刃牙シリーズの武術・流派まとめ

『刃牙』シリーズは、強さを求めて飽くなき戦いを繰り広げる格闘家たちの熱く壮絶な生き様を描いた板垣恵介の描く漫画作品。『グラップラー刃牙』、『バキ』、『範馬刃牙』、『刃牙道』、『バキ道』と名前を変えながら30年以上の長期連載を果たしている。
格闘技を扱った作品であるだけに、現実に存在するものを中心に様々な武術や流派が登場する。空手や柔道といったお馴染みのものから柔術、合気道、ボクシングまで多種多様。ここでは、『刃牙』シリーズに登場する武術と流派を紹介する。

“日本一の剣豪”として名高い、宮本武蔵(みやもと むさし)が創始した流派。武蔵というと二刀流が有名だが、実際には特に二刀流にこだわるわけではなく、「状況に応じて最善の戦い方をするべき、力を尽くさずして負けるなどもってのほかである」との思想を持つ。
現在も伝わっており、実際に武蔵が使っていた木刀なども残っている。本物の戦にも参加したことのある武蔵は、“実戦性”にとことんこだわっていたらしく、彼の木刀には「万が一手から取り落とした時に備えて」ストラップのような紐がつけられている。

『刃牙』シリーズには「クローン技術と降霊術で現代に復活した武蔵」が登場する長編エピソードが存在し、勇次郎も興味を持つほどの凄腕の武術家として大暴れした。当初武蔵は「技を極めれば刀は不要」との発想から素手で戦っていたが、途中から刀を持つようになった。「やはり武蔵は刀を持たせないと武蔵らしくない」との作者の考えから急遽設定が変更になった形だが、結果として武蔵と戦った人気キャラクターが死亡してしまい、賛否両論ある展開となった。

軍隊格闘術(ぐんたいかくとうじゅつ)

「いかに素早く敵を制圧するか」を念頭にした、現代の軍隊で研究されている格闘技。ジャブのような技で相手の体力を削っていくことはあまり重要視されておらず、「組み伏せて急所を強打する」といったより確実かつ直接的に相手を仕留める攻撃が多い。
複数の格闘技をミックスして洗練化したもの、母国の格闘技を現代風のものとして体系化したもの、国威発揚を狙って見栄えのある技を取り入れたものなど、国ごとにそのスタイルは微妙に異なる。ナイフや拳銃など、通常の格闘技の試合ではまず使わない武器を技術体系に組み込んでいるのも特徴である。

『刃牙』シリーズには軍人という設定のキャラクターも少なからず存在し、彼らの使う技はそれぞれの国の軍隊格闘技がベースとなっている。個々によっても相当にアレンジが加えられており、ナイフを扱う技に特化したもの、投げ技と寝技を主体とする者、果ては砂や植物を利用してカメレオンのごとく身を隠す技を体得したものなど多種多様である。

環境利用闘法(かんきょうりようとうほう)

軍人として勇次郎に並び称されるノムラの得意戦術。自身の肉体の持つ力だけでなく、その場にある全てのものを武器や自分の力として敵を翻弄し圧倒するというもの。
ノムラは「闘技場の砂の中に混じった歯や釘を利用した飛び道具」、「砂を体にまぶして巧妙なカモフラージュを行い、完全に身を隠す」といった技を披露している。

ボクシング

左右の拳だけで相手と殴り合う武術にしてスポーツ。20世紀に入り興行としての側面が注目されて世界的に広まったが、発祥はローマ時代にまで遡るとされている。
攻撃に使用できる部位が限られている分、拳を使った攻撃のバリエーションやテクニックは非常に洗練されており、こと殴り合いに関しては他の武術の追随を許さない。現在はスポーツとしての側面が強く、相撲と同様に“ルールに守られている”ところはあるが、人間がもっとも自由かつ精密に動かせる拳で戦うため応用が効きやすい。一例として、元世界チャンピオンのガッツ石松(ガッツ いしまつ)は数人のチンピラに絡まれた際に「細い路地に敵を誘い込み、1人ずつ相手をする」という戦い方で全員を返り討ちにしている。なお、後に警察に「身を守るためとはいえやりすぎだ」と怒られたガッツ石松は、「ボクシングのチャンピオンの証明書に“いついかなる相手の挑戦も受ける”と書いてあるので」と弁解し、これをきっかけにこの文言は削除されるようになった。

『刃牙』シリーズでもたびたび取り上げられる武術。物語序盤では「蹴り技無し、組み技無し、投げ技無し、極め技無し」という点から格闘技として不完全だと断じるシーンがあるものの、後に「そんな風に思っていた時期が自分にもあった」と言いつつ“足で敵ではなく大地を蹴るのがボクシングである”という大胆な解釈を披露。唐突に人気キャラクターがボクシングに挑戦するなど、物語の大きな要素として取り入れようとする動きが時折見られる。

マホメド・アライ流拳法(マホメド・アライりゅうけんぽう)

伝説のボクサーマホメド・アライが、「ボクシングにない蹴り技、投げ技、極め技、絞め技、リングの上ではない場所でも戦える全局面的ボクシング」を目指して作り上げた流派。左右の拳だけで戦うボクシングの基本はそのままに、様々な流派の戦い方を研究してそれを打ち破るための工夫を盛り込んでいるものの、マホメド・アライがベトナム戦争の兵役拒否により数年間トレーニングができなかったことで未完成なものとなった。
現在は彼の息子に受け継がれ、彼の手でさらなる洗練と改良が施されている。これを見た刃牙は、「かつて自分は“ボクシングは未完成な格闘技だ”と断じたことがあるが、それは間違いだった」とその総合力の高さを称賛している。

レスリング

相手と組み合い、これを投げ飛ばして押さえつけることを目的とする格闘技。ローマ時代にはすでに興行化しており、発祥はさらに昔にまで遡る。キリスト教の神話の中には、「天使とレスリング勝負をして勝った」という伝説も存在している。
時代が進むに従って進化していき、現在は柔道の一本背負いなど他の組み技系格闘技からも技術を吸収している。柔道と同じくスポーツ化が進み、試合では絞め技や関節技は禁止されている。

プロレスと混同されることもしばしばあるが、『刃牙』シリーズにはプロレスラーとは別枠の格闘家としてレスラーが登場している。戦績はいまいちだが、スポーツとしての制限を取り払ったレスリングの強さについてはたびたび言及される。

ランカシャーレスリング/キャッチ・アズ・キャッチ・キャンスタイル

イギリス発祥のレスリングスタイル。関節技や絞め技など、スポーツ化していったレスリングでは廃れていった技法を積極的に扱ったもので、その合理性と人体への破壊力から他流派の格闘家やプロレスラーが第2の流派として学ぶことも多い。

キックボクシング

パンチとキックを主体とする打撃格闘技。あまり知られていないが日本発祥の格闘技で、ボクシングにムエタイの技術を取り込んだもの。“打撃”を意味する「ストライキング」という名前で呼ばれることもある。
ボクシングを基礎としているだけに興行やスポーツとしての側面もあり、階級なども細かく設定されている。運動で消費するエネルギーが多いことから、ダイエットとして嗜んでいる女性も少なくない。

『刃牙』シリーズでは、その分かりやすい強さから当て馬として登場する。「キックボクシングの世界統一王者」という肩書きのキャラクターは登場するものの目立った活躍はなく、相手の迫力に飲まれて瞬殺されるなど扱いは不遇である。

中国拳法(ちゅうごくけんぽう)

中国発祥の拳法の総称。源流は数千年前のものとされ、長い歴史の中で様々に分派。打撃特化から組み技特化、体当たりを主体とするものや寝た状態からの攻撃を得意とするものなど分類するだけで本ができるほどに多様化した。超人的な伝説を残しながら発展し、東洋の格闘技のほとんど全てに絶大な影響を与えた。
拳を触れさせた状態から相手が吹き飛ぶほどの打撃力を生み出す寸勁、相手のいかなる攻撃をも受け流す化勁など、多くの魔法じみた技で知られる。これらは実際には長い歴史の中で編み出されていった科学的な技だが、それ自体の難易度が非常に高く、簡単には修得できないこともあって伝説化に一役買っている。あまりに長く中国国内で研鑽されたため「中国拳法を使う中国人」を相手にすることが前提となっている部分があり、近年の異種格闘技の世界ではこれといった戦績を残せてはいない。

『刃牙』シリーズでは、中国拳法の伝説的な部分が特にクローズアップされ、作中でも屈指の強キャラクターが使う流派として登場。その強さもさることながら「我こそ最強」という強烈な自負心、それでいて意外と友情に篤い人柄で好評を博し、彼をメインの1人としたほとんど中国拳法オンリーの格闘大会も描かれた。

白林寺(はくりんじ)

作中で最初に登場した中国拳法。寸勁などの中国拳法らしい打撃技が目立つが、組み技や投げ技、限界まで吸い込んだ空気を一気に噴き出すことによる目潰しなどの搦め手や、武器を使った戦闘などにも長ける。

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アレクサンダー・ガーレン(刃牙)の徹底解説・考察まとめ

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アレクサンダー・ガーレンとは、『刃牙シリーズ』に登場するロシア人レスラー。ロシアの明日のために戦う熱烈な愛国主義者で、作中でも実力を高く評価される強豪の1人だが、それゆえに強さの指標としてたびたび噛ませ犬にされる。第1作目『グラップラー刃牙』で開催された地下闘技場最大トーナメントの補欠選手として出場し、控室では暴走族の柴千春や喧嘩師の花山薫と揉めた後、アナコンダやカナダのピットファイター(喧嘩屋)であるジャック・ハンマーと戦った。第2作目『バキ』ではロシアの死刑囚シコルスキーとも戦っている。

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末堂厚(刃牙)の徹底解説・考察まとめ

末堂厚(刃牙)の徹底解説・考察まとめ

末堂厚(すえどうあつし)とは、『刃牙シリーズ』の第1作目『グラップラー刃牙』と第2作目『バキ』に登場する空手家である。愚地独歩(おろちどっぽ)の創設した神心会空手の門下生で、フルコンタクト空手の全国ナンバー1を決める大会の決勝戦で主人公の範馬刃牙(はんまばき)と対戦している。またアメリカの死刑囚ドリアンと夜中、遊園地の中で決闘したこともある。友人は同門の加藤清澄(かとうきよすみ)で若い頃から苦しいトレーニングを共にしてきた。

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金竜山(刃牙)の徹底解説・考察まとめ

金竜山(刃牙)の徹底解説・考察まとめ

金竜山(きんりゅうざん)とは板垣恵介原作漫画『刃牙シリーズ』に登場する力士である。『グラップラー刃牙』では地下闘技場最大トーナメントに現役横綱として参戦し、1回戦で柔術家の本部以蔵(もとべ いぞう)に勝利。2回戦はプロレスラーの猪狩完至(いがり かんじ)と対決して激闘の末敗れた。大会に乱入してきた地上最強の生物、範馬勇次郎(はんま ゆうじろう)を止めるために立ち向かったが、脊髄損傷の重傷を負わされる。『バキ道』では親方として再登場し、地下闘技場戦士VS力士の対決に関わった。

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加納秀明(刃牙)の徹底解説・考察まとめ

加納秀明(刃牙)の徹底解説・考察まとめ

加納秀明(かのうしゅうめい)とは、『刃牙シリーズ』の第1作目『グラップラー刃牙』で登場する徳川家のボディガード。徳川家とは水戸黄門、すなわち徳川光圀(とくがわみつくに)を先祖とする家系である。光圀の11代目の子孫、徳川光成(とくがわみつなり)は日本有数の資産家でボディガードとして加納を雇っていた。光成が主催した地下闘技場の選手でもあり、主人公の範馬刃牙(はんまばき)が光成に「闘技場の選手にしてほしい」と直談判するため徳川家を訪れた際に加納と戦っている。

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アイアン・マイケル(刃牙)の徹底解説・考察まとめ

アイアン・マイケル(刃牙)の徹底解説・考察まとめ

アイアン・マイケルとは板垣恵介の漫画『刃牙シリーズ』に登場するプロボクシング世界ヘビー級チャンピオン。第1作『グラップラー刃牙』では、プロボクシング世界ヘビー級チャンピオンこそは「世界最強の男」だと証明するため、仲間の反対を押し切って地下最大トーナメントに出場。テコンドー選手の李猛虎に勝利し、暴走族の柴千春にはセコンドの違反行為で敗れたが終始圧倒した。第3作『範馬刃牙』では刑務所で服役しており、犯罪者がプロボクシング界に復帰することを疎んだ者に派遣された三つ子の戦士「マウス」と対決した。

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劉海王(刃牙)の徹底解説・考察まとめ

劉海王(刃牙)の徹底解説・考察まとめ

劉海王(りゅう かいおう)とは板垣恵介の漫画『刃牙シリーズ』に登場する中国拳法最高峰の称号「海王」の名を持つ格闘家である。中国拳法を代表する実力者で、100歳を超えても屈強な肉体を維持している。自身が率いる白林寺では多くの格闘家が修行し、烈海王やドリアン海王といった一流の戦士も輩出している。海王同士が戦い、優勝者に最強の証たる「海皇」の称号を与えるトーナメント「中国大擂台賽」に現役海王として出場。「地上最強の生物」の異名を持つ範馬勇次郎と対決し、顔面の皮を剥ぎ取られる衝撃的な敗北を喫した。

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宮本武蔵(刃牙)の徹底解説・考察まとめ

宮本武蔵(刃牙)の徹底解説・考察まとめ

宮本武蔵(みやもとむさし)とは、『刃牙シリーズ』第4作目『刃牙道』に登場する宮本武蔵のクローン。天下無双の名に恥じない強さを発揮し、『刃牙シリーズ』に登場する数々の猛者と闘い勝利した。二刀流を得意とし、強者と闘い勝つことに心から喜びを感じる生粋の武人である。自身を天下一と信じて疑わない傲慢さと、勝つためなら手段を選ばない狡猾さの裏には、日々強くなるための鍛錬を怠らない真面目さと、戦の中で身につけた厳しい死生観がある。

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