獣神ライガー(Jushin Liger)のネタバレ解説・考察まとめ

『獣神ライガー(Jushin Liger)』とは、1989年にテレビ朝日系列で放送されたSFロボットテレビアニメである。バイオアーマー「獣神ライガー」の力を手に入れた少年・大牙剣が、邪神復活を目論むドラゴ帝国と壮絶な戦いを繰り広げる。筋肉隆々の巨人に主人公が乗りこんで戦うという、これまでにないアイデアが話題を呼んだ。勧善懲悪のヒロイックな子供向け番組であるが、永井豪を原作・原案に迎えた結果、ハードなストーリーや凄惨な戦闘描写、そして過激なお色気・サービスシーンが盛り込まれた。

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リュウ・ドルク「これよりドルガ・ブリザードと名付けよう」

ついに「破壊の牙」を我が物としたリュウ・ドルク。その証としてあらたに「ドルガ・ブリザード」と命名する。

第26話でリュウ・ドルクが「破壊の牙」を手に入れたときのセリフ。2つ揃った聖杯が指し示す邪神ドラゴの遺産・破壊の牙の隠し場所に辿り着いたリュウ・ドルク。アーガマの残した番人が仕掛けてくる幻覚やドル・コマンドの妨害をはね除け、現れた大剣の束に手をかける。自害させようとしてくる「破壊の牙」を力でねじ伏せたリュウ・ドルクは高らかに「フフフ、気に入った。これよりドルガ・ブリザードと名付けよう」とほくそ笑む。「破壊の牙」を屈服させて完全に我が物とした満足感が表れたセリフだ。

邪神ドラゴ「我を呼び覚ましたのはザーラではない、貴様達人間なのだ!」

決死の覚悟で挑みかかるサンダーライガーとドルガをあざ笑う邪神ドラゴ

決死の覚悟で斬りかかるサンダーライガーとドルガを、事もなげに振り払った邪神ドラゴが「聞け、アーガマの末裔よ。我を呼び覚ましたのはザーラではない、貴様達人間なのだ!」と宣言する。封印されてから100万年の間、文明や戦争の名の下に、人間同士で赤い血を流し黒い憎悪を募らせ続けた人間達こそが邪神を選んだのだとうそぶく。人類の歴史を紐解けば納得しかけてしまう理屈である。邪神ドラゴは人類のみならずアーガマの末裔にまで、抵抗をやめてひれ伏し邪神をあがめよと言い放つ。邪神ドラゴがどれだけ絶望的に強大であるかが分かるシーンだ。

大牙剣「俺は信じる!人間の優しい心を!」

善き心を見失わなかった人々の呼びかけに顔を上げる剣

最終話で絶望の中でも「善き心」を捨てなかった者たちの呼びかけに応えて剣が発したセリフ。邪神ドラゴがついに復活し、人間達はたちまち絶望の底に落ちる。各地で暴動が発生し自暴自棄になった者たちで溢れる中、希望を捨てずに他者に手を差し伸べる者たちがいた。彼らの呼びかけで顔を上げた剣は、再び立ち上がり「俺は信じる!人間の優しい心を!」と叫ぶのだった。同時に人々の間に溢れた「善き心」が善神アーガマの力となり、見事邪神ドラゴを討ち果たすのだった。人間が秘める善の心が最大の力であることを示したシーンだ。

『獣神ライガー』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

アニメ本編よりも遙かに長く活動したタイアップ企画プロレスラー「獣神サンダーライガー」

プロレスラー・獣神サンダーライガー

アニメ本編スタートのほぼ半年後、1989年4月24日に、新日本プロレスとのタイアップ企画としてプロレスラー「獣神ライガー」が東京ドームでデビュー。ギミック的には正体不明とされているが、その正体が新日本プロレス所属だった「山田恵一」なのは公然の秘密とされた。アニメの主題歌『怒りの獣神』に乗って入場し、「ライガーボム」「ライガースープレックス」といったキャラクター名を取り入れた技を繰り出す活躍は話題を呼んだ。アニメの進行に合わせてコスチュームを刷新、リング名も「ファイヤーライガー」「獣神サンダーライガー」と変化していった。アニメ本編が1990年1月27日に最終回を迎えた後も活動は続き数々のタイトルを獲得するなど輝かしい戦績を残す。その知名度はアニメ本編を遙かに超え、「世界の獣神」というニックネームが示すとおり世界的にも名を知られた。そして2020年1月5日の引退までの30年以上の間、ファンを沸かせ続けた。引退後もマスクを外さず、原作者・永井豪の許諾を受けて「獣神サンダーライガー」を名乗り続け、実況解説者やYouTuberなど活動の幅を広げている。

メディアミックスの連載マンガを描いたのは「永井豪」その人

永井豪版『獣神ライガー』コミック1巻のカバー表紙

アニメ放送に時期を同じくして、メディアミックスとして1989年3月から1990年1月まで『コミックボンボン(講談社刊行)』にマンガ版『獣神ライガー』が連載された。これはアニメ版に原作者として名を連ねる「永井豪」が自ら手掛けている。アニメ版のキャラクターやバイオアーマー、ストーリーの流れを踏襲しながらも、『デビルマン』や『バイオレンスジャック』などの永井作品で見られるような迫力ある作画で描かれた。後に『勁文社』『大都社』『大創産業』といった複数の出版社から単行本2巻が発刊されている。

突然浮上し監督までもが仰天したプロレスとのタイアップ

獣神ライガーとしてデビューする前の山田恵一選手

上記のように大成功を収めた新日本プロレスとのタイアップ企画だが、実はアニメ放映当初は全く計画になかった。アニメ放送が数話進んだところで突然コラボ企画が持ち上がり、監督の鹿島ですら寝耳に水の状態で「プロレスラーが出るんですか」と驚愕した。新日本プロレスの中で適任者を探した結果、海外遠征中だった「山田恵一」に白羽の矢が立った。「アニメのヒーローになってみないか」との誘いにマスクマン志望であった山田は快諾し帰国、デビューに向けて準備を始めた。コスチューム制作は試行錯誤が続き、特にマスクの形状はこれまでにない複雑な形状であったため素材や構造を決定するまでに非常に苦労したそうだ。

『獣神ライガー』の主題歌・挿入歌

OP(オープニング):弘妃由美「怒りの獣神」(1話 - 28話)

怒りの獣神

歌:弘妃由美/作詞:安藤芳彦/作曲:工藤崇/編曲:矢野立美

弘妃由美は1989年にこの曲で歌手デビューし同年の日本アニメ大賞最優秀主題歌賞を受賞した。プロレスラー「獣神サンダーライガー」の入場曲として30年以上の長きに渡り使用された。

ED(エンディング):弘妃由美「THE FIRE」(1話 - 28話)

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