キングギドラ(ゴジラシリーズ)の徹底解説・考察まとめ

キングギドラとは、東宝製作の怪獣映画「ゴジラシリーズ」に登場する架空の怪獣で、1964年のシリーズ第5作「三大怪獣地球最大の決戦」で初登場して以来、多くの怪獣映画に登場を果たしている。
竜のような3本の首と2本の尻尾、コウモリのような巨大な翼、黄金の体と、一度見たら忘れられないインパクトを持った見た目が特徴的。度々ゴジラと激突していることから、ゴジラ最大のライバルとも称される。

概要

作品によって多少の差異はあるが、竜のような3本の首、コウモリのような巨大な翼、2本の尻尾、黄金の鱗に覆われた体を持つという見た目の特徴、口から放射する「引力光線」を武器とする点はおおよそ共通している。出演作品における役どころの大半は、主役怪獣の敵役となっており、特にゴジラとは最も多く交戦した怪獣である。モチーフは神話上の怪物、ヒュドラ、ユニコーン、ペガサス、麒麟等が入り混じったもので、造形面では東宝が過去に制作した「日本誕生」に登場するヤマタノオロチが参考になっている。

登場作品ごとの解説

昭和ゴジラシリーズのキングギドラ

宇宙超怪獣キングギドラ

記念すべき初登場シーン。炎が徐々に形を変えていく様は、当時の特撮技術の粋を集めて作られた名シーンだ。

・身長:100メートル
・翼長:150メートル
・体重:3万トン
・飛行速度:マッハ3(大気圏内)、マッハ400(宇宙空間)
・武器:引力光線、巨大な翼による突風

ゴジラシリーズ第5作「三大怪獣地球最大の決戦」から第12作「地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン」まで計4回登場。
ゴジラシリーズ初の純粋な「宇宙怪獣」で、かつて金星に栄えた高度な文明を僅か3日で滅ぼしたことがある。
口から放射する引力光線は、あらゆる物体を空中に巻き上げ破壊してしまう。
昭和シリーズでは何者かに使役されているケースがほとんどで、自らの意思で飛来、交戦したのは「三大怪獣地球最大の決戦」のみである。
顔つきは東洋の龍および狛犬の意匠が盛り込まれていて、鳴き声はエレクトーンを加工した独特なもの。

「三大怪獣地球最大の決戦」では、黒部峡谷に強力な磁力を持った隕石となって飛来、その後隕石の中から巨大な炎のような姿となって飛び出したのち実体化し、人類の前に初めて姿を現す。富士山麓にて幼虫モスラと交戦し軽くあしらうも、ゴジラ、ラドンの加勢で3対1と劣勢となってしまう。激闘の末ラドンの背に乗ったモスラの糸でがんじがらめにされ身動きが取れなくなったところをゴジラに放り投げられて戦意を喪失、宇宙へと敗走する。

シリーズ第6作「怪獣大戦争」では、X星人に使役され、彼らより「怪物ゼロ」と呼称される。X星に連れられたゴジラ、ラドンと交戦するも撃退されるが、X星人に操られたゴジラ、ラドンと共に地球に飛来し、破壊活動を繰り広げる。しかし地球人の手でコントロールが解かれてからは再びゴジラ、ラドンと交戦。両者の体当たりを受け海中へ落下し、またも宇宙へと敗走する。

シリーズ第9作「怪獣総進撃」では、地球侵略をたくらむキラアク星人に使役され、最後の切り札として登場。富士裾野のキラアク星人基地を強襲する地球怪獣軍団の前に姿を現し、激闘を繰り広げる。当初は力を見せつけるが次第に手数に押され、最後は倒れたところに首を踏みつけられる等して絶命した。

シリーズ12作「地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン」では、M宇宙ハンター星雲人に使役され、サイボーグ怪獣ガイガンの相棒として再び地球に飛来し、ゴジラ、アンギラスコンビと死闘を繰り広げる。ガイガンとのコンビプレーで一時はゴジラ、アンギラスを追い込むも、乱戦の最中引力光線をガイガンに誤射してしまい仲たがいを起こした事で形勢が逆転、最後はガイガンと共に宇宙へ敗走する。
「怪獣総進撃」で一度絶命していることから本作のキングギドラは「2代目」と言われる事があるが、昭和シリーズの時系列としては「怪獣総進撃」が最も未来にあたるため、「対ガイガン」のギドラもこれまでと同一の個体であるとする説もある。

平成ゴジラシリーズのキングギドラ

超ドラゴン怪獣キングギドラ

身長:140メートル
翼長:150メートル
体重:7万トン
飛行速度:マッハ4(大気圏内)
武器:引力光線、空中からのキック、長い首による締め上げ

シリーズ18作「ゴジラVSキングギドラ」に登場。歴史改変をたくらむ23世紀の未来人が連れてきた愛玩動物である3匹のドラッドが、ビキニ環礁核実験の放射能による影響で合体、巨大化して誕生した(なお元々ドラッドは、放射能を浴びることで怪獣化するよう未来人らに「バイオプログラミング」されている)。未来人に使役され、現代の日本で破壊活動を繰り広げる。
顔つきは西洋のドラゴン風で、昭和版に合った三日月型の角と、たてがみ状の毛が存在しない。

作中では福岡、広島を破壊後、北海道網走にてゴジラと激突する。当初は優勢であったが、未来人のコントロールが失われたことで形勢が逆転してしまう。それでも首による締め上げでゴジラをダウン寸前まで追い込むも、ゴジラの熱線体内放射で吹き飛ばされた上、中央の首を熱線で跳ね飛ばされる。最後は逃走を図るも、翼を熱線で貫かれ、オホーツク海に沈んだ。

メカキングギドラ

タイムワープで現れるメカキングギドラ。昭和版との対比で、稲妻をまとって現れる。

・身長:140メートル
・翼長:150メートル
・体重:8万トン
・飛行速度:マッハ4(大気圏内)
・武器:引力光線、レーザー光線(中央の首)、ゴジラ捕獲用マシンハンド

オホーツク海に沈み、212年に渡って仮死状態となっていたキングギドラをエミー・カノーをはじめとする穏健派の未来人たちが回収、23世紀の科学技術でサイボーグ化した姿。
ゴジラとの戦いで失った中央の首、翼のほか、胴体、尾の先端、脛の部分がメカニックとなっている。胸部に小型タイムマシン兼操縦席を備えていて、エミー・カノーによって操縦される。胸部に備えたマシンハンドは、高圧電流の照射も可能なうえ、ゴジラでも振りほどけない程のパワー、強度を持つ。

作中では西新宿の高層ビル街で暴れるゴジラの前に23世紀よりタイムワープで現れ、ゴジラと交戦する。一時は翼をやられて劣勢に陥るが、マシンハンドでゴジラを捕らえることに成功、そのままどこかへ飛び去ろうとするが、捕まったまま暴れるゴジラの熱線を至近距離から浴びたことで海に墜落、ゴジラ共々小笠原海溝へと沈んでいった(パイロットのエミーは直前で脱出したため事なきを得た)。

なお、メカキングギドラの残骸は第20作「ゴジラVSメカゴジラ」にて国連G対策センターの手で回収され、対ゴジラ用兵器メカゴジラ建造の礎となった。

「ゴジラVSメカゴジラ」冒頭シーンより。この残骸が、後のメカゴジラの礎に…

護国聖獣キングギドラ

・身長:50メートル
・翼長:93メートル
・体重:2万5000トン
・武器:嚙みつき攻撃・サンダースパーク(魏怒羅時)、引力光線、黄金の粒子による熱線反射(千年竜王時)

シリーズ第25作「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」に登場。
本作では日本の自然の守り神、護国三聖獣の一体「空の神・魏怒羅」として登場している。当初は不完全体「魏怒羅」として登場するが、ゴジラに敗れたモスラのエネルギーを吸収することで完全体「千年竜王」となり、陸・海・空を制する最強の聖獣となった。なお、劇中でキングギドラと呼称されるのは、千年竜王として覚醒したときの1回のみである。
これまでのギドラと比べてやや首が短く、顔立ちは柔和である。また空の聖獣という事もあってか鳥のイメージが付与されており、足の指の形は鳥脚がモチーフとなっている。

富士の樹海で眠っていたところ、ゴジラ出現により不完全体のまま覚醒する。ゴジラとモスラの戦いに割って入るも、ゴジラに一蹴され、敢え無く気絶してしまう。しかし魏怒羅をかばってゴジラに敗れたモスラのエネルギーを吸収し千年竜王に覚醒すると、ゴジラの熱線を跳ね返して逆に吹き飛ばすなど圧倒するが次第に形勢が逆転、最後はゴジラが引力光線を吸収して放った「引力放射熱線」の一撃により爆破四散してしまう。だがその直後、霊魂の状態となり、ゴジラに憑依していた怨念を浄化することには成功した。しかしラストシーンでは、ゴジラは心臓だけの状態でしぶとく生きていたため、事実上の敗北であった。

モスラシリーズに登場したキングギドラ

宇宙超怪獣キングギドラ(現代型キングギドラ)

・身長:60メートル
・翼長:80メートル
・体重:5万トン
・飛行速度:マッハ3(大気圏内)、亜光速(宇宙)
・武器:引力光線、トリプルトルネード、バリア、反重力光線

1998年公開の平成モスラシリーズ3作目「モスラ3 キングギドラ来襲」に登場。2億年も生きてきたという宇宙怪獣で、地球の生態系の頂点である人間の子供の生体エネルギーを狙ってやってきた。1億3000万年前にも地球に来たことがあり、当時地球で生態系の頂点にいた恐竜を絶滅寸前に追いやっている(この頃の姿は現代版よりやや華奢で、「白亜紀型キングギドラ」と呼ばれる)。
歴代のキングギドラの中でも最も豊富な特殊能力と高い知能を持っており、獲物である子供を捕らえるための誘導テレポーテーション能力やマインドコントロール能力を持つほか、モスラと妖精の関係を見抜き、モスラが力を発揮できぬよう妖精らを引き離すなどの知略も見せた。

現代でモスラを一蹴する強さを見せつけるが、タイムスリップしたモスラによって白亜紀型ギドラが倒されたことでいったん消滅する。だが白亜紀型ギドラの切断された尻尾から1億3000万年の時を超えて再び蘇る。だが、同様に1億3000万年の時を経て進化を遂げた鎧モスラの前には逆にすべての攻撃が通じず、最後は左の翼を切断されたうえ、鎧モスラの必殺技エクセル・ダッシュ・バスターを受けて爆破四散した。

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