インソムニア(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『インソムニア』とは2002年に公開されたアメリカの映画である。監督を務めるのはクリストファー・ノーラン。本作はエーリク・ショルビャルグが手がけた同タイトル映画のリメイク作品。ロス市警のドーマー刑事と相棒のハップは少女の撲殺遺体が発見された白夜の田舎町に派遣される。しかし犯人の捜索中にドーマーは誤ってハップを射殺してしまう。更にその現場を犯人に目撃されたことで弱みを握られ不眠症に陥ったドーマーが、毅然とした刑事の姿を失いながらも殺人犯に立ち向かっていくサスペンス・スリラー。

タニヤ・フランケ(演:キャサリン・イザベル)

吹替:高橋理恵子(ソフト版)/石塚理恵(テレビ朝日版)/内川藍維(テレビ東京版)

ケイの親友だったが、彼女を裏切りランディと浮気をしていた。ドーマーはランディとタニヤの関係に気付いていた為、タニヤをケイの遺体が放置されていたゴミ捨て場に連れて行った。

ケイの母(演:ターシャ・シムズ)

吹替:重松朋(ソフト版)/なし(テレビ朝日版)/なし(テレビ東京版)

ふくよかで茶色い髪を結った女性。警察の指示通りケイの部屋は片付けず、そのままにしていた母。彼女の自宅へはドーマー、ハップ、エリー、フレッドの4人で向かった。伏し目がちになりながらもケイの部屋へ案内した彼女にドーマーは感謝を述べる。

レイチェル・クレメント(演:モーラ・ティアニー)

吹替:野沢由香里(ソフト版)/塩田朋子(テレビ朝日版)/高島雅羅(テレビ東京版)

ドーマーとハップが宿泊していた施設の受付にいた女性。ドーマーの部屋を訪れた際、すっかり疲弊した様子の彼はレイチェルに過去の捏造した事件のことを話す。事件とは無関係の彼女に共有したくなるほど、ドーマーの精神は疲弊していた。

トリッシュ・エクハート(演:ケリー・サンドミルスキー)

吹替:斎藤恵理(ソフト版)/なし(テレビ朝日版)/なし(テレビ東京版)

ハップの妻。ハップの死後、ドーマーはトリッシュに電話を掛ける。犯人の逮捕よりも死を望むほどに彼女は怒り悲しんでいた。

『インソムニア』の用語

内務調査

組織内で発生した不正問題を特定し、それらの行為の証拠を集めて対策を立てるための調査。

白夜

北極南極付近の地域で、日の出前日没後にも明るいことが長時間続く現象。反対に南極の一日中太陽の昇らない日を極夜という。

不眠症

入眠困難(なかなか寝付けない)、中途覚醒(睡眠が浅く何度も目が覚める)、早期覚醒(早朝に目が覚めたまま再び眠ることができない)、熟眠障害(しっかりと睡眠時間をとっていても睡眠の満足感が得られていない)。これらに当てはまっている状態を指す。

『インソムニア』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

ウィル・ドーマー「犯人はまばたきもせず最後の一線を越えた。もう後戻りできん。」

検視室にてドーマー、ハップ、エリー、フレッド、検視官と共にケイの遺体の確認をしていた。ドーマーがケイの体に残る証拠になりえる事柄をピックアップしていく。フィンチが撲殺した後、ケイの髪を洗っていることや爪を切って整えていることなど、彼が最後は冷静であったとドーマーは推察する。しかし後になって体をキレイにしたところでケイの体に残る痛々しい痕が消えることも息を吹き返すこともない。一通り検視を終えるとドーマーは「犯人はまばたきもせず最後の一線を越えた。もう後戻りできん。」と言い残し、本格的にケイの身辺調査に取り掛かった。この時ドーマーが話していた一線というものを、故意ではないものの後に彼自身が越えてしまう。この時のドーマーは自身が後戻りできない状況に追い込まれるとは思ってもみなかった。

エリー・バー「いい警官は謎解きで眠れず悪い警官は良心が眠らせない。」

眠れない日が続いているドーマーのことを案じていたエリー。彼女にとってドーマーは学ぶべきことの多い憧れの刑事でした。しかし今ではすっかり疲弊し、当初とは様子の違う人物になっていた。そんなドーマーを見てエリーは「いい警官は謎解きで眠れず悪い警官は良心が眠らせない。」と声をかける。聞いたドーマーは自分が言いそうなことだと笑っていたが、後半の言葉が彼に突き刺さる。自分が過去に使った言葉が、自分のことを尊敬している刑事から放たれる。エリーはドーマーが良い刑事であってほしいと思い声をかけたのかまでは定かではない。ドーマーは肉体的にも精神的にも限界ギリギリのところまですり減っていた。

ウィル・ドーマー「道を見失うな。」

フィンチに撃たれ致命傷を負ったドーマーに駆け寄るエリー。エリーはドーマーを助けようとしたがそれをドーマーは受け入れず、代わりに「道を誤るな。」と最後の教えを伝える。

ドーマーとフィンチの互いに撃った弾丸が、双方に致命傷を与えた。湖に沈むフィンチ。そしてドーマーも横たわりもう動くことができない。瀕死のドーマーに駆け寄ったエリーが応急処置を施そうとするが、ドーマーは眠りたがっていた。ハップの殺害現場でドーマーの銃と同じ銃の弾丸を発見したエリーは、この際その証拠を無かったことにしようとする。弾丸を湖に捨てようとするエリーに対し、ドーマーは「道を見失うな。」と言って彼女を止めた。証拠の隠滅。ドーマーはエリーに自身と同じ良心を傷つける道を歩んでほしくないと思っていた。少年が無実であることを知りながら彼女が一人苦しむことになる。もうあまり喋れる容態ではないドーマーの振り絞った言葉が、エリーへの最後の教えとなった。

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