ゴジラ(1954年の映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ゴジラ』とは、1954年に公開された日本の特撮怪獣映画である。ゴジラシリーズの一作目にあたる。
ある日、大戸島に巨大生物ゴジラが現れ、破壊の限りを尽くした。そんな中、芹沢大助がゴジラを倒せる酸素破壊剤オキシジェン・デストロイヤーを発見した。芹沢博士は、オキシジェン・デストロイヤーが悪用されないよう、それに関する全ての資料を破棄し、ゴジラと共に泡となり消えるのだった。
見所は、ゴジラを研究対象として守りたい山根恭平の心の葛藤や、悪魔の兵器を完成させたことで苦悩する芹沢博士の最期である。

芹沢大助「幸福に暮らせよ、さよなら、さよなら」

海に潜る芹沢博士

芹沢博士は、オキシジェン・デストロイヤーが、悪用された場合の事を考え、使用することに断固拒絶していた。
しかしゴジラの被害にあった街や人々を見て、一度きり使用することを許可。芹沢博士はオキシジェン・デストロイヤーが、恐ろしい兵器になる可能性があると思い、それらに関する全ての書類を燃やしている。
その後、芹沢博士はオキシジェン・デストロイヤーを使い、ゴジラと消滅した。芹沢博士は自分の頭の中に、オキシジェン・デストロイヤーの設計図が入っているため、自決を選んだのだ。
起動した時、尾形に別れを告げる言葉が「幸福に暮らせよ、さよなら、さよなら」である。尾形と芹沢博士は中学以来の旧友であり、恵美子の元婚約者と現在の恋人という関係だった。このセリフは、恵美子と旧友である尾形に恵美子を託したという想いが込められている。
戦時中右目を負傷し、心を閉ざして恵美子と疎遠になってしまい、芹沢博士は恵美子を幸せに出来なかった。その分恵美子には幸せになってほしいという気持ちと、旧友である尾形に恵美子を託した言葉ともいえる。

山根博士「あのゴジラが最後の一匹だとは思えない。もし、水爆実験が続けて行われるとしたら、あのゴジラの同類が、また世界のどこかへ現れてくるかもしれない」

巡視船「しきね」に乗っている山根博士

芹沢博士によってゴジラが消滅し、安堵する中で山根博士は沈痛な面持ちであった。嘗ての愛弟子がゴジラを倒すために、自分の命を犠牲にした事への悲しみと、古生物学者として、研究したかったゴジラのが死んだことに悲しんでいた。
そんな中山根博士が口にしたのが、「あのゴジラが最後の一匹とは思えない。もし水爆実験が続けて行われるとしたら、あのゴジラの同類がまた世界のどこかへ現れてくるかもしれない」である。
映画公開の1954年は、終戦からまだ10年も経っていない。劇中電車に乗っている乗客が、「やっと戦争が終わったのに(ゴジラのせいで)また疎開なんて嫌よ」というセリフにもあるように、まだ戦争は人々の記憶に新しいのである。
当時映画を観た人は、ゴジラの攻撃で東京が火の海に変わる様は、空襲と重なったであろう。この一作目で伝えたいメッセージは、科学の進歩は人を幸福にも不幸にもするという事である。科学の進歩で、便利な世の中になっても、使い方を誤れば破滅しかないということだ。
芹沢博士は、戦争の悲惨さと恐ろしさを身をもって経験したからこそ、オキシジェン・デストロイヤーが世に出ないよう、一緒に消滅したのである。

『ゴジラ』の裏話・トリビア小ネタ/エピソード・逸話

後のゴジラシリーズにも受け継がれた音楽

破壊を尽くすゴジラ

後の平成ゴジラシリーズにも受け継がれているメインタイトルテーマをはじめ、『ゴジラ』の楽曲制作は伊福部昭が担当している。
ゲテモノ映画の音楽をやってると、仕事がとれなくなると忠告されたが大乗り気でやったと本人は語っている。
水爆実験によって生まれたゴジラに対し、自身も放射線障害を受けているため、他人事とは思えなかったという。
曲作りの為に台本を読んでみたが、大きな爬虫類という事しかわからず、「大きいものが出てくる場合は大きい音で」という正攻法の作曲を心がけた。
大きな音が出るコントラファゴットや、コントラバスチューバが使われた。しかしコントラファゴットは当時、東京芸大に一つしかなく、前日に借りるなどして楽器集めには苦労したという。

伊福部昭と円谷英二の出会い

ゴジラのタイトルが現れ、曲がはじまる

伊福部昭が作曲した、メインタイトルテーマはなじみの深い曲である。伊福部はこれ以降も、『キングコング対ゴジラ』や『モスラ対ゴジラ』など、多くのゴジラシリーズの作曲を手掛けている。実は、特技監督の円谷英二とは、映画で出会う前から名前を知らないもの同士で、酒を一緒に飲みおごらされていた。
通常作曲家は、編集済みフィルムを見て音楽をつけるが、伊福部は撮影されたフィルムを全部見ていたという。円谷は編集前の現像されたばかりのフィルムを他人には絶対見せなかったのだが、特別に伊福部は見せてもらい、作曲に活かした。

リアルさを求めたミニチュア制作

時計台を壊そうとしているゴジラ

「ゴジラが和光ビルの時計台を壊そうという」という、特殊技術の円谷英二の意見から、ゴジラの身長はビル街の上から頭が覗く50mになった。これに合わせ、ミニチュアは25分の1のスケールに統一された。因みに銀座のシンボル、和光ビルの時計塔を壊す演出を和光本社は激怒した。その為、以後2年間ほどは東宝の一切のロケ使用を許可しなかった。また、松坂屋破壊のシーンも劇中登場するが、これに対しても松坂屋の社長は、「縁起でもない」と激怒。東宝は1980年代まで松坂屋の店内ロケをさせてもらえなかった。
銀座のミニチュアは、写真と見比べながら寸分違わぬように、1か月ほどかけて制作した。
ミニチュアがほぼ完成したころ、円谷が生活感をだしてほしいと要望したことで、都電や電信柱の電線を張り巡らせた。
撮影中、線が伸びて何度も張替えが必要だったため、カメラに映る部分のみ電線を張った。しかしこれに円谷が激怒し、「俺が欲しいのは画面の外だ」と言った。
また、ゴジラが破壊する日本劇場のミニチュアには、スタッフのお遊びで『美女とゴジラ』と題した映画看板がかけられている。
こうして本作用に作られたミニチュアの総数は、当時の映画技術誌での発表では、「建物500軒」「戦車10台」「大砲10門」「飛行機50機」「テレビ塔・高圧送電塔10基」「船舶20隻」「自動車18台」と、膨大な数であった。

『ゴジラ』の主題歌・挿入歌

OP(オープニング):伊福部昭「メインタイトル」

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