獣神ライガー(Jushin Liger)のネタバレ解説・考察まとめ

『獣神ライガー(Jushin Liger)』とは、1989年にテレビ朝日系列で放送されたSFロボットテレビアニメである。バイオアーマー「獣神ライガー」の力を手に入れた少年・大牙剣が、邪神復活を目論むドラゴ帝国と壮絶な戦いを繰り広げる。筋肉隆々の巨人に主人公が乗りこんで戦うという、これまでにないアイデアが話題を呼んだ。勧善懲悪のヒロイックな子供向け番組であるが、永井豪を原作・原案に迎えた結果、ハードなストーリーや凄惨な戦闘描写、そして過激なお色気・サービスシーンが盛り込まれた。

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邪神ドラゴを封じているとされる巨大な人面岩。人間の恐怖と苦痛に呼応して現れる。出現と同時に強力な電磁波を放ち周囲の電子機器を狂わせる。

第2話で戦闘機や戦車が制御不能になる描写がある。序盤は北海道釧路市の街中に出現し、ドラゴナイトが倒される=破壊活動が止むと地中に帰っていたが、その後第7話で「黒霧山」の中腹に出現、ザーラが生け贄を捧げることで固定するも、龍造が大牙家に伝わるペンダントの力で再び地底に送り返した。その後13話で東京に出現すると、ドラゴの力が増したせいか、その後は特に生け贄を捧げずとも地上に留まり続け人間の苦しみと恐怖を吸収しながら成長していった。ゆいを生け贄として捧げると光を放ち胎児にまで退行していたドラゴが姿を現す。やがてゆいを依り代として肉体を再構築し、邪神ドラゴが完全復活した。

ドラゴの聖杯

邪神ドラゴのちからが封じられている一対の杯。一方は24話にて自衛隊演習場から見つかり、もう一方は南太平洋を調査中の深海艇が、海底から引き上げてきた。杯から湧き出た神酒を一口飲んだザーラはさらにまがまがしい姿へ変化し、ザーラから血を下賜された四将軍はさらなる力を得た。そして杯が一対揃ったことで、邪神ドラゴが隠したと言われる「破壊の牙(のちのドルガ・ブリザード)」の隠し場所を示した。

バトルスーツ隊

ドラゴ帝国は日本国内に集中的に出没していたため、陸上自衛隊を中心にしてドラゴナイト迎撃の任に就いていたが、既存兵器の攻撃を全く受け付けないドラゴナイトに自衛隊は惨敗してしまう。そこで体制を整え、対ドラゴナイト用人型兵器「バトルスーツ」を装備した新部隊を設立した。これがバトルスーツ隊である。ベテラン兵士である「片桐」を隊長に迎え、空戦型の「フライヤー」や砲撃型の「ガンボディ」など複数のバトルスーツでライガーを援護しつつ、ドラゴ帝国に立ち向かった。

バトルスーツ

轟博士の発明である「ロボビタンX」の性能に瞠目した人類側によって、同機を参考に開発された戦闘ロボット。八神財閥が全面的に資金提供し、轟博士が主導して開発と量産体制の確立を進めた。28話で設計図が登場、29話ですでに量産体制に移っている描写がある。空戦タイプの「フラッガー」完成第1号はダンゴとりえが不用意にヘルメットを被ったことでパイロットに登録されてしまい、そのまま専属パイロットとして戦いに赴くことになる。フラッガーは他に少なくとも9機以上が配備され、量産メタルナイトと互角以上の戦いを展開する。他に強力な砲撃能力を備える陸戦タイプの「ガンボディー」も開発され、こちらも多数が量産されて戦闘に参加している。

『獣神ライガー』の登場兵器

善神アーガマの遺産

獣神(じゅうしん)ライガー

獣神ライガー

「善神アーガマの遺産」のひとつ。剣が手のひらにある「獅子のアザ」を天にかざすことで召喚される巨人。善神アーガマの分身であり、邪神ドラゴ復活に備えてアーガマの末裔に分け与えられた「神の分身」である。

人間同様に筋肉で構成されており、見た目は完全に筋骨隆々とした成人男性のそれである。召喚直後に腹部の空間に剣を取り込みシナプスのような器官で神経接続する。これにより思考や身体の動きを完全にトレースし気迫すら反映するなど、剣とライガーは完全に一体化する。ライガーの受けたダメージは剣の肉体にそのままフィードバックされ切り傷や擦過傷などを生じさせる。第1話ではドラゴナイト2体を軽く抑え込む脅威の膂力を発揮した。しかし回が進むにつれて強化や特殊能力を付与されたドラゴナイトが登場し苦戦するも、仲間の援護やベガルーダの支援によって切り抜ける。しかし第27話にて「ドルガ・ブリザード」を得た、リュウ・ドルクの駆るドルガに完全敗北する。

専用武器として、ライガーソードとライガーシールドがある。これはライガーを呼ぶ時と同じ要領で「来い!ライガーソード」と呼びかけることで空から召喚される。ライガーソードはライガーシールドに収納された状態で現れ、もっぱら右手にライガーソード、左手にライガーシールドを構えて使用される。シールドには翼が内蔵されており、背中に装着したり上に乗ったりすることでライガーは飛行能力を得るほか、投擲武器としても使用された。

必殺技はエネルギーをまとった拳を叩き付ける「ライガー電撃パンチ」や蹴りの「ライガー電撃キック」。そしてライガーソードですれ違いざまに横薙ぎする「ライガースラッシュ」がある。

ファイヤーライガー

ファイヤーライガー

剣の怒りが頂点に達し、「ファイヤー!」と叫ぶことで発現するライガーの第2形態。獅子舞のような動作で髪を振り乱すと、髪が朱色に染まり顔面が獅子のそれに変化する。肩、手甲、足先の爪が展開して完成する。雄叫びを上げるなど、より野性的になり獣の動きで敵を圧倒する。ドルガとの初戦で攻撃力の高さを見せつけ撤退に追い込んだ。主に手甲から生えた「ライガークロー」を武器とするが、ライガーソードとシールドも普通に扱い、ライガースラッシュも放つことができる。

固有の必殺技はライガークローで相手を切り裂く「ライガークロースプリット」

サンダーフェニックス

サンダーフェニックス

「神の鳥」とも呼ばれるアーガマのつくった分身の1体。100万年前の邪神ドラゴとの戦いで呪いを受け、時空を超えた世界に幽閉されてしまっていた。カミヨに導かれた剣が、「運命の剣(形状はサンダーソードと同じ)」で炎の鎖を断ち切ることによって封印を解かれた。封印が解かれる前は金色の羽根をまとう不死鳥のような姿だったが、剣が軛から解き放つと、白いボディーと金の翼を持つ姿に変化した。剣の叫びに呼応して飛来し、ライガーの全身を覆うことでサンダーライガーに変身させる。

サンダーライガー

サンダーライガー

ライガーとサンダーフェニックスが合体して生まれた、白い鎧をまとった鬼神。剣が「サンダー!」と叫ぶことでサンダーフェニックスが飛来する。プロテクターを装着するようにサンダーフェニックスが全身を覆うことで完成する。ドラゴナイトを完全に圧倒し、ドルガ・ブリザードを得たドルガを凌駕する凄まじい戦闘力を発揮する。

主武器は胸の宝玉から出現する大剣「サンダーソード」と背中に背負ったウイングを変化させて盾にする「サンダーシールド」。さらに腕やくるぶしの一部を刃として相手を切り裂く「サンダーカッター」、手首にある爪を射出する「サンダークロー」など固定武装が追加される。

必殺技の「サンダー電撃パンチ」はエネルギー波が飛んで行くことで、直接打撃せずとも離れた敵を倒せるようになった。そして最大の必殺技「サンダーファイナルフラッシュ」は、空間を薙ぐことで渦巻き状のエネルギー波が飛んで行き、間合いの関係なく敵を粉砕する。

重戦馬(じゅうせんば)ベガルーダ

べガルーダ

ライガーをサポートするために用意されていた天馬型のバイオアーマー。神の宮殿にそびえ立つ柱の先にあった彫像が目覚めた姿。ゆいとまいの超能力で目覚め、ライガーが騎乗して手綱を握り乗りこなす。ドルガドラゴンを一蹴りで吹き飛ばす脚力と、ライガーを乗せて自由自在に飛行する機動性を備える。ゆいとまいの超能力で目覚め、ライガーが騎乗して手綱を握り乗りこなす。ドルガドラゴンを一蹴りで吹き飛ばす脚力と、ライガーを乗せて自由自在に飛行する機動性を備える。

ライガーの専用武器として、手持ち兼投擲武器の「ベガホーク」、両端に刃を持つ三叉戟「ベガランサー」、鎖付の鉄球「ベガハンマー」、ブーメラン型の「ベガカッター」、大型の青竜刀「ベガソード(のちにベガカイザーと呼称)」、本編未使用の大型盾「ベガシールド」といった6つの武器を搭載している。さらに額から生える角がドリルのように回転して敵を貫く、胸元から開いて火球を発射するなど単独でも戦闘可能。ベガルーダを得たライガーは一気に戦闘力を増し、ドルガドラゴンの猛攻を退け撃破寸前にまで追い込んだ。弱点はゆいとまいが仲違いをしたときや、ドラゴの聖杯が近くにあるときなど、精神波長を乱されると呼ぶことができない点である。

余談だがバンクの都合上か、ライガーが騎乗する時はかならずファイヤーライガーに変身していた。

7oiwa_gan
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