美少年探偵団（西尾維新）のネタバレ解説・考察まとめ

嘘が通う学校。指輪学園とは伝統的に仲が悪く、生徒同士の争いが絶えない。荒れていることでも有名だったが、嘘が生徒会長に就任すると秩序が保たれた学校となった。

トゥエンティーズ

非合法の運び屋組織。業務内容は、依頼者に対しどんなものでも運ぶというもの。殺しはできるだけ避ける傾向があるが、必要ならば決行する一面もあるなど危険な組織。

作中のアイテム

不可視の黒衣

ある軍事組織が開発した衣服。名前の通り姿を見せなくするが、眉美には見破られてしまった。トランプカードにもその技術が使用されている。

講堂の中の講堂

指輪学園に設置された巨大絵画。鏡合わせのように行動の絵が続いて描かれている。かつては生徒の絵も描き込まれていたが、とわ子によって塗りつぶされた。

『美少年探偵団』の名言・名セリフ／名シーン・名場面

双頭院 学「瞳島眉美から空を見上げる気力を奪ったのは他ならぬあなたがただろうに！」

学たち美少年探偵団が、麗を策により追いつめた際に言ったセリフ。美少年探偵団は麗の仲間を人質にとることで、麗に対し美少年探偵団のメンバーと人質交換をする取引を成立させた。しかし麗を学校まで向かわせることに成功したが、麗は透視も可能な眉美の眼を使い、罠があるか確認する。彼女は人質を取り戻した後、再び眉美を誘拐しようとしていた。屋上につながる扉の前までやってきた麗は、眉美の眼で屋上の様子を確認すると、そこには人質に取られた3人の人間と美少年探偵団しかいないことを確認する。しかし、実際に屋上にいたのは人質に扮した警察とヘリコプターだった。眉美がヘリコプターの存在に気づかなかったことを訝しむ麗に対し、学は「瞳島眉美から空を見上げる気力を奪ったのは他ならぬあなたがただろうに！」と言いつける。眉美が夢を諦めることになったのは、麗たちが眉美に不都合な事実を気付かせないために、星の正体を隠蔽しようとしていたためである。美少年探偵団の見事な策と、傷ついた眉美のことを思いやる学の優しさが垣間見える名シーンである。

瞳島 眉美「その生きかたは美しくない」

麗から眉美が見た星の件を秘密にするなら、眉美が宇宙飛行士になることを手助けするという提案をされ、それを断る際に言い放ったセリフ。眉美にとって宇宙飛行士になってかつて見た星に向かうことは10年間求め続けていた夢であり、彼女にとって大切な願いだった。しかし事件を通して、眉美は星の正体は爆破された人工衛星であることを知り、夢をきっぱりと諦めている。そんな夢を取引のような形でむりやり叶えようとすることに対し、眉美は「その生きかたは美しくない」と断定し、否定した。美しさを否定した眉美が美少年探偵団との交流を通して、学が考える美しいとは何かを理解することで、その信念に則り夢に諦めをつける名シーンである。

双頭院 学「美しい」

眉美が推理した講堂に置かれた絵の正体を聞き、その感想として言ったセリフ。眉美の推理とは、「とわ子と彼女を慕っていた生徒たちが共同で講堂の絵を描き変えた」というものだった。とわ子は美術の授業がなくなることに反対するも、その意見が受け入れられることはなかった。同時に美術教師であるとわ子は学校からいなくなることになったが、彼女はその前にある行動に出る。それが講堂の絵を書き換えることだった。とわ子は自分を慕っていた生徒たちと共に、本来講堂の絵に描かれた生徒たちを塗りつぶし、まるで全生徒を誘拐したように見せつける。生徒たちととわ子の共同作業である塗りつぶしは、とわ子からの最後の授業のようなものであった。しかしとわ子は、生徒たちに非難が行くことを避けるために、作業を内密にしたまま学校を去る。絵の秘密を知った学は、とわ子と生徒たちの絆を「美しい」と称賛する。変人で知られていたとわ子の評価が一変し、その在り方を美しいと感じられる名シーンである。

『美少年探偵団』の裏話・トリビア・小ネタ／エピソード・逸話

美少年探偵団の元ネタは忘却探偵シリーズの登場人物

元々美少年探偵団は、西尾維新の作品の一つ『忘却探偵シリーズ』の登場人物、という設定だった。作中の語り手である隠館 厄介（かくしだて やくすけ）とかかわりがある探偵組織として、活躍の場を用意されていた。本来は『忘却探偵VS美少年探偵団』というストーリーを考えていたが、作者は美少年探偵団は一つの探偵として独立できると判断。新たに『美少年シリーズ』として独立させるに至った。

作品タイトルはミステリー小説が由来

『美少年シリーズ』のタイトルには変わったものが多いが、これらはミステリー小説が由来である。例えば『屋根裏の美少年』は江戸川乱歩の『屋根裏の散歩者』から、『押し絵と旅する美少年』は同じく江戸川乱歩の『押し絵と旅する男』からつけられている。内容にも共通点があり、『屋根裏の美少年』と『屋根裏の散歩者』には、どちらも屋根裏が事件のきっかけになるという特徴がある。基本的に参考となるミステリー小説は江戸川乱歩の作品がほとんどだが、1,2巻はオリジナルタイトルとなっている。

『美少年探偵団』の主題歌・挿入歌