マジンガーZ(永井豪)のネタバレ解説・考察まとめ

『マジンガーZ』とは、永井豪とダイナミックプロ原作の漫画やテレビアニメなどのメディアミックス作品。漫画版は1972年から1974年まで『週刊少年ジャンプ』及び『テレビマガジン』にて連載され、アニメ版は1972年から1974年まで放映された。続編に『グレートマジンガー』と『UFOロボ グレンダイザー』がある。主人公が人型巨大ロボットを操縦して敵と戦うスーパーロボットものの代表的作品であり、多くのフォロワーを生み出した。主人公が、スーパーロボットに乗り込み悪の科学者と戦う様を描く。

『マジンガーZ』の概要

『マジンガーZ』(マジンガーゼット)とは、永井豪とダイナミックプロによるメディアミックス作品である。漫画版とテレビアニメ版が同時に進行しており、どちらも原作的位置付けとされている。永井豪の漫画版は1972年から1973年まで『週刊少年ジャンプ』に連載された後、掲載誌を『テレビマガジン』に移して1974年まで連載された。アニメ版は、1972年から1974年までフジテレビ系にて放映された。
主人公が人型の巨大ロボットに乗り込んで敵ロボットと戦うという基本ストーリー、マジンガーZが空を飛ぶアイテムジェットスクランダーでパワーアップするイベント性、そして「ジャンボマシンダー」や「超合金」などの関連玩具が大ヒットしたことで、一大ブームを巻き起こした。『マジンガーZ』は、『グレートマジンガー』と『UFOロボ グレンダイザー』の続編、漫画『マジンサーガ』やアニメ『真マジンガー 衝撃!Z編』などのリメイク作品が発表されており、新規ファン層を開拓し続けている。また、『勇者ライディーン』や『超電磁ロボ コン・バトラーV』をはじめとする後続のロボットアニメにも多大な影響を与えており、スーパーロボットものの先駆け的作品として認知されている。
主人公の少年兜甲児(かぶとこうじ)が、天才科学者だった祖父が遺した巨大ロボット・マジンガーZを操縦して、世界征服を企むDr.ヘル(ドクターヘル)の機械獣軍団と戦う物語である。

『マジンガーZ』のあらすじ・ストーリー

プロローグ

スーパーロボット・マジンガーZを託された兜甲児(右下)。

地下帝国の首領にして悪の天才科学者Dr.ヘルは、エーゲ海のバードス島で発見した古代ミケーネの遺跡から機械獣軍団というロボットを作り上げた。地下帝国とは、Dr.ヘルの野望である世界征服のために作られた悪の組織だ。彼は世界征服を実現すべく機械獣軍団を送り込もうとする。しかし、Dr.ヘルには最大の障害があった。Dr.ヘルの遺跡発掘に同行した仲間の科学者たちは、遺跡の存在を秘密にしておきたい彼の凶行によって殺害された。唯一の生き残りである兜十三(かぶとじゅうぞう)博士はDr.ヘルの野望を知っており、自ら発明した光子力と超合金Zを用いて密かに対抗手段を考えていたのだ。そこで、Dr.ヘルは部下のあしゅら男爵(あしゅらだんしゃく)に命じて、兜博士の近況を探らせることにする。兜博士には兜甲児(かぶとこうじ)とシローという2人の孫がいた。ある日、甲児は祖父から別荘に来るように言われ、シローを連れて赴いた。すると、別荘は爆破されており、兜博士が柱の下敷きとなっていたのだ。瀕死の兜博士は、Dr.ヘルの存在と自分が彼の手の者に襲われたこと、そして自らが開発・建造したマジンガーZという巨大ロボットがあることを告げた。「甲児、お前はマジンガーZさえあれば神にも悪魔にもなれる。甲児、マジンガーZさえあればお前は”超人兜甲児”として生きていける」と言い残して、兜博士は息を引き取る。悲しみに暮れる甲児とシローの眼前には、見たこともない鉄(くろがね)のロボットが立っていた。

驚異の巨大ロボット

甲児は、瀕死の兜博士からマジンガーZはエアクラフトマシンのホバーパイルダーで操縦できることを聞いていた。そこで、祖父の思いを実現するべくホバーパイルダーに乗り込み、悪戦苦闘しながらもマジンガーZとのドッキングに成功する。ところが、いきなり彼に巨大ロボットが操縦できるわけはなく、足元にいたシローを踏み潰しそうになった。そこへ、かつて兜博士が指揮を執っていた光子力研究所のロボットアフロダイAがやって来て、マジンガーZを制止した。アフロダイAを操縦するのは、兜博士の愛弟子で研究所の最高責任者弓弦之助(ゆみげんのすけ)教授の娘さやかである。さやかは、甲児がマジンガーZを操縦できないでいることを知り、アフロダイAの操縦法を教えればマジンガーZを抑えることができると考えた。彼女の予想は当たり、アフロダイAは制御されたマジンガーZと共に研究所へと引き返した。甲児とシローは、光子力研究所で弓教授と出会い、改めて祖父とDr.ヘルの因縁を聞かされた。光子力と超合金を世界平和のために使いたいという兜博士の真意を知った甲児は、祖父の遺志を継いで祖父と相反する考えのDr.ヘルに立ち向かう決心をする。程なくして、あしゅら男爵が機械獣ガラダK7とダグラスM2を光子力研究所へと送り込んできた。甲児は、弓博士の制止を振り切って、マジンガーZで出撃した。2体の機械獣の猛攻に一時は失神する甲児だったが、死んだはずの兜博士の激励が聞こえて意識を取り戻し、マジンガーZの肘から先を飛ばす「ロケットパンチ」、両目から放たれる破壊光線「光子力ビーム」、口の部分から金属を腐食させる酸を含んだ強風を出す「ルストハリケーン」の必殺武器で機械獣軍団の撃破に成功する。マジンガーZの驚異の能力と強さに甲児は改めて驚愕し、Dr.ヘルの野望を打ち砕くことで世界平和を実現するという誓いを新たにした。

マジンガーZと機械獣軍団の激闘

元々東京に住んでいた甲児とシローは、祖父の死を機に富士山麓にある光子力研究所の近くへと引っ越した。甲児は、弟の面倒を見ながら普段は高校生、有事の際はマジンガーZのパイロットとして活動することになる。マジンガーZには、武器を搭載したアフロダイAがパートナーロボットとなった。甲児とさやかは、時には喧嘩をしながらも公私ともに良好な関係を築いていく。マジンガーZの存在を脅威と受け取ったDr.ヘルは、あしゅら男爵を使って機械獣軍団を送り続ける。マジンガーZと機械獣軍団との戦いは、常に激しいものとなり苦戦を強いられることも多かったが、マジンガーZと甲児の強さで悉く撃退した。こうして、無敵を誇り続けるマジンガーZだったが、意外な所に弱点があることが発覚する。

空飛ぶマジンガーZ

マジンガーZの弱点とは、空を飛べないことだった。甲児の知恵でこれまでは何とか空中戦を制してきたが、それにも限界が訪れた。Dr.ヘルは、次々に空を飛べる機械獣軍団を送り込んでくる。弓博士は、Dr.ヘルの妨害を受けながらもマジンガーZの飛行用オプションユニットであるジェットスクランダーを完成させた。これによって、マジンガーZは最大のウイークポイントを克服する。そして、更なる戦い方の幅が広がったことで、機械獣軍団にアドバンテージを取ることができた。マジンガーZを倒せないと世界征服の野望が実現できないDr.ヘルは、次なる作戦に打って出るのだった。

ブロッケン伯爵の登場と更なるマジンガーZのパワーアップ

Dr.ヘルは、あしゅら男爵率いる鉄仮面軍団のみではマジンガーZと光子力研究所の完全破壊が不可能だと判断し、新たなる幹部ブロッケン伯爵(ブロッケンはくしゃく)に鉄十字軍団を与えた。そして、これまで以上の能力を有する機械獣軍団を送り込んでいく。これを迎え撃つ光子力研究所は、マジンガーZにアイアンカッターやサザンクロスナイフなどの追加武器、ホバーパイルダーの後継機ジェットパイルダーの開発、さやか操縦の新型ロボットダイアナンAの建造で対抗した。光子力研究所とDr.ヘルの軍団の戦いは、常にマジンガーZが勝利を収めたことで光子力研究所が優位だったが、やがてマジンガーZにも本格的な敗北の瞬間がやって来た。

マジンガーZとグレートマジンガー

Dr.ヘルは、新幹部のピグマン子爵(ピグマンししゃく)を擁し、更にはミケーネ帝国のゴーゴン大公と協力関係を結び、戦力の大幅な増強に成功した。ミケーネ帝国とは、約3000年前にギリシアを支配していた古代ミケーネの帝国であり、そこに住む者たちは自らの身体を機械化して生き延びていた。マジンガーZは懸命な抵抗を続けて、あしゅら男爵とピグマン子爵を倒し、遂にはDr.ヘルとブロッケン伯爵をも倒して地下帝国を滅亡させた。しかし、ここでミケーネ帝国が動いた。帝国の支配者闇の帝王(やみのていおう)は、総司令官の暗黒大将軍(あんこくだいしょうぐん)とゴーゴン大公(ゴーゴンたいこう)に命じて、戦闘獣グラトニアスとピラニアスを出撃させる。マジンガーZは、2体の戦闘獣と対峙するも、なす術もなく追い込まれて敗北寸前となった。すると、マジンガーZの危機を察した科学要塞研究所の最高責任者で甲児とシローの実父兜剣造(かぶとけんぞう)博士が、剣鉄也(つるぎてつや)が操縦するグレートマジンガーを向かわせた。グレートマジンガーは、戦闘獣を瞬殺してみせた。激闘が終った後、甲児はさやかと共にアメリカへ留学する。そして、日本の防衛は科学要塞研究所とグレートマジンガーにバトンタッチされたのだった。

『マジンガーZ』の登場人物・キャラクター

光子力研究所(こうしりょくけんきゅうじょ)

兜甲児(かぶとこうじ)

CV:石丸博也
『マジンガーZ』の主人公。年齢は16歳で、普段は東城学園に通う高校生である。オートバイに乗ることが趣味で、抜群の運動神経と格闘能力を有している。オートバイに乗るスキルを応用して、祖父の兜十三博士が建造したマジンガーZに乗り込み、世界平和のためにDr.ヘルの地下帝国と戦い続けた。性格は直情径行型で不良っぽい一面があるものの、弱きを助けて強きを挫く正義を愛する少年である。

弓さやか(ゆみさやか)

CV:松島トモ子(第1話-第13話)/松島みのり(第14話-第39話・スーパーロボット大戦シリーズ)/江川菜子(第40話-第92話)
『マジンガーZ』のヒロインで 弓弦之助教授の1人娘。甲児と同年代だが、テレビアニメ版では高校に通わずに光子力研究所で教育を受けている。アフロダイA並びにダイアナンAのパイロットであり、戦闘時にはマジンガーZをサポートした。お転婆な性格の持ち主で、甲児に想いを寄せているにも拘らず勝ち気さが災いしていつも喧嘩ばかりしている。

熊本陽子
熊本陽子
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