メメント(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

映画『メメント』は2001年に公開されたアメリカのサスペンス映画である。クリストファー・ノーラン監督が名を知らしめた代表作になっている。主人公レナード・シェルビーは強盗に襲われ、妻を殺害される。その際に頭を負傷し、10分しか記憶が持たない病気になってしまう。復讐のため、写真や自分の体にメモに記憶を刻みながら犯人をさがす。時間を遡りながら物語が進む難解な映画となっている。

『メメント』の概要

『メメント』とは、2000年に公開されたアメリカのサスペンス映画である。監督は『バッドマン・ビギンズ』『ダークナイト』のクリストファー・ノーランで、彼の出世作として有名である。クリストファー・ノーランの弟であるジョナサン・ノーランが書いた短編『Memento Mori』が基になっている。時系列を逆向きに映し出す技法は、口コミで広がり、最初は11館だった上映劇場が500館以上までに拡大し、10週目には全米チャート8位にランクインした。また、アカデミー賞では脚本賞、編集賞にノミネートされるなど、興行面や映画の内容も高く評価された。さらに、2017年にはアメリカ国立登録簿にも追加された。主人公を務めるのはガイ・ピアーズで、『アイアンマン3』ではアルドリッチ・キリアンを演じた事で有名だ。

襲われ妻を殺害され、さらに強盗との争いの際に頭を負傷し、10分しか記憶が持たなくなってしまった。レナードはポラロイド写真に記憶のメモを書き、大事な事は自分の体にタトゥーとして刻むと、それを頼りに犯人を探し出そうとする。

『メメント』は時系列が逆向きに進んでいくパートと、普通通りに進んでいくパートに分かれており、この二つが交互に流れ、最後には時系列が重なり、謎がとける。その事から超難解映画としても有名である。

『メメント』のあらすじ・ストーリー

復讐を誓う

モーテルの部屋で目を覚ましたレナード・ジェルビーは、なぜこのモーテルにいるのかわからない。レナードが最後に覚えているのは、自宅に入った強盗がお風呂場で、妻を殺害したという事実だけだった。レナードは強盗ともみ合いになり、その際に負った頭の傷によって前向性健忘という病気を発症し、記憶が10分しかもたなくなってしまう。レナードは妻を殺した犯人に復讐しようとしていた。しかし、記憶が10分しかもたないため、忘れないようにメモをとり、最も大事だと思う事は自分の体にタトゥーとして刻んだ。新たに出会った相手はポラロイドで写真を撮り、その写真にどういう人物なのかをメモしていた。
レナードは犯人探しを協力してくれるという刑事を名乗る男テディ・ギャメルに「妻を殺した犯人を見つけた」と言われ、廃墟へ訪れていた。その廃墟には麻薬の売人であるジミーがいた。レナードはジミーを殺害し、復讐を果たした証拠として写真を撮り、地下室へと運んだ。そこへテディが現れ、自分が利用されていた事実を知る。テディのポラロイドに「奴の嘘を信じるな」と書き込み、さっき撮った写真を燃やした。そこで復讐は果たされたと思ったが、殺害した事実である写真を燃やしたレナードは10分後に再び犯人を探す事になる。
強盗に入った二人だが、一人はその場でレナードが射殺しており、もう一人はテディが探し出し、レナードが廃墟で射殺している。しかしレナードはそれも忘れてしまっていた。そしてジミーの服と靴を奪い、その足でいつもタトゥーを彫っているショップへと向かう。そこではエマという従業員がレナードのタトゥーを彫っている。テディの車のナンバーをメモしていたレナードはそれが犯人のナンバーだと思い込み、タトゥーとして刻んだ。

ナタリーと出会う

レナードはスーツのポケットに入っていた「ファーディーズバー」のコースターを見つけ、そこへ向かう。そのバーにはジミーの恋人であるナタリーが働いていた。ジミーの車に乗っているレナードを見て一瞬驚くが、人違いだと気づく。レナードはコースターに書かれている「あとで来て。ナタリー」の文字を見てバーへと入っていく。ナタリーはジミーの服を着ている事に戸惑うが、レナードの様子を見て「何でもすぐに忘れる男をジミーと警察が探していたと聞いたが、あなたね」と言い、彼になぜここに来たのか問い詰める。ナタリーはレナードの記憶障害が本物なのかを確かめるため、目の前のビールに唾を入れる。その様子を見ていたレナードだったが、10分後には何食わぬ顔でそのビールを飲んだ。その様子を見て信じたナタリーはビールを取り替えた。レナードはナタリーに誘われ、彼女の自宅へ行くと「妻が殺害されて復讐をしようとしている」と話した。ナタリーは「仕事に戻るが、自宅にいて良い」と言って家を出た。しかし焦った様子で帰ってきて、自宅のペンをすべて隠しながら「ドットが私を探している」と言った。そして突然、レナードの妻の事を罵り始めたため、怒りに駆られた彼はナタリーの顔を殴ってしまった。すると、ナタリーは満足そうな顔でまた家を出ていった。レナードは今起きた事をメモに書こうとしたがペンが見つからず、10分が経ってしまい、ナタリーとのやり取りを忘れてしまう。10分後に戻ってきたナタリーは「ドットに殴られた。明日までにお金と麻薬を用意しないと殺すと言われた」と話した。

本当の犯人とは

ナタリーの家から出て車に乗ると、横にテディが座っていた。テディは「あの女は信用できない。メモにナタリーを信用するなと書け」と言ったが、テディの事を怪しんでいるレナードは「こいつのウソを信じるな」とメモを残した。
車を運転していたレナードは男に「この車をどこで手に入れた?」と聞かれる。その男はドッドだった。怪しく思い危機を感じたレナードはその場を後にした。ドッドはジミーの服を着て、ジミーの車に乗っていたレナードを疑問に思った。
その後、レナードは駐車場である男に追われていた。車に乗り込み、ポケットのメモを見ると「白人・ドッド・5番街のクレスト・イン6号室」と書かれており、追いかけている男はドッドだという事に気が付く。ドッドの家で待ち伏せしようと武器を持ち待っているが、途中で記憶をなくしてしまい、自分が何をしようとしたのか忘れてしまう。
ドッドの事を聞くために、ナタリーの家へと向かった。ナタリーは「レナードがナタリーのためにドッドを殺す事を約束してくれた事」、「ジミーはテディと一緒にいなくなった事」を伝えた。
レナードは今までの情報を整理し、テディの免許証に「奴が犯人だ殺せ」と書き込むと、テディを廃墟へ連れてき、射殺した。しかし、妻を殺害した犯人はテディではなく、レナード自身であった。強盗が入り、妻が襲われた事は事実だが、妻はその時まだ生きていたのだ。実際の妻の死因は、事件後、記憶障害を負ったレナードが誤って妻にインシュリンを過剰接種したためだった。レナードはその事実を受け入れることができず、かつて自分が調査員を務めていた時に出会ったサミーの出来事として考えていた。レナードが度々口にする「サミーを忘れるな」という言葉は、サミーが経験したことではなく、実際には全てがレナード自身が経験した出来事であった。
レナードは最後に自分が妻を殺してしまったこと、妻を襲った強盗への復讐を既に果たしていたことを知った。しかしこの現実を受け入れることができず、最後には「さて、ここはどこだ?」と言い、新たな旅を始めることになる。

『メメント』の登場人物・キャラクター

主要人物

レナード・シェルビー(演:ガイ・ピアース)

日本語吹き替え版:小山力也
主人公で、保険調査員。強盗に襲われた際に頭を負傷してしまい、10分しか記憶が持たなくなる。そのせいで仕事を辞めることになった。強盗に妻を殺されており、復讐を果たす為にポラロイドのメモと自分の体のタトゥーを頼りに犯人を探す。

犯人探しの協力者

ナタリー (演:キャリー=アン・モス)

日本語吹き替え版:塩田朋子
主人公レナードの友人で、ファーディーズバーで働いている。恋人のジミーを殺害され、レナードを利用して犯人を探そうとする。レナードの病気を知り、利用する。

テディ・ギャメル(演 : ジョー・パントリアーノ)

日本語吹き替え版:後藤哲夫
主人公レナードの犯人探しを手伝う刑事。一見レナードを手伝う優しい人物に見えるが、実際は自分の金儲けのために彼を利用している。最後はレナードによって射殺される。

その他

ドッド(演:カラム・キース・レニー)

日本語吹き替え版:田中正彦
レナードを追う男で、ナタリーとは麻薬売人仲間である。ジミーに裏切られ、ジミーの車に乗るレナードを疑問に思い追いかける。

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