セシル・ハーヴィ(ファイナルファンタジーIV)の徹底解説・考察まとめ

セシル・ハーヴィとは、スクウェアから1991年に発売されたロールプレイングゲーム『ファイナルファンタジーIV』の主人公であり、軍事国家バロンの飛空艇団「赤き翼」を指揮する暗黒騎士である。王に命じられた罪なき人々からクリスタルを略奪するという任務に疑問を持ったセシルは、王に進言しようとしたために王の怒りを買い、バロン国から追放されてしまう。バロンを離れて人として正しく生きる道を選んだセシルは「暗黒騎士」から聖なる騎士「パラディン」になるための試練に臨み、更に大きな試練へと立ち向かってゆく。

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城の自室でうつむき、王の命令に逆らえない自分の弱さを嘆くセシル

ミシディアでの任務を終え、飛空艇団「赤き翼」の隊長を解任された夜、心配したローザがセシルの部屋を訪れ何があったのかと問いかける。自分が無抵抗の人々に傷を負わせたという罪悪感から、セシルはローザの顔を見ることができず「なんでもない」と告げて目をそらすと、セシルの様子がいつもと違うことに気づいたローザは自分の方を向くように促す。セシルは自分がミシディアでしたことをローザに打ち明け、自分の心も暗黒騎士の姿と同じように闇に染まってしまったと嘆く。「あなたは、そんな人じゃない」とセシルを気遣うローザの言葉に対し、自分を許すことができないセシルは「いいや違う!僕は理不尽な命令にも逆らえない臆病な暗黒騎士だ…」と弱音を漏らす。ローザが「赤き翼のセシルは、そんな弱音は吐かないはずよ!私の好きなセシルは…」と、語気を強めながらも今までと変わらず自分を想ってくれている姿を見たセシルは、新しい任務には親友のカインも一緒だからとローザを安心させて部屋へ帰した。理不尽な王の命令に逆らえずに罪のない人に怪我を負わせたセシルが、自分の弱さを嘆いた言葉である。

「手を出すな!これは僕自身との戦いだ…」

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パロム(左)とポロム(中央)の援護を拒むセシル(右)

試練の山の山頂で、セシルに「我が息子よ」と呼びかける声を聞いたセシルは、目の前に現れた伝説の剣を手にしパラディンの姿となった。姿が変わったセシルに課せられたのは「暗黒騎士の姿の自分自身と戦う」という試練であり、目の前には暗黒騎士姿の自分が現れた。セシルは、暗黒騎士の殺気を感じて援護につこうとするパロムとポロム、テラに「手を出すな!これは僕自身との戦いだ…」と言い、助けを拒んだ。セシルは「今までのあやまちをつぐなうためにも…こいつを…過去の僕自身を倒す…!」と続け、暗黒騎士姿の自分が放つ強力な攻撃に、剣を収めて耐えた。この試練を乗り越えたセシルは、晴れてパラディンとなり、暗黒騎士であった過去の自分と決別することができた。

「ローザ…君がいなくなってわかったよ…。僕は…君を…」

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ローザ(左)を助け出し、改めて自分の心の内を明かすセシル(右)

ゾットの塔で、ゴルベーザにさらわれたローザを救い出した時のセシルの言葉。ローザはゴルベーザによって、ギロチンの下に拘束されていたが、ゴルベーザの洗脳が解けたカインの案内によって、なんとか刃が落ちてくる前にローザを助け出すことができた。ローザとは恋人でありながら、セシルは暗黒騎士として闇の力を使う自分、間違っていると思いながらもバロン王の命令に逆らえない臆病な自分では、ローザとは結ばれないと思っていた。しかし、いつも自分に寄り添ってくれていたローザがさらわれて自分のそばからいなくなったことで、ローザへの想いの大きさに気づき、やっと再会することができたこの場面で「ローザ…君がいなくなってわかったよ…。僕は…君を…」と、自分の想いを伝え、ようやくローザを抱き締めることができた。

「行こう…僕らの戦いに…!」

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真の敵がゴルベーザではなくゼムスだとわかり、改めてゼムス討伐へ向かう意志を明らかにするセシル

ゼムスの洗脳が解けたゴルベーザによって自分の出生が明らかになったセシルは、ゴルベーザを兄として受け入れられずにいたが、ゼムスを倒すために月へ向かう決意を固めた。生きて帰れる保証がないことから、ローザとリディアを魔導船から有無を言わさず降ろしたセシルは、カインとエッジと3人で月へ向かった。しかし魔導船を降りようとした時、降ろしたはずのローザが目の前に立ち道を塞ぐ。「私がいなければ回復はどうするつもり…?」と、最後までセシルと一緒に戦うという姿勢を崩さないローザと、その後ろに隠れていたリディアの「いつかセシルが言ったでしょ?これは、みんなの戦いだって」という言葉によって、ローザとリディアの強い意志を感じたセシルは「行こう…僕らの戦いに…!」と、全員でゼムスに立ち向かうと決め、月の中心核を目指すことにした。

「聞こえた…、たしかに…。兄さんの声で…、さよならと…」

永き眠りにつくために月に還ったゴルベーザから、別れの声を聞くセシル

エンディングでのセシルの言葉。ゼムスを倒した後、永き眠りにつくために月に留まることを決めた兄セオドール(ゴルベーザ)と別れ、青き星に戻って来たセシルは、バロン国の新しい王になることが決まり戴冠式の日を迎えていた。同じ頃、天文台では月の民が造り出した「もう一つの月」が軌道を外れて消えていく姿が観測されていた。ローザと共に戴冠式の時間を待っていたセシルは、セオドールが「永き眠り」についたことを感じ取り、窓の外を眺めながら「聞こえた…たしかに…兄さんの声で…さよならと…」と呟き、本当の別れを悟った。もう一つの月が軌道を外れたのと同時に「愛のテーマ」が流れ、別れの切なさが強調されている名場面である。

セシル・ハーヴィの裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

月の民と青き星のハーフ

出典: blog.cnobi.jp

フースーヤから明かされた魔導船の秘密によって、自分の出生を知ることになるセシル(上)

セシルが月の民と青き星の人間とのハーフであることが、ストーリー終盤にフースーヤの話によって明らかになる。セシルの父クルーヤは月の民であり、魔導船に乗って青き星へと降り立った際に、青き星の女性セシリアと出会った。クルーヤとセシリアが恋に落ち、後に生まれた2人の息子がセオドールとセシルである。父の死後に生まれたセシルだが、母セシリアもまたセシルを産んだ直後に亡くなってしまう。そのことが原因でゼムスに洗脳され「ゴルベーザ」となったセオドールによって、バロン付近に置き去りにされることになった。その後、置き去りにされていたセシルをバロン王と兵士が発見し、本当の家族のことを何も知ることがないまま、青き星の人間として育てられることとなった。置き去りにされていた時点で名前はなかったが、バロン王がセシリアと面識があったことをにおわす場面がDS版で追加されていることから、「セシル」という名前の由来は母セシリアの名に則ってつけられたと想定される。

ローザの母の反応が変わる

ゾットの塔攻略後にバロンにあるローザの家に行くと母親(左)の台詞が変化している。

バロンの町に暮らしているローザの母は、ストーリーの前半ではセシルと娘の交際を良く思っていない。ストーリー開始直後は話しかけると「ローザを変なことに巻き込まないでおくれ」と不信感を持っている様子がうかがえる。更に、試練の山からバロンに戻った際には「あんたを追って、ローザは飛び出して行ったんだよ!あの子は、今何処にいるんだい?」と、やや強めの口調で問い詰められる。しかしゾットの塔攻略後にローザを仲間にしてから改めてローザの母に話しかけると、ローザとの会話イベントが発生し、母自身が自分の過去と重ねる発言の後に「セシル、この子をお願いね」という交際を認めた旨の発言を聞くことができる。

飛空艇の操縦ができる

出典: i2.wp.com

バブイルの塔から脱出した際に敵の追っ手から逃れるため、セシルがシドから飛空艇の操縦を頼まれる場面がある。

セシルは飛空艇の操縦もできる。セシル自身、飛空艇団の部隊長であったために操縦はできるものと考えられるが、シドが教えたという説がある。設定資料集には、セシルを息子のように可愛がっていたシドが、幼少期のセシルをよく飛空艇に乗せており、その延長で操縦の技術も教えたという記載がある。ストーリー本編では、地底でバブイルの塔から脱出して敵に追いかけられた際、シドが爆薬で地上への出口を塞ぐために離脱する時にセシルに運転を代わるように頼む場面がある。セシルが舵を握る貴重なシーンである。

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@mori1210b4

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