獣神ライガー（Jushin Liger）のネタバレ解説・考察まとめ

『獣神ライガー』の概要

『獣神ライガー』（じゅうしんライガー）とは、1989年3月11日から1990年1月27日の毎週土曜日17時30分からテレビ朝日系列で放送されたSFロボットアニメである。前番組の『鎧伝サムライトルーパー』から引き続き、サンライズ・東急エージェンシー・タカラの3社協力で制作された。さらに企画協力として永井豪の率いる漫画プロダクションであるダイナミック企画が名を連ねている。全43話の放送に連動しメディアミックスとして講談社刊『コミックボンボン』にてマンガ版が掲載された。原作に永井豪を迎え、監督を鹿島典夫、キャラクターデザインを内田順久、メカニックデザインを牧野行洋、音楽を飛澤宏元が務めた。筋肉質な巨人そのものである「バイオアーマー」という斬新なアイデアと、戦乱に容赦なく巻き込まれる民衆が見せる狂気や、児童向けとしてはやや過激なお色気シーンが特徴である。主人公・大牙剣（たいが けん）が「善神アーガマ」の遺産「獣神ライガー」と一心同体となり、邪神ドラゴ復活を目指すドラゴ帝国の猛攻に、敢然と立ち向かう勧善懲悪の王道ストーリーが展開された。その一方で、もう1人の主人公といえる「リュウ・ドルク」がドラゴ帝国のプリンスとして登場するが、実は剣と同じ「善神アーガマ」の末裔であったなど、貴種漂流譚としての側面も持つ。

『獣神ライガー』のあらすじ・ストーリー

ドラゴ帝国襲来と目覚めるライガー

北海道釧路市で育った小学生「大牙剣（たいが けん）」の右手の平に、ある日突然「獅子のアザ」が浮かび上がり、ドラゴ帝国の尖兵「ドラゴナイト」が襲来する。人類の反撃は全く通じず、戦禍は剣達のいる小学校まで迫ってきた。その時剣は祖父・大牙龍造（たいが りゅうぞう）の教えに従い「ライガー」を召喚する。剣は100万年前に「邪神ドラゴ」を封印した「善神アーガマ」の末裔であり、ライガーはアーガマが末裔に与えた「神の分身」だったのだ。ライガーと一体化した剣はドラゴナイトを撃破する。ここにドラゴ帝国とライガーの長い戦いの火蓋が切られた。剣は同じアーガマの末裔である双子姉妹の「神代（かみしろ）ゆい」と「神代まい」に出会い、ドラゴ帝国の目的がドラゴ復活に必要な人間の痛みと恐怖であることを知らされる。絶対に負けられない戦いに奮い立つ剣の前に、ドラゴを封じ込めた「鬼の岩」とドラゴナイト以上の強敵、「リュウ・ドルク」が駆る「魔竜王（まりゅうおう）ドルガ」が立ち塞がった。かろうじてドルガを退けると鬼の岩は姿を消した。人心の隙を突く卑劣な手段でライガーを追い詰めようとするドラゴ帝国に対し、剣は敢然と立ち向かう。しかし愛犬やクラスメイト、果ては龍造までも次々に失ってしまう。そのたびにゆいやまい、親友の「ダンゴ」や、「八神冴子（やがみ さえこ）」に励まされ立ち上がるのであった。

ベガルーダとサンダーライガー

不思議な小竜「ミニナイト」を仲間に加え、ゆいが夢に見た「白龍湖」に向かった剣達はアーガマが残した移動要塞「神の宮殿」を発見する。そしてそこに眠っていた「重戦馬（じゅうせんば）ベガルーダ」を目覚めさせる。ベガルーダの支援を受けたライガーは数々の武器を使いこなしドラゴナイトを撃破していく。そこに新たな武器「ドルガ・ブリザード」を携えたドルガが立ち塞がり、完膚なきまでにライガーを叩きのめす。とどめを刺される寸前、剣はアーガマの末裔を名乗る「カミヨ」の手で異空間に連れて行かれる。そこでかつてドラゴと戦い囚われの身になっていた「サンダーフェニックス」を解き放つことに成功する。サンダーフェニックスと合体したライガーは「サンダーライガー」として生まれ変わり、ドラゴナイトを圧倒的なパワーで撃破、新たに出現した「メタルナイト」をも退ける。

リュウ・ドルクの正体

ドラゴ帝国では新たに将軍となった「ドル・ガイスト」がメタルナイトの開発成功を足がかりに勢力を拡大していく。美学のないドル・ガイストに反発したリュウ・ドルクは単身出撃するも謀略により記憶を失う。保護してくれた女性と心を通わせたリュウ・ドルクは、記憶を取り戻すも自分のあり方に疑問を抱く。さらにゆいとまいに生き別れの兄であると告げられ、ドラゴ帝国の「女帝（じょてい）ザーラ」に詰め寄る。そして彼が赤ん坊の頃に誘拐されたアーガマの末裔であることが判明する。ドラゴ帝国を脱走したリュウ・ドルクは一計を案じてザーラを暗殺しようとするが失敗、剣達と合流する。

神々の復活

いよいよ邪神復活の時が迫り、ゆいがドラゴ復活の人柱として狙われると知ると、民衆は暴徒と化し彼女を差し出そうとする。変装して身代わりになることを申し出たまいだが、見かねたゆいが進み出てドラゴ帝国に渡る。ゆいを救うべく剣とリュウ・ドルク、そしてダンゴ達「バトルスーツ」隊が総力戦に挑む。剣とリュウ・ドルクはザーラに敗れ囚われの身になるも、ドラゴ帝国内の内紛にも助けられダンゴ達に救出される。しかし時すでに遅く、ゆいを取り込んだドラゴが完全復活してしまう。その時まいがアーガマの最後の遺産を受け取ると、剣とリュウ・ドルク、そしてまいの心がひとつになり、サンダーライガーとドラゴが合体する。そこには100万年前にこの世を去ったはずのアーガマが蘇っていた。苦難の時にも「善き心」を忘れなかった人々の呼びかけに応えたアーガマは、光の矢でドラゴを打ち抜く。ドラゴが放つ断末魔の怨念を全て受け止めたリュウ・ドルクはゆいと入れ替わりに封印に巻き込まれる。残された剣達は希望を胸に未来に向けて歩み出した。

『獣神ライガー』の登場人物・キャラクター

アーガマの末裔と仲間たち（主人公サイド）

大牙剣（たいが けん）や神代（かみしろ）姉妹など善神アーガマの子孫が中心となって活動する対ドラゴ帝国の要。当初は大牙龍造（たいが りゅうぞう）が保護者として子供達を引率していたが、彼の死後は神代冴子（かみしろ さえこ）が私財を投じて献身的にバックアップする。

大牙剣（たいが けん）

CV：田中真弓
本編の主人公。「善神アーガマ」の子孫で右手に「獅子のアザ」を持ち、「獣神ライガー」を呼び出すことができる。戦闘訓練などは一切受けていないごく普通の小学生であるが、運動神経の良さと天性の戦闘センスでライガーと共にドラゴ帝国と戦い抜いた。

第1話にて小学校に在校中、「ドラゴ帝国」の放った「ドラゴナイト」の襲来を受けてしまう。クラスメイト達が次々と斃れる惨状の中、祖父の教えを受けて獣神ライガーを召喚、見事ドラゴナイトを撃退する。祖父を始め友人や飼い犬、心を通わせた女子などを次々と失いながら、中盤まではドラゴ帝国に対抗する人類ほぼ唯一の戦力として孤軍奮闘する。時には助けているはずの民衆から非難されながらも、健全な心を保ちつつ戦士として大きく成長していく。ライバルである「リュウ・ドルク」が駆る「魔竜王ドルガ」に力負けし、自分の非力に焦るが、ベガルーダやサンダーライガーの力を得ると共に、人類側の戦力「バトルスーツ隊」の援護を得て戦い抜く。やがてリュウ・ドルクもアーガマの末裔であることが明かされると、わだかまりを捨てて共に戦うようになる。ドラゴ帝国の「女帝ザーラ」や「邪神ドラゴ」の絶望的な強大さに何度も命の危機を迎えるが、仲間との絆や、なにより途絶えなかった人々の「善き心」が大きな力となり、見事ドラゴを討ち果たす。

物語開始より10年前に両親と共に上京中、飛行機事故に見舞われるが、不思議な力で生き残った。その後祖父「大牙龍造（たいが りゅうぞう）」に引き取られ、彼が経営する牧場で育つ。第11話で誕生日を迎えて12歳になった。女子にスカートめくりでちょっかいをかける悪童であるが、基本的に異性に免疫がないため、裸体を見たりキスされたりすると途端に目を回したり失神したりする。生来の気質として正義感が非常に強く弱者が虐げられていたり理不尽な目に遭っていたりすると黙ってはいられない。ライガーと一体化した影響か、常人を遙かにしのぐ身体能力を獲得しており、相当な高さの建設現場を駆け上ったり、鉄骨を軽々と抱えて投げ落としたりしている。

神代ゆい（かみしろ ゆい）

CV：松井菜桜子
剣と同じアーガマの血筋と伝承を守ってきた「神代家」の双子姉妹の姉。アーガマからの託宣を受け取る巫女としての役割を持つ他、まいと協力してバリアを張る超能力を持つ。霊感が非常に強く、重要な場面での託宣や預言はゆいのトランス状態がきっかけなことが多い。中盤からはまいと共にバイオアーマー「重戦馬ベガルーダ」を召喚し、相対的に深刻な戦闘力不足に陥っていたライガーを助けた。

おしとやかなでウブな性格で、剣に下着を拾われて真っ赤になりながら申告する、風呂場で裸体を見られ悲鳴を上げてうずくまるなどの描写がある。まいとそろって料理音痴で、レシピを精査して調理したはずのオムライスが、激辛料理と化して剣達を絶叫させた。ちなみに自ら味見したときは「おいしい」と発言しているため、相当な辛党のようだ。冴子が提供した豪華別荘を「まあまあね」と評している様子があるので、神代家は相当な豪邸を構えていたと思われる。理想のタイプは「神崎真吾（かんざき しんご）」のような理知的な男性であり、彼にくっついて甘えるなど夢中になる。しかし彼がグラビア雑誌を所持しているのを知ると「不潔だ」と取り乱すなど、年相応に男性に対して幻想を抱いている模様。

まいとともに第1話から登場し、ライガーの初戦を賞賛した。その後何度も託宣や預言を行ない剣とライガーの戦いを導いた。中盤からは重戦馬ベガルーダを召喚するようになり戦闘にも参加するようになる。しかし邪神ドラゴ復活の依り代に選ばれ、自暴自棄になって一時期は自死すら考えるようになる。しかし身代わりになったまいを救うため結局ドラゴ帝国に渡る。剣やリュウ・ドルクの奮闘も虚しくドラゴに取り込まれてしまう。ドラゴがアーガマに敗れると再封印の道連れにされそうになる。しかしリュウ・ドルクが身代わりになることにより救い出され、無事に地上に帰還した。ラストでは謎の転生を遂げた「ミニナイト」になつかれて困惑していた。

神代まい（かみしろ まい）

CV：伊藤美紀
剣と同じアーガマの血筋と伝承を守ってきた「神代家」双子姉妹の妹。アーガマの宣託を受け取る巫女の役割を持つ。数瞬先の未来予知の他、姉のゆいには無い単独での念動力を有している。さらに姉妹が協力してバリアをはることができる。霊感自体は姉より劣るらしく、大抵はゆいがトランス状態になった際に巻き込まれる形で自らもトランス状態になる。

姉のゆいとは対照的にボーイッシュな性格で非常にけんかっ早く、剣達のスカートめくりや覗きには、殴る蹴るの暴力で即座に報復する。風呂場で剣と遭遇した際は、背中を流せと要求するほど異性に対して免疫がある。さらにキスで剣をきりきり舞いさせるなど、男児の扱いを心得ている模様。姉妹仲は非常に良いが、まれに些細なことでケンカをする事がある。ゆいと同じく料理の腕は壊滅的であり、ゆいと共に調理したオムライスが激辛料理になるという惨事を起こした。

第1話からゆいと共に登場する。ライガーの初戦を観戦して「あぶなっかしくてハラハラした」と発言しており、ライガーの存在を以前から知っていたと思われる。最終決戦ではアーガマからの最後の宣託を受け、アーガマ復活の鍵となる宝玉を身につけライガーとドルガ合体の媒体となり、剣やドルクと共に完全復活したドラゴとの戦いに挑んだ。

団五郎（だん ごろう）／ダンゴ