おろち(楳図かずお)のネタバレ解説・考察まとめ

『おろち』とは、楳図かずお原作のホラー漫画。『週刊少年サンデー』誌上にて、1969年から1970年まで連載された。2008年には、実写映画版が公開されている。同作品の特徴は、視覚的な恐怖描写よりも人間の深層心理の不気味さを克明に描いた点にあり、サイコサスペンスものの先駆けとして人気が高い。『おろち』は、謎の美少女おろちを狂言回しにして、数々の人間の暗部がドラマとして紡がれていくオムニバスホラー作品である。

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秀才

立花優(たちばなゆう)

立花優(たちばなゆう)は、『秀才』のメインキャラクター。赤ん坊から高校生までの成長が描かれた。K大学の教授である父親と、聡明な母親との間に生まれたが、1歳の誕生日に自宅に押し入った強盗に首をナイフで刺されて重傷を負う。首に大きな傷跡が残ったことで、周囲からいじめに遭った。また、母親からK大合格のために、少年時代から勉強を強制される。小学5年生の時、図書館で調べものをしたが、その時自分が死亡した新聞記事を目にした。実は、本物の優は強盗に殺害され、彼の母親が同い年の強盗の息子を強引に引き取って優として育て、虐待していたのだ。その事実を知った彼は、母親に復讐するべく勉強の鬼となり、K大にも合格してみせた。全ての事実が明るみになった時、母親が自らの腹部を刺して傷害犯人扱いされたが、彼女を赦した。おろちの手首の包帯を首筋に当てられたことで、傷跡が回復していったもよう。

優の母親

優の母親は、息子にK大合格のために度を越した勉強を強要する毒親である。実は赤ん坊の時に優を亡くしており、強盗殺人犯の息子を引き取って優として育てて虐げていたのだ。また、その子に自分の息子と同じように、首筋に大きな傷をつけたことも仄めかされている。優がK大に合格し、復讐の言葉を聞かされた時に、彼の合格取り消しを図り自らの身体を刃物で刺した。しかしながら、実の子ではないとはいえそれなりに愛情はあったようで、優にすがって号泣した。腹部の傷は、おろちの包帯によって回復したもよう。

優の父親

優の父親は、K大学出身で同大の優秀な教授だったが、強盗犯に優を殺害されたことで酒に溺れてしまう。妻が強盗犯の息子を優として育てたことについても、本心ではやめてほしいと思いながら、無関心を装っていた。全てが明らかになった後、おろちの包帯を頭に当てられた。

カギ

渡辺ひろゆき(わたなべひろゆき)

『カギ』のメインキャラクターである男児で、幼稚園に通っている。日常的に嘘をついていて、近所で「うそつき」とあだ名されている。隣に住む少女恵美(えみ)が、母親に首を絞められて死んだ場面を目撃してしまい、彼女の両親から狙われる。しかし、これまでについてきた嘘が原因で、誰からも信用されずに恵美の両親に拉致されて殺されそうになった。土壇場でおろちに助けられたが、その後もひろゆきの嘘つきは直らなかった。

ひろゆきの両親

ひろゆきの父親(左)と母親(右)

ひろゆきの両親は、息子がうそつきであることに困っている。息子が殺人事件の現場を目撃したと言った時も、またうそが始まったと信用しなかった。ひろゆきがいなくなった際、おろちの機転で殺されそうになった息子を発見した。

恵美(えみ)

渡辺(わたなべ)家が住む団地で、隣の部屋で暮らす女児。生まれつき足が悪く、寝たきりの生活をしていた。ある日、母親に殺害されてしまう。

恵美の両親

恵美の父親(左)と母親(右)

恵美の両親は、娘を殺害した現場を見たひろゆきの命を狙った。おろちがひろゆきの居場所をつきとめたことで、計画は未遂に終わる。その後は恵美殺害容疑で逮捕されたもよう。

ふるさと

杉山正一(すぎやましょういち)

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