二瓶鉄造(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
二瓶鉄造(にへいてつぞう)とは、『ゴールデンカムイ』の登場人物で、かつて網走監獄にてのっぺらぼうに暗号の入れ墨を入れられた脱獄囚のひとりである。猟師であり一度狙った獲物への執着心が強い。「冬眠中のヒグマもうなされる悪夢の熊撃ち」と評され、その名はアイヌや他のマタギに広まるほど。エゾオオカミ・レタラとの戦いで、レタラのつがいであるメスオオカミに首元を噛まれ、命を落とした。「山で死にたい」という思いがあった二瓶は、山で命を落とすことに満足気であった。その後杉元が入れ墨を剥がし、入れ墨人皮となる。
エゾオオカミの生き残りであるレタラに襲われて倒れていた第七師団の谷垣源次郎を、二瓶が助ける。そこで二瓶は絶滅したはずのエゾオオカミがまだ生き残っていることを知り、レタラを狩ることを決意する。谷垣源次郎は元々は秋田県出身のマタギ(猟師)であり、山や野生動物にも詳しい。自分の妹を殺したマタギで親友の青山賢吉が、第7師団に入団したと聞き、復讐する為マタギとしての生き方をやめて軍人となった。しかし軍人として山に入っているうちに、自分の中の毒のようなものが抜けていくのがわかったという。マタギとして熊を成仏させるために唱える言葉も、戦争で殺した相手には一度も唱えることがなかった。この事から自分の軍人としての生き方に疑問を持ち始めていた。そのため、「オオカミを獲ったら毛皮を手土産に故郷に帰れ」という二瓶の言葉で軍帽を捨て、共にレタラを狩ることにした。
二瓶は谷垣と食事を囲んだり、自分の猟のこだわりを話したりと同じ猟師として仲を深めた。
二瓶の死後、彼の生き方に影響を受けた谷垣は、二瓶の単発銃や「勃起!」という口癖を受け継ぎ、猟犬のリュウと行動を共にするようになった。
エゾオオカミ・レタラとの戦い
谷垣を助けたときに、エゾオオカミの生き残りがいると知った二瓶。猟師の血が騒ぎ出し、絶対に自分がエゾオオカミを狩ると意気込む。2人はまずヒグマを狩り、自分たちの食料にする。そして翌朝、二瓶はレタラを誘き寄せる餌を用意するために「鹿を射つ。」と言う。「ヒグマがまだ残っているじゃないか。」と言う谷垣に対し二瓶は「もし道を歩いていて、皮をすっかり剥かれた柿の実が落ちていたら食うか?」「獲物を狩るときは獲物の気持ちになれ。」ともっともな事を言った。二瓶の猟の腕が、確かな物だとわかる場面である。
鹿を狩るために猟犬のリュウに匂いをたどらせるが、突然リュウが怯え先に進まなくなってしまう。非常に賢く、ヒグマも恐れない優秀な猟犬であるリュウが怯える様子を見て、二瓶は自分たちがオオカミの縄張りにいることに気づき興奮する。
一方その頃、杉元とアシリパは仕留め損ねた鹿を無事に狩り、鹿の肉をレタラにも分けているところだった。レタラが急かしている様子を見て、アシリパたちは敵がいることを警戒する。杉元とアシリパは狩った鹿の残骸ををレタラが戻って来て食べるだろうとそのまま残していった。
その鹿の残骸を見た谷垣はエゾオオカミ・レタラに襲われた際アイヌの少女・アシリパと接触していたため、狩られた鹿の近くにある鹿皮の靴の足跡を見てアシリパだと気付く。杉元が鹿を狩るために撃った銃声が自分のものと同じ30年式小銃であることにも気付いていたため、アシリパと杉元が2人で行動しており、エゾオオカミがアシリパを警戒していないことに気付く。
2人は水浴びをして自分たちの匂いを消すことで戦いの準備を始めた。翌朝、二瓶はレタラに自分達がいけすかない侵入者だと執着心を植え付け誘き出すために、レタラの糞を燃やし狼煙を上げ、「オオカミの糞を使った日本で最後の狼煙だ」と言う。
杉元とアシリパは、入れ墨の入った囚人・二瓶鉄造が小樽を訪れた事があるという情報を白石から聞いていた。また、二瓶が毛皮商人に「もし白いオオカミの毛皮が手に入ったらいくらで買う?」と聞いていたという情報から、杉元たちはレタラが狙われていると気付く。杉元たちは昨日自分たちが鹿を狩ったあたりから狼煙が上がっているのを見て、二瓶たちではないかと感づいた。入れ墨を手に入れる為、レタラを守る為に杉元たちはその方向へ向かう。そして、二瓶たちとレタラ、杉元たちが遭遇することになる。
二瓶と谷垣は自分たちの殺気が強すぎてオオカミに感づかれてしまうのではないかと思い、マタギが狩りの時に行なう木化け(心を周りの木に同化させて気配を消す)を実践した。そして谷垣が自分の飯盒を道に置いて囮にしたことで、レタラが木の側から前足を覗かせる。顔を出したところを二瓶が仕留めようとするが、アシリパが弓矢を射ってそれを阻止した。さらに背後からは杉元、白石がやってきた。
2人がにらみ合う中、猟犬のリュウがとっさに杉元に飛び掛かる。その隙に二瓶は鉈で杉元に斬りかかるが、防がれて逆に銃剣で左手の指を数本斬り落とされた。谷垣がアシリパを人質にしたため、杉元達は武器を捨てて降参した。アシリパに自分が死ぬところを見せたくない杉元は遠くに連れて行って欲しいと二瓶たちに頼む。縄に縛られた白石と杉元だったが隙を見て逃げ、アシリパを谷垣から取り返そうとする。
谷垣は声が出せないようアシリパに猿轡をして逃げるが、そのせいでアシリパの警告が聞こえず、アイヌ民族が獣を狩る為に使う罠・アマッポに嵌ってしまう。その罠に毒が使われていることを知っていたアシリパは、急いで処置を行わなくては全身に毒が回ってしまうと言って自分の拘束を解かせた。アシリパが傷口の周りの肉ごと毒の回った部位をえぐり取ったことで谷垣は助かったが、足を負傷して動けない状態になった。
そこへやってきた二瓶にアシリパは状況を説明し、もう終わりにしようと提案したが、狼に執念を燃やす二瓶は聞き入れなかった。
二瓶は谷垣から、どういう訳かオオカミはアイヌの少女・アシリパを警戒していないと聞いていた為、彼女を囮に使ってレタラを誘き出す作戦に出ることにし、アシリパを拘束して連れ去った。アシリパは「誇り高きオオカミを金のために殺すのか」と必死に訴えるが、二瓶は金が目的ではなく「エゾオオカミを最後に見た猟師になりたいのだ」と言った。
アシリパが縛られていることに怒ったレタラが、ついに二瓶のもとに襲いかかってくる。アシリパを囮にしたことで、本当にオオカミがやってきた事に驚き興奮する二瓶。二瓶はレタラに銃を向けるが、照準を合わせないように左右に大きく揺れながら向かってくるレタラに、「銃というものを理解しているのか?最後のオオカミに相応しいぞ!」とさらに興奮する。二瓶はレタラに距離を詰められ、負傷した左腕を思い切り噛み付かれる。それをなんとか持ち堪え右手で銃を構えレタラに向けた。「俺の勝ちだ」と言い二瓶の勝利に思えたその時、レタラのつがいであるメスオオカミが背後から二瓶の首元に噛み付いた。その瞬間二瓶は大量に出血し、木にもたれた。
死亡
レタラのつがいを見た二瓶は「女は恐ろしい」といつものように呟く。激闘の末に山で死ぬことにこだわっていた二瓶はとても満足げであった。猟犬のリュウは悲しそうに二瓶にすり寄って鳴いていた。戻ってきた白石と杉元はアシリパの拘束を解く。3人はレタラに家族がいた事を知り喜び安堵していた。そこに、足を負傷した谷垣が木の棒を支えになんとか歩いてきた。谷垣は「これより後の世に生まれてよい音聞け」とマタギが狩った獣に対し唱える言葉であり、かつて戦争で殺した相手には唱えることのなかった言葉を二瓶に唱えた。自分をマタギとしての生き方へ戻してくれた二瓶に感謝をしているのであろう。負傷した谷垣を治療するためにアシリパの故郷へ谷垣を連れていくことになった。猟犬のリュウも共に連れて行くことに。リュウと二瓶の愛用していた単発銃は谷垣が引き継いでいる。その後、1人残った杉元が二瓶の刺青を剥ぎ、二瓶は入れ墨人皮となった。
二瓶鉄造の名言・名セリフ/名シーン・名場面
「獣の糞になる覚悟はできてるんだろうな。」
二瓶は猟をするときは常に命懸けで行っている。獣との勝負に勝てばこちらが肉をいただくように、こちらが負ければ獣に食べられ排泄物となる。二瓶はそれを心得ており、獣だけでなく人間との勝負でも同じことを言う。また、二瓶自身は獣との激闘の末に食べられて、排泄物となり山に帰りたいと言っている。
「猟師の魂が勃起する!!」
二瓶の口癖である「勃起!」と言う言葉。何よりも山と狩が好きで、獲物を狩る際は猟師の魂が燃えるように興奮するのだろう。ファンの間でも、とても話題になっていて、一歩間違えると危ない人になってしまうが、二瓶が言うからこそ男らしく様になっている。他のシーンでも「勃起が止まらん」「勃起!!」など興奮している様子を大声伝えてくれる。一緒にいた谷垣はこの言葉に影響されて受け継ぎ、アイヌの少年・チカパシにもその魂を伝えている。
「一発だから腹が据わる」
二瓶は単発銃を愛用しており、予備の弾を指に挟むこともない。「5発あれば5回勝負できると勘違いする」とも言っており、一発で仕留めることにこだわっている。二瓶の猟の技術が優れているからこそ成り立つセリフである。谷垣はこの魂も受け継いでおり、1発で仕留めることを大事にしている。
二瓶鉄造の関連人物・キャラクター
白石由竹
二瓶と同じく網走監獄に収容されていた囚人で、同じく入れ墨を掘って脱獄した脱獄囚でもある。脱獄王と呼ばれているだけあって、いろんな道具などを口の中に隠し持っていてそれらを器用に使い脱獄する。時には関節の柔らかさを生かして、肩を外して狭いところを通り抜けたりすることから、二瓶も脱獄王だと認めていた。脱獄を繰り返していたため、全国の警察に顔を覚えられている。明るい性格だが、ヘラヘラしており運動神経やサバイバル力はない。杉元、アシリパと共に狩りをしてもあまり役に立たず、いつも動物に頭を噛まれるばかりである。よく頭を噛まれるので、「蜂蜜でも出ているのか?」と言われる。さまざまな土地に行ったことがあるため、コミュニケーションスキルは高く情報収集が上手い様子や、食材のお裾分けをもらってきたりと、人柄の良さがうかがえる。
一度杉元に捕らえられるも、取引をして見逃してもらう。その後は杉元、アシリパと共に行動し協力的になって動いているが、同じく金塊を狙っている土方歳三と繋がっていることを隠している。
白石は「昭和の脱獄王」として有名な白鳥由栄がモデルではないかと言われている。
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マンスール(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
マンスールとは、『ゴールデンカムイ』のキャラクターで、ロシア皇帝の暗殺にも加担したパルチザンのソフィア・ゴールデンハンドの仲間の1人にして砲撃手である。 アイヌの隠し金塊を手に入れるため、ソフィアや仲間たちと共に北海道に乗り込み、主人公の杉元たちに協力。金塊を我が物にせんとする第七師団と壮絶な戦いを繰り広げ、敵の駆逐艦を旧式の大砲で撃破するという大殊勲を挙げた。突如鳴り物入りで登場し、作品の内外からその力量に疑問を持たれるも、鮮やかな活躍で評価を覆したキャラクターである。
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二階堂浩平(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
二階堂浩平(にかいどう こうへい)とは、『ゴールデンカムイ』の登場人物で、アイヌの隠し金塊争奪戦に参加している大日本帝国陸軍第七師団の兵士である。双子の兄弟の二階堂洋平を返り討ちにした杉元佐一に激しい殺意を抱くようになり、復讐を果たさんとたびたび死闘を演じた。戦いを経る毎に両耳や手足を失って行き、治療の際に使用したモルヒネによって薬物中毒者と化し、その副作用で子供のような性格の異常者となった。最終的に武器の仕込まれた義手や義足を装備し、心も体も壊れていきながら金塊争奪戦の最前線で戦い続けた。
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津山睦雄(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
津山睦雄(つやま むつお)とは、野田サトル原作の漫画・アニメ作品『ゴールデンカムイ』に登場する刺青の囚人のうちの一人で、「三十三人殺し」と呼ばれている。本編には登場せず、第七師団の鶴見中尉が刺青人皮を持っている。津山から剥いだ刺青人皮をベストのように着こなす鶴見中尉の姿は、多くの読者に衝撃を与えた。「三十三人殺し」という経歴から、モデルは「津山三十人殺し」の都井睦雄(とい むつお)であるという見方が一般的だ。
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菊田杢太郎(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
菊田杢太郎(きくた もくたろう)とは、野田サトル原作の漫画・アニメ作品『ゴールデンカムイ』の登場人物で、鶴見中尉率いる第七師団の一員。作中では珍しく、比較的常識的な言動をする男だ。日露戦争で倒したロシア将校の銃を奪い、戦争が終わった後でも持ち歩いている。金塊争奪戦には途中から参戦したが、その正体は軍中央から鶴見中尉に差し向けられたスパイ。また、かつて故郷を出たばかりの杉元佐一(すぎもと さいち)と出会い、軍に入隊するきっかけを作っており、「不死身の杉元」の生みの親とも言える。
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インカラマッ(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
インカラマッとは、『週刊ヤングジャンプ』にて連載されていた野田サトル原作の漫画・アニメ作品『ゴールデンカムイ』に登場する人物で、占いで生計を立て北海道を旅するアイヌ女性。少女の頃にアシリパの父ウイルクと交流があり、金塊争奪戦の渦中にいるアシリパの周囲に現れる。目的を明かそうとせず、周囲を占いで惑わすような行動を取るため、その存在を怪しまれている。鶴見中尉率いる第七師団から離れ小樽のアシリパのコタンで療養していた谷垣源次郎と、疱瘡で家族を失ったチカパシとともに、アシリパを追いかけ旅をする。
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