84ゴジラ(The Return of Godzilla)のネタバレ解説・考察まとめ
ゴジラ(The Return of Godzilla)とは、日本を代表する特撮映画「ゴジラシリーズ」の第16作目として、1984年に公開された怪獣映画。1954年以来、30年ぶりに出現したゴジラと人間の戦いを、当時の世界情勢等も織り交ぜながらリアリティ溢れる描写で描いている。
1990年代のヒットシリーズとなる「平成VSシリーズ」の事実上の第一作目にして、導入部にあたる作品でもある。
『84ゴジラ』の概要
前作「メカゴジラの逆襲」以来、9年の休止期間を経て復活したシリーズ第1弾。復活に当たり、第2作から第15作目までの「昭和ゴジラシリーズ」の設定はいったんリセットされ、第1作「ゴジラ(1954)」の直接の続編という設定である。そのため、人類の敵、恐怖の対象としての描写が色濃くなっているのが作品の特徴である。また本作は昭和年代に制作された最後のゴジラ映画となった。
『84ゴジラ』のあらすじ・ストーリー
復活
伊豆諸島南端にある「大黒島」にて巨大な噴火が発生して3か月後の嵐の夜、島付近を航行していた漁船「第五八幡丸」が消息を絶った。
一夜明け、付近をヨットで航行していた新聞記者の牧吾郎は、漂流していた第五八幡丸を発見し船内に乗り込む。そこで彼が見たものは、全身の血を吸われてミイラ化した乗組員の姿だった。その時、体長1mほどの巨大なフナ虫が牧を襲うが、乗組員唯一の生存者である奥村宏に救われ事なきを得る。
牧共々救助された宏は、遭難した日、怪光を発しながら崩れ落ちる大黒島の中から、咆哮と共に「巨大生物」が現れたと語る。
そんな中、宏を見舞いに来た生物物理学者の林田信は宏の証言から、彼の見た巨大生物とは「ゴジラ」であると確信し、政府に告げる。乗組員を襲った巨大フナ虫もまた、ゴジラに寄生した際放射能を浴びたため誕生していたのだ。報告を受けた内閣総理大臣の三田村清輝は、ゴジラ出現の報道は国民にパニックを起こすと判断し報道管制を敷き、第五八幡丸は未だ行方不明、乗組員の消息も不明とされてしまう。
「ゴジラ」報道で特ダネをものにしようとした牧は出鼻をくじかれるが、代わりに林田への取材が許される。そのさなか、牧は林田の研究室で助手をしていた奥村宏の妹・尚子に出会い、好意を感じる。牧は尚子に、宏がすでに救助されていること、ゴジラの情報隠蔽のため軟禁状態であることを告げるが、病院での兄妹再会を取材したことで尚子の反感を買ってしまう。
脅威
時を同じくして、日本近海を航行していたソ連の原子力潜水艦が何者かによって撃沈されるという事件が起こった。ソ連はアメリカの攻撃によるものと断じるが、アメリカは関与を否定、両国は臨戦態勢に突入してしまう。だが、自衛隊哨戒機が捉えていた海面写真を分析した結果、原潜を撃沈したのは「ゴジラ」と判明する。これを受けた日本政府は、東西陣営衝突を防ぐため、ついにゴジラ報道の全面解禁に踏み切るのだった。
その直後、ゴジラは静岡県にある「井浜原子力発電所」に上陸し、ヘリコプターで現地に赴いていた林田、宏の目の前で施設を破壊する。原子炉より核エネルギーを吸収すると、頭上を飛んでいた渡り鳥に導かれるようにして海へ去っていく。林田はこの一連の出来事から、ゴジラの脳内にある「磁性体」が渡り鳥の発する超音波に反応して帰巣本能が刺激されたと考え、ゴジラを超音波によって三原山へ誘導、人工的に噴火させて火口に落とす作戦を政府に提案する。
一方、アメリカとソ連は政府に対し、ゴジラに対する核兵器の使用許可を強く要請するが、非核三原則を主張する三田村総理の強い要望もあり、ゴジラに対する戦術核の使用は避けられた。政府は新兵器「スーパーX」をはじめとしたゴジラ迎撃作戦、林田が提案した誘導作戦の準備を進めていくが、ゴジラ東京上陸の可能性は日増しに高まっていく。
上陸
警戒が強まる中、ついにゴジラは東京湾に姿を現す。ゴジラは湾岸埠頭に陣取った自衛隊の攻撃をものともせず、逆に熱線によって一掃してしまう。
その戦闘の最中、東京湾に停泊していたソ連の貨物船に密かにセットされていた戦術核衛星作動スイッチがゴジラの攻撃により誤作動を起こし、核ミサイル発射のカウントダウンが始まってしまう。
上陸したゴジラは有楽町から新宿へと移動し、次々と街を破壊していく。ビルを崩し、新幹線を放り投げ、高速道路を火の海に変えていくゴジラ。人々は圧倒的な力の前に、ただ逃げ惑うしかなかった。新宿の研究所にてゴジラ誘導用の超音波発生装置の最終調整を行っていた林田、牧、尚子らは、ついに目の前のゴジラで実施テストを行い装置を完成させるも、ゴジラと自衛隊の戦闘の影響を受けビル内に閉じ込められてしまう。
その時、超兵器スーパーXはカドミウム弾の搭載を終えてついに出撃する。ゴジラの熱線に耐え、対ゴジラ用のカドミウム弾を撃ち込み、ゴジラ体内の核物質の抑制により昏倒させることに成功する。だが時を同じくしてソ連の戦術核衛星がゴジラめがけて核ミサイルを発射、東京に核爆発の危機が迫る。
新宿では、三原山での準備を終えた宏が自衛隊のヘリコプターで林田らを迎えに来るも、高層ビル街の乱気流の影響で救助は難航、辛うじて林田と超音波発生装置は引き上げられるも、牧と尚子はビル内に取り残されてしまう。
終焉
ソ連の核ミサイルは、アメリカの発射した迎撃ミサイルにより撃墜され、核攻撃の危機は去った。しかし、成層圏で核爆発が起きたことで電磁障害が発生し、それによって生じた落雷のため、昏倒していたゴジラが目覚めてしまった。
再びスーパーXが応戦するが、すでに切り札のカドミウム弾を打ち尽くしたスーパーXに勝ち目はなく、奮戦の甲斐なく撃墜されてしまう。高層ビル群を突き崩し、あたりを火の海に変えていくゴジラ。なんとかビルより脱出した牧と尚子の前にゴジラが迫る。だがその時、三原山にセットした超音波発生装置が作動、ゴジラは三原山へと誘導され、人工噴火によって火口へと落ちていく。
そんな姿を林田は、三田村総理は黙って見つめるのだった。
登場怪獣解説
ゴジラ
身長:80メートル
体重:5万トン
武器:放射熱線
大黒島の噴火をきっかけに出現した新たなゴジラ。
自衛隊の各種兵器をものともしない強靭な体と、口から吐く10万度の熱量を持った放射熱線が武器である。
本作より、核物質をエネルギー源とするようになり、原発や原子力潜水艦を襲撃したほか、脳内に
「磁性体(=超音波と反応する器官)」を持ち、帰巣本能に従って行動している習性が明らかとなる。
また、熱線の通じないスーパーXに対し、動きを封じた上ビルで押しつぶすなど、知能も高い。
ショッキラス
体長:1メートル
体重:45キログラム
ゴジラに寄生したことにより、放射性物質を浴びたために巨大化したフナ虫。
第五八幡丸の乗組員を襲撃し、体液を吸ってミイラ化させてしまった。
銛で突かれても死なない強靭な生命力と、尻尾の反動で人間の肩程度の高さまで跳躍できる。
劇中では名前は呼称されず、「巨大なフナ虫」「フナ虫の化け物」と称された。
主な登場人物・キャラクター
牧吾郎(演:田中健)
東都新聞の記者。遭難した第五八幡丸、奥村宏を発見したことで物語に関わる。
得た情報はなんでも記事にしようとする貪欲な精神を持っているが、奥村兄妹を記事にしたことで尚子の反感を買ってしまう。
その後は林田の研究に協力し、ゴジラの脅威におびえる尚子を守った。
奥村尚子(演:沢口靖子)
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目次 - Contents
- 『84ゴジラ』の概要
- 『84ゴジラ』のあらすじ・ストーリー
- 復活
- 脅威
- 上陸
- 終焉
- 登場怪獣解説
- ゴジラ
- ショッキラス
- 主な登場人物・キャラクター
- 牧吾郎(演:田中健)
- 奥村尚子(演:沢口靖子)
- 奥村宏(演:宅麻伸)
- 林田信(演:夏木陽介)
- 三田村清輝(演:小林桂樹)
- 浮浪者(演:武田鉄矢)
- 登場メカニック
- スーパーX
- ハイパワーレーザービーム車
- 見どころ
- 本作の作風
- ゴジラ
- 特撮
- 『84ゴジラ』の名言・名セリフ/迷言・迷セリフ
- 「その化け物(=ゴジラ)を作り出したのは人間だ。人間の方がよっぽど化け物だよ」 ―林田信
- 「非核三原則が我が国のエゴイズムだと言われるのなら、それは認めざるを得ません。しかし、核を使いたがるのもアメリカとソ連のエゴイズムではないでしょうか?」 ―三田村清輝
- 「でっかい顔して歩くんじゃねえ、この野郎田舎モンが!新宿歩きゃ都会人なんだ、そう思ってんだろうお前!」―浮浪者