【進撃の巨人】リヴァイ班「生存戦略、しましょうか」【厳選名作SS】

進撃の巨人の厳選名作SSを掲載しています。女型の巨人との戦いで死んでしまったリヴァイ班。しかし謎の部屋に辿り着き…。何度も生き返り何度も戦いを繰り返すリヴァイ班の命運は?

55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/23(日) 17:07:10.55 ID:Sktjetxr0

―――――――
―――――
―――

オルオ「…………」

オルオ「…………」

オルオ「……三度目も、ダメ…だったか」

オルオ「また、巨人を呼びやがったな……クソ野郎め」

ズシン…ズシン……

―――ガシッ

オルオ「………イテエな……触るんじゃねえ……クソが」

オルオ「手に力が……入んねえ……こいつのアホ面に、刃をぶッ刺してやりてぇのに………」

オルオ「…………!」

オルオ「あ、の……クソガキが……!なんで……戻ってくんだよ……!!」

オルオ「馬鹿が……!!」

ああ、また………同じ。

―――カッ

BAD END

56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/23(日) 17:20:59.45 ID:Sktjetxr0

ガチャ

オルオ「……」

「「「………」」」

エルド「…ダメだったな」

オルオ「すまん。俺が負傷しなければ……クソ」

ペトラ「巨人化した時点で負けのようなものよ。二度目と一緒の展開だったもの」

グンタ「でも、二度目より惜しかったと思うぞ。エルドとオルオが両腕を落とした後、本当にあと一瞬あれば……」

エルド「確かにな。もう一回この作戦で試してみるか?」

ペトラ「やってみましょうか」

ガチャ

「あ!帰ってきた!あんたらほんといい加減に

エルド「そぉい!!」シュッ

「貴様…」ドサッ

オルオ「フン…リベンジと洒落こむか……」

ペトラ「そうね」

……ガチャ……

57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/23(日) 17:23:21.51 ID:Sktjetxr0

――――――
―――


―――カッ

BAD END

58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/23(日) 17:23:57.56 ID:Sktjetxr0

ガチャ

エルド「……っくぁあああああああああああああ!!」

グンタ「なんでだぁあああああああああああ!!!」

オルオ「落ち着け!!お前ら!!!鼻水ふけよ汚えな!!!」

ペトラ「まあまあエルドもグンタも……どうどう」

エルド「ハァハァ……くそ!今度こそうまくいくと思ったのに」

オルオ「俺も負傷しなかったしな……やっぱり巨人化されると厄介だ」

ペトラ「4回も死ぬことになるとはね…」

グンタ「だめだな……ちょっと慣れてきた」

エルド「それほんとにだめだろ……畜生」

65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/26(水) 05:32:51.20 ID:ZN0Z7Ij80

グンタ「でも諦めてたまるかこんちくしょう!こうなったら10回でも20回でも死んでやるよ!!」

エルド「しかし、打つ手がなくなってきたぞ。女型出現からの全滅ルートはもう試したくない」

ペトラ「強すぎでしょあいつ」

オルオ「俺にひとつアイディアがある……」

グンタ「お?なんだ?」

オルオ「聞きたいか…?斬新でなおかつ画期的な俺の秘策を……お前らの頭では到底考えつかないだろうな」

ペトラ「焦らさなくていいから。早くしないと死神きちゃうよ」

オルオ「……フッ…」

オルオ「生存戦略、これで終いだ!」

66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/26(水) 05:33:22.58 ID:ZN0Z7Ij80

エルド「…………馬に乗って逃げる?」

ペトラ「秘策って言うから……何かと思えば……」

オルオ「おい!なにがっかりした顔してんだ!?今までとは違う方向の作戦じゃねぇとやる意味ねえだろうが!」

オルオ「まずな。これまでと違って信号弾をこちらから撃たなければ、馬まで戻る時間が稼げる」

グンタ「ほう」

オルオ「馬に乗ったら一気に本部へ走る。俺たちに足りないものは圧倒的に人数だろ」

エルド「だが、女型が捕縛される前にも奴に追いかけられたが、あの時も間一髪だったろ」

エルド「ましてや今度は時間を稼いでくれる兵士も……いないんだ」

オルオ「あの時は開けた一本道での追いかけっこだったろうが」

ペトラ「そっか!本部への道は木が乱立してるわね。それだったら小回りがきく馬に有利で、女型に不利ね」

67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/26(水) 05:35:02.69 ID:ZN0Z7Ij80

グンタ「……女型が現れたら、俺が立体機動で時間稼ぎをする。3人はエレンとともに本部へ行ってくれ」

オルオ「ああ!?なに下らねぇことほざいてやがるこの毬栗頭が…!」

ペトラ「ちょっ……全員生存を目指すって話だったじゃない!」

グンタ「それより優先すべきなのはエレンの命だっていう話でもあったろ」

エルド「……俺もやる。ペトラとオルオ、頼んだぞ。エレンはお前らによく懐いてたしな」

ペトラ「二人とも!急になに言ってるのよ、やめてよ……」

オルオ「なにかっこつけてやがんだ馬鹿め。それなら作戦言い出しっぺの俺がやる」

グンタ「まっ、たまには先輩を立てろっつー話だ」ニッ

エルド「そういうことた。後のことは頼んだぞ、二人とも」ニッ

ペトラ「……」

オルオ「……」

68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/26(水) 05:35:35.90 ID:ZN0Z7Ij80

エルド「はは、なに泣きそうになってるんだ、オルオまで」

グンタ「よしよし、いい子だな二人とも」ワッシワッシ

ペトラ「やめてよ子どもじゃないんだから!っていうか泣いてないし別に……!」

オルオ「おい髪型崩れるだろうが!!この野郎!やめろってんだよ!!」

エルド「今回は大分シンプルな作戦だな。もう決めることもないだろう」

グンタ「やるべきことをやるだけだな。あとはあいつが来るのを待つだけだ」

ガチャ

「こらっあんたら―――

ペトラ「せいっ!」バシッ
オルオ「おらぁ!」ドカッ
エルド「ふんっ!」ゲシ
グンタ「はっ!」デュクシ

「」バタリ

……ガチャ……

69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/26(水) 05:36:14.09 ID:ZN0Z7Ij80

――――――――
―――――
―――

エレン「すげえ!空中で……

ペトラ「エレン、静かに!」

エレン「…へっ?」

エルド「今から迂回ルートを通って馬をとりに行く。全員フードを被るんだ」

グンタ「詳しいことは後で説明するからな、とりあえずしたがってくれエレン」

オルオ「ぎゃーぎゃー喚くんじゃねえぞ……ガキ」

ペトラ「女型が来るからね」

エレン「え?」

エレン「……え?」

70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/26(水) 05:36:56.62 ID:ZN0Z7Ij80

エレン(なんで先輩みんな、急に様子が変わったんだ?)

エレン(つーか女型ってさっき捕えられてたよな…?)

エレン(でもなんだか質問できない雰囲気だ……)

パシュゥゥゥ

エレン「! 信号弾……」

エルド「女型が撃ったんだろう。まだここから遠いな。でも急ごう」

グンタ「ああ」

71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/26(水) 05:37:22.52 ID:ZN0Z7Ij80

ペトラ「よし…!馬まで戻ってこれた……っ」

オルオ「ここからが勝負だぜ……すぐ出発するぞ!おらさっさと乗れクソガキ」

エレン「えっ は、はい」ワタワタ

エルド「行くぞ!」

ドドドドドド………

エレン(うっ、木がたくさんあるところはさっきの道より馬の操作が難しいな)

エルド「……」
グンタ「……」
ペトラ「……」
オルオ「……」

エレン(森は静かだ……この森のどこかで、本当にまだ女型の巨人が俺を探してるのか?)

エレン(先輩方を信じてないわけじゃないが……どうにも様子がおかしいような)

72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/26(水) 05:37:57.48 ID:ZN0Z7Ij80

ヒュンッ

「……!」

カッ!

女型「……っ」ダッ

ドドドドドドドドッ……

ペトラ「!! 来た!女型……!!」

エレン「な……まさか!?」

オルオ「こら、ガキ!!振り向くんじゃねえ!フード被ってる意味を考えろ!!」

グンタ「来たか…。ペトラ、味方に向けて信号弾を撃っとけ。二人とも、頼んだぞ」ヒュッ

エルド「エレン!生き伸びろよ!!」ヒュッ

エレン「っ!?」

73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/26(水) 05:38:29.70 ID:ZN0Z7Ij80

エレン「エルドさん、グンタさん!?なんで……っ」

ペトラ「前を向いて!エレン!!」

エレン「でも二人だけじゃ……いくらなんでも、無茶でしょう!それじゃあまるで、さっき殺されてった兵士たちみたいに……!!」

オルオ「それでも、前を向けっつってんだよ!」

エレン「なんでですか!?俺とみなさんで戦えば、勝てるかもしれないじゃないですか!!」

オルオ「だめだっつってんだろ!物わかりの悪ぃ餓鬼だな!」

オルオ「あいつらが稼いでくれてる時間を無駄にすんじゃねえ!!さっさと腕を下ろして手綱を握れ!!!」

ペトラ「……エレン!」

エレン「……っ」

74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/26(水) 05:39:16.38 ID:ZN0Z7Ij80

エレン(……見捨てろって言うのか!?)

エレン(俺の命のために戦ってくれてる、二人が……死ぬのを、ただ見てるだけしかできないのか?)

エレン(そんなことしたくない。エルドさんにも、グンタさんにも死んでほしくない。そんなの嫌だ……)

エレン(嫌だ。もうこれ以上、誰かが目の前で死ぬのを見たくない。嫌だ。嫌だ。嫌だ……!)

ガ、リ……ッ

オルオ「おい!!」

ペトラ「エレン」

ペトラ「あなたは兵士でしょう!?」

エレン「……!?」

75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/26(水) 05:39:56.58 ID:ZN0Z7Ij80

ペトラ「エレンの考えてること、分かるよ」

ペトラ「でもね、兵士になった以上、あなたの心臓はその胸の中にないわ」

ペトラ「そしてその心臓を預かってる人類の代表の、団長や兵長が、あなたの命は私たちより重いって判断したのよ」

ペトラ「だから私たちは命を投げうってでもあなたを守る。兵士として……仲間として」

ペトラ「エレンも兵士なら、四の五の言わず!!私たちに守られて!!!」

ペトラ「それがどんなに辛くっても、私たちを見捨てて自分の命を優先して!!! いい!?」

エレン「………っ」

エレン「……納得できません」ギリッ

オルオ「エレン!」

エレン「ですが、従います……! 兵士ですから!!」ギュッ

ペトラ「……ありがとう!」

76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/26(水) 05:43:33.00 ID:ZN0Z7Ij80

ドドドドドドド

オルオ「この先、後ろでどんな音が聞こえても、絶対振り返るな」

エレン「…はい」

ペトラ「全速力で馬を走らせることに、集中し続けて!」

ドドドドドドド

77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/26(水) 05:44:04.15 ID:ZN0Z7Ij80

ヒュンッ
ヒュッ

ザクザクザクッ……
ズバッ!

プシュゥゥ…

―――エルドっ

ブンッ

…グチャァッ

78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/26(水) 05:44:35.34 ID:ZN0Z7Ij80

―――くそっ!

ヒュッ
パキンッ

ドッ ドッ ドッ ドッ…

ヒュンッ…ヒュ、

パシッ

―――ぐぁ……っ

ブチブチブチブチ

ブチブチブチブチ

ブチブチブチブチ

―――ぁ…

ブチ

79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/26(水) 05:45:03.56 ID:ZN0Z7Ij80

エレン「……っ……!」

オルオ「本部まで3分の2あたりまで来た…!あいつらのおかげだ……ッ」

ペトラ「絶対に生き延びてやる!!絶対よ!!」

ドドドドドドドドドドドドドドドド

エレン(さっきより、足音が近くなってきてる!)

ペトラ(まずい……こうなったら、私が)

オルオ「ペトラ、このクソガキを頼んだぞ!」ヒュッ

ペトラ「は!?オルオ、なに勝手に…!!」

オルオ「生きろよ!!俺らの分までな!」ジャキッ

エレン「オルオさ……っ」

ペトラ「……馬鹿!」

ペトラ「………ばか…っ」

80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/26(水) 05:45:52.56 ID:ZN0Z7Ij80

ドドドドドドドドドドドドドドドド

ペトラ「本部まで半分は過ぎたわ!このペースで、行けば!」

エレン「はあ…はあ…!」

エレン(オルオさんが、今も一人で…戦っている)

エレン(エルドさんとグンタさんの死を無駄にしないためにも……前を向いて、進み続けることがきっと正解なんだ……!!)

ブチッ
―――ドォン!

エレン「!?」

エレン(い…今の音は……? まさか、…………)

エレン(…………)

エレン(…………)ギュッ

81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/26(水) 05:48:37.82 ID:ZN0Z7Ij80

ペトラ「このまま逃げ切る!!みんなの……おかげで!!距離は十分あるわ!!」

エレン「…はい!!」

ドドドドドドドド、…………

ペトラ(……!?背後からの足音が……消えた?)

ペトラ(諦めたの…?いや、それほど絶望的な距離でもないはず)

ペトラ(……なに?)

ヒュッ……
バキッッ!!

エレン(な……なんの音だ?)チラ

82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/26(水) 05:49:07.68 ID:ZN0Z7Ij80

女型「………」

エレン(……折った木を持ってる? そんなもので何を……)

女型「……」スッ

エレン「………!」

ペトラ「…!? エレン、振り向いちゃ………」

エレン「木を、投げるつもりだ!!!ペトラさん、避けて!!」

ペトラ「ぇ…」

ブンッッッ!!

ヒュゥゥゥゥゥゥゥ………

―――ドガァアァァアアアアアアアアアアアアアアアアンッッ

83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/26(水) 05:49:33.92 ID:ZN0Z7Ij80

ズシン…ズシン……

エレン「がはぁ……っ」ビチャビチャ

エレン(体が…動かない……腕はあるか?……足は?……目が…開けられない……)

エレン(一体……どうなったんだ……?)

エレン(確か…投げられた大木は、直撃して……そうだ、ペトラさんは………どうなって……)

エレン「……トラ……さ……」

エレン(…くそ、これが邪魔で……うまく、周りが、見えねえ……)

エレン(んだよ、これ………蒸気……?そんなの、一体どこ、から……)

エレン(……?)

エレン(俺の……体から…?)

エレン(…ああ……そうか)

84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/26(水) 05:50:08.21 ID:ZN0Z7Ij80

ズシン、ズシン……

エレン(俺は化け物だった)

エレン(巨人みたく、体が再生するんだったな……トカゲみたいで気持ち悪い、って……兵長が言ってたっけ……)

エレン(……ちがう、ペトラさんを……探さなくちゃ……)ズリ…ズリ……

ペトラ「 」

エレン「ペトラさん。ペトラさん……」

85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/26(水) 05:51:01.25 ID:ZN0Z7Ij80

エレン(ペトラさんの体からは、蒸気がでていない)

エレン(当たり前だ。ペトラさんは人間なんだから)

エレン(流れた血は戻らない。負った傷は治らない)

ズシン…ズシン……

エレン(誰のせいだ?)

エレン(…俺のせいだ)

86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/26(水) 05:51:28.28 ID:ZN0Z7Ij80

ズシン……

女型「……」

エレン(化け物扱いをされるのが、本当は、嫌だったんだ)
(そんな中、先輩方が仲間だって言ってくれたから)

エレン(俺への罪滅ぼしにと、手の甲を揃って噛むような)
(優しい人たちだったから)

エレン(暖かいその場所が居心地良かったから……)

エレン(みんなを信じて戦えば、もっと『仲間らしく』なるって)
(そう思ってたんだろ?)

エレン(馬鹿だな)
(そんな甘えた考えが、みんなを殺したんだ)
(……俺のせいだ)

87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/26(水) 05:52:30.36 ID:ZN0Z7Ij80

エレン「ペトラさんの言ったことは守りますよ」

エレン「こいつを殺して、俺は生きます」

エレン「ああ、それにしても」

エレン「……最初から」

エレン「自分だけを信じて」

エレン「戦っていれば」

エレン「こんなことにならずに」

エレン「済んだのに…!!」

―――ガブッ!

BAD END

92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/26(水) 23:22:43.73 ID:ZN0Z7Ij80

エルド「あいつらうまくやったかなー」

グンタ「だといいな」

エルド「あいつらが生き残ってくれるなら、もう生存戦略しなくていいよな」

グンタ「だな」

ガチャ

オルオ「……よう」

エルド「あー」

グンタ「駄目だったか」

オルオ「でもペトラが」

グンタ「そうか。あいつは来ないといいな」

ガチャ

ペトラ「………はぁ~~~~~」

ペトラ「木を折って、投げるってアリだと思う!?普通、ナシじゃないのそういうの!?」

エルド「あー」

グンタ「結局全滅だったか」

オルオ「なにやってんだよ……」

93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/26(水) 23:26:37.79 ID:ZN0Z7Ij80

オルオ「五度目も失敗か」

ペトラ「木さえ投げられなければなぁ。本部へ行ける感じだったのに」

エルド「ああ……」

グンタ「……これまでの作戦を微調整して、もう一度やるか」

エルド「もしかしたら少しの変化で、運命が変えられるかもしれない」

ペトラ「…そうね!」

それから俺たちは何度も何度も女型戦を繰り返した。

これまで得た知識を総動員し、女型対策を考え抜いた。

現世に戻っては、またあの部屋へ戻って死神のようなものに説教を食らい、

そしてまた現世に無理やり戻って、殺されて。

その繰り返し。ずっと、ずっと、ずっと、ずっと。

しかし、何度やろうと結果は同じだった。

94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/26(水) 23:33:22.28 ID:ZN0Z7Ij80

「あああもう!!あんたらほんと何回目!?ねえ何回目!?」

「こっちだってさあ、仕事でやってんの!!分かる!?」

「次脱走したら、あの世へすら連れていかないからね」

「彼岸と此岸の間を、永遠に一人でさ迷い続けることになるよ」

「真っ暗で寒くて怖いよ。それが嫌ならここにいてください。いい!?」

「次やったら、本当の本当に、死より辛い結末が待ってるからね!!」

「じゃあちょっと手続きしてくるから!!!じっとしてなさい!!!」

バタン

95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/26(水) 23:38:04.52 ID:ZN0Z7Ij80

シーーーン

ペトラ「……。……あの世って、どんな感じなのかな」

オルオ「……死んだ奴、みんないるんじゃねぇか。あの世なんだからよ」

エルド「さすがに巨人はいないだろうな……」

グンタ「いねえだろ………」

オルオ「巨人のいない世界か……」

ペトラ「みんなは、巨人がいなかったら兵士じゃなくて何になってたの」

エルド「そんなこと想像したことすらなかったな」

グンタ「……そうだなぁ……なんだろう」

エルド「でも……まあ、親孝行したいな。俺は」

オルオ「ああ……」

96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/26(水) 23:42:27.32 ID:ZN0Z7Ij80

グンタ「……いいところなのかもしれないな」

オルオ「巨人がいねぇってだけで、どんな環境でも俺たちがいた世界よりはいいところだろ」

エルド「ははは。違いないな」

ペトラ「死んでいったみんなにも、会えるんだよね。それで…それで」

ペトラ「もう誰かが死ぬのを見続けなきゃいけないこともなくなるよね」

オルオ「そうだな」

エルド「壁もないんだろうな。どこへでも好きなところへ行けて」

グンタ「ああ、なんでも好きなことして暮らしてさ。腹いっぱい食って騒いで」

ペトラ「きっと、楽しいだろうね」

エルド「楽しいだろうな、きっと」

97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/26(水) 23:49:16.96 ID:ZN0Z7Ij80

「…………」

エルド「……あと、女型に挑むチャンスは一度きりしかない」

エルド「これに失敗したら本当の本当にバッドエンドだ」

エルド「みんな、目をつぶってくれ。勿論俺もつぶる」

エルド「もうなす術がなくても、これまで何十回と失敗していようと、それでも」

エルド「……それでも、ラストチャンスに賭けるという奴は、手を上げてほしい」

エルド「これで最後だ。自分に正直に答えてくれよ」

ペトラ「……ええ…」

グンタ「……」

オルオ「……わかってらぁ」

98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/26(水) 23:49:47.92 ID:ZN0Z7Ij80

エルド「……みんな、決めたか?」

エルド「じゃあ、目を開けるぞ」

「…………」

エルド「………」

エルド「お前ら、やっぱ馬鹿だな」

ペトラ「エルドだって、手を上げてるじゃない?」クス

オルオ「全員救いようのねぇ馬鹿ってことだ……」

グンタ「よくやるよな、俺たちも…」ハァ

99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/27(木) 00:10:41.37 ID:Os9k4iQT0

グンタ「正直言うと、怖いけどな。まあ……勝手に手が挙がっちまったんだ」

オルオ「けっ、情けねぇなグンタ……」ガクガクガクガク

ペトラ「オルオ、膝笑ってるけど」

エルド「無理すんな」

エルド「……さて。じゃあ最後の作戦会議だが」

オルオ「どうすんだ?もう考えうることは全てやったぞ」

グンタ「これまでと同じじゃ生き残れない。発想を飛躍させなくちゃな」

エルド「………成功率は、かなり低いと思うんだが」

エルド「アイディアがなくも、ないかもしれん」

ペトラ「本当!?さっすがエルド!」

オルオ「いよっ副リーダー!」

エルド「やめろ」

100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/27(木) 00:15:46.77 ID:Os9k4iQT0

グンタ「話してくれ、エルド」

エルド「ああ、それは―――

ペトラ「待った!まだあれ、私言ってないよ!」

オルオ「俺への告白のことか?それなら別に言わなくても伝わってるが?」

ペトラ「違う!」

ペトラ「これで最後にするんだから……よっし!」スーハー

ペトラ「せいぞん!!せんりゃくぅぅぅーーーーーーーーーーーーーーーーっっ!!!」

101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/27(木) 00:25:07.88 ID:Os9k4iQT0

――――――――
―――――
――

エレン「すげえ!く

オルオ「エレン、黙れ」

エレン「え!?」

ペトラ「今からエレンに話すことは、全部事実だからよく聞いてね」

グンタ「なんで知ってるかはいつか話すからな」

エレン「はい?」

エルド「女型捕獲作戦は失敗した。逃げた奴が兵士の格好をして、エレンを狙って間もなく襲ってくる」

エレン「は…はい!?」

エルド「エレン。奴が巨人化してやって来たら…………」

102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/27(木) 00:25:34.04 ID:Os9k4iQT0

エルド「俺たちと一緒に、戦ってくれ」

103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/27(木) 00:26:36.45 ID:Os9k4iQT0

エレン「………は、はい!!」

ペトラ「頼りにしてるよ、エレン!」ニコ

グンタ「俺らを今まで散々信じてくれたからな。今度は俺らがエレンを信じる番だ」

オルオ「期待はしてねえが……俺らが全力でサポートしてやるんだ、半端だったら承知しねぇぞ!!」

エレン「……勿論です!」

エルド「やるぞ……5人で!!」

エルド「全員必ず生きのびろ!!!」

104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/27(木) 00:27:52.35 ID:Os9k4iQT0

――――――――
―――――
――

数分前

グンタ「は!?エレンを一緒に戦わせる!?」

ペトラ「な…なに言ってんの?それじゃあ本末転倒じゃない」

エルド「もうこれしかないだろ。考えつく最善策はすべて実行した」

エルド「で、結果どうだ?全滅を一度も免れることができなかった」

オルオ「……」

エルド「きっとそれじゃあだめなんだ。俺たちとエレンの運命を……運命って奴が本当にあるなら……それを変えるためには」

エルド「大きなリスクを冒すことも必要だと、俺は思う」

グンタ「リスクか。エレンは一度、トロスト区奪還の時に巨人化の自制ができていなかったと聞く」

ペトラ「それに女型は硬化ができたりするし、たぶんエレンよりも巨人化に熟知してるわ」

オルオ「あいつが負ける可能性の方がはるかに高いな。いや、俺たちのサポートがあればどっこいどっこいくらいか?」

105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/27(木) 00:28:19.49 ID:Os9k4iQT0

エルド「ああ。問題は山積みだ。だからこの策はかなり成功率が低い」

ペトラ「……」ゴクリ

オルオ「……ラストチャンスに、あえて一番成功率が低い作戦をやるのか」

グンタ「……」

グンタ「……今度は俺らがエレンを信じる番じゃないのか?」

ペトラ「…え?」

グンタ「これまで、何十回と女型に挑んできて、何十回もエレンに『俺たちを信じろ』と言い続けてきたが」

グンタ「あいつがそれを断った時があっただろうか?」

106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/27(木) 00:34:39.86 ID:Os9k4iQT0

エルド「……ないな」

ペトラ「そうね。いつも私たちを信じてくれた」

オルオ「渋々のときもあったけどな」

グンタ「だろ? だから俺たちも信じようぜ、あいつを」

グンタ「あいつならきっと、巨人化を制御できる。俺たちとエレンが揃えば、女型だって倒せるはずだ」

グンタ「あいつだってリヴァイ班なんだからな」

エルド「そうだな…」

ペトラ「…そうだよね。私たちがエレンを信じなくてどうするって話よね!」

オルオ「別に奴を頼りにするわけじゃねぇが……それしか策はないっつーんなら……やってやらんこともない」

エルド「じゃあ、決まりだな」

107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/27(木) 00:37:38.35 ID:Os9k4iQT0

――――――――
―――――
――

ヒュンッ、ヒュンヒュン

ペトラ「よし、なんとか無事に馬まで戻れたね」

オルオ「さっさといくぞ…。時間がねぇ」

エレン「……あれ?あの…本部はそっちじゃないと思いますが」

グンタ「本部へ向かうんじゃない」

エレン「……え?」

エレン(じゃあ…どこへ?)

108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/27(木) 00:47:15.84 ID:Os9k4iQT0

ヒュンッ…

「……!」

カッ!

ペトラ「!! 女型が来た!!」

エルド「エレン!!」

エレン(本当に……女型が!?)

エレン「は、はいっ!」スッ

グンタ「エレン!俺たちがお前のサポートをする。だからお前は全力で女型に向かえ!!」

エレン(みんなが、俺を信じてくれてる。俺も、4人を信じている)

エレン(先輩方がいれば………こいつだって……絶対殺せる!!)

ガブッ

―――カッ!

109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/27(木) 00:48:06.38 ID:Os9k4iQT0

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

エルド「立体機動に移るぞ!!」ヒュッ

グンタ「エレンと女型の戦いに巻き込まれないように気をつけろ!」

エルド「あくまでサポートだからな!まずは目、次に腱だ!」

ペトラ「ええ、分かってる!!」ジャキッ

オルオ「油断するんじゃねぇぞお前ら!!」ヒュッ

111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/27(木) 00:56:09.30 ID:Os9k4iQT0

ドシュッ
ザクザクッ

エルド「視力を奪ったぞ!」スタッ

グンタ「何回も実践済みだからな。お手のもんだ」

「ガァアアアアアアアアアアッ!!」

バキッッ

ペトラ「エレン……すごい……!」

オルオ「視力が回復される前に、腱と体中の筋肉を削ぐぞ!!」

114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/27(木) 01:02:35.04 ID:Os9k4iQT0

―――ザクッ

エルド「…よし!これで奴はしばらく動けないぞ!!」

ドガッ
バキッッ

ペトラ「エレンが圧倒してるわ。これで隙をみて、うなじをやれば……!!」

グンタ「いや、そろそろアレが来る頃だろう」

「キィアアアアアアアアアアアアア!!」

オルオ「ああ……チッ!クソったれ!!」

ドッドッドッドッド……

エルド「くそ!」

115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/27(木) 01:03:56.08 ID:Os9k4iQT0

エルド「……全員最速で巨人を殲滅だ!目標5体!いくぞ!!」ヒュッ

ペトラ「このぉ……っ!!」ヒュンッ

―――パチッ

ガシッ
ドォッッ!!

オルオ「チッ!やっぱり女型の視力も削いだ筋も戻っちまいやがったか!!」

エルド「でも疲弊はしているはずだ。今はエレンを信じろ!!俺たちはこっちに集中するんだ!」

ペトラ「……はぁっ、はあ…」

グンタ「雑魚は終わったな。くっ、ガスを大分消費しちまった」

エルド(初めて巨人5体の討伐に成功した。エレンが女型と戦ってくれてるおかげだ)

エルド(しかも全員生存している。………この調子でいければ!)グッ

kumakei
kumakei
@kumakei

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