【進撃の巨人】ライナー「新宿の巨人」クリスタ「中央西口」【厳選名作SS】

進撃の巨人の厳選名作SSを掲載しています。今回のメインキャラはライナーとクリスタ。ひょんなことから兵団食糧庫と現代の新宿がつながり、調査兵団は壁外調査に行くことになります。

ライナー「新宿の巨人」クリスタ「中央西口」

1 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/16(金) 00:21:12 ID:sihzZjS2

エルヴィン「諸君ら104期を呼び出したのは他でもない。明日一日かけて遠征調査に行ってもらう」

一同 ザワ

ライナー(俺たちが初参加する壁外調査は2週間後のはずだぞ?)

エルヴィン「調査と言っても壁外ではない。この世界の外だ」

ライナー(!?)

エルヴィン「昨日、地下の食料庫の荷台に乗り……なんやかんやでつきあたりの壁につっこむと」

エルヴィン「異世界に行けることが判明した」

ライナー(まずいなこれは)

2 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/16(金) 00:22:53 ID:sihzZjS2

新宿駅周辺を舞台にした調査兵団104期の一日。ライナー視点、主にクリスタとの話。

以下ssと同日の話のはずなのでこちらもよろしく。増えてきた…。

時間は目安、会話中なんかも常に流れているとお考えよろしく。

renote.net

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3 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/16(金) 00:23:37 ID:sihzZjS2

エルヴィン「昨夜、ハンジとリヴァイが荷台で遊んでいた際に発見した」

リヴァイ「エルヴィンお前もだろ」

ハンジ「レースで負けたからって、情報操作はよくないよ~」

エルヴィン「この世界ではない、未来世界に存在する極東の島国に繋がった」

エルヴィン「早急な調査が急務である。この世界にとって有益な情報が得られるかもしれない」

エルヴィン「よって諸君ら104期の中から志願者を募り、スパイを送ることを決定した」

ジャン「なんだよそれ」

コニー「非科学的じゃねえか」

サシャ「コニー、キャラがぶれてます」

エルヴィン「志願者は明日、その荷台に乗り、目標の地域の最重要人口密集地帯に送られる」

エルヴィン「シンジュク駅という巨大なダンジョンだ」

エルヴィン「そこで君たちには現地の人間や文化を偵察してきてほしい」

4 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/16(金) 00:24:21 ID:sihzZjS2

クリスタ「偵察……見るだけでよいのですか?」

ユミル「戦闘が起こる可能性は?」

ハンジ「私が昨日事前調査に行ってきたけど、基本的に治安はいいし確率は極めて低いと思うよ」

ハンジ「皆格闘術を心得ていないもやしっ子みたいだったしね」

ハンジ「まあ難しいことはさておいて、純粋に未来の異国を楽しんでくるといいよ」

ハンジ「ただ、シンジュクダンジョンは現地の人間でさえ飲み込む迷宮だよ……気をつけてね」

一同 ゴクッ

エルヴィン「以上だ。志願者は明日9時ここに集合」

エルヴィン「約1時間ハンジより向こうの情報を聴講したのち10時出発だ。それでは解散したまえ」

ライナー(戦士としての仕事が増えちまったみたいだな……)

5 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/16(金) 00:25:15 ID:sihzZjS2

――解散後 ザワザワ

ベルトルト「ライナーちょっといいかい」

ライナー「ああ。未来の異国とは驚きだが……こりゃまずいことになったな」

ライナー「もし発達した技術や知識を人間側が習得してしまったら」

ベルトルト「厄介だね」

ライナー「明日全員行けなくなるというのが一番良いんだが、雨天決行だしな」

ベルトルト「地下だからね。荷台壊すのは……だめか」

ライナー「だめだな。この話を聞いたのは104期だけだ。怪しまれて今後の作戦に支障がでる」

ライナー(だが人類に無駄な情報を渡すわけには……)

ライナー「……明日は行こう、ベルトルト。こちらの利益になる情報もあるはずだ」

ベルトルト「確かにそうだね……」

ライナー「明日は行って、あいつらが有益な情報を持ち帰るのを極力阻止する」

ライナー「知識や経験は難しいが……せめて物資をこっちに持ってこさせないように」

ライナー「向こうで俺たちが任務失敗か何かすれば済むことだ。ノルマはないしな。それで問題ない」

ベルトルト「ああ」

6 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/16(金) 00:25:50 ID:sihzZjS2

ライナー「ただ……早い時間から物資調達の妨害をしてしまうと」

ライナー「帰還までに何らかの対処をされてしまう可能性がある。何度も妨害すれば怪しまれるしな」

ベルトルト「やるなら帰還間際に物資紛失発覚、ぐらいがちょうどいいね」

ライナー「ああ。しかし誰にも疑われないことが前提だ。少しでも危険を感じたら身を引こう」

ベルトルト「賛成だ」

ライナー「それと、アルミンには注意しろ。あいつは賢いからな。一番効率良く的確な情報収集をするだろう」

ベルトルト「うん」

ライナー「ベルトルト。明日、初めのうちは行動を共にしよう」

ライナー「手分けするかどうかは状況次第。いいな」

ベルトルト「わかった」

ライナー(明日になる前に……ひとつ)

7 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/16(金) 00:30:56 ID:sihzZjS2

夕食後―――団長の部屋

エルヴィン「アルミン・アルレルトについて、どう思う?」

リヴァイ「レトルト?」

エルヴィン「惜しい」

ハンジ「アルレルト」

エルヴィン「正解」

ハンジ「これでまた1ポイント。リヴァイは本当にクイズに弱いね」

リヴァイ「誰だそれ」

エルヴィン「エレンが駐屯兵団に囲まれた際、一緒にいた」

リヴァイ「……」

エルヴィン「小柄で金髪の」

リヴァイ「……」

ハンジ「愛らしい眉」

リヴァイ「アイツか」

エルヴィン「……」

8 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/16(金) 00:32:20 ID:sihzZjS2

エルヴィン「彼は報告書、そしてピクシス氏の談から……優秀な頭脳をもっていると思われる」

ハンジ「窮地に立たされてあれだけ頭が回るんだ。間違いなく賢い子だよ」

エルヴィン「明日の104期遠征任務では、彼にだけいくつか特別任務を課した」

エルヴィン「主に先進技術、戦闘技術の情報収集や特殊」

リヴァイ「建前上」

エルヴィン「……そうだ」

リヴァイ「ヅラか」

ハンジ「ヅラだね」

エルヴィン「……」

エルヴィン「やはり隠せないものだな」

リヴァイ「……」

ハンジ「……」

エルヴィン「見るか?」

リヴァイ「いや」

ハンジ「もう見飽きたよ」

9 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/16(金) 00:39:31 ID:sihzZjS2

エルヴィン「新調したカツ……ウィッグがあれば2週間後の壁外調査は必ず成功する」

エルヴィン「知っているだろう。私の団長としての能力はウィッグひとつでどうとでもなると」

リヴァイ「ああ」

ハンジ「何度振り回されたことか」

エルヴィン「私でさえ振り回されて、と言うより振り向いただけで落ちそうなんだ。今のは」

エルヴィン「このままではおそらく……」

リヴァイ「人類の敗北が目に浮かぶな」

エルヴィン「先進技術のウィッグを手に入れれば調査は上手くいく。断言しよう」

リヴァイ「まあ、お前のヅラのコンディションが調査を左右するのは事実だからな」

リヴァイ「しかしその……レトルトは信用できるのか?」

ハンジ「アルレルト」

エルヴィン「本来ならば、昨日事前調査したハンジに入手してもらうのが最善策だったのだがな」

ハンジ「仕方ないよ。忘れちゃったんだから」

エルヴィン「彼なら難なくやってくれるだろう……しかし」

11 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/16(金) 00:42:34 ID:sihzZjS2

エルヴィン「秘密をばらされたり任務を失敗したらそれは……それなりの処遇を」

ハンジ「うおっ!」

ガシャーン!

リヴァイ「汚ねえ……あと熱い」

ハンジ「ごめんねリヴァイ!手が滑って紅茶こぼしちゃった!」

ハンジ「あーあーシャツの袖が台無しだ!」

ハンジ「待ってて!今君のパジャマをとってきてあげよう!!」

リヴァイ「おい、どうして今パジャマなんだ」

ハンジ「寝る子は育つ」

リヴァイ イラッ

リヴァイ「自分で行く」スタスタ



タタタ……

あぶねえ。盗み聞きがばれるところだった……。

15 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/16(金) 01:03:31 ID:sihzZjS2

しかし良い情報が得られた。

カツラで団長の指揮能力が変わる……おかしな話だが事実のようだ。

やはり狙うはアルミンか。すぐに戻ってベルトルトと策を練らなければな……。

「こんばんはライナー」

!?

ライナー「クリスタ?何をやっているんだ?」

クリスタ「食後のお散歩。ライナーも一緒にどう?」

ライナー「ああ!もちろんだ!」

相談はまた後でにしよ。

結婚しよ。

25 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/20(火) 03:19:31 ID:Hq3JrsOM

翌日

1000――地下食料庫

エルヴィン「志願者はこれだけか。心より尊敬する」

ハンジ「じゃあ向こうの情報も伝えたところで、出発するよ!荷台に乗って乗って!」

ライナー(かなり古い荷台だ。……これなら至極当然、だな)

ライナー(たとえ帰還時に物資落下事故が起きても、帰還後大破しても)

26 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/20(火) 03:20:11 ID:Hq3JrsOM

『さあみんな。

君たちは今荷台に揺られている。この暗がりを抜けたらシンジュクダンジョンに到着するよ。

でも手が滑っちゃって。到着地点がJR中央線、東京行きのホームになっちゃった。ごめんね。

君たちの任務。それはこの世界の情報をなんでもいいから集めてくること。

そして、この国の要である超大型ダンジョン、シンジュク周辺の調査だ。

でもこれは外形的な任務内容。旅行に行ったと思って楽しんできてよ。

緊急のため、立体機動装置は装備、雨具で隠しておくこと。一般人との混乱、戦闘は極力避けてね。

帰還は、2200。JR新宿駅西口、世界時計前に集合だ。帰りの荷台がくるから。

遅れたら最期、戻ってこれる保証はできないから覚悟してね。

それじゃあ良い旅を! ハンジより』

27 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/20(火) 03:20:44 ID:Hq3JrsOM

ガタンガタン

ライナー「真っ暗だな。本当に目的地に進んでいるのか?」

アルミン「はは……明るくなってのお楽しみってとこかな」

ミカサ「減速してる、到着するみたい」

サシャ「緊張しますね!」

コニー「俺が一番に降りるからな!」

エレン「はあ?子どもかよコニー。俺が先だろ」

ジャン「どけよ、前見えねえよ」

キキィーッ

エレジャンコニ「わっ」グラッ

エレジャンコニ「うわあああ!」スッテンコロリン

プシュー

クリスタ ピョン

クリスタ「いちばんのり!」ウフフ

ライユミ(結婚)

28 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/20(火) 03:21:22 ID:Hq3JrsOM

1005――JR新宿駅 中央線東京行ホーム

ガヤガヤ

エレン「ここが、シンジュクダンジョン!!」

ライナー「すげえ人の数だ!押し流されちまいそうだな」

ユミル「安心しろ、ゴリラは流されねえから」

アルミン「出口へは階段を下るみたいだ」

エレン「なんかすげえのあんぞ!」

アルミン「あれがハンジさんの言ってたエスカレーターって乗り物だね」

エレン「乗ろうぜアルミン!ミカサ!」ワクワク

アルミカ「うん!」

スタスタ

ライナー「甘いなエレンは。ラクしてたら兵士失格だぞ、常に鍛えなければな」クリスタチラッ

ライナー「俺とベルトルトはそこの階段からいかせてもらう」

ベルトルト(変なとこ格好つけないでよ…)

スタスタ

29 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/20(火) 03:23:41 ID:Hq3JrsOM

――階段下 ガヤガヤ

ライナー「……」

ベルトルト「……」

ライナー「あ、あれ。誰も来ないな……。エレンたちのすぐ近くの階段下っただけなのに」

ベルトルト「迷宮……」

ライベル ゾッ

ライナー「い、いや。元より2人で行動するつもりだったからな。何の問題もない」

ベルトルト「そうだね……で、どうしよう。とりあえ」

ライナー(!?)

ライナー「しっ!」

ベルトルト「!?」

ライナー「……」

ベルトルト(……?)

ライナー「……おいベルトルト……聞いたか今の会話」

ベルトルト「通行人の?聞いてないけど」

30 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/20(火) 03:24:46 ID:Hq3JrsOM

ライナー「今から俺たちは、トウキョウトチョウに向かう」

ベルトルト「トウキョウトチョウ?」

ライナー「なんでも東京都庁とは、この地域の、そしてこの島国の重要な機関らしい」

ライナー「しかもだ」

ライナー「しかもその建物なんだが……国の緊急時にはスーパーロボットとかいう巨大生物に変形するんだそうだ」

ベルトルト「建物が!?それって」

ライナー「ああ。おそらく最高レベルの技術」

ライナー「そして……巨人の力と何か関係があるかもしれない」

ベルトルト ゴクリ

ライナー「目指すべき場所は決まったな。俺達は中央西口を出るぞ!」

ベルトルト「ああ!」

31 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/20(火) 03:26:33 ID:Hq3JrsOM

1055――西口 都庁方面 地下通路

トコトコ

ライナー「来る途中にあったヨドバシカメラというところはすごかったな」

ベルトルト「ハイテクすぎて理解に苦しんだね」

ライナー「なぜ離れた所で相手の声が聞こえるのか」

ベルトルト「なぜ枠の中に人がいるのか」

ライナー「なぜ食器を手で洗わないのか」

ライベル「……」

ライナー「……フィルムカメラっていうのを1つずつ買ってきてしまったな」

ベルトルト「これを構えて、ボタンを押すと、押した瞬間の景色が紙に表現されるって言っていたよね」

ライナー「現像ってのに出さなくては見れないのが残念だが……」

ベルトルト「現像する必要はないさ」

ライナー「そうだな。人間たちに情報は渡さない。ふりだけだ」

ライナー「これを持っているだけで情報収集しているようには見えるからな。いいカモフラージュになる」

32 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/20(火) 03:34:15 ID:Hq3JrsOM

ライナー「……」

ベルトルト ニコッ ピース

ライナー カシャッ

ベルトルト「面白いね」

ライナー「だな。もう1枚ぐらい撮ろう」フィルム マキマキ

ベルトルト ニコニコ

ライナー「……」

ベルトルト ニコニコ

ライナー「……?」

ライナー「さっきからクリスタの気配がする」

ベルトルト「この通路にはいないよ?勘違いじゃない?」

ライナー「いや確かに……」キョロキョロ

ベルトルト「ほらほら、長い地下通路も終わり。もう出口だ」

33 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/20(火) 03:40:07 ID:Hq3JrsOM

ライナー(お、外か……)

ライナー ハッ!

クリスタ「ライナー!ベルトルトー!」フリフリ

ライナー(クリスタ///)フリフリ

ライナー(やはり俺のクリスタレーダーに狂いはなかったようだ)

ライナー(この地下通路は道路を隔てて平行に2つ並んでいて、対岸をクリスタとユミルが歩いていたってわけか)

ライナー(ん、対岸への信号がちょうど青だ。渡って……)

ユミル「待て」

ライベル「?」

ユミル「渡ってくるな」

ライナー「なぜだ?」

ユミル「今日は私とクリスタだけで行動する。だからお前らが近寄る必要はこれっぽっちもない」

クリスタ「ユミルいじわる言わない!おいでよ2人とも!」

34 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/20(火) 03:44:20 ID:Hq3JrsOM

ライナー「おい渡るぞ。もうすぐ赤だ」

ベルトルト「う、うん」アセ

トコトコ

ユミル「クソ……何考えてんだクリスタ」

クリスタ「……」

ライナー(小さいかわいい///)

クリスタ「ライナーたちは今からどこへ向かうの?」

ライナー「俺たちはトウキョウトチョウに」

クリスタ「トウキョウトチョウ?」

ライナー「この地域の重要機関らしい。お前らは?」

クリスタ「私達は美術館に」

ユミル「ということだ。じゃあな野郎共」グイグイ

クリスタ「待って待ってひっぱらないでよユミル!」

35 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/20(火) 03:53:10 ID:Hq3JrsOM

ユミル「んなデカブツどもに構うな。体感温度が跳ね上がっちまう」グイグイ

ライナー「む」

クリスタ「わ、私!」

ライユミ「?」

クリスタ「ライナーとトウキョウトチョウまでお散歩したいな!」

ライナー「!?」

ライナー(クリスタが俺をデートに……つまり俺達は今日、ついに結ばれるのか!///)

ユミル「はあ!?」

クリスタ「お願い!ユミル!ちょっとだけ。またあとで合流しよ?」

ユミル「オイオイ冗談よせよ。お前は私と美術」

クリスタ「ベルトルト!美術館行ってみたいよね!」

ベルトルト「えっ僕?」アセ

ユミル「私とベルトルさんで行けと?」

ライナー「それがいいな」ウンウン

ベルトルト「!?」

36 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/20(火) 04:02:34 ID:Hq3JrsOM

ベルトルト「ラ、ライナー!僕たちにはやるべきことがあるでしょう?」コソコソ

ライナー「ああ。そうだ。さっそくだがここは二手に別れるべきだな」

ベルトルト「べきじゃないよ……」

ライナー「いや、お前は美術館に行くといい。安心しろ。俺は目的通り、トウキョウトチョウを調べる」

ベルトルト「ライナー……」

ライナー「必ず人類の勝利の糧を見つけ出してみせるさ」

ベルトルト「ライナー……」ハァ

ユミル「どういうことだ?クリスタ。私では不足か?」

クリスタ「……違う」

ユミル「……」

クリスタ「……」

ユミル「はあ。さっき言ってた、お前のくだらねえ願い、私は叶えてやるつもりだ」

クリスタ「どっちの話?」

ユミル「どっちもだ。だからまた後で会おう。必ずだ。約束してくれ」

37 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/20(火) 04:11:15 ID:Hq3JrsOM

クリスタ「うん……。ありがとうユミル」

ライナー「?」

クリスタ「じゃあ1時間後ぐらいにそっちの建物まで迎えに行くね。ライナー行こう!」

ライナー「ああ」

ユミル「ライナー、そいつはな」

ライナー「?」

ユミル「わがままでおしゃまな天使さま、だ。ついでに賢くはない」

ライナー「どういうことだ?」

ユミル「気を抜くな」

ライナー「? ああ」

ライナー(何のことだ?)

クリスタ「もうユミルったらまた余計なことー!じゃあねー!」グイグイ

ライナー(クリスタが俺の腕を引っ張っている)

ライナー(待て待て焦るな。そんなに引っ張らんでも俺は離れたりせんぞ///)

38 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/20(火) 05:00:48 ID:Hq3JrsOM

1105――西口 東京都庁

トコトコ

ライナー「ここら一帯はシンジュク副都心と呼ばれる、高層ビル群らしいが」

ライナー「トウキョウトチョウ……ここは一際でかい」

クリスタ「うさぎの頭みたいな建物だね」クスクス

ライナー(悪いがクリスタ、うさ耳クリスタはもう妄想済みなんだ/// しかし……)

ライナー「本当にスーパーロボットなる巨大生物に変形するのか……?」ジィ

クリスタ「ん?」

ライナー「いや」

ライナー(どうやら巨人の力とは関係なさそうだ。見当違いだったようだな)

クリスタ「第一本庁舎と第二本庁舎があるんだね」

ライナー「知事本局?消防庁、水道、交通局……?教育、公安委員会……?よくわからんが」

ライナー「この地域の様々な組織の運営や管理をしている建物みたいだな」

ライナー(厳しい場所かと思いきや、観光客もいるもんなんだな)キョロキョロ

39 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/20(火) 05:05:10 ID:Hq3JrsOM

クリスタ「見て。大きい第一本庁舎には展望台があるんだって。ちょうどうさぎの両耳に」

ライナー「おおなるほど展望台か。行ってみるか」

クリスタ「うん!」ニコ

クリスタ「ライナー早くー!」タタタ

ライナー「待て待てクリスタ走ったりしたら……」

ライナー(行動1つ1つが愛らしい……)

ライナー「!」

ライナー「待て!」

クリスタ「!?」ビクッ

クリスタ「ど、どうしたの?」

ライナー「見ろ、展望台エレベーターの前。荷物検査を行っているようだ……」

ライナー「こんな雨具に身を包んだ者はまず怪しまれる。ブレードも所持してるし、接触は危険だ」

クリスタ「ほんとだ……残念……」シュン

40 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/20(火) 05:16:25 ID:Hq3JrsOM

ライナー「ああ。だが仕方ないさ」

クリスタ「うん」

クリスタ「あっ。ねえライナーこの地図見て」

クリスタ「すぐ西に中央公園っていう公園があるみたい。こっちに行ってみてもいい?」

ライナー「ああ構わん。まあ集合の時間も考えにゃならんから……」

クリスタ「集合?」

ライナー「あいつらと約束しただろ?」

クリスタ「……」

ライナー「どうした?」

クリスタ「行かない」

ライナー「え?」

47 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/21(水) 00:55:47 ID:qycpivLk

クリスタ「私、もう少しライナーといたい。だめ?」

ライナー(!? やけに積極的じゃないか///)

ライナー「だっだめってことでは断じてない、が……あの2人に一言もなしと言うのは」

クリスタ「ユミルならわかってくれてるよ」

ライナー「いやあんなに堅く約束してたろ」

クリスタ「でもわかっているの。本当だよ。お願い」

ライナー「しかし……」

クリスタ「ライナーと一緒に、いさせて……?」

ライナー(///)

クリスタ「あっ、でも、もちろんベルトルトと約束があるなら……私は」

ライナー「いやベルトルトなら心配いらない」キリッ

ライナー(あいつはあいつでなんとかするだろ)ウンウン

クリスタ「本当?」パァ

ライナー「ああ。今日は一緒に過ごそう」

48 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/21(水) 00:58:08 ID:qycpivLk

クリスタ「ありがとう!ライナー!」キラキラ

ライナー(結婚しよ)

クリスタ「それにね、ユミルって、ベルトルトのこと好きなんだと思うの!」

ライナー「?」

クリスタ「よくベルトルトのこと目で追ってるみたいだし。だから2人きりにしてあげたくて」

ライナー(なんて可愛らしい照れ隠しなんだ。素直に俺といたいだけと言っていいんだぞ)

クリスタ「ベルトルトはユミルをどう思ってるのかなあ?」

ライナー「ん?ベルトルトならア」

クリスタ「?」

ライナー「いや……ベルトルトは自分のそういう話しないからな。俺でもわからん」

クリスタ「そっかあ残念。でも私はお似合いだと思う」

ライナー「お前は本当にユミルが好きなんだな」

クリスタ「うんっ」ニコ

50 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/21(水) 15:04:54 ID:y1X/nCd6

1130――西口 中央公園

ライナー「公園といっても特に何かあるわけじゃなさそうだ」

クリスタ「緑があるよ」

ライナー「この世界は人工物ばかりだから草木が貴重なのかもな」

クリスタ「道沿いに植木おいたり、お花飾ったり植物に関して工夫してるよね」

クリスタ「わあ!このお花、とてもきれい!」

ライナー「シャシン撮ってもいいか?」

クリスタ「ん?」

ライナー「その花、と、クリスタ」

クリスタ「私?私なんかでよければ……」

ライナー(お前はそろそろ自身の魅力を自覚するべきだ)

ライナー「ほれクリスタ、レンズを見るんだ」

クリスタ「もうっライナーったら!うふふ」

カシャ

ライナー(現像しよ)

51 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/21(水) 15:12:01 ID:y1X/nCd6

ライナー(風景のシャシンも撮っとくか)

ライナー(ハンジ分隊長からは観光気分でいいとは言われたが、少しは任務もしておかないとな)

ライナー(何を調達するべきか……。食料や書物は誰かがやってそうだもんな)

カシャ

ライナー(ん?クリスタどこいった?)キョロキョロ

ライナー(あれ……誰かと喋ってる?)



ライナー「おい、クリスタ!」

クリスタ「あっライナー。えっ、あれ?あのー……行っちゃった」

ライナー「今の奴と何をしていたんだ」

クリスタ「あの、えっと……おしゃべり?」キョトン

ライナー「じゃあなぜ財布を出しているんだ?」

クリスタ「えっと、あの人お金忘れちゃったって言ってて……」

ライナー「いくらかあれば家に帰れるって?」

クリスタ「うん」

52 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/21(水) 15:15:30 ID:y1X/nCd6

ライナー「あとで返すからって?」

クリスタ「うん」

ライナー「はあ。お前は優しすぎる。少しは用心深くなれ」

クリスタ「でも本当かもしれ」

ライナー「じゃあなぜあいつは俺を見て逃げた?」

クリスタ「……」

ライナー「……」

クリスタ「そうだよね……ごめん」シュン

ライナー「いや」

クリスタ「もうしない」

ライナー「え……金渡しちまったのか?」

クリスタ「うん」

ライナー(やはり俺が守らなければな)

ライナー「少しシンジュクダンジョンから離れたみたいだ。戻るか」

クリスタ「うん」

53 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/21(水) 15:19:26 ID:y1X/nCd6

トコトコ

ミーンミンミン

クリスタ「……」

ライナー「……」

クリスタ「……」ハァ

ライナー「……!」

ライナー(お、地図……)

ライナー「クリスタ」

クリスタ「なあに?」

ライナー「そこの階段」

クリスタ「ワンデーストリート地下通路?」

ライナー「ああ。ここ下ればあるようだ。JR南口まで続いている。地上は暑いから通ってくか」

クリスタ「うん。ねえライナー」

ライナー「?」

クリスタ「ありがとう」ニコ

54 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/21(水) 15:25:11 ID:y1X/nCd6

ライナー「当然のことをしたまでだ」

クリスタ「わかりやすかったかな。暑がってたの」

ライナー「舐めてもらっちゃ困る。さっきから頬が真っ赤だ」

ライナー(3年間ずっと見ていた、俺はお前のプロフェッショナルなんだからな)

クリスタ「ライナーには敵わないなあ」

ライナー「だろ」ニッ

――ワンデーストリート JR南口方面へ

トコトコ

ライナー「でだ、この地下道の地図によると」

ライナー「シンジュク駅西口と南口からそれぞれ地下道でトチョウまで直結だったみたいだぞ」

クリスタ「トチョウまで?すごいね!もぐらになった気分」クスクス

ライナー(悪いなクリスタ。もぐらクリスタはもう妄想済みなんだ///)

クリスタ「じゃあ今度は南口を調査だね」

ライナー「ああ。ついでに飯も食おう」

クリスタ「お腹いーっぱい食べようね」ニコニコ

62 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/21(水) 20:23:35 ID:y1X/nCd6

トコトコ

ライナー「駅に近づいて、店がでてきたな。京王モールだと」

クリスタ「あ!薬屋さん!見てもいい?」

ライナー「ああ。もちろん」

ライナー「金も出すし、荷物は俺が持つから、気にせず買って来い」

クリスタ「えっそんな」

ライナー「人類の勝利のためだろ」

クリスタ「うん。ありがとう」

タタタ……

クリスタ ジー

ライナー「何見てるんだ?ほしいのか?」

クリスタ「んっ?なんでもないよ!大丈夫!」タタタ

ライナー(? 確かここらへんの商品を……)

63 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/21(水) 20:27:51 ID:y1X/nCd6

ライナー(生理痛鎮静薬……?)ハッ

ライナー(お、おお……これはさすがに買えないな。おっと鼻血が)ダラダラ

ライナー(まさか今日は女の子の日なのか?生理痛なのか?心配だ)

ライナー(将来のためにも彼女の身体を第一にしなければな。……何日目だろうか)

クリスタ「おまたせー!こんなに買っちゃった!ってライナー?」

ライナー「些細なことだ」ティッシュ ツメツメ

クリスタ「?」

1310――洋食屋

クリスタ「ごちそうさまでした」

ライナー「ふー食ったな。こんなにしっかり味の付いた飯が食えるとは……」

クリスタ「オムライスおいしかったね。中のオコメも、ふわふわ卵も、上にかかったデミグラスソースも」

ライナー(お前と2人で食べたから美味さ倍増だったぞ)

クリスタ「あっ。ねえ、フィルムカメラ見せてもらってもいい?」

64 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/21(水) 20:29:34 ID:y1X/nCd6

ライナー「ああ」スッ

クリスタ「この中に風景が記録されるなんてね。すごい」マジマジ

スッ

クリスタ「うふふ、おいしいオムライスを食べおわって幸せそうなライナーが見えまーす」

ライナー「おいおい、俺を撮る気か」

クリスタ「いい?」

ライナー「構わんが、俺なんか撮ったって」

クリスタ「ほらほらライナー、レンズを見て」

ライナー「!?」

クリスタ「?」

クリスタ「どうしたの?」

ライナー「いや」ニヤニヤ

ライナー(ライナー・レンズ……婿に来いということか。それも悪くない)

クリスタ「あっ笑った!えいっ」カシャ

66 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/21(水) 20:37:08 ID:y1X/nCd6

クリスタ「!? ライナーまた鼻血!」

ライナー「些細なことだ」フキフキ

クリスタ「な……ならいいけど」

ライナー(鼻の粘膜はなかなか鍛えられるものではないからな)フキフキ

クリスタ「……あ。外に歩いてるあの子たち、見える?」

ライナー「?」

クリスタ「あの男の子と女の子」

クリスタ「ここの世界にいる私達と同じ年頃の子たちは、ああいう制服を着て、ガッコウに通っているんだって」

クリスタ「兵士じゃなくて、生産者でもないの。仕事じゃなくて、お勉強を勧められるの」

ライナー「いいな」

クリスタ「いいよね」

ライナー「もし俺らがここの人間で、ああいうふうにガッコウに通っていたなら」

クリスタ「うん」

ライナー「エレンやコニーがテストのたびにアルミンに泣きつくな。訓練所の焼き直し」

69 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/21(水) 20:54:07 ID:y1X/nCd6

クリスタ「あはは、私も教えてもらっちゃうな。ライナーは……」

ライナー「とりあえず席は一番後ろだろ」

クリスタ「ベルトルトとワンセット」

ライナー「一番後ろって意外とよくさされるんだよな。居眠りもばれる」

クリスタ「しちゃだめだよー。クラスをまとめ役は……マルコがいい」

ライナー「……ああ。きっと安泰だ」

クリスタ「きっとサシャの早弁をこっそり注意してくれるはず」

ライナー「あとは……ミカサの帰宅中にはなぜかジャンが偶然現れるだろうな、わりと頻繁に」

クリスタ「アニとユミルは、きっと、そんな私達にまきこまれちゃうタイプ」

ライナー「ああ」

クリスタ「ね。想像しちゃう」

クリスタ「ああやって皆で寄り道して帰るの。またねってバイバイして、明日また必ず会える」

ライナー「幸せってやつだな」

クリスタ「巨人に怯えなくていいし、食料不足に悩まされないしね」

71 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/21(水) 21:05:37 ID:y1X/nCd6

ライナー「ああ」

クリスタ「……」

ライナー「だが俺たちは俺たちの世界で、やらなければならない使命がある」

ライナー「ここで穏やかに暮らす想像はすれど……憧れは禁物だ」

クリスタ「使命」

ライナー「そりゃもちろん、壁の中の人類の勝利に貢献することだろ」

クリスタ「うん。ライナーは真面目でしっかり者だね」

ライナー「それにな、ここはここで悲しい思いをすることはたくさんあると思うぞ」

ライナー「何が辛いか苦しいかは、世界や時代によって変わるからな」

クリスタ「うん」

ライナー「俺たちは壁と巨人の存在する世界の人間だ。だから向こうで幸せになるべきだ」

ライナー「さっさと巨人に勝って、あのガッコウに通うやつらのように、平和に暮らしちまおう」

クリスタ「そうだね」

ライナー「俺は、お前が幸せになれるように最善を尽くすつもりだ」

ライナー「お前は誰より心優しいから、誰より幸せになるべきなんだ」

72 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/21(水) 21:09:04 ID:y1X/nCd6

ライナー(つまり俺が将来的に結婚して幸せにしてやる。という意味だな)ウンウン

クリスタ「……そんな資格ないよ」

ライナー「?」

クリスタ「私はね、ライナーの思うようないい子じゃないんだ……」

クリスタ「本当の私は違うの。いい子じゃなくて、とてもわがまま」

ライナー「……」

クリスタ「……」

ライナー「まさか。クリスタはいい子だ。俺が保証する」

クリスタ「……」

クリスタ「ありがとう。ちょっとこの世界にあてられちゃったかな。任務頑張ろうね」

ライナー「ああ」

クリスタ「ごめんね、変なこと言って」

ライナー「いや。構わんさ」

73 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/21(水) 21:15:22 ID:y1X/nCd6

1350――南口改札付近 甲州街道

テクテク

クリスタ「あそこなんだろう?宝くじ?」

ライナー「金を賭けて金を当てるのか?」

ライナー「かなり高額まで当たるようだ。まあ当たる確率なんて」

クリスタ「その場で当たるくじもあるみたい。やってくるね」

ライナー「えっ」

タタタ

カランカラーン

タタタ

クリスタ「ねえライナー」

クリスタ「1000万当たっちゃった」

ライナー「えっ」

74 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/21(水) 21:17:22 ID:y1X/nCd6

クリスタ「でもね、50万円以上は受け取りに身分証明とギンコウコウザ?が必要なんだって」

クリスタ「だから30万円狙ってもう一度やってくるね」

ライナー「えっ」

タタタ

カランカラーン

タタタ

クリスタ「ねえライナー」

クリスタ「やっぱり当たっちゃった」エヘ

ライナー「!?」

81 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/23(金) 01:10:10 ID:0.bBgc7g

1430――東南口付近 甲州街道陸橋上

トコトコ

ライナー「本当に30万を当ててくるとはな……しかも3枚チケットを買って」

ライナー「30万3つで総額90万だと……」

クリスタ「あは、あはは……」

クリスタ「90万円は現金でもらってきたけど、この1000万円のチケットはどうしようね?」

ライナー「ああ。困ったな」

ライナー(クリスタ強運すぎるだろ。まあ女神だからって説明でいいか)

ライナー「ギンコウ員、かなり驚いていたな」

クリスタ「私はライナーが怪しい人と勘違いされてて、笑いそうになっちゃった」クスクス

クリスタ「ライナーはとってもいい人なのにね」

ライナー(女神にはお見通しだな///)

ライナー「なあクリスタ」

ライナー「その金、どう使うつもりだ?ほしい物あったりするのか?」

82 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/23(金) 01:15:27 ID:0.bBgc7g

クリスタ「ううん。特には」

ライナー「? じゃあなぜくじ引いたんだ?」

クリスタ「……運試し?」ハテ

ライナー「そ、そうか。強運でなにより」

クリスタ「うん」

ライナー「その金で贅沢三昧していいんだぞ?自分で当てた金なんだからな」

クリスタ「……」

ライナー「さっき公園でとられた金が何十倍にもなって戻ってきたわけだ。何でも買える」

ライナー「よかったなクリスタ」

クリスタ「……」

ライナー「……」

クリスタ「……」

ライナー「……?」

クリスタ「ライナー」

ライナー「ん」

83 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/23(金) 01:47:15 ID:0.bBgc7g

クリスタ「使い道が決まった」

ライナー「?」

クリスタ タッ

ライナー「!?」

ライナー(陸橋の欄干に乗り出した!?)

クリスタ「下の広場の皆さん!!私はここから!!」

クリスタ「90万円落とします!!」

ライナー(は……?)

クリスタ「あげます!!どうか受け取ってください!!」

バラバラ

ライナー「どうしたクリスタ!」

ライナー(何考えてる!?金撒き始めたぞ!?)

ライナー「ちょっ……おい!よせ!」ガバッ

クリスタ「受け取って!!私の!!」バラバラ

84 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/23(金) 01:54:43 ID:0.bBgc7g

ザワザワ

ライナー「やめろ!そんなに乗り出すな!落ちる!」グイグイ

クリスタ「離して!」バラバラ

ライナー「!! 待てそれは落とすな!そのチケットは1000万円の……!」バッ

クリスタ「!」

クリスタ「ライナー!チケットとらないで!返して!」ジタバタ

ライナー「返すから!!まずは落ち着くんだ!クリスタ!」

ライナー「使い道が決まらないなら兵団の金にすればいいだろ!?」グイグイ

ライナー「!」

ライナー(南口改札の方にアルミンが見える!)

ライナー「ほ!ほらアルミンだ!」

クリスタ「!?」

ライナー「そうだ!アルミンんとこ行って有効的な使い道を教えてもらおう!」

クリスタ「……!」

ライナー「な!?そうしよう!」

85 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/23(金) 02:08:56 ID:0.bBgc7g

クリスタ「はあ……はあ…………」

ライナー(う、動きが収まった……)

ライナー「それでいいな?」

クリスタ「……うん」

ライナー(はあよかった)ホッ

クリスタ「ライナー……」

ライナー「おう」

クリスタ「ごめんね。私どうかしてた……」

ライナー「いや。落っこちなくてよかった」

ライナー(いきなり金を撒き始めるなんて驚いた。とりあえず早く移動しよう)

ライナー「そ、そんなことよりアルミンとこ行くぞ。お、ちょうどコニーも合流したようだ」アセ

クリスタ「……うん」

86 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/23(金) 02:12:30 ID:0.bBgc7g

――

トコトコ

ライナー「コニー!アルミン!」

コニアル「!」

コニー「ライナーとクリスタじゃねえか」

アルミン「どうしたの?なんか2人とも息切らしてない?」

ライナー「い……いや、まさか」アセ

クリスタ「そ、そんなことないよ」ニコ

ライナー(金撒いた理由は聞かないほうがいいよな……また後でだ)

ライナー「お前たちこそ、任務か?」

アルミン「うん」

クリスタ「私たちも手伝っていい?」

ライナー「なんでもするぞ」

アルミン「ありがとう!西口改札前にロッカーを借りているから、そこまで一緒に行ってもらってもいいかい?」

コニー「ロッカー?」

87 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/23(金) 02:23:09 ID:0.bBgc7g

アルミン「持ち物を一時的に保管することができる場所のこと」

アルミン「そこに物資をためておけば、わざわざ持って移動しなくてすむだろ?」

コニー「頭いいな」

ライナー(!)

ライナー(さすがアルミンだ。そのロッカーとやらに昨日盗み聞きした団長のヅラも積んでいるだろう……)

ライナー(結局ベルトルトにはヅラのことは話してないから、俺がなんとかしなければ)

ライナー(とりあえず注意深くアルミンを観察する)

アルミン「じゃあこれ、よろしく」ヨイショ

ライナー「おう」

ライナー(そういやさっきのクリスタの金……へたすりゃ兵団のもんになるところだったな。助かった)

ライナー(人間側に有利なことは極力阻止せねば)

88 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/23(金) 02:23:52 ID:0.bBgc7g

――西口世界時計前ロッカー

ライナー「で、ここが西口ロッカーか」

アルミン「うん。あ、皆点呼の話はまわってきたかい?」

コニー「ああ。えっと5時に……どこだっけ?」

ライナー「ん?」

クリスタ「点呼?」

アルミン「ライナーとクリスタにはまだだったかな。5時に一旦点呼集合を呼びかけているんだ」

アルミン「僕はさっき会ったベルトルトとユミルには伝えてある」

コニー「俺とジャンとサシャも聞いたぞ。昼メシんときミカサとエレンに会ったからな」

アルミン「じゃあこれで全員に伝わったことになるね。よかった」

クリスタ「どこに集合なの?」

アルミン「集合場所は西口改札、ちょうどこのロッカーの向かい、世界時計。そこだよ」

クリスタ「わかった!」

アルミン「よろしくね。それで……言い出しっぺが申し訳ないんだけど」

アルミン「僕は集合にいけないかもしれない。でも必ず帰還時間には行くから」

89 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/23(金) 02:25:38 ID:0.bBgc7g

ライナー「何か大切な用事があるのか?」

アルミン「ああ」

クリスタ「気をつけてね」

アルミン「うん。ありがとう。じゃあ作業に戻ろうか」

アルミン「ロッカーはここらへんを使わせてもらっている。518番から522番」

コニー「へえ」

アルミン「あ、見てコニー。521番。ごーにーいちで、“コニー”だね」

コニー「ホントだすげえ!天才か?」

アルミン「あはは。ここの鍵はベルトルトとユミルが持ってくれているはずだ」

ライナー「ベルトルト?任務をやっているのか?」

アルミン「うん。ありがたいことに」

ライナー(でかしたベルトルト!預かった鍵をなくしちまえば完璧だ!)

アルミン「コニー。ちょっとこの箱持ってもらっていいかい?」ヨイショ

コニー「ああ」

90 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/23(金) 02:32:51 ID:0.bBgc7g

コニー「これだけ兵団の風呂敷に包んでんな。大事なもんなの?」

アルミン「そんな気がする」

ライナー(? アルミンにしては変な言い方だな)

ライナー(あれだけわざわざ兵団の袋に包んであるし……あの中身が団長のヅラか)

コニー「ハンジさんの言ってた通り、俺も大事なもんはちゃんと包んでるぜ!」

アルミン「僕らのものだって目印になるからね」

コニー「おー」

アルミン「で、その箱は522番に入れてくれるかい?」

コニー「おー」

ライナー(狙うは522番のロッカー)

ライナー(鍵の紛失はおそらくベルトルトがやるだろうから、何か別の策を考えねばな……)

ライナー(ん?これは……)

ライナー「……」

アルミン「ライナー?」

ライナー「ん……いや。別に」

98 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/23(金) 21:44:07 ID:RG.0XC/Y

ライナー(ロッカーの使用方法が書いてあるな。鍵の紛失について……か)

ライナー「それより、さっきクリスタと買った医療医薬品だ。これも一緒に入れていいか?」

アルミン「もちろん」

クリスタ「ありがとうアルミン」ニコ

1530――うどん屋外

アルミン「皆ありがとう。僕のご飯付き合ってもらっちゃって」

コニー「時間的にゃおやつだったが、うまかったぜ」

ライナー「ああ。お前達これからの予定は?」

コニー「俺はジンジャ」

アルミン「僕は任務の続きを」

ライナー「アルミン。お前は本当に頼りになる奴だ」

ライナー(将来偉くなったらこいつを参謀にしたいくらいだな)

アルミン「あはは、ライナーに言われるなんて、光栄この上ないよ」

99 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/23(金) 21:45:23 ID:RG.0XC/Y

ライナー「クリスタ。俺たちはどうする?」

クリスタ「ライナー私……急用ができちゃったの」

ライナー「!?」

クリスタ「だから今から私、ひとりで行動しなきゃ」

ライナー「なっ、なぜだ……?」

クリスタ「ごめんなさい!私考えたの、余った現金の使い道……ちょっとしかないけど」

クリスタ「ライナーにも、みんなに喜んでもらえるように頑張るから」

ライナー「兵団の資金にするんではなくてか?」

クリスタ「うん。私達のために、今日使う。少しは贅沢してもいいかなって」

ライナー「ほう」

コニー「えーなになに?何をするんだ?」ズイッ

クリスタ「秘密!皆を驚かせたいの」ウフフ

ライナー(やっぱりクリスタは誰よりいい子だ。抱きしめたい///)

コニー「へー楽しみだ!んじゃライナー!俺と一緒にジンジャ行ってくれよ!」

ライナー「お、おお」

100 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/23(金) 21:47:59 ID:RG.0XC/Y

ライナー(男同士の珍道中もまたありだよな)

ライナー「気をつけろよ」

クリスタ「うん。ライナー」

クリスタ「とっても楽しかった」ニコ

ライナー「ああ。シャシンは現像しておく。あとで一緒に見よう」

クリスタ「ありがとう。楽しみにしてるね。じゃあねー!」フリフリ

アルミン「僕はこっち行くねー!」フリフリ

ライナー「おお!」

コニー「じゃあなー!」ブンブン

ライナー「……」

コニー「……」

ライナー「と、別れたものの……クリスタが1人で別行動なんて危険だろ……」ワナワナ

コニー「超笑顔で秘密ー!って言われたな。まあ大丈夫じゃねえの」

コニー「チビの俺とアルミンが1人で平気だったんだぜ?」

101 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/23(金) 21:56:18 ID:RG.0XC/Y

ライナー「クリスタは女子だぞ。しかも世界一かわいい」

コニー「う、うん」

ライナー「そしてお人好し……ずれた所大胆だしな。それがまた愛らしいんだが」

コニー「兵士だから大丈夫だろ。ほら、ついてきてくれんだろジンジャ」

ライナー「ああ。そうだったな」

コニー「はいよ地図」ペラ

ライナー「お前自力という言葉を知らんのか」

――靖国通り 花園神社方面へ

ガヤガヤ

「……」

ジンジャへ向かう途中、兄貴らしいイイ話してたはずなんだが……

話をぶった切るようにコニーが便所に行ってしまった。まあコニーらしいからいいけどな。

しかし……やはりコニーはサシャ狙いだったか。自覚してるのか微妙だが、応援してやろう。ニヤニヤ

サシャは好きな奴いるんだろうか。食い物以外で。……いなさそうだな。

102 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/23(金) 21:59:21 ID:RG.0XC/Y

トントン



誰だこいつ……?

「なんすか?」

「え?金髪の小さい少年の仲間かって?」

(アルミンのことか?)

「はいそうですが」

「ヅラ屋?オプションの忘れ物?」

(ん!?団長のヅラの話か!?)

「俺が似た装束だったんで届けてくれたと……。わざわざご苦労さんです」

(……これだ!)

「あのすんません。さっき金髪のやつが買ってったやつの、サイズ違いがもう1つ欲しいんですけど」

「店の場所教えてもらっていいすか?あ、すぐそこが店っすか」

「はい。お願いします。じゃあすぐ行きます」

(サイズ違いを購入し、ロッカーの中の本物と交換すればいいんだ。それだけでいい)

103 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/23(金) 22:02:14 ID:RG.0XC/Y

(団長は昨夜、振り向いただけで落ちそうとかなんとか言っていたからな)

(ぶかぶかのヅラにしてしまえばいいだけだ)

(アルミンには悪いが……代わりに団長からお叱りを受けてもらうとしよう)

コニー「ライナー!」

タタタ

コニー「わりいな!いやーチビるとこだったぜ!チビだけに!」

ライナー「おう」

コニー「じゃ行こーぜ!さっきの話のつづ」

ライナー「俺はやらなきゃいけねえことができた。悪いがジンジャへは1人で行ってくれ」

コニー「はあああ!?なんでなんで!?どーした?」

ライナー「すまんな……。地図によると、もうすぐでジンジャのはずだ」

コニー「えー……そーか……わかったよ……ちぇっ」シュン

ライナー「本当に悪いな。それじゃ行くからな」

コニー「ライナーのぶん買っといてやるよ」

ライナー「?」

104 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/23(金) 22:17:17 ID:RG.0XC/Y

コニー「恋愛成就のお守り」

ライナー「……」

コニー「天才だからな」

ライナー「悪いな、頼んだぞ天才」ナデナデ

1605――西口 どっかの物陰かなんか

ゴソゴソ

「ほんとすんませんね、拘束しちまって。22時前に必ず解放しに来ますんで」

「ちょっとの間静かに寝ててくださいね」

トコトコ

ふう。予想外だった。

さっきロッカーの使用方法のところに、鍵紛失の場合は業者が開けてくれると書いてあった。

だからヅラ屋でサイズ違いのヅラを手に入れてから、それを利用して開けてもらう手はずだった。

中身の確認と代金でなんとかなると思ったが、身分証明が必要だったとは。

105 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/23(金) 22:21:56 ID:RG.0XC/Y

俺達は身分証明書もパスポートもない身だからな。

そんで騒ぎそうだったんで……思わずロッカー業者の人間を拘束してしまった。

通報されたら面倒だろうから、22時までは大人しくしててもらう。

ここの人間に手を出すつもりはなかった……だがまあ仕方ない。

ジャラ

この鍵があれば、サイズ違いのヅラを本物と交換できる。

1610――西口 世界時計付近 ロッカー前

キョロキョロ

よし、誰もいねえな。522番っと……。

ガチャ

この袋の中にヅラが……

ゴソゴソ

ん?

106 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/23(金) 22:33:47 ID:RG.0XC/Y

中身がヅラじゃないぞ!?

これは……菓子か?トウキョウ土産?

はっ……アルミンのやつずいぶん能天気な任務やってるんだな……。

間違えた……?いやそんなはずはない。

ヅラ屋の話によると、アルミンがヅラを買ったのは俺達たちに会う前だ。

それならさっきここに来た時点でロッカーにヅラをしまっているはずだよな。

ジャラ

他の番号も開けてみるか。

ガチャ

ゴソゴソ

違うな。

ガチャ

ゴソゴソ

これも違うな。

……どの番号にもヅラがない……だと?

107 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/23(金) 22:41:22 ID:RG.0XC/Y

なぜだ?

いや……。

ないものは交換のしようがない。

はあ。

……帰還前後になんとかするとしよう。

ロッカーの中身をへたに漁れば足がついてしまうからな。今は辛抱だ。

バタン

ガチャ

鍵だけは業者の手元に置いておくか。

トコトコ

108 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/23(金) 23:07:51 ID:RG.0XC/Y

1640――西口から南下 甲州街道

トコトコ

もうすぐ点呼集合の時間だな。

シャシンを現像に出すために、もう一度ヨドバシカメラを目指してみたものの……

いくつも店舗があったんだな……どの建物だっけか?キョロキョロ

現像したシャシンを見せたらきっとクリスタ喜ぶぞ。ニヤニヤ

しかし……なぜ俺は午前中にデンキ屋でフィルムカメラしか買わなかったんだ?ハテ

もっと巨人の殲滅に繋がる優れた機械や情報があったはずだ。着いたらもう一度見て回って……

あれ?

ここは甲州街道か?どうやら南に来すぎてしまったようだな……キョロキョロ



おお!少し遠いが、対岸にアルミンとクリスタがいるぞ!

さっき2人は別々の方向に行ったはずだ。また偶然会ったのか?

なにはともあれ、また会えたなクリスタ///

109 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/23(金) 23:11:02 ID:RG.0XC/Y

ん?

2人の横にクルマが止まった……?

!?

何者かがアルミンの頭を殴ったぞ!?

どうした!?何が起きてるんだ!?

「おい……っ!」

!!

まずいぞ!

アルミンとクリスタがクルマの後方におしこまれた!!

まさかあいつらは……

人さらいか!?

「くそ……ッ!!」ダッ

110 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/23(金) 23:15:47 ID:RG.0XC/Y

ブロロロ……!!

「!!」

クルマが発進しちまった!

「おいっ……待て!!」ダダダ

助けなければ!俺が!!

ガヤガヤ

くそっ!人もクルマも多すぎる!邪魔だ!

このままでは……あのクルマを見失ってしまう!

どうする!?

いや決まってるだろう!!

こっちの人間とのいざこざは避けろとは言われたが……仲間の命を守るためだ!!

立体機動装置を!

バシュー!!

116 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/24(土) 01:13:38 ID:eHczqyLY

ライナー「……っ!」

ダン!!

ライナー(なんとかクルマの上に着地できた!)

キャーザワザワ

ライナー(やはり注目の的、か。無理もない……。速やかに救出せねば!)

ライナー「クリスタ!アルミン!」ドンドン

アルミン「ライナーか!?」

ライナー「ああ俺だ!無事か!」

アルミン「うん!なんとか!」

ライナー「今出してやるから待ってろ!」ジャキン

クリスタ「やめてライナー!!」

ライナー「!?」

アルミン「え!?」

118 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/24(土) 01:19:54 ID:eHczqyLY

クリスタ「開けたらライナーは私のこときっと嫌いになる!」

クリスタ「大嫌いになる!だから開けないで!」

アルミン「状況を考えるんだクリスタ!そんな場合じゃないだろ!」

ライナー「そうだ!開けるぞ!?」

クリスタ「ライナーは……私はわがままと言ったとき、そんなはずないって言った!」

クリスタ「でもそんなはずあるの!わがままで醜いの!だからだめ!」

ライナー(……?)

ライナー「大丈夫だ!どんなクリスタだって俺は引いたりしない!」

ライナー「俺はどんな姿でも、クリスタを嫌いになったりしない!」

ライナー「待ってろ!」スッ

アルミン「待って!僕らかなり窮屈に閉じ込められているんだ!上からはだめだ!」

ライナー「どこをやればいい!」

アルミン「いいか!クルマの背中側にまわっ……」

ライナー「……?」

アルミン「……」

119 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/24(土) 01:22:11 ID:eHczqyLY

ライナー「……なんだ?」

ライナー(声が聞こえなくなったぞ……?)

ライナー「アルミン!聞こえないぞ!背中側がなんだ!」

アルミン「ラッ、ライ…………」

ライナー「どうした!?指示をくれ!クリスタ!?」

ライナー(2人とも……なぜ喋らない?指示が出せなくなったのか?)

ライナー「なんか言ってくれ!」

キャーザワザワ

ライナー(!!)

ライナー(まずい。立体機動を街中にさらしっぱなしだ……)

ライナー(指示を待っても仕方ない……クルマを壊す!!)

ガキィィンッ!!

ライナー(!? 刃が……折れた……!?)

ライナー(うそだろ……もう一度!)

120 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/24(土) 01:24:15 ID:eHczqyLY

ガン!!

ガン!!

ライナー(傷がつかないだと!?)

ライナー(西口ロータリーに入ってさらに人目が増えてしまった、早く!)

ガンッ!

「ライナー!!」

ライナー(声!?)

キョロキョロ

ライナー(ベルトルト!!)

ベルトルト「何をやっているんだ!」

ライナー「人さらいだ!クリスタとアルミンがこの中にいる!」

ベルトルト「!?」

121 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/24(土) 01:29:03 ID:eHczqyLY

ライナー「中の様子がわからないから、うかつにブレードを使えない!」

ベルトルト「乗り物を壊せ!」

ライナー「やっている!全く傷がつかない!」

ライナー(くそ……クルマのスピードが速い!もうあいつから離れちまう!)

ライナー「定期的に煙弾を撃って場所を示す!」

ライナー「もう5時だ!あいつらと合流次第に応援に来てくれ!!」

ブロロロロ

ライナー(くそ!増援はベルトルトに頼んだとして……)

ライナー(どこにも全く刃が立たんぞ!?ありえんだろ!)

アルミン「ライナー!」

ライナー「アルミン!?」

アルミン「僕がなんとかする!」

ライナー「!」

122 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/24(土) 01:43:54 ID:eHczqyLY

アルミン「ライナーは逃げろ!もうじき騒ぎを聞いたケイサツが来てしまう!」

ライナー「馬鹿野郎!仲間を見捨てられるか!俺はお前たちをなんとしてでも助けるぞ!」

アルミン「危険だ!」

クリスタ「ライナー逃げて!」

ライナー「!」

クリスタ「お願い!」

ライナー「クリスタ!」

ライナー「このまま連れ去られちまったら22時には間に合わない!」

ライナー「お前がこの世界に取り残されてしまう!」

ライナー「そんなことさせてたまるか!お前を失いたくない!」

クリスタ「ライナー……」

ライナー「シャシンを一緒に見てくれるんだろう!?1000万円のチケットも俺が持ったままだ!」

123 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/24(土) 01:47:34 ID:eHczqyLY

クリスタ「でも!」

ライナー「クリスタ!俺は!」

ライナー「お前が好きだ!」

クリスタ「!」

ライナー「誰よりも好きだ!わがままで醜かったとしても好きだ!」

ライナー「俺と結婚してほしい!」

ライナー「俺はお前のために、偉くなって、金稼いで、誰より幸せにしてやる自信がある!」

ライナー「巨人に怯えねえ、食い物に困らねえ世界をつくってやる!」

ライナー「クリスタ!俺は!」

ライナー「お前を残したまま!」

ライナー「元の世界には帰れない!」

124 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/24(土) 01:57:29 ID:eHczqyLY

ライナー「もしこのまま取り残されるくらいなら俺も」

アルミン「待つんだライナー!!」

ライナー「!?」

アルミン「僕にして!」

ライナー「ア……アルミン!?」

アルミン「僕を選んでくれクリスタ!」

ライナー「は……おい待てアルミン!お前もクリスタのこと!?」

ライナー「どういうことだアルミン!」ガンガン

ファンファンファン

ライナー(!?)

ライナー(ケイサツ!俺を追ってるのか!人さらいの方をどうにかしてほしいってのに!)

ライナー(逃げるしかないのか……!?)

ライナー(だが……俺が追尾をやめれば2人の行方は分からなくなっちまう)

アルミン「ライナー逃げろ!」

125 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/24(土) 02:01:29 ID:eHczqyLY

ライナー(アルミン!)

ライナー「ああ!お前たちを助けだしてからな!」

ガン! ガン!

ライナー「それに話が終わってない!」

アルミン「あとその話はまたあとだ!」

アルミン「それより逃げろ!ケーサツは遠距離からの攻撃技術を持っている!殺傷能力も高い!」

アルミン「へたに抵抗すれば死ぬ!巨人ではなく、人間に!殺されるぞ!」

アルミン「ここで死んでる暇なんてないだろう!」

ライナー「!!」

ライナー(そうだ……)

ライナー(何をやっているんだ俺は……こんなところで死ぬわけにはいかない)

ライナー(俺は……戦士だろ?生きて!故郷に帰るはずだろう!!)

ライナー「くっ……煙弾を撃つ!あとは他のやつらがくるだろう!待ってろよ!」

ライナー「アルミン!クリスタを頼んだぞ!」

126 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/24(土) 02:02:15 ID:eHczqyLY

アルミン「ああ!」

ライナー(立体機動はもう見られちまってるからな……)

ライナー(あそこの道にさしかかったら陰に飛び込んで、煙弾を打ち)

ダンッ

ゴロゴロ

パーン!!

ライナー(一気に跳ぶ!)

バシュー!!

ライナー(そして走れ!繁華街だ!とにかく人ごみへ走れ!)

ダダダ……

133 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/24(土) 23:42:17 ID:4Mz1jpHU

1720――新宿2丁目

タタタ……!!

「はあっ……はあっ……っ」

さっきサシャに出くわしたが、言ったとおりクリスタとアルミンの救助に行けただろうか。

無事だといいが……。

クリスタ。

勢いあまって告白しちまった……。

……いや、今は自分のことだけ考えるんだ。

もうだいぶ遠くまできた。

立体機動で跳んだおかげで、今俺を追ってるケイサツは2人のみ。

あいつらに背を向けてる今この状態で発砲されることはなさそうだ。

行儀が良い奴らでよかったぜ全く。

しかし治安を守るってわりに体力ねえな。じきに巻けるだろう。

134 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/24(土) 23:56:03 ID:4Mz1jpHU

あれだけの騒ぎを起こして捕まっちまえば、おそらく帰還時間に間に合わない。

そうなるわけには……

!!

前方からケイサツが2人!!

ザザッ

ちっ!抜かった!逃げ場がねえ!キョロキョロ

立体機動を使った所で、騒ぎが大きくなる一方だ。しかし……。

どうする……?

ジリ

ジリ

135 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/25(日) 00:02:06 ID:K2PiHM7Q

ズルッ

!?

は……何か踏んで……滑っ?

缶、コーヒー缶で……

ドサッ

!!

ズササッ

「ぐっ……うっ……クソ!」

すっ転んだところを押さえられちまった!4人がかりはやばい……!

道端に缶捨ててんなよ!糞野郎!ジタバタ

136 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/25(日) 00:07:05 ID:K2PiHM7Q

「!?」

「……は!?」

大型書店で刃物振り回したのも、カラオケ店で迷惑行為したのも、地下道走り回ったのもお前かって?

「知らねえよ!」

なにぬかしてんだこいつらは!

「はなし……やがれ!……ぐうっ……っ!」

動けねえ……っ!

ちくしょう!

俺はここで終わるのか?

こんなくだらねえ世界を観光して終わりなのか?

いや、

ここで死んでる暇なんてないとさっきも言ったろ!

故郷に帰るまでは死ねないと!

そうだ。

137 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/25(日) 00:14:50 ID:K2PiHM7Q

ためらう必要ないはずだ。

故郷に帰るためにならなんだってしてきたんだ。

今日だってロッカー業者拘束しただろ。

今更だ。

人通りは少ない。

腕一本、一瞬でいい……それでこいつらは十分やれる。

俺は、人間より強い!

俺は、戦士……巨人だ!!

……ッ!!

「ちょっと待ちなさいアンタたち!!」

!?

白に花柄のワンピースの……お、女……?

138 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/25(日) 00:19:03 ID:K2PiHM7Q

いや……いいケツしてるが、髪短いよな……図体もでかいぞ?

黄昏時でよく見えん……。

「さっきからアタシの店の前でうるさいのよ!」

「ほらほら早くどきなさい!素敵なコたちが他に取られちゃうじゃない」シッシッ

「責任とりなさいよ。ねえ?」

「あら」

「ケイサツのお兄様いい筋肉してんじゃなあい。ここにホクロがあるのね」

「たくましいくせに、腰つきも中々きれい……」

「そこらへんの女の子より……キモチイと思うんだけど?」

「ねえ……?」

なんだこいつ!?ケイサツを誘ってんぞ!?

139 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/25(日) 00:20:52 ID:K2PiHM7Q

オイオイどうなってんだこの異様な空気……

パーン!!

パーン!!

今度は何だ!?

パーン!!

煙幕!?まさか兵団の信号弾か!?連続で……

パーン!!

!!

ケイサツの拘束力が弱まった!!

今しかない!!

ライナー「ぐうっ……うぉぉおおお!!」

ダッ!!

142 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/25(日) 00:23:36 ID:K2PiHM7Q

ダダダ!!

あの女性と目眩ましのおかげで逃げ出せた!

「ライナー!」

ライナー「誰だ!?」キョロキョロ

ユミル「おら早くしろ!」クイクイ

ライナー「ユミル!?煙幕はお前が!?」

ユミル「こっちだ!」

ダダダ……!!

144 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/25(日) 00:44:29 ID:K2PiHM7Q

1730――新宿2丁目脱出 どっかの物陰

ドサッ

ライナー「はあっ……助かった……」ゼェハァ

ユミル「ふう……この借りはでけえぞ」

ライナー「ああ。あそこ一帯は雰囲気が違ったな……急いてて見てなかったが」

ユミル「シンジュク2丁目だからな」

ライナー(だからなんだってんだ?)

ユミル「この駐車場で休んでくぞ。もうすぐジャンも来るはずだ」

ライナー「煙弾が連続発砲だったんで、複数人だとは思っていた。もう1人はジャンか」

ライナー「お前らが目眩まししてくれなかったら……俺はとっくにお縄だった」

ライナー(頼りになる仲間がいることに感謝しなければな)ウンウン

ユミル「……」

ライナー「?」

ユミル「それはさておきだな。お前……クリスタはどうした?」

145 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/25(日) 00:59:12 ID:K2PiHM7Q

ライナー「アルミンと一緒にクルマでさらわれた……」

ユミル「おいおいライナーさんよ。私はお前に気を抜くなと言ったろ」

ライナー「ああ。だから早く行かにゃならん」

ユミル「いやお前は動くべきじゃない。またケイサツと追いかけっこしたいなら別だが」

ライナー「……」

ユミル「行ったところで……もう決着はついてんじゃねえの」

ライナー「どういうことだ?」

ユミル「予感だ」

ライナー「無事だろうか……。まだ答えを聞いていないってのに」

ユミル「は……告白でもしたのか」

ライナー「ああ。しかしまさかアルミンもクリスタに惚れていたとは」

ユミル「まじかよ」

ライナー「大まじだ。クリスタに惚れた時点で恋敵は大勢いると覚悟していたから、別段どうってこともないが」

ユミル「私も恋敵だぞ」

shiro1011
shiro1011
@shiro1011

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ダリス・ザックレー(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

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ダリス・ザックレーとは『進撃の巨人』の登場人物で憲兵団・駐屯兵団・調査兵団の3つの兵団を束ねる総統。特別兵法会議においてエレン・イェーガーの処遇を調査兵団に委ねた人物である。王政編では調査兵団団長のエルヴィン・スミスや駐屯兵団司令官のドット・ピクシスらと共にクーデターに加担する。実はエルヴィンが決起する以前から王政に根深い嫌悪感を抱いており、密かに体制転覆の機会をうかがっていた。王都制圧後は身柄を拘束した王政幹部達に喜々として拷問を行っている。

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進撃!巨人中学校(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

進撃!巨人中学校(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『進撃!巨人中学校』とは中川沙樹が描く、諫山創の『進撃の巨人』の公式学園パロディ漫画。2015年にProduction I.G製作でアニメ化。前半をアニメパート、後半を出演声優たちによるバラエティ番組の実写パートとして30分枠で放送。中学生になったエレン・イェーガーは進撃中学校へ入学する。学校には巨人も在籍しており、エレンは巨人に恨みを持っており巨人を駆逐しようと非公式部活「調査団」へ入部した。

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ミカサ・アッカーマン(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

ミカサ・アッカーマン(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

ミカサ・アッカーマンとは諫山創による漫画『進撃の巨人』の登場人物で、主人公エレン・イェーガーの幼馴染。本作のヒロイン的ポジションで、幼い時にエレンに助けられた経験から、彼を守ることを自分の使命だと考えている。驚異的な身体能力を持ち、トップの成績で訓練兵団を卒業。実戦でも1人で複数の巨人を討伐する実績を残す。性格は寡黙で口下手だが、エレンのこととなると取り乱す一面もある。物語後半において、母方の祖先が東洋にあるヒィズル国将軍家だったことが明らかになった。

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クリスタ・レンズ/ヒストリア・レイス(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

クリスタ・レンズ/ヒストリア・レイス(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

クリスタ・レンズ(ヒストリア・レイス)とは、諫山創による漫画『進撃の巨人』の登場人物。第104期訓練兵団卒業生であり、主人公エレン・イェーガーは同期の1人。小柄で温厚、思いやりのある可愛らしいアイドル的な存在として登場する。同期のユミルと仲が良い。成績10位以内に入っているが、実際はユミルからその座を譲られただけで身体能力は人並みである。本名はヒストリア・レイスといい、壁内世界の真の王家の末裔であることが後に発覚する。

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イェレナ(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

イェレナ(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

イェレナとは『進撃の巨人』の登場人物で反マーレ派義勇兵の中心人物。マーレに滅ぼされた国の出身で、「獣の巨人」継承者で王家の血を引くジーク・イェーガーの信奉者として活動し、パラディ島の近代化に大きく貢献した。ジークの提唱する「エルディア人安楽死計画」達成のためなら寝食を共にした仲間すら殺害する冷酷な性格の女性。しかし実際にはマーレの被害者というのは虚偽であり、「世界を救う英雄」に憧れているだけのごく一般的なマーレ人である。

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ジャン・キルシュタイン(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

ジャン・キルシュタイン(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

ジャン・キルシュタインとは『進撃の巨人』の登場人物で、調査兵団に所属する兵士。第104期訓練兵団を6番で卒業した。自己の保身を第一に考える現実主義者で、思ったことを率直に言い過ぎる性格からたびたび主人公のエレン・イェーガーと対立していた。当初は巨人の脅威から逃れるために内地への配属を希望していたが、友人のマルコ・ボットが戦死したことで考えを大きく変え、調査兵団に入団する。入団後は持ち前の現状把握能力を活かして同期のまとめ役として活躍した。

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フリーダ・レイス(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

フリーダ・レイス(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

フリーダ・レイスとは『進撃の巨人』の登場人物であり、レイス家の長女。黒髪で青い瞳を持つ。レイス家当主のロッド・レイスとその正妻の第1子として生まれた。表向きは地方の貴族として振る舞っているが、実際は壁内の真の王家の末裔。レイス家に代々引き継がれている特別な巨人能力を叔父のウーリ・レイスから引き継ぎ、宿している。本人の飾らない性格は多くの者から慕われており、妾の子である異母妹ヒストリアにも姉として優しく接していた。

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