【進撃の巨人】ユミル「アニがいない世界」アルミン「アニだけじゃない…」【厳選名作SS】
進撃の巨人の厳選名作SSを掲載しています。訓練中の事故で地面の裂け目に落ちてしまったアルミンとユミル。なんとか脱出して兵舎に戻ってくると、他の同期達から「少し前までアルミン達と一緒にいた」と言われてしまい…。
ユミル「アニがいない世界」アルミン「アニだけじゃない…」
1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 22:44:40 ID:xPlJwGgU
※注意 クリユミ・ユミクリ要素と最高に薄い感じのマル→ユミ要素がある
ユミル「アルミンっ!おっせぇんだよっ!!ちゃんと付いて来いよ!!」パシュッ…
アルミン「ユミル…待って!ちょっとペースが速い」タッ バシュ…
ユミル「全然、速くねぇよ!お前みたいなグズに合せてやってコレなんだ」グンッ
ユミル「いくら頭が良くてもな、その頭脳を役立てる前に死んだら意味ねぇんだぞ!?」
ユミル「あーーっ…もう最悪だ…よりによってお前なんかとペア組まされて…」キリキリキリ…
アルミン「僕に言っても仕方ないよ…。ペアは教官が決めたんだから」シュパッ…
アルミン「立体機動の成績順に上下順番に組み合わせたらこうなったんだもの…」クンッ
ユミル「あぁ、そうだった…。私は今13位で、お前は下から13番目…で、一緒になった」
アルミン「ちょうど2で割切れて良かったよね。真ん中辺りが一番バランスがいい…」
ユミル「まぁそうだな。これって成績が伸び悩んでる中間層を伸ばすための訓練なのか」
2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 22:45:20 ID:xPlJwGgU
アルミン「それだけじゃないよ…。上位は下位に足を引っ張られないように教えるし、」
アルミン「下位は上位に教えて貰ってコツを掴んで伸びる。よく考えられているね…」
アルミン「…ミカサも今日は最下位の人と組まされてたね……はぁ……はぁ……」
ユミル「おいっ!息が切れてんぞっ!お前、息切れするの早ぇえって!!」パシュン…
アルミン「ごめん…ユミル。僕の体力じゃ君に付いて行けな……悪いけど…先に行っ…
ユミル「行ける訳ねぇだろ!!仲間を見捨てたら即失格。お前も知ってるはずだ!!」タッ
アルミン「…はっ………はぁ……はぁーーーっ……」ギュルルル… パシュ…
ユミル(だいぶ集中力が落ちてるな…。ここらで一息入れたいがまだ先は長い…)
ユミル「アルミン、頑張れ!!この林を抜けたら折り返し地点だ」タッ パッシュッ…
3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 22:45:56 ID:xPlJwGgU
ユミル(折り返し地点で教官から旗を貰ったらアルミンを1分休ませる…)カッ
ユミル(総合タイムは落ちるが事故るよりはいい…。今回は採点されてない、気負うな…)
アルミン「…うん…まだ、…だい……じょう…ぶ…」クラッ… ズルルッ……
ユミル「おい!アルミンっ!!」ギッ…! バシュッ!
ユミル(…!!あいつ、頭からっ!……掴めるか!!?)ガガッ ギュルルルルル…
ユミル「アルミィィィィン!!」バッ!
ガシッ ギリギリギリギリ…
ユミル(掴んだっ!…よし!このまま木を避けながら、ゆっくり減速して…って…
ユミル「な、何だよアレ!?地面に…穴?裂け目!?」ブンッ…
ユミル(前の演習でここを通った時はこんなの無かったぞ…まさか3日前の地震で…)
4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 22:46:43 ID:xPlJwGgU
ユミル「アルミンっ!おい!アルミン大丈夫か?重いんだよっ!!目を覚ませ!」
アルミン「ん…?」スゥッ…
ユミル「軽く気ぃ失ってんじゃねぇよ!起きろ!でないとお前を支えられない!!」
ユミル「左手一本で抱きとめてる!立体機動のトリガーに右手の指しか掛かってない!」
ユミル「このままだとあの変な裂け目に突っ込むんだよっ!!早く体勢を立て直せ!」
アルミン「えっ!?」ガバッ!
アルミン「ユミル、僕を離して!今、アンカーを打ち……うっ…うわぁぁぁああ!!」
ユミル「くっそっ!間に合わ……裂け目に突っ込むぞ!!!!」グルッ…
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5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 22:47:15 ID:xPlJwGgU
ユミル「……う…っ!…痛っててっ……肘と横っ腹を打ったな…」ムクッ
ユミル(何時まで気絶してた?天井に星が見える…辺りは真っ暗だ…)
ユミル(良かった…裂け目は浅かったようだ。2mぐらいか?これくらいなら登れる)
ユミル「立体機動装置も…よし、見たとこ不具合はなさそうだ。壊れてない…な。多分」
アルミン「……んっ……ユミル…?」
ユミル「アルミン大丈夫か!?」
アルミン「うん…平気だ。少し身体を打ったけど、大したことないみたい」
アルミン「空が暗いね…訓練は日中だったから僕ら6~10時間ぐらい気絶してた?」
ユミル「正確な時間はわかんねぇが…ま、そんなもんだろうな…」
6: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 22:47:50 ID:xPlJwGgU
アルミン「…ここから登れるかな?」
ユミル「粘土層みたいだぞ?ほら、土が柔らかい…。これがクッションになったんだ」
アルミン「僕ら二人とも大きな怪我はないみたいだね。良かった」
ユミル「だな!…だが、元凶はお前だ。忘れるなよ…お前のせいなんだからな!」
アルミン「分かってるよ、念を押さなくても!教官には僕から説明する」
ユミル「おう!任せたぞ。この裂け目、見た目ほど大袈裟なもんじゃねぇな…」
ユミル「土が柔らかいから足元を崩さないように慎重によじ登れば…よっこら…
ユミル「ほら…もう外に出られた…」
アルミン「…っ…しょ…っ…と!……ほんとだ。すぐに出られたね」フゥ…
7: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 22:48:37 ID:xPlJwGgU
ユミル「こっから兵舎までどれだけかかるかな…闇の中での立体機動は危ねぇし」
アルミン「歩いて…2時間ぐらい…?」
ユミル「…はぁ……気が重いな」
アルミン「だね…」
ユミル「それにしても薄情だよな?何で探しに来ないんだ?あいつら…」
ユミル「私がアルミンと脱走するはずないんだし、何かあったって思うのが普通だろ?」
アルミン「う~ん…それもそうだね」
アルミン「2週間前にあった事故の時は訓練を中止してみんな総出で探したよね」
ユミル「そうだったな…早めに発見できたから命は取り留めたんだよな。あいつら」
8: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 22:49:44 ID:xPlJwGgU
アルミン「僕らも下手したら命に係わる重大事故になってたかも知れないのに…」
アルミン「誰にも発見してもらえず今に至る…」クスン…
ユミル「…訓練の経路上にある、割と分かりやすい裂け目だったよな?見落とされたけど」
アルミン「…」
ユミル「くどいようだけど……全部てめぇのせいだぞ…。アルミン」
ユミル「この借りはいつか必ず返してもらう」
アルミン「分かってるってば!もう…しつこいなぁ、ユミルは……」
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9: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 22:50:40 ID:xPlJwGgU
…2時間後
― 訓練兵団敷地内 兵舎前 ―
ユミル「やっと着いた!朝までかかるかと思った…」
アルミン「暗闇でも結構歩けるもんだね」
ユミル「道を覚えてたからな!割合、安全な経路だっただろ?私に感謝しろよ!」
アルミン「ありがと。猛獣のようなユミルと一緒だったから、野生動物も怖くなかったよ」
ユミル「猛獣…?こんな可憐な女を捕まえて、何言ってやがる!」ニヤニヤ
アルミン(ユミル、たどり着いてほっとしたのかな…。キツめの冗談でも怒らないや)
アルミン「じゃ、これから教官に報告しに行ってくる。ユミルは女子寮に戻ってていいよ」
アルミン「事情聴取は多分、夜が明けてからになるから」
10: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 22:51:36 ID:xPlJwGgU
ユミル「いや、私も行く」
ユミル「お前と二人でいかがわしい行為をしてたとかゲスな噂を立てられても困るからな」
アルミン「僕とユミルが?…それは無いんじゃない?いくらなんでも」
ユミル「火の無い所に煙を立てる奴がいるんだよなぁ…。ここにも性質の悪いのがいてさ」
ユミル「そうだ!浴場まだ使えるかな…。ぬるくても良いから泥と汗を流したい」
アルミン「…同感だ。たまには気が合うね、僕ら」
ユミル「ここで無為に時間を浪費しても仕方ねぇ…行くか…」サクッ
クリスタ「…ユミル?」
11: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 22:52:47 ID:xPlJwGgU
ユミル「ん……クリスタか?…お前こんな時間に…って言うか今何時だ?」
クリスタ「えっ…えっと、22時ぐらいかな?」
アルミン「やっぱり結構時間かかったね、ここまで来るのに」
クリスタ「えっ?」
クリスタ「二人でどこかへ行ってたの?」
ユミル「はっ?」
アルミン「どっか行ってたも何も…僕ら今日の立体機動訓練はペアだったじゃない…」
ユミル「訓練中に事故って地面の裂け目でこいつと二人で気絶してたら、置いてかれた…」
アルミン「だって誰も探しに来てくれないからさ…酷いよ、クリスタも!」
ユミル「クリスタは悪くない!!大体お前が訓練中に突然気を失うから…
クリスタ「ユミル…何の話?トイレに行くって言ってからずっと戻って来なくて…」
12: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 22:54:23 ID:xPlJwGgU
クリスタ「もしかしたらトイレで倒れてるのかもと思って探しに来たらアルミンがいて…」
クリスタ「しかも二人とも制服と立体機動装置を付けてて…何だか泥だらけで…
アルミン「ま、待ってクリスタ…!そんな訳ないって…!!」
アルミン「ユミルがクリスタとさっきまで一緒にいた?ちょっとホラーなんだけど…」
アルミン「だってユミルは僕とずっと一緒にいたんだ。昼間、事故を起こしてからずっと」
ユミル「あ…あぁ、そうだ。クリスタの言ってる事はありえない…」
ユミル「私らは今、森を抜けて自力で戻って来たばかりで、私はトイレには行ってないし、」
ユミル「女子寮にだって戻ってない…。立体機動装置だってまだ返してないんだ、ほら」
クリスタ「で、でも…2時間くらい前まで本当にユミルが隣のベッドにいたんだもん!」
ユミル「だからそんな訳ないんだって!私らは3日前の地震で出来た裂け目に突っ込んで…
クリスタ「3日前の地震?…ユミル、それも変だよ……3日前に地震なんて無かった…」
13: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 22:55:29 ID:xPlJwGgU
アルミン「えっ…」
アルミン「結構大きい地震だったよ?あれに気付かなかったはずはないんだけど…」
クリスタ「や、やだ……。アルミンったらユミルと二人で私の事、からかってるの…?」
ユミル「私らをからかってるのはお前の方だろ?クリスタ…」
クリスタ「…」
ユミル「…」
アルミン「…」
アルミン「と、とにかく教官に報告しに…
コニー「アルミン!」ダッ…
アルミン「コニー?」
14: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 22:56:46 ID:xPlJwGgU
コニー「おーい!ジャン!!アルミン見付かったぞ!」
ジャン「見りゃ分かる!コニー、夜中に大声出すなよ…見回りに見付かったらどうする」
アルミン「ジャンも…」
ジャン「アルミン、お前どこに行ってた?まさかユミルとこんな時間に逢引きか?」
コニー「ははっ、このブスと?趣味悪いだろ…ねぇな!」
ユミル「おい!ブスって私の事かよ…この馬鹿!」
クリスタ「ユミルはブスじゃないよっ!意地悪を言うコニーは嫌い…」
コニー「クリスタ…いや、冗談だって!いつものやつだよ、なぁ?」
マルコ「愛情表現だよね?不器用なコニーの」フフッ
アルミン「マルコ…」
マルコ「見付かって良かった…。1時間以上経っても戻って来ないからさ」
マルコ「みんなで探してたんだよ、アルミンの事」
15: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 22:58:57 ID:xPlJwGgU
アルミン「僕の事…?それに1時間以上戻って来ないって…」
ジャン「2時間前に、部屋を抜けただろ?図書室に手紙を忘れたから取りに行くって」
コニー「明日にすればいいってみんな言ってたのにな」
マルコ「だってお母さんからの手紙だよ?他人に読まれたら嫌じゃない?」
マルコ「僕はアルミンの気持ち、分かるなぁ…」
ジャン「俺も分かるわぁ…母ちゃんからの手紙ってなんか恥ずかしいよな」///
コニー「ま、俺だってな…その……わからんでもないけど…」
アルミン「ま、待って!僕…2時間前までみんなと同じ部屋にいたの!?」
コニー「…ん?」
16: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:00:13 ID:xPlJwGgU
ジャン「そうだけど…って、お前なんで制服着てんだ!?しかも立体機動装置まで…」
マルコ「何か、訓練終えて来ましたーーみたいな恰好だね…どうしたの?」
コニー「母ちゃんからの手紙、図書室へ取りに行っただけだよな?」
アルミン「だから…意味わかんないって…。だって僕の母さん死んでるし…」
アルミン「僕とユミルはつい今しがた戻ってきたんだ…この先の森の訓練場から…」
アルミン「部屋には寄ってないし、手紙なんか来る訳ないし…みんなおかし…
ユミル「な、なぁ…アルミン、私にはこいつらが冗談を言ってるようには見えない」
ユミル≪ひとまずこいつらと話を合せないか?ちょっと不気味だが…≫ヒソヒソ…
ユミル≪私らは間違ってない。…だが4対2だ、分が悪い。少し様子を見よう≫
アルミン≪ユミル…何だか僕…怖いよ。ここは気持ちが悪い…何か変だ…≫
ユミル「あ~!…頭が痛いなぁ…クリスタ、私は早く部屋に帰りたい…」チラッ チラッ
17: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:02:05 ID:xPlJwGgU
クリスタ「ユミル!大丈夫!?」ギュッ
クリスタ「ね、今日はもう部屋に戻ろう?その制服は…明日、私が洗ってあげる!」
クリスタ「何で立体機動装置を持ち出したのか知らないけど、今は鍵が掛かっていて、」
クリスタ「保管庫へは戻せないから…今夜だけは秘密の空き倉庫へこっそり隠しておこう?」
ユミル「あの鍵が壊れている倉庫か?」
クリスタ「そうだよ!確か1ヵ月くらい前に二人で見付けた忘れられがちな倉庫」
ユミル「あそこな!…分かった」
ユミル(先月、二人で見付けた空き倉庫か…憶えてる。この辺の記憶はクリスタと共通…)
ユミル「アルミン、お前の立体機動装置もそこへ隠そう」
アルミン「う、うん…」
ジャン「釈然としねぇが、説明は明日でもいい。…人騒がせだったな、アルミン」フワァア…
18: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:03:30 ID:xPlJwGgU
アルミン「あの…ごめん……みんな…」
マルコ「まぁまぁ…ジャン、何か事情があったんだよ。そういう事にしておこう」
ユミル「お前の立体機動装置を今すぐ外せ、クリスタと二人で隠しておくから」
アルミン「分かった…ユミル、クリスタ…お願いするね」カチッ…カチッ… シュルルッ…
ドサッ… パチン… パチン……
ジャン「あーーー、そういやエレンの奴はどこ探してんだ?」
マルコ「図書室はもう何度も見たし、トイレか…講義室か…あと食堂とか?」
コニー「エレンもそのうち戻って来るだろ?とりあえず、アルミン見付かったし…」
コニー「あっ…ふ……っ。明日も早いから、もう寝ようぜ…はぁ……」
ジャン「…だな、放っておくか」
19: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:04:42 ID:xPlJwGgU
マルコ「でも、そういう訳にもねぇ…」
アルミン(母さんからの…手紙…)
アルミン「図書室に置き忘れたって言ってたんだね、僕…」
コニー「あ?…あぁ、そうだけど…」
アルミン「何だか汗をかいて気持ち悪いし、身体を拭いてから男子寮に戻るよ」
アルミン「コニー、ジャン、マルコ…ありがとう。今度はすぐ戻るから…」
アルミン「悪いんだけど、先に寮に戻ってて…。エレンも探して一緒に連れて帰るから」
コニー「あぁ、分かった。お前が無事ならそれでいいんだ」
マルコ「大騒ぎしてごめんね、アルミン」
アルミン「うん?」
20: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:07:31 ID:xPlJwGgU
ジャン「忘れてないとは思うが、1週間前に立体機動の訓練中に事故で2人死んだだろ?」
ジャン「あれから104期…いや、訓練兵全体が神経質になってるって言うか…」
ジャン「普段ならお前が戻って来なくても何とも思わねぇんだが…妙に胸騒ぎがしてな」
マルコ「たった2時間ちょい、君が戻って来ないだけで僕らはこのザマだ」ハハッ…
マルコ「怖いんだよ…。最近、仲間が死んだからかな?君にも何かあったのかもって…」
ジャン「おっ、俺は…別にアルミンが図書室へ行ったぐらいで死ぬなんて思ってな…
マルコ「いいって!ジャンってみんなが思ってるほど性格悪くないの、僕は知ってるから」
アルミン(訓練中の事故で亡くなった?…2週間前、確かに事故はあったけど…)
アルミン(でも彼らは一命を取り留めたはず…。さっきからずっと話が噛み合わない)
ジャン「はぁ?マルコ、お前…俺の事、性格悪いってみんな思ってると思ってたのかよ!」
コニー「憲兵団、憲兵団、言ってるからなー…他人を蹴落としても憲兵団!…だろ?」
21: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:08:44 ID:xPlJwGgU
ジャン「コニー…お前まで……」
ユミル「お前らまだここで話し込んでたのか…」ザッ…
アルミン「ユミル!」
ユミル「立体機動装置、隠してきたからな。この事は他言無用だ…3人とも」
ジャン「弱みを握る気なんてねぇよ…アホか」
ユミル≪アルミン、話がある…。明日の朝食は同じテーブルで食べよう≫ヒソヒソ…
アルミン≪分かった…≫コクン
ユミル「じゃぁな!…行こうぜ、クリスタ」
クリスタ「うん!みんなも見付からないように寮に戻ってね!おやすみ」
マルコ「天使のように愛らしいね、クリスタ…」ハァ…
22: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:09:52 ID:xPlJwGgU
ジャン「戻るぞ!アルミンも見付かったし…」
コニー「そうだな。しっかし、図書室へ行ったぐらいで何で死ぬかも…と思ったのかねぇ」
コニー「ジャンが神経質すぎて驚いたぜ」
ジャン「う、うるせぇな!いいだろ?アルミンは無事だったんだし…」
マルコ「そう言わないであげてよ、コニー。君だって本当は心配でたまらなかったくせに」
マルコ「さっきまで隣にいた仲間が、翌日の朝にはいない…それって、すごく怖い事だよ」
コニー「うん、そうだな…。あの死んだ2人も、もっと早く俺達が発見出来ていたら…」
アルミン「…じゃ、僕は行くね。すぐ部屋に戻るから…ごめん!」タタタッ
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23: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:10:55 ID:xPlJwGgU
― 兵舎内 図書室 ―
ガラガラガラ…
アルミン(良かった…鍵、掛かってなかった)
アルミン(母さんからの手紙か…。…僕の母さんはもう4年も前に死んでる。父さんも)
アルミン(だから、手紙なんか届くはずないんだ)
アルミン(でも…もしかしたら……もし本当に手紙があるなら……)
アルミン ソッ…
アルミン「僕のお気に入りの席…窓際の………あっ……これの事?」スッ
アルミン「ここじゃ暗くて読めないな。ランプ……あったっけ?」
エレン「………ふぁ……っ……アル…ミン…?」
24: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:11:46 ID:xPlJwGgU
アルミン ビクッ!
アルミン「エ、エレン!?」
エレン「あ…あぁ、良かった…」ホッ
エレン「ふあ~…ぁ…っ……悪ぃ、ここで寝ちまってた。お前を探しに来たのに…」
エレン「あっちこっち探したんだけど見付からなくてさ、手紙も残ってたし」
エレン「また来るよな、って思って…ここで待ってたら睡魔に負けた」
アルミン「そ、そっか……エレンにもごめん…心配かけて」
エレン「気にするなよ。俺とアルミンの仲だろ!?」
アルミン「うん…そうだね。ありがとう」
エレン「明日、俺も一緒に帰るぞ…ミカサも行くって言ってる。シガンシナ区に」
25: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:12:48 ID:xPlJwGgU
アルミン「えっ?」
エレン「おじいちゃん、危ないんだろ?」
エレン「もう意識が無いって書いてあったって言ってたじゃねぇか」
エレン「俺も教官に事情を説明しておいた。了承も得てる。明日の昼に出発だったよな」
アルミン「な、何言って…そんな、馬鹿な……だって僕のおじいちゃんはとっくに…」
エレン「とっくに?」
アルミン「とっくに死んでるよ!!ウォール・ローゼに逃げてきた後、王政府の…
エレン「はぁ…?お前も寝ぼけてるのか?いや、突然の事で混乱してるのか…」
エレン「今、何時だ?…ほら、寮に戻ろう…見回りに見付かると厄介だ」
アルミン(エレン…。君もおかしいよ。いや、おかしいのは僕の方か?)
アルミン(ユミル、彼らは一体どうしちゃったんだ?君の方は大丈夫なの?)
・
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26: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:13:53 ID:xPlJwGgU
― 男子寮 ―
ガチャッ ギギギッ
エレン「アルミン、静かにな…みんなを起こすなよ」
アルミン「う、うん…。さっきジャンとコニーとマルコに会ったんだ」
アルミン「僕を探しに来てくれてさ、これ以上迷惑は掛けられない…」
エレン「そっか…俺もそっちに付いて行けば良かったな」
アルミン「……みんな、寝てるね」
エレン「手紙、読み直すのは明日でいいだろ?とりあえず失くす前に回収できたんだし」
アルミン「うん…そうだね…」
27: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:14:44 ID:xPlJwGgU
アルミン(中身が気になるけど、瞼がすごく重くて…今すぐベッドに倒れ込みたい気分だ)
アルミン(身体は明日拭こう…今は何とか制服を脱いで寝間着に着替えて、それから…)
アルミン(あれ…?この部屋、何だ……何かが足りない…昨夜と違和感がある)
アルミン(いや、ここにたどり着いてから違和感しかない…でも何だろ…何が足りない?)
アルミン(続きは、明日…考えよう……ぼく…は……も、う…限…界……)パフン
・
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・
28: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:15:47 ID:xPlJwGgU
ユミルとアルミンが
地面の裂け目から生還した翌日(2日目)
アルミン「……ぅ…ん……っ……あ、朝…」スゥッ…
アルミン(まだ…眠い……)ゴシゴシ…
アルミン(昨日の事、全部夢だったのかな…おじいちゃんとかシガンシナ区とか…)
アルミン カサッ
アルミン「…ん?」
アルミン「!?」
アルミン(母さんからの、手紙!?)ムクッ
29: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:16:52 ID:xPlJwGgU
アルミン「こ、これ…母さんの字だ!?」バッ
アルミン(昨夜は暗くて全然読めなかった…この手紙は本物なのか…?)
アルミン「懐かしい…。か、母さんの…字……うぅっ……うあぁぁっ…!」ギュッ
アルミン(どうして?そんな事はどうでもいい!!早くっ…!何が書いてある!?)
ガサガサガサ… パラッ…
アルミン「…」
アルミン「う、嘘…」
アルミン「そんな……そんな事って……これは、夢?僕はまだ夢を見てるのか…?」
30: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:18:03 ID:xPlJwGgU
アルミン「母さんが…いや、父さんも生きている…。おじいちゃんの具合が悪いから、」
アルミン「この手紙を教官に見せて休暇を貰ってシガンシナ区に帰って来い…だなんて…」
アルミン「でも、これ本当に母さんの字で……でも、でもシガンシナ区はもう…
エレン「アルミン…?」
アルミン「エレン!!」
アルミン「おかしいんだっ!?僕にこんな手紙、届くはずない!!」
アルミン「だっておじいちゃんは王政府のウォール・マリア奪還作戦で殺されて…
エレン「ア、アルミン!…ちょっと待て!落ち着けって…」
アルミン「これが落ち着いていられる!?…酷い悪戯だよ!母さんの筆跡まで真似て…
エレン「昨日から変だぞ、お前…」
アルミン「えっ…」
31: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:19:15 ID:xPlJwGgU
エレン「ウォール・マリア奪還作戦って何だ?それにお前のじいちゃん、勝手に殺すな!」
エレン「まだ死んでない…生きてるだろ?なぁ、ショックなのは分かるが…」
エレン「アルミンの顔を見ればじいちゃんだって持ち直すって!俺も一緒に帰るし」
アルミン「帰るって…どこへ…?」
エレン「シガンシナ区に決まってるだろうが!そこ以外に俺らの故郷があるのか?」
アルミン「無理だよ!シガンシナ区は…ウォール・マリアは4年間から巨人に占拠され…
エレン「はぁ…」
アルミン「エレン…?」
32: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:20:30 ID:xPlJwGgU
エレン「ミカサも俺も付いてるから…大丈夫だ。アルミン」ポン…
エレン「突然こんな手紙が来たから動揺してるんだな、夢と現実がごっちゃになってる」
エレン「…それにしても笑えない夢だな。ウォール・マリアが巨人に占拠されるだなんて」ハハッ
エレン「ミカサには言うなよ?あいつ本気でお前の頭を心配するぞ」
アルミン「…」
アルミン「顔、洗ってくる…」
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33: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:21:25 ID:xPlJwGgU
― 兵団敷地内・中庭 井戸前 ―
アルミン バシャッ… バシャッ…
アルミン(朝食の前に、軽くタオルで身体も拭いておこう。僕の身体、少し臭う…)
アルミン(一晩経ってもエレンは変だった。昨日のジャンとマルコとコニーも変だった)
アルミン(変なのは…僕なのか?それにしても昨夜感じた違和感…アレの正体は…)
ユミル「アルミンか…?」
アルミン「ユミル!!」バッ…
アルミン「ねぇユミル…君は正常!?それともおかしいのは僕だけ…?この世界は…
ユミル「落ち着け!!お前は正常、私も正常。おかしいのはこの世界だ…」
アルミン「良かった…君も、この世界をおかしいと思ってたんだね!」
34: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:22:30 ID:xPlJwGgU
ユミル「当たり前だろ!ずっとお前と森を歩いてたのにトイレに行くって言って消えた…」
ユミル「…とか言われる世界が、私にとって普通の世界だと思うか?」
アルミン「そうだね…。僕もそうだ。母さんからの手紙、行けないはずのシガンシナ区」
アルミン「おかしいのはやっぱりこの世界の方だよ…」
ユミル「さっき立体機動装置を隠した空き倉庫へ寄った」
ユミル「まだあったよ。泥だらけの立体機動装置…。後で整備するぞ!動くかどうか」
アルミン「あれは僕らが立体機動の訓練中に事故を起こして、ここまで歩いて来た証拠だ」
ユミル「事故ったのはお前だけで私は助けた側だぞ…そこ、混同するなよ。貸し一つだ」
アルミン「うん…分かってる…」
ユミル「他に何か気が付いた事は無いか?」
アルミン「他に?」
ユミル「あぁ」
35: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:23:17 ID:xPlJwGgU
アルミン「いっぱいありすぎて何から話していいのか…。まだ僕は混乱している…」
ユミル「…」
ユミル「これだけは、先に言わせてくれ」
アルミン「う、うん…」
ユミル「ここは…」
ユミル「アニがいない世界」
アルミン「アニだけじゃない…」
ユミル「はっ?」
アルミン「昨夜、ベッドに入る時も…朝起きた時も、ずっと感じてた違和感」
36: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:24:14 ID:xPlJwGgU
アルミン「何かが足りない感じがしていた。その正体はさっき分かった」
アルミン「ライナーとベルトルトもいないんだ。僕は昨日まで彼らと同室だったのに」
アルミン「ここに来る途中でトーマスとすれ違った時、彼らの話を振ってみた」
アルミン「トーマスは彼らの名前も知らなかった。今期の総合成績、2位と3位だよ?」
アルミン「知らないはずがないのに!」
ユミル「ふむ…なるほどね」
ユミル「私が今朝までに収集した情報では、この世界は巨人の襲撃を受けていない…」
アルミン「……うん」
ユミル「ウォール・マリアもシガンシナ区も、壁内全域が襲撃前の…4年前のままだ」
ユミル「この世界は平和そのもの」
アルミン「…まるで夢でも見てるみたいだ」
アルミン「もしかしたらあの地面の裂け目で僕らはまだ眠り続けてるのかも…」
37: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:26:26 ID:xPlJwGgU
ユミル「アニとライナーとベルトルさんは103期に入ったのかもな」
アルミン「えっ…」
ユミル「ライナーは私と同じ歳。つまり16歳、アニとベルトルさんはアルミンの1つ上」
ユミル「ライナーとベルトルさんは同郷。入団時期を合わせたのなら順当に行けば前年度」
アルミン「そ、そうだね…でも…
ユミル「102期と103期が欠番になってたのは巨人の襲撃から壁内を立て直すために」
ユミル「その間の2年間は新規で訓練兵を集めたり、鍛えたりする余裕が無かったからだ」
ユミル「この世界が平和な世の中なら102期と103期は存在している…」
アルミン「そうなのかな…」
アルミン「それなら何でマルコは103期で入団しなかったの?彼も僕より1つ上だ」
ユミル「それは本人に聞いたらどうだ?1年遅らす理由があったのかも知れないし」
38: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:28:11 ID:xPlJwGgU
アルミン「…僕は、その仮説は違うと思う」
ユミル「根拠は?」
アルミン「僕とエレンとミカサが、ウォール・ローゼ南方面駐屯訓練兵団に所属している事」
アルミン「これが理由…」
ユミル「……ふ~ん。そうだな」
ユミル「よく考えりゃ、何でクリスタもここに所属してるのかさっぱりわからない」
ユミル「マリアが無事なら、クリスタはおそらくマリアへ飛ばされていたはずだ」
アルミン「クリスタの事情は知らないけど、僕らの事情はこうだよ」
アルミン「僕らはシガンシナ区出身だ。壁内が平和で巨人に占拠されていないのなら…」
アルミン「エレンと僕とミカサはウォール・マリア南方面駐屯訓練兵団に所属しているはず」
アルミン「エレンは調査兵団に憧れていて、訓練兵に志願する事は決まっていた」
39: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:29:28 ID:xPlJwGgU
アルミン「ミカサは当然エレンに付いて行く、僕も訓練兵として知識を学びたかった」
アルミン「それが、マリアを飛び越えて何故かローゼの訓練兵団に所属している」
アルミン「それには何かしらの理由があるんだろうけど、必然性がある理由だろうか?」
ユミル「…つまり?」
アルミン「僕らがいた、本来の世界と思っているあの世界。僕らにとってあれが普通だ」
アルミン「そこをオリジナル、つまり『始まりの世界』として考えると…この世界は…」
アルミン「僕らのいた、『始まりの世界』を根幹として成り立つ世界なんだと思う」
ユミル「はあっ?もっと噛み砕いて言ってくれ」
アルミン「始まりの世界が元になっているという仮定でのみしか成り立たない仮説だけど、」
アルミン「この世界では僕らの世界と辻褄の合わない事は捻じ曲げられてしまうのかも」
アルミン「何らかの理由を付けて」
ユミル「それがマルコが同期だったり、お前らやクリスタがローゼにいる理由?」
アルミン「検証はこれからで、ただの思い付きだから自信は無いけど…」
40: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:30:41 ID:xPlJwGgU
アルミン「前に読んだ本で、面白い仮説があったんだ。その本は発禁になっていて」
アルミン「僕のおじいちゃんがこっそり隠し持っていた。ある異端者が書いた本でね…」
アルミン「世界は無限である。多層構造になっていて幾つもの世界が平行に重なっている」
アルミン「その世界は僅かな出来事で分岐し、新たなる世界を創造する。今この瞬間にも」
ユミル「さっぱりわかんね」
アルミン「わかりやすく言うとさ、こうだよ」
アルミン「この世界は、ほんの少し空間がずれた場所にそっくりそのまま同じような世界があって」
アルミン「色々な条件で分岐をして未来が変わっていく。分岐の数だけ世界が存在する」
アルミン「まぁ些細な分岐なら、僕らを取り巻く環境が大きく変化する事はないけれど…」
ユミル「ふむ…」
41: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:31:59 ID:xPlJwGgU
アルミン「例えば、僕は次の休日に君と市場へ行くとする」
ユミル「お前と市場へなんか行った事無いぞ」
アルミン「例え話だって!ここでもう分岐が始まる」
ユミル「どんな風に?」
アルミン「最初の分岐は、君と市場へ行くか行かないか」
アルミン「君と行きたい気持ちが10%、行くのをやめるが50%、他の人を誘うが40%」
アルミン「僕の気持ちがこうだとすると、この時点で今言った確率で新たな世界が出来る」
ユミル「はぁああぁ…?」
アルミン「いや、違うな。この段階でもう世界は3つ出来ていて、この先の分岐の分母が…
ユミル「そんなんどうでもいいから、ちゃっちゃと説明してくれよ!!」
アルミン「えっと…そうだね。10%の気持ちを尊重して、君と市場へ行ったとする」
アルミン「そこでリンゴを買うか買わないか…で、また分岐が出来る。仮に買ったとして、」
アルミン「その場でリンゴを食べるかどうか、または寮まで持ち帰ってお土産にするのか」
42: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:33:02 ID:xPlJwGgU
アルミン「お土産とするなら誰に渡すのか…その都度また分岐が出来て」
アルミン「別の平行世界が出来る」
ユミル「そんな話聞いた事無いぞ…世界は一つだろ?」
ユミル「切り捨てられた可能性に未来は無い!平行世界なんてものは存在しない!!」
アルミン「でも僕らが今いる世界は平行世界なんだって考えないと説明が付かないんだ!」
アルミン「この世界は、4年前に巨人の襲撃を受けなかった世界で…」
アルミン「だからシガンシナ区も、ウォール・マリアも無事で、僕の両親も生きていて!」
アルミン「勿論、エレンの両親であるおばさんもおじさんもあの家にいて…」
アルミン「でも何らかの影響で、アニやライナーやベルトルトが訓練兵になっていなくて」
アルミン「どこで分岐したのか知らないけど、無限の平行世界の一つなんだよ!ここは」
ユミル「…はぁ……あったま痛ぇ……アルミン、お前それ本気で言ってんのかよ…」
43: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:33:58 ID:xPlJwGgU
ユミル「市場へ行く行かない、リンゴを食う食わない…で世界が分岐するだって?」
ユミル「じゃ、この壁内の全ての人間が今この瞬間も平行世界への分岐を作り出してるってのか?」
アルミン「人間だけじゃないよ…台風で木が倒れる、倒れない。動物が死ぬ、死なない」
アルミン「人間以外の生き物や、巨人や、無機質だって時には分岐を…平行世界を作る」
ユミル「そんな馬鹿な…考えられる可能性の数は、神の領域だ」
アルミン「これはただの仮説で、正解ではないのかも知れない…でもそう考えないと…
ユミル「くそっ!…何だよ、何なんだよっ……頭がおかしくなりそうだっ!!」
ユミル「…なぁ、お前の読んだその本、まだお前の家にあるか?」
アルミン「えっ…いや、もう…あぁっ!ある、あるよ!!…だって僕の家はまだある!!」
44: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:34:56 ID:xPlJwGgU
アルミン「今日の昼からシガンシナ区へ一時帰宅するんだ…その、おじいちゃんが…」
アルミン「エレンが言ってた。教官の許可は下りてるって」
アルミン「僕じゃない僕が、母さんからの手紙を見て、すぐに一時帰宅の許可を取って」
アルミン「荷物をまとめている時に、図書室に手紙を忘れた事を思い出して取りに行った」
アルミン「どうやら昨晩の僕の行動はこんな感じだったらしい…」
アルミン「エレンから聞き出した話を繋ぎ合わせただけだけどね」
ユミル「私もシガンシナ区へ行ってみたい。何とかならねぇかな…」
アルミン「ユ、ユミルも?」
ユミル「ウォール・マリアを見てみたいんだ。巨人に占領される前のお前らの土地を」
ユミル「シガンシナ区も、紙の上でしか知らないから実際の街に入ってみたい!」
ユミル「何とか理由をこじつけてみる!…ダメか?なぁ、私も連れて行ってくれよ」
45: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:35:41 ID:xPlJwGgU
ユミル「それにお前が読んだその本の中に、元の世界へ戻る手掛かりがあるかも知れない」
アルミン「元の世界へ戻る手掛かり…。そ、そうだね!何か重要な事が書いてあるかも」
アルミン「細かい所は忘れちゃったから…もう一回読み直さないと…」
アルミン「それにしても、シガンシナ区!父さん…母さん…おじいちゃん……」
アルミン「もう一度、会えるんだ!!エレンのご両親にも…近所のおじさんやおばさんにも…」
アルミン「破壊されてない、僕の街…あのまま、そっくりそのまま…残ったままで…」グスッ……
アルミン「こんなの…信じられないよ!……神様…!!…う゛ぅっ……」グイッ
ユミル「アルミン…」
ユミル「だいぶ長話をした、食堂へ行こうか。続きはそこで話そう…」
46: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:36:31 ID:xPlJwGgU
― 兵舎内 食堂 ―
クリスタ「ユミル、こっち!席取っておいたよ!!」
ユミル「おう!いつも悪いな、クリスタ」
クリスタ「ううん、そんな事言わないで…隣にユミルがいてくれるだけで、私…」
ユミル「クリスタ…お前も気にしてるのか?2週間前…いや、1週間前の事故…」
クリスタ「うん…。だって、仲間が死ぬのってここに来てから初めての経験だったから…」
ユミル(初めて?…いや、今まで何人も訓練中の事故で命を落としたはずだが…)
ユミル(この世界の訓練はゆるいんだな。なんせ平和だからな…人の死が身近ではない)
ユミル(ここは訓練兵の心身の安全に気を配り、命や個性が尊重される…人間らしい世界)
ユミル(でないと家族の死に目に会うって理由で休暇が取れるはずがない)
47: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:37:22 ID:xPlJwGgU
ユミル(私らが昨日までいた世界では親の死に目にすら会えない世界だった)
ユミル(もっとも、その「親」がいない奴も相当数いたが…エレンやアルミンのように)
ユミル「おっ!アルミン!!こっちだ。今日はこっちに座れ」
アルミン「ユミル…。う、うん!そっちへ行く」
エレン「アルミン、今朝はどこまで顔を洗いに行ってたんだよ!部屋で待ってたんだぞ…」
アルミン「中庭の井戸で顔と身体を洗ってた。結局、昨夜はあのまま寝ちゃったからさ…」
アルミン「少し頭を整理したくて…気分転換にちょっと遠い水場までね。エレン、ごめん」
エレン「そっか…。あんまり一人で思い詰めるなよ…?俺もミカサもお前の力になるから」
ミカサ「クリスタ、ユミル…私とエレンもそっちで食べていい?」
ユミル「あぁ!構わない。いいよな?クリスタ」
48: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:38:01 ID:xPlJwGgU
クリスタ「勿論!お隣どうぞ。ミカサ」ニコニコ
ミカサ「ありがとう」スッ
ミカサ「アルミン、エレンから聞いていると思うけど…私もシガンシナ区に行く」
アルミン「うん、一緒に行くって聞いてるよ」
ミカサ「私もエレンもあなたのおじい様にはお世話になった…最後に顔を…
エレン「ミカサっ!縁起でもない事言うなよ…。持ち直すよ、アルミンのじいちゃん」
アルミン「エレン…」
ミカサ「ご、ごめんなさい…アルミン。悪気はなかった…。私は思慮が足りなかった」
アルミン「だ…大丈夫!全然気にしてない!!」
アルミン「それよりよく休暇が取れたね。僕のおじいちゃんの事で…」
49: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:38:52 ID:xPlJwGgU
ミカサ「アルミンのおじい様なら私達にとって親戚も同然。教官を説得した」
エレン「説得と言うか、あっさり許可が下りたぞ」
ミカサ「日頃の成績がこんな時に物を言う…。真面目に訓練を受けていて良かった」
アルミン「日頃の成績…」
アルミン「変な事を聞くけど、今のエレンとミカサって何位だっけ?今期の総合」
ユミル「あっ…クリスタ、こぼすな」フキフキ…
クリスタ「ん~……ユミルありがとう…」
クリスタ「えっと、そうだ…!ユミルの汚れた制服、今朝洗濯場で洗っておいたよ」
ユミル「そっか…手間だったろ?ありがと、クリスタ」
50: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:39:35 ID:xPlJwGgU
ユミル「お前に礼をしないとな。あぁ、そうだ…シガンシナ区で何か買って来るわ!」
クリスタ「シガンシナ区?」
ユミル「そう、実はアルミンのじいちゃんと知り合いでさ、私もお見舞いに行くんだ」
クリスタ「!?」
クリスタ「ず、ずるいよ!ユミル…。私も一緒に行きたい!!」
ユミル「おいおい!遊びじゃないんだぜ。ちなみに観光でもないからな」
ユミル「お前は留守番だ。お土産、期待してろよ?」ニコッ
クリスタ「むぅ………はぁい……」シュン…
エレン「えっと…なんだっけ?」
ミカサ「今期の総合成績は私が1位、エレンは2位…アルミンは確か56位…だった」
51: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:40:32 ID:xPlJwGgU
エレン「アルミンは座学は1位なんだけど、それ以外がなぁ…」
ミカサ「仕方ない。アルミンはここを卒業したらシーナ中央の技巧科に進むつもりだから」
ミカサ「苦手な分野に労力を割くより、得意な分野を伸ばしていった方が本人のため…」
エレン「そうだな。それでわざわざウォール・ローゼの訓練兵団に入ったんだよな」
アルミン「それが、僕がウォール・マリアの訓練兵団に入団しなかった理由?」
エレン「…ん?ローゼ南方面駐屯の訓練兵団にはその分野に長けている教官がいるから」
エレン「一人でもこっちに進むって…そう言ったのはお前だぜ?」
アルミン「へぇ…」
ミカサ「アルミンが一人でやっていけるか心配で、エレンも一緒に行くって言い出して…」
ミカサ「本当は自分の出身地区の訓練兵団にしか所属できないのだけれど…」
エレン「キース教官が父さんと知り合いで、その縁で3人揃ってこっちに入団したんだろ?」
アルミン(そうか…だから僕らはマリアじゃなくてローゼの訓練兵団に所属しているのか)
52: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:41:27 ID:xPlJwGgU
ユミル「昨日まで下から数えて13番目だったお前が、ここじゃ上から56番目だなんてな」
ユミル「こっちのお前は優秀だったのか?…って言いたいけど、恐らく違う」
ユミル「目的意識の差だ。周りを見てみろ、だらけきった甘っちょろい顔をしている」
ユミル「この世界では他人が死ぬのを目にする事も少ない…平和すぎる退屈な毎日でさ」
ユミル「いつ世界が無くなるとも知れない、巨人の襲撃に怯えるあの世界とは違い過ぎる」
ユミル「だからみんな真剣じゃない…。命を懸けて兵士をやろうって気が無い…」
ユミル「そんな中で、エレン…お前は調査兵団に入るという目標があり、」
ユミル「ミカサは元々の身体能力の高さとエレンを支えたいという強い思いがあり、」
ユミル「お前は高度な技術を学んで巨人を殲滅するという意志があってこそのこの成績だ」
アルミン「ユミル…」
アルミン(ちょっと違う…。巨人を駆逐した後、エレンと壁外を探検するのが僕の夢)
アルミン(それと下から13番目っていうのは立体機動の成績で総合はもう少し上だよ…)
53: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:42:08 ID:xPlJwGgU
エレン「…何言ってんだ?ユミルは」
ミカサ「私にもわからない…」
ユミル「ついでにエレンが今期2位なのは、あの3人がいないからだな」
ユミル「アニ、ライナー、ベルトルト…この名前に聞き覚えはあるか?ミカサ」
ミカサ「ない」
エレン「俺もねぇな…」
クリスタ「私も…ない。その人達はユミルの知り合いなの?」
ユミル「まぁそんなとこ。103期にも所属してないか?成績はトップクラスのはずだが」
ミカサ「聞いた事ない…と、思う」
ユミル「さっき出身地区の話をしたな?本来自分の生まれた地域以外の兵団には入れない」
ユミル「ライナーとベルトルさんは同郷だが…出身地は確か…
54: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:42:58 ID:xPlJwGgU
アルミン「ウォール・マリア南東の山奥の村出身…だったはず。アニは知らないけど…」
ユミル「じゃ、もし兵団に所属してるとしたらマリア南方面駐屯の訓練兵団か…」
アルミン「どうだろう…その可能性は低いと思う」
ユミル「何でだ?」
アルミン「さっきも言ったけど、この世界は僕らのいた世界を元にした平行世界だと僕は考えてる…」
アルミン「だから、彼らが僕らの世界でローゼ南方面駐屯の訓練兵団に所属していたのなら」
アルミン「僕やエレンやミサカのように何らかの作用でこの地区の兵団に所属しているはず」
アルミン「理由はこじつけでも、捻じ曲げられてでも…『始まりの世界』に忠実なはずなんだ」
アルミン「なのにここに彼らはいない。…だとしたらどこに?」
55: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:43:57 ID:xPlJwGgU
ユミル「待て…!お前の推測だって確証はないんだ。決め付けない方がいい…それに、」
ユミル「もっと単純な理由でさ、山奥の村が強盗集団の襲撃に遭い全滅した…。とか」
アルミン「そんな話、聞いた事無いよ!!」
ユミル「そりゃそうだろ!その頃お前は開拓地へ送られて2年間畑を耕してたんだし…」
エレン「アルミンが開拓地へ送られて畑を耕していた…?なんだそりゃ…」
エレン「アルミンは俺やミカサと一緒に2年前にシガンシナ区からここに来たんだぜ?」
ミカサ「過去に山奥の村が強盗の襲撃で全滅したという話は、私も聞いたことが無い」
ユミル(巨人の襲撃が無かった世界だからな…。じゃ、クリスタはどうしてここにいる?)
ユミル「クリスタ……」
クリスタ「なに?ユミル…」モグモグ…
ユミル「お前、ウォール・ローゼの開拓地へ送られたって言ってたな…」
56: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:44:46 ID:xPlJwGgU
クリスタ「えっ…?」
ユミル「両親はいない…って。自分は一人ぼっちだと……」
クリスタ「…」
クリスタ「ユミル、私の家の事情…あなたに話した事はないよね?」
クリスタ「開拓地って何?この壁内には未開拓の土地は多いけど…」
クリスタ「すぐに開墾しなきゃならないほど食糧バランスは崩れてないよ?」
クリスタ「今初めて話すけど、私の両親は生きてる。母も父も…祖父母もね…」
クリスタ「お父さんとは一度しか会った事が無いの…私は家庭に恵まれなかった」
クリスタ「だから家を飛び出してきちゃった…。私の居場所は、あの家じゃなかったんだ」
クリスタ「シーナの市民権があれば、ローゼやマリアにある訓練兵団にも志願できるの」
クリスタ「でも、一人ぼっちなのは確かだよ…。私には、ユミルしかいない…」
57: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:46:35 ID:xPlJwGgU
ユミル「クリスタ…」ソッ…
ユミル「すまなかった…辛い事を思い出させてしまって。私を許してくれ」ギュゥッ…
クリスタ「ううん!今はユミルがいてくれるから寂しくないよ。気にしないで」
クリスタ「ユミル、ずっとそばにいて。昨夜みたいに突然私の前から消えないで!」
ユミル「あぁ…分かってるよ」ナデナデ…
アルミン モグモグ…(アニとライナーとベルトルト…彼らは生きているんだろうか?)
アルミン(生きていればこの兵団に所属しているはずなんだけど…)
アルミン(大規模な山火事があって死んでしまった?じゃぁアニはどう説明する?)
58: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:47:32 ID:xPlJwGgU
アルミン(彼ら3人がここにいない事と、4年前に巨人の襲撃が無かった事は関係ない)
アルミン(……とは思うけど。だって僕と歳も変わらないちっぽけな彼らが…)
アルミン(あんな悲惨で痛々しい歴史に関わりがあるはずはないんだから…)
アルミン(でも、ここに彼らがいない事に…何らかの意味はあるはずなんだ……)ゴクン…
ユミル「よし!食い終わった。午前中は…立体機動装置の整備だな」ガタッ
ユミル「全部バラして組み立てる。…簡単だな」
ユミル(クリスタから今までの訓練の内容をざっと聞いてみたが、全部ぬるすぎる…)
ユミル(巨人の襲撃が無かったから技術の進歩が遅い。講義の内容も古い知識だ)
ユミル「あー…私らの立体機動装置もこの際に整備しておくか」
アルミン「空き倉庫に隠したまんまだったっけ…」
59: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:48:27 ID:xPlJwGgU
ユミル「あぁ、お前の分も持って来てやるよ。工具が使える内に整備しておこう」
アルミン「泥をよく落としておかないとね…」
ユミル「クリスタ、行くぞ」ガタッ
クリスタ「うん!アルミンの分の立体機動装置、私が持って来るね」ガタン!
ユミル「そうだ、アルミン。もう気付いてるとは思うけど…」
ユミル「念のために伝えておく。この世界は私らがいた世界より、1週間ほど遅れている」
アルミン「…1週間、遅れている?」
ユミル「4日前の地震、まだこの世界では起きてないんだ…。起きるのは多分3日後…」
アルミン「そ、そんな!」ガタッ!
ユミル「おいおい…。そんなに驚くこたぁねぇだろ?ここでは何でもアリだ」
60: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:49:55 ID:xPlJwGgU
ユミル「だってここは、私らの世界の『平行世界』なんだろ?しかも時空が歪んでる…」
ユミル「2週間前の立体機動訓練中の事故も、ここでは1週間前だ」
ユミル「一番分かりやすいのは、今日の訓練日程を張り出したそこの掲示板を見る事だな」
ユミル「あれにも日付が書いてある…。すぐそこの手動式の万年カレンダーにもだ」
アルミン「僕らの世界より1週間遅い世界…。これにも何か、意味があるのか…?」
ユミル「わからない…。午後から出発だろ?シガンシナ区へ。気を取り直して行こう」
ユミル「全ての事に意味があるのなら、お前の手紙にも、私が同行する事にも意味があるはずだ」
クリスタ「ユミル…もう行こう?時間が無くなっちゃうよ」
ユミル「あぁ…そうだな」
ユミル「また後でな、アルミン」
61: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:50:56 ID:xPlJwGgU
アルミン「うん…。そうだ!忘れないうちに伝えておくね。待ち合わせ時間と場所…」
アルミン「13時にトロスト区へ向かう乗合馬車の発着場前で待ってて。遅れないでね」
エレン「ユミルも一緒に行くのか?」
アルミン「そうみたい…」
エレン「まさかとは思うが、親に紹介…とかじゃないよな?」
アルミン「!?……な、無いよ!絶対に無い!!アニなら紹介してもいいけ…」
アルミン「えっ…」
アルミン(急にアニの名前が口から飛び出した。普段そんなに気にしてなかったのに…)
アルミン(ここは「アニがいない世界」だから、いつもより意識してしまうのかな)
ミカサ「ユミルには今も昔もクリスタだけ…。アルミンと付き合っていればすぐに分かる」
アルミン「だから、付き合ってないって!」
62: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:52:15 ID:xPlJwGgU
ミカサ「アルミンのおじい様と知り合いって言ってた。色んな偶然が世の中にはある」
エレン「いや、どう考えても嘘だろ…。あいつは単に観光に行きたいだけだと思うぞ!」
ミカサ「私と…エレンが出会ったように……いえ、この出会いは必然!!だって私達は…
アルミン(今は、午前の訓練をこなして家に帰る事だけを考えよう…)
アルミン(トロスト区へ着いたら、そこからは船で100kmの道のりだ。まだ先は長い)
アルミン「これは…幸せな夢だ。壁内に巨人はいないんだ!父さんと母さんに会える…」
アルミン「夢ならもう、醒めないで…」
・
・
63: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:52:55 ID:xPlJwGgU
― 実技室 ―
ユミル「こっそりすり替えておいた」
アルミン「何を?」
ユミル「お前が今整備している立体機動装置は私らが元の世界から持ってきたものだ」
アルミン「うん」
ユミル「立体機動装置は、実地訓練か整備の時しか持ち出せないだろ?」
ユミル「昨日も保管庫に鍵が掛かっていたから、戻せなくて空き倉庫に隠したんだ」
アルミン「そうだったね」
ユミル「驚いた事に…いや、当たり前と言えば当たり前なんだが…」
ユミル「保管庫にあるこの世界の私らが使っていた立体機動装置はそのまま残っていた」
64: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:54:03 ID:xPlJwGgU
アルミン「えっ?」
ユミル「同じ立体機動装置が2つ、同じ世界に存在している。傷や凹みも全く同じだ」
アルミン「…」
ユミル「平行世界うんぬんを言い出したのはお前だ」
ユミル「私はそんな世界観を持ったことが無いし、よく知らないから想像でしかない」
ユミル「お前の見解を聞きたい。全く同じ物が世界に2つと存在するのは可能なのか?」
ユミル「その…捻じ曲げられた事柄に対する、修正力の仕組みを説明できそうか?」
アルミン「捻じ曲げられた事柄に対する修正力?」
ユミル「例えば…私らがこの世界に来た後、元々この世界にいた私らはどこへ消えた?」
65: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:54:51 ID:xPlJwGgU
アルミン「あっ!!!」ガタッ!
ユミル「シッ…声が大きい…」コソッ
眼鏡の教官「アルレルト君、どうかしたかね?」
アルミン「い、いえ…何でもありません。大きな声を出してすみません…」
眼鏡の教官「ふむ……分解は済んでいるようだね。組み立てに集中しなさい」
アルミン「は、はい…」ストン…
アルミン「気が…付かなかった…。自分の事で精一杯で…」
アルミン「確かにこの世界に存在していたはずの僕らはどこへ消えたんだ?」
66: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:56:07 ID:xPlJwGgU
ユミル「少し、恐ろしい仮説を話してもいいか?」カチャカチャ…
アルミン「…う、うん。聞きたくないけど…聞かなきゃダメだよね」キュルキュル…
ユミル「私らがあの裂け目から目覚めて…体感でおおよそ2時間かけて戻って来た」
アルミン「正確な時間はわからなかったけど、大体そんな感じだったね」
ユミル「私らが兵舎にたどり着いた時、クリスタとコニー達に出会った」カチッ
アルミン「そうだった」
ユミル「あいつらは口を揃えて言った。2時間前から私らが戻って来ない…と」
ユミル「2時間前と言えば、私らがあの穴の中で目覚めたのとほぼ同時刻だ…」
ユミル「どんな作用が働いてそうなったのか知らないが、私らが目覚めた時、」
ユミル「すなわちこの世界で自我を取り戻した時、元々この世界にいた私達は消えた」
67: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:56:57 ID:xPlJwGgU
ユミル「…どこか別の場所へ、一瞬にして弾き飛ばされて私らと入れ替わった」
アルミン ゾクッ…
ユミル「そんな風には、考えられないか?」
アルミン「し…信じられない。その推測は間違ってる、って言いたいけど…」
アルミン「それを否定するだけの材料を、僕は今持ってない…」ブルブル…
ユミル(私らがこの世界に来たから、元々この世界にいた私らがどこかへ消えたとする…)
ユミル(なら何故立体機動装置は消えなかった?同じ物が2つとして存在できない世界で)
ユミル「手が止まってるぞ…。よし、こっちの組み立ては終わった」チラッ
68: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:57:45 ID:xPlJwGgU
ユミル「クリスタ、難しいか?私が代わりにやってやろうか…?」
クリスタ「ダメ!手を出さないでユミル。…私が助けてって言うまで見守っていて」
ユミル「ふふっ…こっちの世界のクリスタも同じだな。負けず嫌いな性格もそっくりだ」
ユミル「いいよ!ずっと見ててやるから…。助けが必要な時は私を呼んでくれ」
クリスタ「うん!そうする。ありがとう、ユミル…」
アルミン「…心臓が、痛くなってきたよ」ガクガク…
ユミル「おい…大丈夫かよ…。これは単なる仮説だから真に受けるなよ?」
ユミル「それを否定するためにも、お前の家にあるその平行世界の本を読みたいんだ」
ユミル「心配するな、アルミン。一人じゃねぇよ…私とお前は運命共同体なんだ」
アルミン「ユミル…」
69: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:58:44 ID:xPlJwGgU
アルミン「空き倉庫に今あるのはこの世界に元々あった僕らの立体機動装置?」
ユミル「あぁ…保管庫に置きっぱなしにしてはおけないし、隠しておいた」
ユミル「使い慣れたこの立体機動装置を整備して、ガスを補充したら」
ユミル「元々この世界にあった立体機動装置はまた保管庫に戻す。お前のもな」
ユミル「私らの立体機動装置は教官達に干渉されない自由な状態にしておこう…」
ユミル「空き倉庫に隠していつでも好きな時に使えるように。機会を逃さないためにだ」
アルミン「機会?…何の機会?」
ユミル「何のって…そりゃ、元の世界に戻る機会だ。その瞬間がいつ来るのかは不明だが」
アルミン「元の世界に…戻る機会……」
アルミン(故郷を巨人が跋扈し、両親もいない…あの飢えと虐殺の世界に僕はまた戻る…)
70: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/02(水) 23:59:36 ID:xPlJwGgU
ユミル「アルミン!聞いてるのか!?」
アルミン「!?」ビクッ!
アルミン「き、聞いてる…。ぼ…僕も今、終わった…」カタン…
ユミル「遅かったな。技巧はお前の得意分野だろ?そんなんじゃ56位も維持できないぜ」
アルミン「…」
アルミン「この世界のユミルは何位だったの?…クリスタから聞いたんでしょ」
ユミル「5位だってよ」
ユミル「コニーとサシャを抜かしてた…。クリスタは9位だ」
71: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 00:00:40 ID:kuh5Fho.
アルミン「目的意識の差、だっけ…?」
ユミル「あぁ…」
ユミル(この世界の私も、クリスタを憲兵団に入れるために頑張っていたようだ)
ユミル(コニーとサシャが振るわないのは周囲のだらけた雰囲気に感化されているから)
ユミル(ジャンとマルコは3位と4位…この二人は憲兵団に入りたいんだっけな…)
ユミル「何で存在しないはずの立体機動装置が存在するのか…」
ユミル「それは、この世界から私達が抜け出すために必須の道具だからだ…」
ユミル「これが存在する理由はそれしか考えられない。アルミン、必ず戻れるからな…」
アルミン「…」
・
・
72: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 00:01:34 ID:kuh5Fho.
― シガンシナ区へ向かう船の中 ―
アルミン(順調に行けば日が変わる前に家に着く…)
アルミン(何度、これは夢だと思っただろうか。でもこれは現実だ)
アルミン(だってトロスト区からシガンシナ区行きの船がちゃんと出ている…)
アルミン(だからシガンシナ区は存在している…!巨人に占領されてなんかない!!)
アルミン(4年前と何一つ変わらない姿で、僕を迎えてくれるんだ…)
アルミン(おじいちゃん…父さん…母さん…みんな、早く会いたい…)ギュッ
ユミル「なー…ミカサ。シガンシナ区の名物って何だ?」
ユミル「クリスタに土産買って帰るって約束してんだ。何が良いかな?」
ミカサ「名物…?食べ物が美味しい…。あと家の近くに美味しいお菓子屋さんがある」
73: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 00:02:38 ID:kuh5Fho.
ユミル「菓子か…悪くないけどやっぱ形に残る物がいいな」
エレン「普通にアクセサリとかでいいだろ?有名な彫金師がいる。髪留めも売ってる」
ユミル「有名な彫金師か…そうだな。…自分の分も買ってお揃いの髪留めでも贈るか」
ユミル「あいつも髪が長いからな、訓練中に髪を巻き込まないか心配でさ」
ユミル「アニみたいに髪をまとめろって言ってんのに聞かねぇし…そっか、髪留めか…」
ミカサ「また、『アニ』の話?」
エレン「これで何度目だ?お前の知り合いの『アニ』って奴の話を聞かされるの」
ユミル「あぁ、悪ぃ…。お前らは知らないんだったよな。…総合成績4位のやり手の女だ」
ユミル(私らの知ってる本来の世界の話だがな)
エレン「はぁっ?総合4位はマルコだろ?」
アルミン「アニ…どうしてるかな?この世界に君はいないみたいだけど…生きてるのかな」
74: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 00:03:39 ID:kuh5Fho.
ユミル「生きていても、訓練兵団に入れない事情があったのかもなぁ…」
ユミル「アルミン、私らは所詮通りすがりだ…この世界にずっといる訳じゃない」
ユミル「私は戻る!元の世界に…。そしたらいくらでもアニに会えるさ。嫌ってほどな」
アルミン「ユミル…あのさ、アニと今いるこの世界、どっちか選べって言われたら僕は…
ミカサ「アルミン、少し寝なさい…。今日のアルミンはちょっと変だから…」
ミカサ「訓練中に大声を出して注意されたり、ユミルと訳のわからない話をしたり…」
エレン「訳がわかんねぇのは俺だけかと思ってたが、ミカサもか」
エレン「…疲れてんだな、アルミン。じいちゃんの事もあるしな…今はゆっくり休めよ」
ミカサ「ユミルも疲れているはず…。あなたも休んだ方がいい…」
ミカサ「ちなみに昨夜、行方不明になった時は私も探すのを手伝った」
ミカサ「あなたが無事に見付かって本当に良かった…」ホッ
75: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 00:04:13 ID:kuh5Fho.
ユミル「…」
ユミル「お前にも迷惑かけたな。ミカサ…」
ユミル「この世界の人間は、ぬるい感じがして好きじゃないんだが、私がおかしいんだな」
ユミル「誰だって平和な世の中を望んでる。辛くて悲しい事から目を背けたい。だけど…」
ユミル「昨日までの世界の方が私の性に合ってるようだ。この世界は偽物としか思えない」
アルミン「…」
ユミル(1週間前に2人、訓練中に命を落とした。死んだ2人は男女のペアだった)
76: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 00:04:57 ID:kuh5Fho.
ユミル(クリスタが言うには、そいつらはクリスタを含む上位組と仲が良かったらしい)
ユミル(しかし、仲が良かったはずなのに顔も名前も思い出せない…と、あいつは言う)
ユミル(何でお前らは私らを必死に探した?…たった2時間弱、姿が見えなかっただけで)
ユミル(…この世界は薄気味悪い。この出来事は私とアルミンに何か関係があるのか?)
ユミル「元の世界のクリスタはどうしているのかな?…早く、お前に会いたい」
・
・
・
77: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 00:05:35 ID:kuh5Fho.
― シガンシナ区 船着き場 ―
エレン「アルミン!おい、アルミン!!着いたぞ」
アルミン「…んんっ……着いた…?」
ミカサ「シガンシナ区。早く降りよう?でないと、またトロスト区に戻ることになる」
ユミル「真っ暗だな…深夜か。はっ…ぁあ~ぁ…あっふ…ねーみぃ……」ゴシゴシ…
アルミン「……夢、じゃない!」
アルミン「シガンシナ区!!……僕の、街……」
エレン「久しぶりだよなぁ…こないだの長期休暇以来だから、半年振りか?」
ミカサ「このままみんなでアルミンの家に行く。あまり騒がない事!特にユミル」
78: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 00:06:20 ID:kuh5Fho.
ユミル「へいへい、分かってますよ。ご迷惑になるからだろ?」
ミカサ「そう。おじい様に会ってから家に帰ろう?エレン」
エレン「あぁ…。何も連絡してなかったから母さんも父さんもビックリするだろうな」
ミカサ「そうね…でもきっとエレンの顔を見たら、おばさんもおじさんも喜ぶと思う」
エレン「俺だけじゃない!ミカサの顔を見ても喜ぶよ。なんせ成績も今期トップだし…」
エレン「俺も頑張んなきゃな!」
ミカサ「エレン…言っておくけど、カルラおばさんの前で調査兵団の話はしないでね」
エレン「ん?」
ミカサ「おばさんはまだ、エレンの主張を認めた訳じゃないから…」
エレン「…分かってるよ」
79: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 00:06:52 ID:kuh5Fho.
アルミン「ユミル、今日はどっちに泊まる?僕の家かエレンとミカサの家か…」
ユミル「そうだなぁ…お前の家族が良いって言ってくれれば、お前の家だな」
ユミル「例の本も見たいしな」
アルミン「うん、分かった。両親にはいつもお世話になってる女の子って紹介するね」
ユミル「意味深だなぁ…」
アルミン「何が?」
ユミル「別に…」
エレン「じゃ、行くか!…アルミンの家へ」
・
・
80: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 00:07:31 ID:kuh5Fho.
― アルミン・アルレルトの生家 ―
アルミン(あ…あぁ、ここまで来るのに何度泣き出しそうになったか分からない…)
アルミン(もう入れないシガンシナ区に、僕はいる)
アルミン(この世界は誰も死んでない、この街も壊されていない、4年前と同じ…)
アルミン(明日、日が昇ったらこの街を隅々まで歩く!懐かしいこの街を目に焼き付ける)
ドンドンドン…
アルミン「ただいま!!父さん、母さん!僕…帰って来たよ!!」
エレン「じいちゃん…残念だったな…。アルミン」
81: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 00:08:26 ID:kuh5Fho.
ミカサ「あと1時間早く帰って来れていたら…午前の訓練を受けずに出発していたら…」
アルミン「ううん…いいんだ。おじいちゃん、安らかな顔をしてた」
アルミン「巨人に食われた訳じゃない。温かいベットの上で、眠るように命を閉じた」
アルミン「エレンのお父さん…イェーガー先生が看取ってくれたんだってね」
エレン「そっか…父さん、ついさっきまでここにいたのか」
アルミン「この後、家に戻ったらおじさんに伝えて。僕も、両親も…感謝していたと」
アルミン「おじいちゃん、良かったね…。今までありがとう」スッ… ナデ…
アルミン父「今夜はみんなでここに泊まっていかないか?イェーガー先生には明日…
エレン「いえ、ご迷惑になるので今日は帰ります。明日、ミカサとまた来ます」ペコッ
ミカサ「このたびは、何て言ったらいいのか…おじい様には生前お世話になりました」
82: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 00:09:15 ID:kuh5Fho.
アルミン母「ありがとう、ミカサちゃん、エレン…。アルミンもほらお礼を…」
アルミン「エレン、ミカサ…ここまで付いて来てくれてありがとう。ついでにユミルも」
アルミン「おじいちゃんも喜んでいると思う。最後は会えなかったけど…」
アルミン「そうだ!ユミルは僕の家に泊まるんだよね?父さん、母さん、いいかな?」
アルミン父「あぁ、勿論だ。いつもアルミンが世話になってるようだね」
アルミン母「何もないけど、休んでいって…。そうだ、ユミルさん何か食べる?」
ユミル「あ、すみません…どうぞお構いなく…と言いたいが、何か食わせて欲し…
ミカサ「ユミル!…あなたは少し遠慮するべき」
ユミル「わーってるよっ!…でも船の中でも何も食ってなかったんだよっ!!」
アルミン母 クスッ「…アルミン、あなたも食べてないんでしょ?こっちに来なさい」
83: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 00:09:53 ID:kuh5Fho.
アルミン「母さん…。懐かしいな、母さんの手料理…」
アルミン父「懐かしいだろう?こないだ帰って来たのは、半年前だったか?」
アルミン母「明日の夜、遺体を焼いてもらうわ…。悲しいけれどなるべく急がないと…」
アルミン母「アルミン…明日はユミルさんと一緒に手向けの花を買って来てちょうだい」
アルミン「うん…分かったよ」
ミカサ「じゃぁ、今日はこれで…。エレン、帰ろう?私達の家へ」
エレン「そうだな…。明日、また来るからさ…アルミン、元気出せよ?」
アルミン「ありがとう…。また、明日にね」
・
・
84: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 00:10:28 ID:kuh5Fho.
ユミル「お前の母さん、料理上手だな…」ハァ…
ユミル「もっと食いたかった…」
アルミン「今たくさん食べると朝食を食べれなくなるよ。ユミル」
ユミル「そうだな。太るしな…あれぐらいが丁度いいか」
アルミン「そう言えば兵団の食事も僕らの世界より少し質が良かったね」
ユミル「あぁ…あれが普通の食事だったんだな。巨人の襲撃さえなければってとこか」
ユミル「元の世界…お前の言う『始まりの世界』で食ってた食べ物は家畜の餌並だぜ…」
アルミン「仕方ないよ、土地が無いんだから…」
アルミン「それにしても夢みたいだ。何度も頬をつねったよ…」
アルミン「父さんがいて、母さんがいる…僕の名を呼んでくれて、二人は生きている…」
ユミル「じいさんは死んじまったけどな…」
アルミン「驚いた事にさほど衝撃を受けてないんだよね…。複雑な心境なんだけど」
85: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 00:11:06 ID:kuh5Fho.
アルミン「僕のおじいちゃんは王政府のウォール・マリア奪還作戦で死んでるんだ」
ユミル「あぁ…アレか…」
アルミン「だから心の準備が出来ていた。僕の本当のおじいちゃんはもう死んでるって…」
アルミン「今日、この世界のおじいちゃんの死に顔を見た時…とても嬉しくなったんだ」
ユミル「…嬉しい、だと?」
アルミン「僕の世界の本当のおじいちゃんは…」
アルミン「巨人に襲われて身体を引き裂かれ、苦しみながら死んだ…って分かってるから」
アルミン「この世界のおじいちゃんは、幸せなうちに息を引き取ったんだって思うと…」
ユミル「そうだな、ここはお前のじいさんにとっても幸せな世界だったな」
アルミン「お葬式の間、ユミルは街を散策してきたら?君には関係の無い事だし」
86: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 00:11:46 ID:kuh5Fho.
アルミン「明後日の朝にはこの街を発つから…お土産も吟味しておいでよ」
アルミン「有名な彫金師の店は僕が後で教えてあげる」
ユミル「あぁ、そうさせてもらう。…悪いな」
アルミン「ねぇ、シガンシナ区はどうだった?教本で教わった街とは全然違うでしょ?」
ユミル「それは日中に出歩いてみねぇとなぁ…でも町並みは綺麗だ。私好みの街だな」
アルミン「食べ物も美味しいよ!市場には新鮮な魚が並ぶんだ」
ユミル「でも川魚だろ?私は海水魚の方が好…い、いや…何でもない」
アルミン「かいすいぎょ?それってもしかして前に本で読んだ壁外の世界にあ……
ユミル「何でもないって!…あぁっ!そうだ。食いしん坊のサシャにも何か買ってくか」
アルミン「…レモン」
ユミル「レモン?」
87: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 00:12:27 ID:kuh5Fho.
アルミン「シガンシナ区が産地じゃないんだけど…」
アルミン「内側の開閉扉を抜けた直ぐ近くが一大産地だったんだ…あ!今も、だね」
ユミル「へぇ…」
アルミン「この街だと安く手に入るよ!すっごく美味しいからサシャも喜ぶと思う」
アルミン「蜂蜜に漬けて食べてもいいし、紅茶に浮かべてもいいし、調味料にしてもいい」
ユミル「ふむ…いいな!ガツガツは食えないけど、レモンは貴重品だ」
ユミル「そうか、ウォール・マリアが産地だったのか…道理でローゼでは見ないはずだ」
ユミル「たまに見かけてもめちゃくちゃ高いしな…」
アルミン「それは僕らの世界の話だね。この世界ではレモンは珍しくも何ともないはず…」
88: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 00:12:58 ID:kuh5Fho.
ユミル「よし!サシャへの土産はレモンでいいか。レモンパイとかも売ってるか?」
アルミン「勿論!ミカサが言ってた美味しいお菓子屋さんにもあるから…」
アルミン「その場所も明日教えてあげるよ」
ユミル「ありがと!お前頼りになるな。さすがは地元民だ」
アルミン「ん~…だけど、何か肝心な事を忘れてる気がする……」
ユミル「大丈夫だ。私は忘れてない」
ユミル「例の本を見せてくれ。お前が言ってた『平行世界』の事を記した本だ」
アルミン「あっ!…そうだった……。今おじいちゃんの書庫から持って来る。待ってて」
・
・
89: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 00:14:42 ID:kuh5Fho.
アルミン「一通り読み返してみたけど…上手く頭に入って来ない」
ユミル「同感だ。ちょっと内容が難しすぎる。お前よくこんな本、ガキの頃に読んでたな」
アルミン「壁外の世界にも興味があるんだけど、異世界にも興味があってね…」
ユミル「私達がいるこの世界はまさに『異世界』なんだよな…」
ユミル「でもこの辺はとても興味深かった」トントン…
アルミン「平行世界との接点…」
ユミル「そう。通常、交わる事の無い平行世界が、何らかのきっかけで交差する事がある」
ユミル「その時、お互いの世界へ行き来する事が出来る…と言う仮説だ」
アルミン「この本の著者も書いてるけど…これは仮説であって証明された訳じゃない」
ユミル「だが今の状況はこの仮説を立証してはいないか?」
90: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 00:15:27 ID:kuh5Fho.
アルミン「…」
ユミル「時空のゆがみについてはあまり詳しくは書いてないが…」
ユミル「この『平行世界』は色んな場所と時間にそれぞれの世界が繋がってる…」
アルミン「…ねぇ」
ユミル「ん?」
アルミン「あの、僕らが突っ込んだ地面の裂け目が偶然この世界に繋がっていた…」
アルミン「そう考えることは不自然じゃないよね?」
ユミル「あぁ不自然じゃない。私もそう思っていた所だ…」
アルミン「あの地面の裂け目は地震の後に出来た…そう考えるのもおかしくないよね?」
ユミル「むしろそう考える方が自然だ。地震の前にそこを通過した時はあんなの無かった」
91: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 00:16:10 ID:kuh5Fho.
アルミン「あの地震が僕らが落ちた裂け目を生み、それが偶然この世界と繋がった…」
ユミル「時空のゆがみ…時間の制約もあったんじゃないか?私らは運悪く…」
ユミル「『始まりの世界』と『平行世界』が繋がってしまった時間帯にあの裂け目に落ちた」
アルミン「……うん」
ユミル「ここから導き出されるのは…」
アルミン「同じ日の…つまり6日後の同じ時間に、あの穴に…裂け目に飛び込むこと」
ユミル「もう日付が変わってる…5日後だな」
ユミル「…お前の推測は正しいと思う。私達が元の世界に戻るにはその方法しかない」
アルミン「元の世界に…戻る、か」
92: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 00:19:32 ID:kuh5Fho.
ユミル「アルミン?」
アルミン「ううん、なんでもない…」
アルミン「そう言えば僕らが落ちたあの裂け目って今どうなっているのかな?」
ユミル「あの後、まだ裂け目を調べてなかったな…お前のじいさんの事もあったし」
アルミン「何となくだけど、多分塞がっているんじゃないかと僕は思ってる…」
ユミル「どうしてそう思う?」
アルミン「あの一瞬だけ繋がって、僕らが目覚めて這い出した後、閉じたと考えるべきだ」
アルミン「だってあの裂け目は地震の後に出来たんだ。ここはまだ地震が起きてない…」
ユミル「戻ったら誰かに聞いてみるか…。明日は確か立体機動の訓練があったはずだ」
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エレン・イェーガー(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ
エレン・イェーガーとは諫山創による漫画『進撃の巨人』の主人公。壁の外の世界に強い憧れを持っており、幼少期から調査兵団に入ることを目指してきた。その想いは、母親を巨人に食い殺されたことで一層強まり、調査兵団に入って巨人を駆逐することを心に誓う。性格は熱血漢で直情的。無鉄砲と思えるほどの勇敢さから、強大な巨人相手にも物怖じせずに向かっていく。命の危機に瀕した際に巨人化する能力に目覚め、人類の自由のためにその力を振るっていくことになる。
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グリシャ・イェーガー(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ
グリシャ・イェーガーとは『進撃の巨人』の登場人物で主人公エレン・イェーガーの父。シガンシナ区で診療所を開き街の人々から尊敬を集めていたが、シガンシナ区に巨人が流入した後行方不明となる。失踪直前エレンに巨人化の薬を打ち込み、世界の真実が隠された自宅地下室の鍵をエレンに託した。物語中盤で彼が壁外の世界から「始祖の巨人」奪還のためにやってきた巨人化能力者であったことが明らかとなる。
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ピーク・フィンガー(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ
ピーク・フィンガーとは『進撃の巨人』の登場人物で「車力の巨人」の継承者。「九つの巨人」継承者で構成されるマーレの戦士の一員として、数々の戦場で功績を打ち立ててきた。当初は始祖奪還計画に参加せずマーレ本国を守っていたが、850年「獣の巨人」であるジーク・イェーガーと共にパラディ島に上陸する。ウォール・マリア奪還を狙う調査兵団との決戦では後方支援を担当し、負傷したジークと「鎧の巨人」であるライナー・ブラウンの逃走を助けた。性格はマイペースだが、冷静沈着で判断力に優れている。
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ファルコ・グライス(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ
ファルコ・グライスとは『進撃の巨人』のキャラクターでマーレの戦士候補生。戦士候補生の同期であるガビ・ブラウンに好意を抱いており、彼女を救うために「鎧の巨人」継承を目指している。内気な性格だが、「悪魔の末裔」と言われるパラディ島の人々に対しても自分達と変わらない人間だと捉える優しい心の持ち主。心的外傷を負った兵士にも親切に接しており、そこでクルーガーと名乗る負傷兵と出会い、交流を深めていく。
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キース・シャーディス(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ
キース・シャーディスとは『進撃の巨人』の登場人物で第104期訓練兵団の指導教官。スキンヘッドに顎ひげを生やした強面の男性で、訓練兵の間では鬼教官として恐れられている。元々は第12代団長として調査兵団を率いていたが、無謀な壁外調査を繰り返し多くの部下を死なせたにもかかわらず成果を残せなかったことから、自分の無能を悟りエルヴィン・スミスに団長職を引き継がせた。主人公エレンの父親であるグリシャ・イェーガーとは以前から面識があり、彼が消息を絶つ直前に顔を合わせた最後の人物である。
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ロッド・レイス(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ
ロッド・レイスとは、「進撃の巨人」に登場するキャラクターである。壁内人類の真の王家であるレイス家当主。実質的には壁内での最高権力者である。ウーリ・レイスの兄であり、フリーダ・レイスやヒストリア・レイスの父親。正妻との間に5人の子がいたが、当時使用人として働いていたアルマとも関係を持ち、ヒストリアが産まれたことにより、事実的には子供は6人。だがグリシャにより正妻との間の子は皆殺されてしまい、生き残っている子供はヒストリアただ1人である。
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ダイナ・フリッツ(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ
ダイナ・フリッツとは『進撃の巨人』の登場人物。主人公エレンの父親グリシャの前妻で「獣の巨人」ジークの母。その正体はフリッツ王家の末裔。ストーリー上、巨人の歴史と王家の情報を語る重要な役割を持つ。パラディ島に移住することを拒みマーレに留まった一族は、代々巨人の情報を隠し持っており、その末裔であるダイナはエルディア復権派と共に始祖の巨人の奪還を企てるが、計画は息子ジークの密告により失敗。ダイナは巨人化後、グリシャの後妻であるカルラを捕食する。最期はエレンの持つ座標の力で巨人の群れに喰われた。
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ケニー・アッカーマン(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ
ケニー・アッカーマンとは『進撃の巨人』の登場人物で、中央第一憲兵団対人立体機動部隊の隊長。かつて「切り裂きケニー」の異名を取った大量殺人鬼だったが、ウーリ・レイスとの出会いを経て現在は中央第一憲兵団に所属し対人戦闘を専門とする部隊を率いている。リヴァイ・アッカーマンの育ての親であり、彼に戦闘技術を教えた人物でもある。その戦闘能力はリヴァイと同等かそれ以上であり、対立した調査兵団を大いに苦しめた。
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ヒッチ・ドリス(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ
ヒッチ・ドリスとは『進撃の巨人』の登場人物で、憲兵団の新兵。アニ・レオンハートとは同期でルームメイト。ウェーブヘアが特徴の少女で、軽薄で不真面目な言動が多い。他の新兵同様安全な内地で楽をするために憲兵団に入ったが、実は機転の利くところがある。アニのことは愛想のない同期だと思っていたが、ストヘス区の戦闘以降行方不明になったことを心配しており、アニの正体が「女型の巨人」であることを知って大きなショックを受けていた。同期のマルロ・フロイデンベルクに好意を持っているが、マルロ本人は気づいていない。
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エルヴィン・スミス(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ
エルヴィン・スミスとは『進撃の巨人』の登場人物であり、調査兵団第13代団長である。調査兵団は人類の生存圏を広げることを目的とし、日々巨人との死闘を繰り広げている。その類まれなる頭脳と判断力から大きな功績を挙げているが、目的のためなら手段を選ばない非情さから「悪魔的」と称されることもある。彼の真の目的は世界の真実を解き明かし、「人類は王家によって記憶を改竄された」という父の仮説を証明すること。人類最強と称されるリヴァイ兵士長を調査兵団に入れたのも彼である。
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ポルコ・ガリアード(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ
ポルコ・ガリアードとは『進撃の巨人』の登場人物で「顎の巨人」の継承者。「九つの巨人」継承者で構成される「マーレの戦士」の一員として、「顎の巨人」の持ち味である硬い顎と牙や俊敏性を活かし数々の戦場で活躍している。戦士候補生時代の同期であるライナー・ブラウンとは「鎧の巨人」継承権をめぐって争ったライバルだった。自分ではなく能力の低いライナーが「鎧の巨人」継承者として選ばれたことや、兄のマルセルがライナーをかばって巨人に食われたことから、ライナーに対して悪感情を抱いている。
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ベルトルト・フーバー(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ
ベルトルト・フーバーとは『進撃の巨人』の登場人物で調査兵団団員。第104期訓練兵団を3位で卒業し、どの分野でもそつなくこなすことができる優秀な人物である。ただし優柔不断で判断を他人に任せる傾向があり、積極性に欠けることから他の同期と比べると少し影が薄い。その正体は、ウォール・マリア陥落の主因となった「超大型巨人」であり、始祖奪還作戦のために大国マーレから派遣された「マーレの戦士」の1人だった。任務を達成し故郷に帰ることを切望していたが、結局その願いは叶わず異国の地で命を落とすこととなる。
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ライナー・ブラウン(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ
ライナー・ブラウンとは『進撃の巨人』の登場人物で調査兵団の団員。主人公エレン・イェーガーとはウォールローゼ南区第104期訓練兵団時代の同期である。責任感が強く、リーダーシップもあることから同期の中ではまとめ役を担っていた。しかし、その正体はウォール・マリアを破壊した「鎧の巨人」であり、始祖奪還を目的にパラディ島に送り込まれたマーレの戦士である。正体が判明した後はたびたびエレン達と対立し、始祖の力を巡って死闘を繰り広げていく。
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ガビ・ブラウン(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ
ガビ・ブラウンとは『進撃の巨人』の登場人物で、「マーレの戦士」候補生。天真爛漫で型破りな性格で、憧れの従兄であるライナーから「鎧の巨人」を継承するため日夜訓練に励んでいる。パラディ島のエルディア人を悪魔の末裔として強く憎んでおり、彼らを皆殺しにして自分達善良なエルディア人を収容区から解放することを願っていた。しかし成り行きでパラディ島に渡ることとなり、そこで出会った人々との交流からガビの考え方は変化し始める。
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ハンジ・ゾエ(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ
ハンジ・ゾエとは『進撃の巨人』の登場人物で調査兵団所属のベテラン兵士。初登場時は分隊長だったが、後にエルヴィン・スミス団長の後を継いで調査兵団第14代団長に就任する。ゴーグル(平常時は眼鏡)を着用し、茶髪を無造作に1つにまとめた中性的な外見をしている。明るく聡明な人物だが、巨人に対する情熱は人一倍で変人揃いの調査兵団内でも特に異彩を放っている。ウォール・マリア最終奪還作戦以降は左目を負傷したことから眼帯を着用している。
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ダリス・ザックレー(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ
ダリス・ザックレーとは『進撃の巨人』の登場人物で憲兵団・駐屯兵団・調査兵団の3つの兵団を束ねる総統。特別兵法会議においてエレン・イェーガーの処遇を調査兵団に委ねた人物である。王政編では調査兵団団長のエルヴィン・スミスや駐屯兵団司令官のドット・ピクシスらと共にクーデターに加担する。実はエルヴィンが決起する以前から王政に根深い嫌悪感を抱いており、密かに体制転覆の機会をうかがっていた。王都制圧後は身柄を拘束した王政幹部達に喜々として拷問を行っている。
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アルミン・アルレルト(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ
アルミン・アルレルトとは『進撃の巨人』の登場人物で、主人公エレン・イェーガーの幼馴染。金髪ボブカットの中性的な外見を持つ。大人しいが芯の強い勇敢な性格で探求心が強い。祖父の影響で人類はいずれ壁の外に出るべきだという思想を持っており、エレンが外の世界に憧れるようになったのもアルミンの影響である。小柄で身体能力は低いものの、知能や判断力はずば抜けており、エレンや調査兵団の窮地をその知略で度々救っている。
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進撃!巨人中学校(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ
『進撃!巨人中学校』とは中川沙樹が描く、諫山創の『進撃の巨人』の公式学園パロディ漫画。2015年にProduction I.G製作でアニメ化。前半をアニメパート、後半を出演声優たちによるバラエティ番組の実写パートとして30分枠で放送。中学生になったエレン・イェーガーは進撃中学校へ入学する。学校には巨人も在籍しており、エレンは巨人に恨みを持っており巨人を駆逐しようと非公式部活「調査団」へ入部した。
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ミカサ・アッカーマン(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ
ミカサ・アッカーマンとは諫山創による漫画『進撃の巨人』の登場人物で、主人公エレン・イェーガーの幼馴染。本作のヒロイン的ポジションで、幼い時にエレンに助けられた経験から、彼を守ることを自分の使命だと考えている。驚異的な身体能力を持ち、トップの成績で訓練兵団を卒業。実戦でも1人で複数の巨人を討伐する実績を残す。性格は寡黙で口下手だが、エレンのこととなると取り乱す一面もある。物語後半において、母方の祖先が東洋にあるヒィズル国将軍家だったことが明らかになった。
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クリスタ・レンズ/ヒストリア・レイス(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ
クリスタ・レンズ(ヒストリア・レイス)とは、諫山創による漫画『進撃の巨人』の登場人物。第104期訓練兵団卒業生であり、主人公エレン・イェーガーは同期の1人。小柄で温厚、思いやりのある可愛らしいアイドル的な存在として登場する。同期のユミルと仲が良い。成績10位以内に入っているが、実際はユミルからその座を譲られただけで身体能力は人並みである。本名はヒストリア・レイスといい、壁内世界の真の王家の末裔であることが後に発覚する。
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フリーダ・レイス(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ
フリーダ・レイスとは『進撃の巨人』の登場人物であり、レイス家の長女。黒髪で青い瞳を持つ。レイス家当主のロッド・レイスとその正妻の第1子として生まれた。表向きは地方の貴族として振る舞っているが、実際は壁内の真の王家の末裔。レイス家に代々引き継がれている特別な巨人能力を叔父のウーリ・レイスから引き継ぎ、宿している。本人の飾らない性格は多くの者から慕われており、妾の子である異母妹ヒストリアにも姉として優しく接していた。
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イェレナ(進撃の巨人)の徹底解説・考察まとめ
イェレナとは『進撃の巨人』の登場人物で反マーレ派義勇兵の中心人物。マーレに滅ぼされた国の出身で、「獣の巨人」継承者で王家の血を引くジーク・イェーガーの信奉者として活動し、パラディ島の近代化に大きく貢献した。ジークの提唱する「エルディア人安楽死計画」達成のためなら寝食を共にした仲間すら殺害する冷酷な性格の女性。しかし実際にはマーレの被害者というのは虚偽であり、「世界を救う英雄」に憧れているだけのごく一般的なマーレ人である。
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