ゴッドファーザー(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『ゴッドファーザー』とは、イタリア系移民のNYマフィアを描いた三部作「ゴッドファーザー・シリーズ」の第1弾。マリオ・プーゾ脚本、フランシス・フォード・コッポラ監督で送る、マーロン・ブランドやアル・パチーノ出演のアカデミー賞3部門獲得の作品だ。ヴィトー・コルネオーレを中心とした、コルネオーレファミリーを巡る、1940年代のマフィアの「愛」「権力」「金」などを描いている。
『ゴッドファーザー』の概要
『ゴッドファーザー』とは、1972年にアメリカで公開され、アカデミー賞3部門(作品賞、主演男優賞、脚色賞)を獲得したマフィア映画。イタリア系移民のNYのマフィアを描いた三部作「ゴッドファーザー・シリーズ」の第1弾。
配給はパラマウント・ピクチャーズ・コーポレーション(Paramount Pictures Corporation)。
マリオ・プーゾの小説が原作であり、フランシス・フォード・コッポラが監督、マーロン・ブランドやアル・パチーノなどが演出し、イタリア系アメリカ人が多く関わる作品だ。
1940年代、NYにはコルネオーレファミリーと呼ばれる、NYの五大ファミリーの中で一番勢力があるマフィアがいた。今作では、初代トップであるヴィトー・コルネオーレを中心に、マフィア同士の権力抗争や、家族間の絆等が描かれている。時代の変化と共に、マフィアという考え方も変わり、マイケル・コルネオーレがトップとして世代交代したところで、第1部は幕を閉じる。
映画が作成された当時の時代背景として、テレビの普及により、映画が傾斜産業となっていた。そんな中で、低コスト・無名な俳優を多く起用し、「映画」としての名誉を挽回した作品だ。また当時にしては珍しく、レトロで鮮やかではない色使いをしている。
文化的背景としても、白人が多く出演する映画ではなく、イタリア系移民(有色人種)が多く出演し、高評価を得た稀な映画だ。
日本では当時「権力という孤独 愛という哀しみ 男という生き方」というキャッチコピーで放映された。
「コルレオーネファミリー」と呼ばれる、NYで絶大な勢力を誇るマフィア組織をめぐり、家族間の愛、権力争い、大切な人の死、など様々な物語がテンポよく展開される。1940年代の戦後の歴史的な背景がある一方、どの時代でも共通する愛・権力・金など、「人間らしさ」を生々しく描いた映画だ。
『ゴッドファーザー』のあらすじ・ストーリー
コニーの結婚式
その日はコルレオーネファミリーのトップ、「ゴッドファーザー」ことヴィトー・コルレオーネの娘、コニー・コルレオーネの華やかな結婚式だった。
その裏では、さまざまな闇の取引が行われていた。イタリア系アメリカ人のアメリゴが、ヴィトーの元を訪れる場面から始まる。イタリア系女だからといってアメリカ人の男が乱暴をしたが、正当な制裁がないことに不満をもち、男の殺害の依頼をしに来たのだ。その後も、当時大人気の歌手が出世の依頼をするなど、次々とヴィトーを当てにし、イタリア系移民たちはやってくる。ヴィトーは彼らイタリア系移民から信頼されていると同時に、恐ろしく権力と暴力を持っているのだ。
一方、ヴィトーの三男であるマイケル・コルレオーネは、ファミリーの仕事には一切関わらず生きてきた。彼は裏社会で、暴力を使って金を稼ぐ自分のファミリーをよく思っていない。彼女であるケイ・アダムには、自分の家庭がマフィアであることを隠していた。しかしマイケルはケイに、「なぜこんなにもたくさんの有名人とも知り合いなのか」としつこく尋ねられ、最終的にマフィア一家であることを打ち明ける。
タッタリアファミリーとの権力争いの始まり
ある日、コルレオーネファミリーに、バージル・ソロッツォから「麻薬密売を保護してほしい」という依頼が舞い込んでくる。それはNYの五大ファミリーの一組織である、タッタリアファミリーの客でもあった。「麻薬取引に対しては手を出さない」、「身を滅ぼす」という信念を持っていたヴィトーは、この件を断った。
一方、ヴィトーの長男であるソニー・コルレオーネが、麻薬密売の依頼に興味を示したことをきっかけに、タッタリアファミリーはヴィトーを暗殺し、コルレオーネファミリーの影響力を手に入れようとする。
クリスマスの夜、事件は起こった。ヴィトーがタッタリアファミリーに撃たれたのだ。ケイと穏やかなクリスマスを過ごしていたマイケルだったが、新聞でこのことを知り、すぐにファミリーの元へ駆けつける。この事件を機に、マイケルはヴィトーを中心としたファミリーが心配になり、ファミリーとの過ごす時間が増える。こうして、マイケルとケイの関係は離れていく。
ヴィトーの見舞いに来たマイケルは、病院は警察によって守られているはずだったのに、警察が誰もいないことに気づく。そして、敵が警察を買収していたことを察する。マイケルは敵がヴィトー殺しに来た時、見事に警備がいるかのように演じ、敵は騙されて過ぎ去っていった。こうして、ヴィトーは暗殺を免れる。その後、マイケルは買収されたマール・マクラスキー警官に反抗すると、警官は何も悪くないかのようにマイケルを殴った。ここからマイケルの顔つきが、怒りや憎しみを知った青年に変わっていく。
しかし、父親ヴィトーの暗殺にさらに暗殺を企てたタッタリアファミリーに腹を立てたソニーは、タッタリアファミリーの二代目ブルーノ・タッタリアを殺してしまう。
ヴィトーも昏睡状態、ソニーは感情的になり、ファミリーは崩壊の危機に立たされる。マイケルはこの危機の現状を見て、今まで家族を敬遠していたが、自ら渦中に飛び込む決意をした。マイケルは父親暗殺の原因であるバージルとマール警官を殺し、ほとぼりが冷めるまで、NYからシチリアに身を隠す。
マイケルのシチリア生活とソニーの死
マイケルはシチリア島のコルレオーネ村で身を隠す。たまたま通りかかった女性たちの中で、一際目を引くアポロニア・ヴィッテリに一目惚れをする。そのままマイケルは結婚を申し込む。逃亡生活ということを忘れ、マイケルはアポロニアと幸せな結婚生活を送る。
一方NYでは、タッタリアファミリーとの闘いが収まらないままであった。ある日、ソニーは妹コニーが旦那カイロ・リッツィに暴力を受けていることを知る。カイロが2度目にコニーに手を出したところで、感情的なソニーは、カイロを殺しに行こうとする。そこでタッタリアファミリーの待ち伏せにあい、殺される。
息子の死を知ったヴィトーは、「犯人を探してはならん」「復讐をしてはならん」「戦争は終わりだ」と言った。家族内を崩壊させ、はじめて、人間らしい涙を流す。
同時期にシチリアでは、ソニーの死が知らされた。タッタリアファミリーがマイケルの居場所を探し当て、マイケルを殺そうとする。マイケルが運転しようとした車に爆弾が仕掛けてられていたが、マイケルではなく、先に乗っていたアポロニアが死んでしまう。
平和協定と世代交代(マイケルのNYへの帰還)
ヴィトーが主催し、NYにいる五大ファミリーの会合が行われる。「現在のファミリー間での勢力争いをやめよう」と平和協定を定言する。しかし、コルレオーネの勢力に対し、不満のあるファミリーから、「麻薬に手を出さないのは時代が古い」と、苦言が出た。そこでヴィトーは、ある一定の条件を妥協し、麻薬への関与を承認する代わりに、シチリアにいるマイケルを安全にNYに戻すことを条件とし、平和協定を結ぶ。そしてこの時、この事件の本当の黒幕は別のファミリー「バルジーニ・ソロッツォ」だということが分かる。タッタリアファミリーにはここまで大きな戦争を起こす肝は据わっておらず、この場を仕切れるのはバルジーニのみだ、とヴィトーは思ったのだ。こうしてマイケルはNYへ戻り、老いたヴィトーに代わり、コルレオーネファミリーのトップと立つ。
NYに戻ったマイケルは、ケイと再会する。手紙も電話もケイはしていたのに、突然現れたマイケルに困惑する。マイケルはそんなケイに対し、「子供がほしい」「結婚してほしい」と申し込む。そしてヴィトーとは違い、これからは合法的にやっていくとケイを納得させる。この強引だが、魅力的なマイケルの願いに、応えざるを得ないケイ。こうして2人は結婚する。
ゴッドファーザーの死と新たなゴッドファーザーの誕生
ヴィトーは、マイケルにこれまで「ソニーが継ぐと思っていた」「マイケルにはファミリーの仕事に関わらせたくなかったと思っていた」と語る。また、これからは「マフィアは、闇社会ではなく、もっと表社会に出る時代だ」と言う。
そしてヴィトーは、孫アンソニーと庭で水をあげているときに、トマト畑の中で死んだ。ヴィトーの葬儀の日、マイケルを暗殺すべく、黒幕バルジーニの計画は動きだす。葬儀後のどさくさに紛れ、バルジーニの手下たちはコルレオーネファミリーを撃つポジションにつく。
そして、その動きを察し、またコルレオーネファミリーも動き出す。その頃、マイケルはコニーの子供に名前をつけ、ゴッドファーザーとなる。教会、NYを映しながら、不気味な不協和音が流れ、赤ちゃんの泣き声は止まない。新しく命が生まれ、ゴッドファーザーとなったマイケルは神から幸せを祈られるが、現実は裏でバルジーニファミリーの大勢を殺していた。
こうして、バルジーニを倒したマイケルは、ソニーをはめたカルロを問い詰める。もともとカルロはファミリーに信頼されていなかったため、ファミリーの仕事に就かせてもらえていなかったのだ。こうしてマイケルに問われ、カルロはソニーをバルジーニに売ったことを認める。しかし、ゴッドファーザーとなったばかりの、子供の父親でもあるカルロを呆気なく殺してしまう。こうしてマイケルはどんどん冷酷になっていく。
「マイケルがカルロを殺した」とヒステリックに言い張るコニーの姿を、ケイに見られる。改めてケイに問い詰められたマイケルは、ケイに嘘をつき「自分はカイロを殺していない」と告げる。部下に囲まれながら、冷酷になっていくマイケルを、切ない眼差して見つめるケイの姿でエピソード1は終わる。
『ゴッドファーザー』の登場人物・キャラクター
コルレオーネファミリーの主要メンバー
ヴィトー・コルレオーネ(演:マーロン・ブランド)
CV:鈴木瑞穂(日本テレビ版)、麦人(DVD・リストア版)
初代ボスで、ドン・コルレオーネとも呼ばれる。元シチリア島生まれの、イタリア系の移民だ。ニューヨーク五大ファミリーのひとつである、「コルレオーネファミリー」のトップ。政治界に多くのコネクションを持ち、口先がうまく、恐ろしい暴力をもって勢力を拡大し続ける。一方で、約束を必ず守り、冷静・誠実なことから、部下だけでなくクライアントからも支持されている。
ソニー・コルレオーネ(演:ジェームズ・カーン)
CV:穂積隆信(日本テレビ版)、谷口節(DVD・リストア版)
ヴィトーの長男。二代目コルレオーネファミリーのトップ候補だった。ヴィトーのみ自分の長男を「サンティーノ」と呼び、他の者たちは皆「ソニー」と呼んだ。大変家族思いで、明るく、しっかりとした身体をもっていたが、感情的で短気であり、すぐに喧嘩を起こした。また大変女好きであり、頻繁に浮気をしていた。感情的な性格を逆手にとられ、タッタリアファミリーの銃撃を受けて死ぬ。
トム・ヘイゲン(演:ロバート・デュヴァル)
CV:森川公也(日本テレビ版)、田原アルノ(DVD・リストア版)
ヴィトーの養子、かつ弁護士(相談役)。アイルランド系ドイツ人であり、見た目がファミリーの中ではひときわ異なる。孤児だったトムをヴィトーが他の兄弟同様に、ヴィトーが大切に育てた。そのため、ファミリーに忠誠を尽くす。聡明で冷静であり、ソニーをフォローし、ヴィトーには欠かせない指揮官となる。
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目次 - Contents
- 『ゴッドファーザー』の概要
- 『ゴッドファーザー』のあらすじ・ストーリー
- コニーの結婚式
- タッタリアファミリーとの権力争いの始まり
- マイケルのシチリア生活とソニーの死
- 平和協定と世代交代(マイケルのNYへの帰還)
- ゴッドファーザーの死と新たなゴッドファーザーの誕生
- 『ゴッドファーザー』の登場人物・キャラクター
- コルレオーネファミリーの主要メンバー
- ヴィトー・コルレオーネ(演:マーロン・ブランド)
- ソニー・コルレオーネ(演:ジェームズ・カーン)
- トム・ヘイゲン(演:ロバート・デュヴァル)
- フレド・コルレオーネ(演:ジョン・カザール)
- マイケル・コルレオーネ(演:アル・パチーノ)
- その他のコルレオーネファミリー
- ピーター・クレメンザ(演:リチャード・カステラーノ)
- ポーリー・ガットー(演:ジョン・マルティーノ)
- ウィリー・チッチ(演 :ジョー・スピネル)
- ロッコ・ランポーネ(演:トム・ロスキー)
- ルカ・ブラージ(演:レニー・モンタナ)
- アルベルト・"アル"・ネリ(演:リチャード・ブライト)
- コニー・コルレオーネ・リッツィ(演:タリア・シャイア)
- カルロ・リッツィ(演:ジャンニ・ルッソ)
- マイケル・フランシス・リッツィ(演:ソフィア・コッポラ)
- ケイ・アダムス・コルレオーネ(演:ダイアン・キートン)
- サンドラ・コルレオーネ(演:ジュリー・グレッグ)
- カルメラ・コルレオーネ(演:モーガナ・キング)
- サルバトーレ・テシオ(演:エイブ・ヴィゴダ)
- 主なコルレオーネファミリーの敵
- フィリップ・タッタリア( 演:ビクター・レンディナ)
- ブルーノ・タッタリア(演:トニー・ジョルジオ)
- バージル・ソロッツォ(演:アル・レッティエリ)
- マール・マクラスキー警部(演:スターリング・ヘイドン)
- ドン・エミリオ・バルジーニ(演:リチャード・コンテ)
- カーメン・クネオ(演:ルディ・ボンド)
- ビクター・ストラキ(演:ドン・コステロ)
- ジョセフ・ザルキ(演:ルイス・ガス)
- モー・グリーン(演 :アレックス・ロッコ)
- シチリア島での人物
- アポロニア・ヴィテッリ・コルレオーネ(演:シモネッタ・ステファネッリ)
- リオネーレ・トマシーノ(演:コラード・ガイパ)
- ファブリツィオ(演:アンジェロ・インファンティ)
- カーロ(演:フランコ・チッティ)
- その他
- アメリゴ・ボナセーラ(演:サルヴァトーレ・コルシット)
- ジョニー・フォンテーン(演:アル・マルティーノ)
- ジャック・ウォルツ(演:ジョン・マーリー)
- ルーシー・マンチーニ(演:ジニー・リネロ)
- エンツォ(演:ガブリエレ・トレ)
- ナゾリーネ(演:ビト・スコッチ)
- 『ゴッドファーザー』の用語
- ゴッドファーザー
- 五大ファミリー
- カンノーリ(カンノーロ)
- 『ゴッドファーザー』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- ヴィトー・コルレオーネ「A man who doesn’t spend time with his family can never be a real man.(家族を大事にしない人間は、本物にはなれない)」
- ヴィトー・コルレオーネ「I’m gonna make him an offer he can’t refuse.(あいつが拒否できない提案をしてやる)」
- ヴィトー・コルレオーネ「Never tell anybody outside the family what you are thinking again.(誰にも自分が何を考えているか、知られてはいけない)」
- ピーター・クレメンザ「Luca Brasi Sleeps with the Fishes.(ルカは魚と共に死んでいる)」
- マイケル・コルレオーネ「It’s not personal, Sonny. It’s strictly business.(これは私情じゃない。完全にビジネスだ)」
- ヴィトー・コルレオーネ「I want you to use all your powers and all your skills.(お前のできるすべてを尽くしてほしい)」
- ピーター・クレメンザ「Leave the gun. Take the cannoli.(銃を置き、カンノーリを持っていけ)」
- 『ゴッドファーザー』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 偶然登場した猫が出演
- ゴッドファーザーと名付けられたカクテルが誕生
- 出演候補ではなかったアル・パチーノ
- カンペを読みまくっていたマーロン・ブランド
- 『ゴッドファーザー』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:ニーノ・ロータ(Nino Rota)「メイン・タイトル(ゴッドファーザー・ワルツ)」
- 挿入歌:アル・マルティーノ(Al Martino)「ただ一つの心」
- 挿入歌:ニーノ・ロータ(Nino Rota)「愛のテーマ」
- ED(エンディング):ニーノ・ロータ(Nino Rota)「フィナーレ」