命じられたのです」

コニー「おい、なんだそりゃ……一週間断食って、死ねって言われてるようなもんじゃねーか!」

サシャ「これは天罰なのです。悪いのは神に背いたこの私……罰を受けるのは当然のこと」

コニー「つまみ食いだけでそんな罰を与える神様なんて糞食らえだね! いいからここで待ってろよ、パンを持ってくる!」

ダダダダダダ

コニー「ほら、持ってきたぞ、早く食え!」

サシャ「だ、駄目です! 私はまだ罰を受けている身なのです!」

コニー「本当にいいのか? パンだぞ、お前が大好きな。前は毎日嬉しそうに食ってたじゃねーか。あの宗教に入ってからは、つまんなそうに食うようになったけど、本当は食べるのが好きで仕方なかったんだよな?」

サシャ「う……うぅ……」ポロポロ

60 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/02(月) 01:17:21 ID:dD3uzzao

コニー「もう泣くなよ。神様だって、お前のことを許してくれるって。だからほら、食え」

サシャ「は、はいぃぃ……」パクッ

サシャ「!!! お、美味しいです! 凄く美味しいです!」バクバク ポロポロ

コニー「はは、良かった。やっぱり飯食ってる時のお前が一番だ」

サシャ「あ、ありがとうございますコニー……本当にありがとうございます!」ポロポロ

エレン「……ずいぶん幸せそうに食べてるな、サシャ」ジャラッ

85 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/02(月) 18:08:54 ID:dD3uzzao

サシャ「ひっ……エ、エレン!!」

エレン「お前、自分が今何をやっているのか分かっているのか? 神に背いた罰を受けながら、その罰すらも放棄したんだぞ!」

サシャ「ご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」

コニー「おい、いい加減にしろよエレン!」

エレン「は?」

コニー「いくらなんでもやりすぎだ! 食料庫をつまみ食いに行くのは確かに良くねぇ……けどな、それで一週間何も食うなだと? お前、サシャが死んでもいいのかよ!!」

エレン「……神からの罰によって死ぬのなら、それもまた神のご意思なのだろうよ。そもそもお前はウォール教の者ではないはずだ。口出しする権利はない」

コニー「ある! なぜなら俺はサシャの仲間だからだ!」

サシャ「コ、コニー……」ジワァ

エレン「ふーん、異端者の思考回路は分かんねぇな……おいミカサ、いるか!!」

ミカサ「すぐそばに」スチャッ

エレン「今すぐサシャを……この背信者を切り捨てろ」

86 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/02(月) 18:15:26 ID:dD3uzzao

ミカサ「承った」ブレード

サシャ「ひいっ! お、お許し下さい、お願いします! 命だけは!!」

コニー「な、何考えてやがるお前ら!? ミカサ、お前本気で仲間を殺す気か!?」

ミカサ「神の教えに背いた者を許すわけにはいかない。しかもエレンが殺れと言っている……ためらう理由などない」

コニー「狂ってる……やっぱりお前ら狂ってるよ!!」

ザワザワザワザワ

ジャン「おい、これは何の騒ぎだ?」

アルミン「これはいったい……ミカサ、どうして剣を構えているんだ!?」

ミカサ「サシャは神に背いた。エレンはその背信者を斬れと命じた。だから今からサシャを斬る」

87 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/02(月) 18:20:15 ID:dD3uzzao

ユミル「ちょっと待ちなよ、人を殺してただで済むと本気で思っているのか?」

エレン「俺は神に代わってこいつに罰を与えているだけだ。これは神のご意思だ」

ユミル「ちっ、やっぱイカれてやがるな。そんな妄想に当てられてないで、いい加減目を覚ましたらどうだ?」

クリスタ「それは聞き捨てならないね、ユミル」スタスタ

ユミル「!? く、クリスタ」

クリスタ「私はね、本当に残念だと思ってるよ……あなたがウォール教に入信してくれなくて。ユミルなら分かってくれると思ってたのに」

ユミル「…………」

アルミン「と、とにかく、サシャを殺させるわけにはいかない。それに、君達は教官の許可無く必要以上の罰を彼女に与えた。このことは報告させてもらうよ」

キース「いったいこれは何の騒ぎだ」スタスタ

88 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/02(月) 18:25:40 ID:dD3uzzao

アルミン「き、教官、いいところに!」

キース「アッカーマン訓練兵……貴様はなぜ剣を構えている。訓練以外での使用は禁じられているはずだ」

ミカサ「…………」

アルミン「お聞きください、キース教官! 彼らは、ブラウス訓練兵を食料庫に忍び込んだ罪で罰則を与えていたのです、それも教官の許可無く!」

キース「……あぁ、先日の盗みの件か。それなら私にも報告が来ているが……確か罰則についてはイェーガー訓練兵に一任していたな」

アルミン「……え?」

エレン「はい。ですから自分は、ブラウス訓練兵に十日間の断食を命じました」

キース「うむ、そうか。しかし彼女はその罰則すら破った……だからアッカーマン訓練兵が彼女の処分を行うことになった……そういうことかね?」

エレン「ええ、そうです」

キース「ふむ……君に罰則を一任したとはいえ、さすがに訓練兵に手をかけるのは心苦しい。ここはひとつ、三日間の営倉行きで勘弁してやってくれないか?」

エレン「し、しかし……」

アルミン(や、やった。これならサシャも助かるし、その三日の間に自分が入った宗教の本性を見つめなおすことができるはずだ)

89 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/02(月) 18:30:29 ID:dD3uzzao

キース「ではアッカーマン訓練兵、彼女を営倉へ運びたまえ」

ミカサ「くっ……は、はい」

キース「……それから、ただ営倉の中で三日間正座させるというのも、あまり罰則として意味が無いだろう。というわけで、営倉にいる間はウォール教の祈りを捧げることを命じる!」

アルミン「え……ちょ、ちょっと待ってください。なぜ訓練兵の罰則に祈りが必要なのですか!?」

キース「ただの精神的ケアだ、彼女が心から反省するための。それに利用するのがたまたまウォール教だったというだけだ」

アルミン「お、おかしいですよ! 公共の訓練所が、特定の宗教に関係する罰則を与えるなんて……!」

キース「決定権は私にある。この訓練所は既にウォール教徒が大半なのだ、問題はないだろう」ジャラッ

アルミン(!? その首飾りは……!!)

キース「さあブラウス訓練兵、早く営倉へ行きたまえ!」

サシャ「は……はい…………」

90 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/02(月) 18:34:02 ID:dD3uzzao

~その後~

アルミン「…………」

ジャン「まさかキース教官まで信者だったとはな」

ユミル「そりゃあ、ウォール教の肩を持つわけだ」

コニー「くそっ……許せねえよ、俺。サシャをあんな目に合わせて」

アルミン「……ねぇ、こうなったら僕達で教会に抗議に行かないかい?」

アニ「抗議って、いったい何ていうつもりなの?」

アルミン「訓練所と縁を切ってもらうよう説得するんだ。もちろん簡単なことじゃないけど……」

ベルトルト「諸悪の根源に直接……ね」

ジャン「なるほど……いいぜ、次の休日に決行だ。ニック司祭様とやらの顔を拝みに行ってやろうじゃねーか!」

91 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/02(月) 18:37:06 ID:dD3uzzao

~休日~

アルミン「地図によると、この街をまっすぐ進めば教会があるみたいだ」

ジャン「ならもうすぐだな。さっさと行くぞ」

ユミル「はぁ……上手くいけばいいんだけどな」

コニー「うおー! いくぜー!!」

アニ「何もこんなに朝早くから来なくてもいいと思うけどねぇ……」

ベルトルト「ははは……」

アルミン「……ん、あれは…………クリスタ?」

92 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/02(月) 18:39:06 ID:dD3uzzao

コニー「本当だ、クリスタじゃねーか。なんであいつ、教会のある方向から歩いてきてるんだ?」

ジャン「そりゃあお前、信者なんだから教会へお祈りに行ったんだろう。きっと今から帰るところなんだよ」

ユミル「……いや、おかしいぞ。私達は今日、誰よりも早く街へ出かけたはずだ。にも関わらず、なぜクリスタが私達より先に教会に来て、なおかつ用事を済ませて帰るところなんだ?」

ベルトルト「た、確かにおかしいね」

アニ「まさかだとは思うけど……あいつ、昨日の夜から教会に行ってたんじゃないの?」

ジャン「は、はぁ? なんでだよ」

アルミン「……確かにそう考えると辻褄が合うね。ただ、なんのためにクリスタはそんなことをしたのか……」

ユミル「……直接本人に聞いてみるしかないな」

94 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/02(月) 21:14:23 ID:dD3uzzao

クリスタ「…………」スタスタ

ユミル「よぉ、クリスタ」ズイッ

クリスタ「ゆ、ユミル……みんなも!?」ビクッ

アルミン「こんな朝早くから教会から帰りなんて、ずいぶん夜遅くから来てたんだろうね」

ジャン「いったい何しに来たんだ? エレンにおつかいでも頼まれたのか?」

クリスタ「…………」

コニー「? どうしたんだよクリスタ、答えてくれよ」

クリスタ「…………」

アニ「ねぇあんた、黙ってちゃ分からないんだけど」

クリスタ「…………」

クリスタ「……全ては、神の思し召しなのです」

95 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/02(月) 21:20:24 ID:dD3uzzao

ベルトルト「お、思し召し……?」

クリスタ「ええ、そうです。神聖なる神の一族を育むためには、誰かがその苗床になる必要があるとエレンがおっしゃったのです。ですから私は自らこの教会へおもむき、敬愛すべきニック司祭様に……この身を捧げたのです」

ユミル「ちょ、ちょっと待て……この身を捧げたってどういう意味だよクリスタ!?」

クリスタ「…………」

アルミン(クリスタが自分の下腹部を撫で始めた……ま、まさか……まさか!)

クリスタ「そのままの意味ですよ、ユミル。昨夜、私はこの体に、ニック司祭様の子供を授かったのです」

クリスタ「これからは神の一族を育む苗床として、誇りを持って生きていくつもりです……」

ユミル「何を……何を言っているんだよ……おい、苗床ってのはお前のことか!? お前……いったい何を考えてるんだ!?」

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エルヴィン・スミス(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ

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エルヴィン・スミスとは『進撃の巨人』の登場人物であり、調査兵団第13代団長である。調査兵団は人類の生存圏を広げることを目的とし、日々巨人との死闘を繰り広げている。その類まれなる頭脳と判断力から大きな功績を挙げているが、目的のためなら手段を選ばない非情さから「悪魔的」と称されることもある。彼の真の目的は世界の真実を解き明かし、「人類は王家によって記憶を改竄された」という父の仮説を証明すること。人類最強と称されるリヴァイ兵士長を調査兵団に入れたのも彼である。

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ポルコ・ガリアード(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ

ポルコ・ガリアード(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ

ポルコ・ガリアードとは『進撃の巨人』の登場人物で「顎の巨人」の継承者。「九つの巨人」継承者で構成される「マーレの戦士」の一員として、「顎の巨人」の持ち味である硬い顎と牙や俊敏性を活かし数々の戦場で活躍している。戦士候補生時代の同期であるライナー・ブラウンとは「鎧の巨人」継承権をめぐって争ったライバルだった。自分ではなく能力の低いライナーが「鎧の巨人」継承者として選ばれたことや、兄のマルセルがライナーをかばって巨人に食われたことから、ライナーに対して悪感情を抱いている。

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ベルトルト・フーバー(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ

ベルトルト・フーバー(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ

ベルトルト・フーバーとは『進撃の巨人』の登場人物で調査兵団団員。第104期訓練兵団を3位で卒業し、どの分野でもそつなくこなすことができる優秀な人物である。ただし優柔不断で判断を他人に任せる傾向があり、積極性に欠けることから他の同期と比べると少し影が薄い。その正体は、ウォール・マリア陥落の主因となった「超大型巨人」であり、始祖奪還作戦のために大国マーレから派遣された「マーレの戦士」の1人だった。任務を達成し故郷に帰ることを切望していたが、結局その願いは叶わず異国の地で命を落とすこととなる。

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ライナー・ブラウン(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ

ライナー・ブラウン(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ

ライナー・ブラウンとは『進撃の巨人』の登場人物で調査兵団の団員。主人公エレン・イェーガーとはウォールローゼ南区第104期訓練兵団時代の同期である。責任感が強く、リーダーシップもあることから同期の中ではまとめ役を担っていた。しかし、その正体はウォール・マリアを破壊した「鎧の巨人」であり、始祖奪還を目的にパラディ島に送り込まれたマーレの戦士である。正体が判明した後はたびたびエレン達と対立し、始祖の力を巡って死闘を繰り広げていく。

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ガビ・ブラウン(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ

ガビ・ブラウン(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ

ガビ・ブラウンとは『進撃の巨人』の登場人物で、「マーレの戦士」候補生。天真爛漫で型破りな性格で、憧れの従兄であるライナーから「鎧の巨人」を継承するため日夜訓練に励んでいる。パラディ島のエルディア人を悪魔の末裔として強く憎んでおり、彼らを皆殺しにして自分達善良なエルディア人を収容区から解放することを願っていた。しかし成り行きでパラディ島に渡ることとなり、そこで出会った人々との交流からガビの考え方は変化し始める。

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ハンジ・ゾエ(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ

ハンジ・ゾエ(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ

ハンジ・ゾエとは『進撃の巨人』の登場人物で調査兵団所属のベテラン兵士。初登場時は分隊長だったが、後にエルヴィン・スミス団長の後を継いで調査兵団第14代団長に就任する。ゴーグル(平常時は眼鏡)を着用し、茶髪を無造作に1つにまとめた中性的な外見をしている。明るく聡明な人物だが、巨人に対する情熱は人一倍で変人揃いの調査兵団内でも特に異彩を放っている。ウォール・マリア最終奪還作戦以降は左目を負傷したことから眼帯を着用している。

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ダリス・ザックレー(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ

ダリス・ザックレー(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ

ダリス・ザックレーとは『進撃の巨人』の登場人物で憲兵団・駐屯兵団・調査兵団の3つの兵団を束ねる総統。特別兵法会議においてエレン・イェーガーの処遇を調査兵団に委ねた人物である。王政編では調査兵団団長のエルヴィン・スミスや駐屯兵団司令官のドット・ピクシスらと共にクーデターに加担する。実はエルヴィンが決起する以前から王政に根深い嫌悪感を抱いており、密かに体制転覆の機会をうかがっていた。王都制圧後は身柄を拘束した王政幹部達に喜々として拷問を行っている。

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アルミン・アルレルト(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ

アルミン・アルレルト(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ

アルミン・アルレルトとは『進撃の巨人』の登場人物で、主人公エレン・イェーガーの幼馴染。金髪ボブカットの中性的な外見を持つ。大人しいが芯の強い勇敢な性格で探求心が強い。祖父の影響で人類はいずれ壁の外に出るべきだという思想を持っており、エレンが外の世界に憧れるようになったのもアルミンの影響である。小柄で身体能力は低いものの、知能や判断力はずば抜けており、エレンや調査兵団の窮地をその知略で度々救っている。

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進撃!巨人中学校(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

進撃!巨人中学校(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『進撃!巨人中学校』とは中川沙樹が描く、諫山創の『進撃の巨人』の公式学園パロディ漫画。2015年にProduction I.G製作でアニメ化。前半をアニメパート、後半を出演声優たちによるバラエティ番組の実写パートとして30分枠で放送。中学生になったエレン・イェーガーは進撃中学校へ入学する。学校には巨人も在籍しており、エレンは巨人に恨みを持っており巨人を駆逐しようと非公式部活「調査団」へ入部した。

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ミカサ・アッカーマン(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ

ミカサ・アッカーマン(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ

ミカサ・アッカーマンとは諫山創による漫画『進撃の巨人』の登場人物で、主人公エレン・イェーガーの幼馴染。本作のヒロイン的ポジションで、幼い時にエレンに助けられた経験から、彼を守ることを自分の使命だと考えている。驚異的な身体能力を持ち、トップの成績で訓練兵団を卒業。実戦でも1人で複数の巨人を討伐する実績を残す。性格は寡黙で口下手だが、エレンのこととなると取り乱す一面もある。物語後半において、母方の祖先が東洋にあるヒィズル国将軍家だったことが明らかになった。

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クリスタ・レンズ/ヒストリア・レイス(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ

クリスタ・レンズ/ヒストリア・レイス(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ

クリスタ・レンズ(ヒストリア・レイス)とは、諫山創による漫画『進撃の巨人』の登場人物。第104期訓練兵団卒業生であり、主人公エレン・イェーガーは同期の1人。小柄で温厚、思いやりのある可愛らしいアイドル的な存在として登場する。同期のユミルと仲が良い。成績10位以内に入っているが、実際はユミルからその座を譲られただけで身体能力は人並みである。本名はヒストリア・レイスといい、壁内世界の真の王家の末裔であることが後に発覚する。

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フリーダ・レイス(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ

フリーダ・レイス(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ

フリーダ・レイスとは『進撃の巨人』の登場人物であり、レイス家の長女。黒髪で青い瞳を持つ。レイス家当主のロッド・レイスとその正妻の第1子として生まれた。表向きは地方の貴族として振る舞っているが、実際は壁内の真の王家の末裔。レイス家に代々引き継がれている特別な巨人能力を叔父のウーリ・レイスから引き継ぎ、宿している。本人の飾らない性格は多くの者から慕われており、妾の子である異母妹ヒストリアにも姉として優しく接していた。

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イェレナ(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ

イェレナ(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ

イェレナとは『進撃の巨人』の登場人物で反マーレ派義勇兵の中心人物。マーレに滅ぼされた国の出身で、「獣の巨人」継承者で王家の血を引くジーク・イェーガーの信奉者として活動し、パラディ島の近代化に大きく貢献した。ジークの提唱する「エルディア人安楽死計画」達成のためなら寝食を共にした仲間すら殺害する冷酷な性格の女性。しかし実際にはマーレの被害者というのは虚偽であり、「世界を救う英雄」に憧れているだけのごく一般的なマーレ人である。

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