行って帰ってきた烈車戦隊トッキュウジャー 夢の超トッキュウ7号のネタバレ解説・考察まとめ

『行って帰ってきた烈車戦隊トッキュウジャー 夢の超トッキュウ7号』とは、スーパー戦隊Vシネマの帰ってきたシリーズの5作目に制作された映像作品である。シャドーラインとの最終決戦から10年後の2025年。大人になったトッキュウジャー5人の前に、倒したはずのシャドーラインが現れる。しかし大人になりイマジネーションを失い、戦うことができない5人は逃げる事しかできなかった。さらに突然2017年へタイムスリップしてしまう。子どもの自分達との交流の中でイマジネーションが何かを思い出し、取り戻していく。

『行って帰ってきた烈車戦隊トッキュウジャー 夢の超トッキュウ7号』の概要

『行って帰ってきた列車戦隊トッキュウジャー 夢の超トッキュウ7号』とは2015年6月24日に発売された東映制作のオリジナルビデオ作品である。本編時間は53分。
スーパー戦隊Vシネマ「帰ってきたシリーズ」の第5作目に制作された。2014年に放送された『列車戦隊トッキュウジャー』の特別編。テレビシリーズ最終回以降の世界を舞台としており、2025年の大人になったトッキュウジャー達が2017年の過去にタイムスリップするストーリーとなっている。
本作品のオリジナルの新キャラクターとして「夢の超トッキュウ7号」が登場する。また、テレビシリーズでは主に回想シーンに出演していた子役キャストが、子どもトッキュウジャーとして出演しており、大人のトッキュウジャーとの共闘も大きな見どころとなっている。
監督は荒川史絵(あらかわ ふみえ)が担当している。荒川は高校時代に『激走戦隊カーレンジャー』を見たことをきっかけにスーパー戦隊シリーズのファンになり、映像系の大学を卒業後は特撮の道に進んだ。 2001年放送の『百獣戦隊ガオレンジャー』から、スーパー戦隊シリーズで助監督として活動しており、本作で監督デビューとなった。スーパー戦隊シリーズのみならず、東映のヒーロー作品で女性が監督を務めるのは初めてである。
脚本はテレビシリーズにも参加している會川昇(あいかわ しょう)が務め、テレビシリーズでも取り上げた「大人になるとイマジネーションはどうなるのか」をメインテーマとしてストーリーが作られた。これは本作品のメイン購買層がスーパー戦隊ファンの大人であることと、ファンだった荒川が本作品で監督デビューを果たした夢の現実の2つの要素が意識されている。

『行って帰ってきた烈車戦隊トッキュウジャー 夢の超トッキュウ7号』のあらすじ・ストーリー

大人になったトッキュウジャー

シャドーラインとの最終決戦から10年後。元トッキュウジャーの5人は大人になり、久しぶりにみんなで集まることになった。先に集合していたミオ、ヒカリ、カグラは、それぞれが就職や将来への不安を零していた。少し遅れてトカッチが到着し、何やらソワソワした様子で「あっ、誰だかわからない?じ・つ・は!」といつもと違う自分の姿をアピールしている。トカッチは小学生の頃からかけていた、メガネをやめてコンタクトにしたようだ。ソワソワしているトカッチに対し、ミオには面倒そうに「あ〜…トカッチ、コンタクトにしたんだ」と流され、こちらも重い雰囲気に。ミオは「未来が輝いてるイマジネーションが見えない…」とそれぞれの抱えている不安や不満な気持ちをまとめた。
そこにライトが「うわぁ〜!シャドーが!」と遠くを指差しながら大慌てでやって来た。しかし他メンバーは「ライトだけは変わんないな」「そんな手に引っかかんないよ」とライトがふざけているのだと思い軽くあしらっている。しかし次の瞬間、シャドーラインの列車であるクライナーが現れ、ビルに衝突して破壊する様子が目に飛び込んできた。

なくしてしまったイマジネーション

「今こそシャドーラインの復活の時だ!」という言葉と共に、目の前に現れたのはクローズを引き連れたヘイ大公。トカッチは「クローズといるあいつ…どっかで見たことある」と不思議そうに記憶を辿るが思い出せない。
「みんな行くぞ!」とライトがすぐに戦おうとするが、他メンバー達は「わたし達変身できないよねぇ」「いつからかイマジネーションがなくなっちゃって…」「明にもあれ以来会ってないし」と消極的。10年前にはシャドーラインを倒したトッキュウジャー達も、大人になりイマジネーションをなくしてしまったのである。ライトの表情も曇るが、「でもこのまま放っておくわけにはいかないだろ」と変身せず1人で立ち向かい、ヘイ大公から砲撃を受ける。ライトは避けられないと思ったが、同時に身体を強く押されるような不思議な感覚を覚え、気がついた時には間一発で直撃を逃れていた。
ヘイ大公は「貴様達、まさかトッキュウジャーか!」と勘付き、クローズにトッキュウジャーを倒すことを指示する。変身できず、戦うことの出来ない5人は走って逃げる事しか出来なかった。逃げる途中、突然足元にあいた大穴に落っこちてしまう。気がつくと、2017年の昴ヶ浜にいた。

子どもトッキュウジャーVSヘイ大公

小学校の卒業式の前日。小学校6年生のトカッチ、ミオ、ヒカリ、カグラは教室でホームルームの最中。しかしそこにライトはいない。4人もライトが欠席した理由を誰も知らなかった。
放課後になると4人は秘密基地へ向かった。そこには予想通りライトがいた。ライトに対し、卒業式前日に家出をした理由を聞くと、「家出じゃない。明日までには帰るよ。みんなで卒業しなきゃダメだろ?」と答える。シャドーラインを倒して以降ずっと会っていないトッキュウ6号の明ともう一度会い、みんなでトッキュウジャーの卒業式をするつもりだったのである。しかし何故今日にこだわるのか疑問に思ったヒカリが「なんで今日なんだよ」と聞くと、ライトは視線を落とし「だって…今日じゃないと…」とつぶやく。その時、突然ヘイ大公とクローズ達が現れた。
ヘイ大公は自分がシャドーラインの新たなる支配者であると自己紹介するが、ライト達から「へ?おなら?」と名前を笑われてしまう。しかし明の名前を聞いたヘイ大公が「ザラムか。もう貴様らが奴に会うことはない」と不穏な発言をしたことで、戦闘になる。ライトの「シャイニングトッキュウキック」、トカッチの「トカッチボコボコ」をはじめ、それぞれが抜群の身のこなしでクローズを倒すが、ヘイ大公にだけはかなわず圧倒されてしまう。
ちょうどそこに大人になったライト達がやってくる。少し離れたところから、子どもの自分達が戦闘してるのを見たトカッチは「ほら、あいつだよ!僕たちの時代に現れた奴!」とヘイ大公に気がつき、大人の5人も戦いに加わろうと走り出した。
ヘイ大公に対し劣勢の子どもトッキュウジャーは、明の安否を確認するべく、駆け付けた列車に乗り込み戦線離脱した。大人の5人にはレインボーラインが見えず、突然目の前で子どもの自分たちが消えたことに驚く。「やっぱり今の俺たちにレインボーラインは見えないのか…」と、イマジネーションがなくなってしまった事を改めて痛感しショックを受ける。

明に会いに行く子どもトッキュウジャー

列車に乗り込むと、以前は車内販売員だったワゴンがいた。シャドーラインを倒してから約2年が経ち、なんとワゴンは車掌に昇進していた。子どもトッキュウジャー達はワゴンに頼み、明が保線員として働いている現場まで連れて行ってもらった。
現場には黒いタンクトップにオレンジのヘルメット姿の男が立っていた。見つけるや否や「明(くん)!」と駆け寄ったが、その保線員は全くの別人だった。保線員曰く、明はレインボーラインを去り、もう戻らないという。「そんなはずない!明はずっとレインボーラインを守るって言ってたんだ!」と言うと、保線員の着ていたタンクトップが突然「ザラムはシャドーラインへ帰る!それが奴のためだ!」と喋り出した。その正体はタンクトップシャドーという、シャドー怪人だった。
するとそこへ、見知らぬ紫色のスーツを着た「トッキュウ7号」を名乗る男が現れた。高いところから飛び降りると腰を痛めたりと、へなちょこと思いきや、「カラテチョップ」「必殺地獄拳」などの斬新な技と戦闘スタイルで翻弄し、タンクトップシャドーはその場から逃げていった。トッキュウ7号に家族が心配するから帰るように言われるが、ライト達5人は拒否し、三手に分かれて明を探しに走った。

記憶を消された明

ヘイ大公に捕らえられている明は、近くにいたタンクトップシャドーに「お前だけは俺の味方だったはずだ!」と訴えるが、「すべてはお前のため」とタンクトップシャドーは答える。そしてヘイ大公は「貴様はシャドー最強の戦士であった頃を思い出し、私の僕(しもべ)となれ!」と闇の力で洗脳し、明からトッキュウジャーとしての全ての記憶を消してしまった。

大人と子どもの自分同士が出会う

タンクトップシャドーが語る真実

その頃、大人のミオとカグラ、トカッチとヒカリ、そしてライトはそれぞれが子どもの自分達と出会うことに成功した。
大人と子どものライトの2人はタンクトップシャドーと遭遇し、彼の考えを知ることになる。タンクトップシャドーは今までずっと鎧としてザラムを守ってきた友達だった。シャドー怪人は本来不滅であるが、このままレインボーラインに居続けると、明は人間のように老いて死んでしまうことを知りシャドーに帰そうと決めたのだという。それを聞いた上でも「明はシャドーには帰らない!」という子どもライトに対し、苛立ったタンクトップシャドーが襲いかかってくる。
大人ライトは変身し戦おうとするが、変身できず、ここでも逃げるしかなかった。

トカッチとヒカリ

一方、大人のトカッチとヒカリは子どもの自分達からトッキュウレッシャーを受け取るも、「やっぱり戻ってこないな…イマジネーション」と肩を落としていた。コンタクトを落としてしまい慌てるトカッチに対し、子どもトカッチは「なんでメガネやめたの?」と聞く。大人トカッチは周りの人に眼鏡が似合ってなくてダサいと言われたのを気にしてコンタクトにしたのだが、思わず「子どもにはわかんないんだよ!」と怒鳴ってしまう。しかし子どもトカッチはスペアのメガネを差し出し、「明くんのいるところ教えて」と真っ直ぐ大人トカッチを見つめる。大人ヒカリとトカッチはヘイ大公は強敵だから勝てないだろうと言うが、子どもヒカリは「俺たちは、俺たちが正しいと思った事をします。それが大人のあなたにとっては間違ってる事でも」と答えた。

ミオとカグラ

大人のミオとカグラも、子どもの自分たちと出会えたが、イマジネーションが戻らない上に未来に帰る方法もわからず、途方に暮れていた。「それにしても、お腹すいた…」とこぼす大人の2人に対し、子どもカグラが「はい!シュークリーム!」と何も乗っていない手のひらを差し出す。戸惑う大人カグラとミオだったが、「見える、見える、見える…ほら!」「わぁ〜!おいしい!」とシュークリームを分け合う子どもの自分達の姿を見て、「子どもの頃はよくやってたよね、こういう遊び」と昔を思い出す。自分たちも目を瞑り「シュークリーム、シュークリーム、シュークリーム…!」とイメージし、大人になった今でも想像でシュークリームを見ることが出来ると気がつく。

取り戻したイマジネーション

大人ライトは大人になるにつれて自然とイマジネーションがなくなってしまったのだと、子どもライトに話していた。しかし子どもライトは「俺は違う」「絶対なくしたりしない!」「お前は偽物だ!俺なんかじゃない!本物の俺ならそんなことは言わない!」と涙ながらに訴える。
そこに大人と子どものトカッチ、ミオ、ヒカリ、カグラが合流した。10人揃ったところに、ヘイ大公とタンクトップシャドーが襲いかかってきた。ヘイ大公は闇から元シャドーライン幹部のシュバルツ将軍、ノア夫人、ネロ男爵、モルク公爵の操り人形を生み出した。その時大人トッキュウジャー5人は、大人になりイマジネーションを失ったのではなく忘れていただけであること、人からどう思われているかは関係なく、ただ子供の頃のように想像すればいいこと、「イマジネーションは何度でも取り戻すことができる」ことに気がついた。そして「見えた!勝利のイマジネーション!」とイマジネーションを取り戻し、変身することに成功した。
大人トッキュウジャーの5人は、闇人形を圧倒し倒す。タンクトップシャドーとヘイ大公とも互角に戦うが決着がつかず、ヘイ大公は「やはりお前達を倒すのは最強の戦士しかない」「まもなく奴は完全なシャドーに戻る…楽しみに待て」と言い残し、姿を消した。

記憶を取り戻した明

子どもトッキュウジャー達は、大人トッキュウジャーから聞いた明が捕らえられている場所に辿り着いた。明に対しライトが「俺んち引越しするんだ」と告げた。その場にいたトカッチ、ミオ、ヒカリ、カグラの4人も初めて聞かされることに驚く。引っ越してしまえばみんなと一緒にいられなくなるから、その前にみんなでトッキュウジャーの卒業式をしたいのだとライトは話す。しかし目の前にいた明は、既にヘイ大公によって洗脳され記憶を無くしてしまっていた。
さらにヘイ大公とタンクトップシャドーが闇の力で明をザラムの姿に変えてしまう。周囲には雨も降りだし、完全に以前のシャドー怪人のザラムになってしまっていた。明は、トッキュウジャーに襲い掛かるが、「教えてくれ!俺は何を探しているんだ!」と大切な記憶を思い出せず苦しむ。その様子を見たタンクトップシャドーが、ライトに対し「ザラムが人間の様に成長し、死んでもいのか?!」と言いながら攻撃してきた。しかし明が反射的にライトを庇った。傷口から闇の力が漏れ出したことで、人間の姿に戻り、雨も止んだ。タンクトップシャドーは記憶を失ってもなお、反射的に仲間を庇う明に「なぜ…」と困惑する。雨が止み空にかかった虹を見たことで「あれだ…ずっと探して…美しく、儚いから…この手で守ると決めた…!」と、明は全ての記憶を取り戻した。
激昂したヘイ大公が明に攻撃するが、タンクトップシャドーが明を庇い致命傷を負った。
ヘイ大公に「ザラム!いいのか?人間の様に老いて死ぬだけだぞ」と尋ねられ、明は「ザラム?違うな…俺の名前は虹野明。そして…トッキュウ6号!」と答え、トッキュウ6号に変身した。タンクトップシャドーの仇として、他メンバーとともにヘイ大公を圧倒した。
ヘイ大公はクライナーロボに乗り込み、レインボーラインも超超トッキュウダイオーで応戦する。運転席に乗り込むと、そこには大人トッキュウジャー達もおり、最後は11人のイマジネーションを合わせた「超超トッキュウダイオー イマジネーションエクスプレス」でヘイ大公を撃破した。
シャドーラインの復活を目論むヘイ大公は、トッキュウジャーが大人になりイマジネーションを失うのを待つ事に決め、倒されたふりをして逃亡した。

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