るろうに剣心 最終章 The Final（実写映画）のネタバレ解説・考察まとめ

宗次郎「僕も“るろうに”になったんです」

縁の館に乗り込んだ剣心は、縁や呉黒星の部下を次々と倒しながら連れ去られた薫を探していく。そんな彼の前に敵方の用心棒として現れたのは、志々雄一派の中でも屈指の実力者で、かつて剣心を幾度も苦しめた少年剣士宗次郎だった。
「厄介な相手が出てきた」とばかり気を引き締める剣心だったが、宗次郎は雇い主の呉黒星をあっさりと裏切って剣心に加担。不思議そうにする剣心に、宗次郎は「僕も“るろうに”になったんです」と語る。

宗次郎は明治維新の中で家族を失い、親族に虐げられ、ついには殺されかけた悲惨な過去を持つ人物である。だからこそ志々雄の持つ「強い者こそが正しく、弱さこそが悪である」というシンプルかつ強烈な哲学を受け入れ、その思想の下に剣を振るってきた。しかし剣心に敗れたことで「本当に志々雄の哲学は正しいのか、何もかも間違っているのか、剣心の言うような正しさや強さも存在するのか」と悩み、独自の道を歩み始める。
漫画版ではそのままフェードアウトした彼が、剣心と同じ道を試した末に一時的とはいえ味方になるというのは、ありそうでなかったif展開である。公開当時、「宗次郎が剣心の味方になる」というこの展開は大きな驚きと共に受け止められ、本作を代表するサプライズとなった。

剣心「縁、お前を止めねばならぬ」

「姉を殺した罪を死んで償え」と言って、怒りと憎悪のまま猛攻を続ける縁。剣心はそれを必死に耐えながら、「死んで詫びた程度で自分の罪が許されるとは思えない」と反論。「仲間のためにも、巴が望んだ平和な世界のためにも、縁、お前を止めねばならぬ」と言葉を続ける。
「倒す」ではなく「止める」という言葉を使っているのは、「縁もまた自分が救わなければならない人間である」と剣心が考えている証拠である。剣心の生涯をかけて己の罪と向き合い続ける覚悟が見て取れる名セリフ。

縁「俺が守りたかったのは…俺が本当に守りたかったのは…」

剣心と縁の戦いが終わった後、呉黒星は「自分をコケにした仕返し」として拳銃を手に満身創痍の剣心と薫に迫る。2人を救ったのは、意外にも縁だった。
「薫を守ってくれてありがとう」と感謝の言葉を伝える剣心に、縁は「違う！違う！俺が守りたかったのは…俺が本当に守りたかったのは…」と苦悩に満ちた言葉を吐く。縁の姉への想い、果たせなかった復讐への未練、それでも薫を守ってしまった自分への戸惑いが溢れる印象的なセリフ。

剣心「ありがとう。それと、すまない。と、さようなら」

縁との戦いを終えた剣心は、薫と2人で巴の墓参りに向かう。「巴さんに何を伝えたのか」と薫に問われた剣心は、「ありがとう。それと、すまない。と、さようなら」とかつての妻に告げた言葉を正直に打ち明ける。
剣心が薫と共に人生を歩むことを決めたことを暗に語る、物語のラストを飾るのにふさわしい名セリフである。

『るろうに剣心 最終章 The Final』の裏話・トリビア・小ネタ／エピソード・逸話

復讐の同志たちの設定変更の理由

縁と共に剣心への復讐のために暗躍する「復讐の同志たち」は、漫画版から人数が1人減り、さらに「戌亥番神」に該当するキャラクターの名称が「乾天門」に変更されている。
これは実写映画の第1作である『るろうに剣心』で、それぞれに該当するキャラクターをすでに登場させてしまっていることが理由となっている。当時は実写映画がシリーズ化することも、「人誅編」がベースとなった作品が作られることもまったく想定されておらず、ファンサービス的な演出として縁の同志となる者たちの名前をつけたキャラクターが登場。それぞれに魅力的な悪役として活躍した。

映画公開に合わせて行われたハローキティとのコラボ展開

前作と善前作にあたる『京都大火編』、『伝説の最期編』と同様、本作でも公開に合わせてサンリオの人気キャラクターハローキティとのコラボグッズが発売された。

『るろうに剣心 最終章 The Final』の主題歌・挿入歌

主題歌：ONE OK ROCK『Renegades』