シャリーのアトリエ 〜黄昏の海の錬金術士〜(A16)のネタバレ解説・考察まとめ

『シャリーのアトリエ 〜黄昏の海の錬金術士〜(A16)』とはガスト開発の、錬金術をテーマにしたRPG『アトリエシリーズ』の作品の第16作目である。ガストは後のコーエーテクモゲームスだ。
また『黄昏シリーズ』の第3作目にあたり、完結編でもある。2014年にPlayStation 3用ソフトとして発売された。本作の主人公は「シャリステラ」と「シャルロッテ」の2人のシャリーであり、前作の『エスカとロジーのアトリエ』同様に視点が異なるストーリーが展開される。

ソールはシャリーたちに東の大陸の調査計画を見直すとの結論を通達する。水源管理装置を修理した錬金術士にも協力要請は出せないのかとシャリステラが口をはさむが、ソールもその錬金術士とは接点がなく、商会で尋ねるのはどうかと提案した。シャリステラたちはジェラールを訪ね、キースグリフが水源管理装置を修理したと情報を得る。また彼の所在の情報を得たが、シャリステラは一刻も早くルギオン村を救いたいという気持ちが逸っており、シャルロッテとまた口論になってしまう。その末、利害関係が一致しないとして決別した。

シャリステラ編「かげる月と太陽」

シャルロッテに本を渡すと約束するシャリステラ(右)

シャリステラは黄昏の手がかりを得ようとキースグリフとの接触を図る。そこでシャリステラはエスカを訪ねると、エスカがキースグリフから直接錬金術のレシピをもらったと言い、シャリステラはエスカに代わってアイテム錬成をしたいと申し出る。自身のアトリエに帰って錬金術に勤しむシャリステラだったが、リンカがやってきてシャルロッテの行き先を尋ねてきた。リンカが言うにはナディが胸の病気を患っており、シャルロッテに錬金術の本を渡したがっていたが行方が分からないという。そこでシャリステラはリンカが持ってきた本をシャルロッテに直接渡すと約束した。しかし、シャルロッテと喧嘩別れしたことで躊躇してしまう。

シャルロッテを探している最中、エスカの店に立ち寄るとキースグリフもエスカの店におり、接触に成功した。そこでシャリステラは水涸れについて情報を聞こうとするが、キースグリフは「自らの真理を探せ」と一蹴する。しかし、エスカが「キースグリフがステラード付近に眠る前時代の遺物が黄昏のヒントになり得るという話をしていた」とシャリステラにヒントを与えた。また、シャリステラはエスカから譲り受けたキースグリフのレシピで作ったアイテムを持参しており、キースグリフから出来を褒められる。キースグリフからお礼をしたいと言われるが、シャリステラはリンカが持ってきた錬金術の本『疾病大全』についてヒントが欲しいと言う。しかしキースグリフはまずは自分の頭で考えるべきだと言い、シャリステラは情報収集を始めた。

ある日、船のアトリエで錬金をしているとシャルロッテがシャリステラを訪ねてくる。顔を合わせるや否や喧嘩を始めた2人だったが、お互いに思うことを打ち明け合って和解する。

シャルロッテ編「かげる月と太陽」

シャルロッテにシャリステラと会うように言うラウル

シャリステラと喧嘩してしまったシャルロッテはウィルベルに会う。ウィルベルはいつも通り仕事をし、「体を動かしているといいことがある」とシャルロッテを励ました。組合から外海の調査を頼まれるが、シャルロッテは街に直接かかわれる仕事はないか打診する。この返答でラウルはシャルロッテの発言に違和感を覚える。シャルロッテはソールから街に関わる仕事を用意する約束をしてもらい、依頼を待っている間、ナディに自分が請け負った仕事の数々を話す。しかし病状を心配して浮かない様子を見せていた。再び協会に行き、仕事をもらおうとしたがラウルにもシャルロッテに元気がないことに言及されてしまう。さらにエスカにもナディの病気のことを話題にされ、シャルロッテは周囲に心配をさせまいと振る舞う。しかし、シャルロッテはエスカからも「シャリステラがナディの心配をしている」と聞かされ、さらに歯切れが悪そうにする。その様子を見ていたラウルはシャリステラとシャルロッテの間に何かあったことを完全に察し、シャルロッテにシャリステラと会うように言った。

シャルロッテはシャリステラに会うため、船を訪ねていく。顔を合わせた途端に言い合いになってしまうが、お互いの主張をしたことで和解する。

第八章 シャリステラ編・シャルロッテ編共通

第一節「東の大陸の再調査」

キースグリフの捜索依頼をするラウル(左)

シャルロッテとシャリステラに中央から「東の大陸の再調査をしてほしい」という伝令が届く。エスカの話によると「東の大陸調査結果に中央の歴史学者が関心を持っており、前時代文明から紐解く黄昏の原因の根拠になり得る」という。つまり、黄昏は自然現象によるものではなく前時代の錬金術が関与する現象である可能性を示唆していた。シャリステラたちは組合に行き、ソールから「中央の狙いは各地の黄昏の進行度の違いの理由を明らかにし、黄昏の原因を究明することである」と説明されるのであった。その調査研究はステラードの水源管理装置と各地の水源がカギとなる。そこで、シャリステラたちは水源調査へと繰り出す。

各地の水源を巡り、調査報告を終えたシャリステラとシャルロッテはソールが情報精査をしている間に「キースグリフの行方を追ってほしい」と言われる。キースグリフは中央で一級犯罪者として指名手配されているが、黄昏の真実に最も近い人物でもある。彼の行方の手がかりは商会が握っているとして、シャリステラとシャルロッテは商会を訪ねた。リンカの情報では東の大陸に行った可能性をほのめかしたため、2人は足取りを追う。その途中でローゼミアと遭遇し、彼女から夢とも幻ともつかぬ「陽炎の城」という遺跡が黄昏の海のどこかあるという話を聞く。

第二節「水の王との契約」

ウィルベル(右)を励ますシャルロッテ(左)

シャリステラとシャルロッテはウィルベルの話からファーヴ村の北に精霊の祭壇という場所があるという情報を入手する。ウィルベルはそこに水の精霊王がいると推測し、契約をするために連れていってほしいと依頼する。また、彼女は水の王が水涸れに関する情報を握っていると考えており、2人のシャリーにとっても悪い話ではないと提案する。
シャリステラ、シャルロッテ、ウィルベルはシャリステラの船に乗り込むが、テオクーガから「水の王は黄昏の海を産み出した禁忌の精霊である」と警告される。3人は精霊の祭壇に到着するも、ウィルベルは水の王が非常に強力な存在である上に憤慨していることから、「水の王には会えない」と逃げだす。シャリステラはウィルベルを追って「ウィルベルが自身の実力がわかっていることは素晴らしい事だ」と励まし、ウィルベルは水の王との契約を再チャレンジすることになる。水の王を目の当たりにした3人は自らの力を証明するため、水の王と戦った。その結果ウィルベルは力を認められ水の王との契約が成立する。そして水の王は自身の記憶の一部をウィルベルに見せた。水の王が見せたのは、東の大陸の水涸れについての歴史であり、黄昏の原因究明に役立てるのではないかと話した。

第三節「水涸れの真実」

天上カズラにいたオディーリア(手前)とキースグリフ(奥)

組合に戻ったシャリステラとシャルロッテは「キースグリフは陽炎の城にいる」という情報を得る。陽炎の城は東の大陸の沿海にあるらしく、ファーヴ村に滞在している冒険家のハリーに情報を求めた。ハリーはキースグリフに関する情報を持っていなかったが「天上カズラ」という植物の塔があるという情報を提供し、これ以外には手がかりがないためシャリステラとシャルロッテはそこに向かう。天上カズラに昇るとファーヴ村に安置されていたような少女型オートマタと陽炎の城と思わしき建物が見つかり、キースグリフの行方の手がかりを得た。
シャリステラとシャルロッテは陽炎の城の城に到達し、奥地でキースグリフを見つける。水涸れと黄昏の親和性について2人のシャリーが質問すると、キースグリフは「水涸れは黄昏と無関係ではないが表面的な事象の一つに過ぎない」と言及する。キースグリフにとっては世界の真実を求めることがすべてであることから、「シャリステラとシャルロッテの人を助けたいという信念と相いれない」と協力要請を一蹴してしまう。しかし、2人のシャリーが黄昏と水涸れの直接関係する証拠を提出し、キースグリフが納得できれば助力する意思を見せた。

そこで2人は水の王の記憶を見たウィルベルにキースグリフを説得するための協力を仰ぐ。ウィルベルがキースグリフに水の王の記憶を話したことで、キースグリフは黄昏と水涸れの関連性を認めた。キースグリフは「陽炎の城が元々海中にあったこと」、「水の王による渇きの記憶」、「ステラード周辺の水源の様子」から、水涸れの原因は水の王が関与すると仮説を立てる。さらにキースグリフは「かつての人類は水が無尽蔵であると考えて貪りつくし、汚したことで水の王は姿をくらました」と推察する。つまり水の王は人間不信となり、人類に水の提供をしなくなったというのだった。そして、水を戻すには水の王が人間不信になった原因である「地下にある業」を処理する必要があり、キースグリフはその手がかりが地底にあると推察する。

その頃、ラウルとソールも中央から水涸れの原因はステラードの地下にあるという調査報告を得ていた。ラウルは中央の調査で分かった「ステラードの地下にあるもの」を調査するようにシャルロッテとシャリステラに依頼する。ラウルは「ビッグな仕事がしたい」と望んでいたシャルロッテにもうってつけの仕事だと言うが、シャルロッテはビッグになることが夢ではなく、「実力をつけて人の役に立つことがやりたかった」と自分の理想を見つけていた。キースグリフの推測と中央の調査結果が一致するとして、ラウルはキースグリフを組合に呼び、シャリーたちは続報を待つことになった。

第九章

シャリステラ編・シャルロッテ編共通「錬金術の闇夜」

地底への扉を開けるオートマタ

キースグリフの見解ではステラードの地下に前時代の錬金術で作られた装置があり、すでにそこへつながる入口をこじ開けようとしたが失敗に終わったという。しかしキースグリフは6体のオートマタが地底につながる鍵となっていると言い、シャリステラとシャルロッテは心当たりを考える。そしてファーヴ村に祀られていたものとアルバートに心当たりがあるとして、シャリステラとシャルロッテはオートマタの回収を始めた。

回収されたオートマタにより地底への扉は開かれ、シャリステラとシャルロッテは船に乗り込み地底へと向かう。2人のシャリーたちはキースグリフやオディーリアと共に先に進むと、遺跡に残された転送装置により地下にある薬草園に転移した。オディーリアが言うにはこうした場所は古代錬金術の研究ために作られた薬草園であり、世界各地に見られるという。そして錬金術の薬草園からは天上カズラのような例外的な植物も誕生しており、こうした現象・産物はキースグリフに言わせれば禁忌の力であるのだった。そしてシャリーたちは各地にある水源管理装置の上位機体と人工生命体について記された資料を発見する。この資料はステラードの水源管理装置は海水や水源の水を浄化し、各地へ供給していた可能性を示唆するものだった。キースグリフはこれを見て水涸れの原因は人間の手によって生まれた水源管理装置がありとあらゆる水を吸い尽くしたことで、水の王は水を蔑ろにする人間を敵視し始めたと推察する。

キースグリフはシャリステラとシャルロッテに水源管理装置をどうするのかと尋ねる。2人のシャリーたちは水源管理装置を止めるべきだと言うが、キースグリフは壊したとしても正常な自然が戻る可能性は低いと指摘した。さらに、水源が元に戻るには気が遠くなるような時間がかかり、水が戻る頃には人類がすでに滅びている可能性も考えられるという。それでもシャリステラとシャルロッテは水源管理装置を破壊し、人間の業を償い、自然をあるべき姿に戻すことを望んだ。しかし2人だけで決められることではないとして、ラウルたちにも水源管理装置の処置をどのようにすべきか話を持ち帰る。また、ステラードに戻る途中、シャリーたちはリンカと瓜二つの女性が培養装置に入れられているのを見つける。これはオディーリアが言っていた「人工生命体」であることを理解し、彼女たちはリンカにも真実を伝える決心をする。

街に戻ったシャリーたちは地下にある水源管理装置のことを有力者たちに相談すると、激しい討論の末、ステラードの方針として装置の停止を選んだ。また、リンカは人工生命体であることを伝えられたがリンカはそのことに感づいており、暗い施設から逃げ出した記憶があると話す。そして「自分にとっては今の自分がすべて」だと語るが、自身の存在意義について複雑な心境も述べる。

第十章(最終章)

シャリステラ編・シャルロッテ編共通「照らされた世界」

古代錬金術の装置には人工生命体が紐づいている説明をするキースグリフ

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