ゴジラ（1954年の映画）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ゴジラ』の概要

『ゴジラ』とは、1954年に公開された日本の特撮怪獣映画である。巨大怪獣ゴジラが登場するゴジラシリーズ第1作で、日本の怪獣映画の元祖にあたる。
キャッチコピーは「ゴジラか科学兵器か驚異と戦慄の一大攻防戦！」「放射能を吐く大怪獣の暴威は日本全土を恐怖のドン底に叩き込んだ！」である。
監督は、『ゴジラ』以降も『モスラ』、『キングコング対ゴジラ』など、多くの特撮映画を手掛けた本多猪四郎。主演を宝田明が務めた。宝田は、『モスラ対ゴジラ』や『ゴジラvsモスラ』、『GODZILLA ゴジラ』などのゴジラ映画に出演している。また、第43回日本アカデミー賞では、永年に渡り多大なる貢献と顕著な実績をしるした映画人に対し与えられる、会長功労賞が与えられた。

船が次々と行方不明となる事件が発生。その後、巨大生物ゴジラが大戸島に現れ、破壊と殺戮を繰り返した。
後日、調査の為大戸島に渡った古生物学者の山根恭平（やまねきょうへい）、娘の山根恵美子（やまねえみこ）、家族を亡くし山根に引き取られた山田新吉（やまだしんきち）だったが調査中ゴジラが、八幡山の尾根の向こうで頭をもたげ咆哮するのを目撃する。その後、ゴジラの仕業と思われる船舶被害が相次ぎ、ゴジラへの爆雷攻撃が実施された。しかし山根博士は、貴重な研究材料であるゴジラを失いたくない気持ちもあって、複雑な思いであった。そんな矢先、納涼船の甲板でダンスをしていた人々が、ゴジラの姿目撃しパニックになる。
一方、芹沢大助（せりざわだいすけ）博士が、ゴジラ対策に繋がるプランを完成させているかもしれないと、毎朝新聞に情報が入る。芹沢博士は嘗ての婚約者、恵美子にゴジラを倒す威力のあるオキシジェン・デストロイヤーを見せるのだった。
その夜、ゴジラは品川に現れ一旦は去って行くも、再び現れて街を破壊し尽くした。恵美子は被災者の救護に行くが、あまりに酷い光景にオキシジェン・デストロイヤーの事を尾形に打ち明ける。恵美子と尾形から、オキシジェン・デストロイヤーの使用を頼まれた芹沢博士は、それを断る。しかし、テレビで変わり果てた東京の光景や、被災者たちを目にし、オキシジェン・デストロイヤーの使用を許可した。そしてそれに関するすべての資料を、焼却したのだった。
海上保安庁の巡視船「しきね」の甲板で、ゴジラの所在を突き止めた。芹沢博士と尾形は、オキシジェン・デストロイヤーを使用する為海底に潜るが、尾形だけを海面に浮上させる。芹沢博士は海底から尾形に別れを告げ、ゴジラと共に海の泡となるのだった。

見所は研究対象としてゴジラを守りたい山根博士と、ゴジラを倒したいが、その為には悪魔の兵器を使用しなくてはならない芹沢博士の苦悩である。嘗ては師弟関係にあった二人が、全く違う考えをゴジラに抱いている。当時アメリカは、太平洋に浮かぶマーシャル諸島ビキニ環礁で、核実験を幾度となく行っていた。この映画が公開された同じ年には、ビキニ環礁で日本の遠洋マグロ漁船・第五福竜丸などの、被爆事件が社会問題となっていた。水爆実験を繰り返す人間へ、警鐘を鳴らす映画である。

『ゴジラ』のあらすじ・ストーリー

ゴジラの出現

ある日、貨物船栄光丸がSOS信号を出した後、行方不明となる。その後備後丸が捜索にあたるも、備後丸も消息を絶ってしまう。更に大戸島の漁船が、生存者3名を救出したと連絡が入るが、漁船も消息不明となる。やがて漁師の政治（まさじ）が大戸島の砂浜に漂着した。
後日、毎朝新聞記者の荻原（はぎわら）からインタビューを受けた政治は、「確かに大きな生き物だった」と語った。村の老漁師は、大戸島に古くから伝わる海の怪獣ゴジラの仕業だと言う。ゴジラは海のものを食い尽くし、次は陸に上がって人も食うというのだ。昔は若い娘を生贄に捧げて、鎮めていたのである。
その夜、暴風雨の中ゴジラが大戸島に上陸し、民家を次々と破壊。家畜や人々を殺戮した。政治の家も潰され、政治も母親も命を落とし、弟の新吉だけが生き残った。
翌日、国会では考古学者の山根恭平（やまねきょうへい）博士が、至急調査団を派遣する必要があると訴えたことにより、調査団の結成と大戸島への派遣が決まった。調査団のメンバーとして、山根博士、娘の山根恵美子（やまねえみこ）、恵美子の恋人の尾形秀人（おがたひでと）らが参加することになった。大戸島に到着した山根博士らは、破壊された集落の一部から放射線で汚染された井戸を見つけた。そして直径数メートルもある、謎の巨大な足跡に絶滅したはずのトリロバイト（三葉虫）を発見する。その直後巨大生物が、八幡山の尾根の向こうで頭をもたげ咆哮するのを目撃するのだった。帰京した山根博士は国会で、巨大生物をゴジラと名付けた。そして発見したトリロバイトから、海底洞窟に潜んでいた200万年前の侏羅紀の生物が、度重なる水爆実験により安住の地を追われたのではないかと見解を述べた。その後もゴジラの仕業と見られる船舶被害が相次ぎ、大戸島にフリゲート艦隊が派遣され、ゴジラへの爆雷攻撃が始まった。それをテレビで見ていた山根博士は、研究資料であるゴジラを失いたくない気持ちを抱えていた。

芹沢博士の研究

ある夜、東京湾を周遊中の納涼船、橘丸の甲板でダンスをしていた人々がゴジラを目撃した。
翌朝、特設災害対策本部は山根博士を呼び、ゴジラを倒す方法を訪ねるが、山根博士は抹殺は不可能だと答えるのであった。それどころか、山根博士はゴジラを研究することが必要だと力説した。
一方芹沢博士が、ゴジラ対策に繋がるプランを完成させているかもしれないと、毎朝新聞に情報が入っていた。記者である萩原は、恵美子の元を訪ねて芹沢博士と話ができるよう、仲介してほしいと頼む。芹沢博士は恵美子の元婚約者であったが、戦時中右目を失ってから自宅の実験室に籠りっきりであった。恵美子は萩原と共に芹沢博士を訪ねたが、芹沢博士は萩原を追い返してしまう。そして芹沢博士は、恵美子に絶対に他言しないことを条件に秘密の研究を見せる。それを見た恵美子は、恐怖で悲鳴を上げるのだった。
その夜、ゴジラは品川沖に現れ、防衛隊の攻撃ももろともせず品川に上陸した。そして次々と街を破壊して、甚大な被害が出る。
翌朝、昨夜の事を受け各国から調査団が、相次いで来日していた。そしてゴジラから東京を守る為、東京湾の海岸線一帯に巨大な有刺鉄条網を張り巡らせて5万ボルトの電流を流し、ゴジラを感電死させる作戦を実施した。更に榴弾砲や重機関銃、軽戦車を展開してゴジラを待ち受けるのであった。しかしゴジラに電流は効かず、ビルや日本劇場、国会議事堂やテレビ塔などあらゆる建物を破壊し、炎に包まれた。
一方、ゴジラの情報をニュースで見ていた山根博士は、複雑な気持ちを抱えていた。ゴジラは貴重な研究材料だからである。しかし尾形はゴジラを脅威だと思っており、二人は意見が対立していたのである。
翌日東京は、焦土の廃墟と化していた。恵美子は臨時救護所で、傷ついた大勢の被災者たちを目の当たりにした。あまりの悲惨さに、恵美子は尾形に芹沢博士が秘密にしている実験の話をするのであった。それは水中の酸素を一瞬のうちに破壊し尽くしあらゆる生物を窒息死させ、さらに液化する液体中の酸素破壊剤「オキシジェン・デストロイヤー」の実験だった。尾形と恵美子は、ゴジラを倒すため、芹沢博士にオキシジェン・デストロイヤーを使わせてもらえるよう頼みに行った。しかし芹沢博士は「兵器として悪用されれば、水爆同様の破壊兵器になる」と言い、恵美子らの必死の願いを突っぱねた。
テレビでは見るも無残な東京の風景や、苦しむ被災者の姿が映し出されていた。それを見た芹沢博士は、今回一回限りの約束でオキシジェン・デストロイヤーの使用を許可するのだった。そして芹沢は、オキシジェン・デストロイヤーに関するすべての書類を焼却したのだった。

芹沢博士の決心

海上保安庁の巡視船「しきね」は、ゴジラの所在を突き止めていた。オキシジェン・デストロイヤーを完全に操作する為には、水中操作しかなく、芹沢博士と尾形が潜ることになった。
ゴジラに接近した芹沢博士と尾形だったが、芹沢博士は尾形を海面に浮上させた。芹沢博士は、オキシジェン・デストロイヤーの発生装置を起動させる。ゴジラが苦しむ中、芹沢博士は海底から尾形に「幸せにくらせよ、さよなら、さよなら」と別れを告げ、命綱と送気管を切るのであった。芹沢博士は自らの命を犠牲にすることで、オキシジェン・デストロイヤーを完全に消滅させるのであった。そしてゴジラも泡となり、消えていくのだった。
船上で人々がゴジラ消滅作戦の成功に喜んでいる中、山根博士は一人、沈痛な面持ちであった。山根博士は「あのゴジラが最後の一匹だとは思えない。もし、水爆実験が続けて行われるとしたら、あのゴジラの同類がまた世界のどこかへ現れてくるかもしれない」と呟くのであった。

『ゴジラ』の登場人物・キャラクター

尾形秀人（おがたひでと／演：宝田明）

南海汽船の子会社である南海サルベージKKの若き所長で27歳。
恵美子の恋人で、大戸島への調査団にも参加している。
恵美子の元婚約者である芹沢や、恵美子の父親である山根博士に恋人である事を話せずにいる。
芹沢博士とは、中学校以来の旧友である。

山根恵美子（やまねえみこ／演：河内桃子）

山根博士の一人娘で、尾形の恋人である。
母親がいない為、父である山根博士の世話をしている22歳。
大戸島への調査団には、山根博士の助手として参加している。

芹沢大助（せりざわだいすけ／演：平田昭彦）

芹沢化学研究所所長、薬物科学者の27歳である。
元は北京大学教授で山根博士の愛弟子だったが、戦争で右目を失ってから自宅に籠っている。
山根博士の娘の恵美子とは、戦時中の負傷を理由に婚約破棄した。
自宅地下の実験室で、偶然液体中の酸素を瞬時に破壊する作用を発見し「オキシジェン・デストロイヤー」と命名した。

山根恭平（やまねきょうへい／演：志村喬）

恵美子の父親で、元北京大学教授の古生物学者。55歳である。
国会で調査団の編成の必要性を説き、自らが団長となって大戸島に渡る。
研究材料として、ゴジラを保護する必要との持論を展開し、尾形と対立した。

山田新吉（やまだしんきち／演：鈴木豊明）