おろち（楳図かずお）のネタバレ解説・考察まとめ

本作品の主人公にして狂言回しの少女。本名や年齢などのパーソナルデータは一切明らかにされていない。見た目は10代の美少女だが、不老不死の存在であることが示唆された。常に右手首に包帯を巻いている。日本国内を放浪しながら、そこで遭遇して気に入った市井の人々の人生を覗いている。完全なる傍観者でいるケースが多いが、相手方の状況によっては積極的に絡んでいくことも辞さない。おろちが目の当たりにする人間ドラマは闇が多く、アンハッピーエンドに終わることも少なくない。おろちは、精神感応や念動力などの特殊能力を有しており、呪術を扱うこともできる。また、100年に1度「ねむり」という10年単位の冬眠のような睡眠期間があり、それが彼女の不老不死を支えている。

姉妹

竜神エミ（りゅうじんエミ）

『姉妹』のメインキャラクター。竜神家の長女で、初登場時は18歳になろうとしていた。誰もが目を引くほどの美少女だが、竜神家に生まれた女性は18歳になると急速に醜くなるという宿命があり、そのことをひどく恐れていた。そのため、恋人の弘（ひろし）に対して、一方的に別れを告げた。妹のルミが竜神家の血を引いていないと聞かされてからは、それまでの優しい性格が一変して彼女を虐待するようになる。やがて、どうせ醜くなるならと、自身で顔に熱した棒を当てて焼き醜くしてしまった。しかし、ルミが18歳になろうとした際、彼女から衝撃の事実を聞かされて、その後錯乱して死亡した。

竜神ルミ（りゅうじんルミ）

『姉妹』のもう1人のメインキャラクターで、竜神家の次女。姉と同様に美しい容姿をしているが、18歳になった時に醜くなることを恐れている。母親から自分がもらわれてきた娘だということを聞かされ、そのことを打ち明けて以降は徹底的に虐待される。しかし、おろちの助けを拒んで、甲斐甲斐しくエミの面倒を見続けた。実はもらわれた娘はエミの方であり、姉を自分の道連れにすべく嘘をついたのだった。結果的に、18歳になったルミは醜女に変貌した。

弘（ひろし／演：山本太郎）

『姉妹』に登場したエミの恋人。彼女のことを深く愛しており、別れ話を切り出された時も拒んだ。また、ルミの求愛も断っている。しかし、錯乱したエミにボーガンで撃たれてしまい、別離を余儀なくされた。しばらくして竜神家を訪れた際に、エミの死体と醜くなったルミを目撃することとなる。なお、映画版では大西弘（おおにしひろし）という名前だった。

骨

大森千恵（おおもりちえ）

大森千絵（おおもりちえ）は、『骨』に登場するメインキャラクター。不幸な少女時代を過ごしたが、美しく成長したことで三郎（さぶろう）という男性と結婚して幸せな人生を送る。ところが、三郎が交通事故に遭い、リハビリ中に崖から落ちて亡くなってしまう。その後、現在の夫大森と再婚し、ジュンを出産して安定した生活を送っていた。おろちの介入で、死んだはずの三郎と再会するも、千絵は彼を異常なまでに恐れる。実は、彼を崖から落としたのは千絵本人だった。三郎に誘拐されたジュンが死んでしまったと思い込み、再度彼を崖から突き落とした。その際に錯乱状態に陥り、高笑いしていた。

三郎（さぶろう）

千絵の最初の夫。千絵が売り飛ばされそうになった際に、結婚を申し出て彼女を救った平凡だが優しい性格の男性である。しかし、ある時交通事故に遭い、リハビリ生活を余儀なくされた。順調に回復していたものの、崖から落ちて死亡した。その後、おろちの呪術で腐ったまま生き返り、千絵を追うようになる。記憶が途切れ途切れであるものの、千絵が自分を突き落とした犯人であることを覚えていて、ジュンを誘拐して復讐しようとした。千絵と再会した時、既に記憶はなくなっており、再び彼女によって同じ崖から突き落とされて骨を晒した。

大森（おおもり）

千絵の再婚相手。大きな一軒家に住んでいて、資産家であることが窺える。

ジュン

千絵の息子。まだ幼児だが、三郎に攫われてとある地下室に監禁された。しかし、千絵が錯乱してしまい、そのため発見が遅れ、大量の虫に身体を喰われて死亡する。