アーシャのアトリエ 〜黄昏の大地の錬金術士〜(A14)のネタバレ解説・考察まとめ

『アーシャのアトリエ 〜黄昏の大地の錬金術士〜(A14)』とは、ガスト(現・コーエーテクモゲームス)により開発されたPlayStation 3用ソフトであり、錬金術をテーマにしたRPGであるアトリエシリーズ作品の第14作目となる。従来のシリーズ同様に明るさのある作風がベースとなるが、物語の舞台はかつて栄華を極めた錬金術が廃れてしまった黄昏の時代。滅びゆく世界の中で薬師の少女アーシャは錬金術を習得し、行方不明になった妹を探し出す物語を描く。

CV:井上麻里奈

人里離れたアトリエに住む本作主人公の17歳の少女。身長は157cm、A型。元は祖父と妹のニオ・アルトゥールの3人で暮らしていたが、祖父の死と妹であるニオの失踪をきっかけに天涯孤独の身となってしまう。人当たりが良くてまじめな性格だが、非常におっとりしていて抜けているところがある。その程度は朝食を摂りながら錬金術の調合を行い、失敗しそうになってものんびりと食事し続けるほど。ニオの失踪前は調合に夢中になりすぎて食事を忘れ、部屋を荒らしてしまっていたこともあった。居住地兼アトリエにしている場所は人里離れた場所にある「アルトゥール薬草園」と呼ばれる錬金術の遺跡の近く。これは彼女の祖先が精霊の力が宿る場所に居住地を構えたためである。薬草園は彼女の祖先から代々管理しているという。
職業は薬師で自身で薬草の採取や薬の調合を行い生計を立てている。薬師としての腕前はかなりいいと評判。キースグリフ・ヘーゼルダインとの出会いをきっかけに錬金術士の道へ踏み出していく。難しい調合を勘と感覚で行ってしまうような才能があるが、本人は自身がもとより行っていた「薬の調合」を「錬金術」と認識していない。実は彼女は古流の錬金術士の子孫であり古代語についての知識を多少であれば持ち合わせているが、本人はそれを理解していないのである。そのため本格的に錬金術の道へ進んだ後も「薬師」としての肩書を名乗っている。ウィルベルは彼女について「口を開けば薬に薬草ばかり出てくるけど凄い美人」とコメントしている。なお、とてつもない下戸で酒のにおいを嗅ぐだけであったり、子供が口にしても問題がない程度の微量の酒を飲んだりしても潰れてしまう。そして甘党である。
戦闘で使用する武器は杖だが、自身が錬金術で調合したアイテムを使用することもできる。以降のシリーズでも彼女の様子は語られており『エスカ&ロジーのアトリエ~黄昏の空の錬金術士~』ではキースグリフと共に旅し、立ち入り禁止の遺跡に侵入、破壊してしまい指名手配扱いとなっている。そして最終作の『シャリーのアトリエ~黄昏の海の錬金術士~』の移植版(2016年)では27歳になって再登場し、パーティーにメンバー加入させることができる。イグドラシルの力を引き継いでいるようで移植版シャリーのアトリエで使用可能なスキルにはこれを使用したものがある。なお、自覚なしにキースグリフに生涯を捧げるような言動をしており、師弟関係を超えた夫婦のように見られるまでの関係になった。

パーティーメンバー

ニオ・アルトゥール(Nio Altugle)

ニオの必殺技「パナすぺしゃる」

CV:伊瀬茉莉也

主人公アーシャの妹である13歳の家事手伝い少女。身長は148cm、A型。姉想いの妹で姉妹の仲は非常によかったが、3年前にお使いで家の近所の薬草園に行ったときに薬草の採取中に行方不明になってしまう。実はこの時イグドラシルに転送されており、ゲーム開始時の彼女はイグドラシルに囚われていたことになる。この時の彼女は人間からは姿が見えなくなってしまっていたが、ホムンクルスという種族からは姿を認識できていたという。そしてゲームの進行によって年月が囚われてから約6年経つと、イグドラシルと同化しかけて光る花から発せられる「言語」を理解できるようになっていた。イグドラシルの中にいる期間は合わせて約6年だがこの期間中、まったく肉体の成長はしていない。ニオもアーシャと同様に錬金術士の血筋なので錬金術の素質があるようだが調合はしない。魔法使いであるウィルベルからは魔法の素質もあるのでなないかとコメントされている。特技は裁縫でレジナから教わった。
アーシャ達によってイグドラシルから救出された後から戦闘パーティーメンバー入りする。戦闘で使用する武器はお玉やミキサーなどの調理器具。役割は補助向きで回復やステータスアップのスキルをが使用可能である。必殺技は「パナすぺしゃる」。ニオら姉妹の飼牛パナに乗って敵全体へ突進する。とどめ技では、まずはパナに餌を与え、通常よりも強力な突進をさせ、その後敵を宙に跳ね飛ばすというモーションになる。専用楽曲はカルメンの前奏曲をオマージュしており、コーラスが4パターンある。本作の続編『エスカ&ロジーのアトリエ~黄昏の空の錬金術士~』でウィルベルと共に登場する。この時系列では家事手伝いとなりエスカの実家にて居候し、薬士業とリンゴ園の手伝いをして生活している。なお、この時代ではアーシャが不祥事を起こしお尋ね者になってしまっており、飼牛のパナから名前を借りて「ニオ・パナトゥール」と名乗っている。

レジナ・カティス(Regina Curtis)

【アーシャのアトリエDX】スキル/戦闘ボイスまとめ・レジナ(2:46~とどめ技「レイディエンド」)

CV:水沢史絵

遺跡発掘家として働いている23歳女性。身長163cmのO型。街の商工組合とも関わりがある人物で、アーシャとも前々から面識がありよく手助けをしていた。ゲーム開始時には遠く離れた町からやってきた大家族を養う出稼ぎ労働者として、リーゼンガングという炭鉱都市に居住している。家族からは遠い地で一人出稼ぎに行っているのを心配されて帰ってくるよう催促されているが、レジナEDではある大仕事を成し遂げて実際に実家に帰る様子が描かれる。実家では6人兄弟の長女として育ったため、社交的かつ面倒見がいい性格をしている。遺跡発掘家を目指すようになったのは父親の影響という。彼女の父親もまた発掘業をしていたが負傷が理由で引退してしまい、後継ぎのため10代の頃に業界に入った。仕事柄男所帯なので肉体面やセクハラといった行為による苦労が絶えなかったが、今では組合一の腕っぷしの強さへと成長した。彼女が育った環境で身についた姉御肌の性格と採掘の腕から親方からは厚く信頼されている。その反面で料理や裁縫といった家事も得意としている。料理はアーシャに、裁縫はニオに教えた。かなり酒が好きで酒豪。
武器はツルハシがメインだが、スキルやアクティブコマンドによっては爆弾を取り出して使用するモーションも見られる。必殺技は「レイディエンド」。ツルハシを地面に突き立てて地面の隆起を発生させ、それによって宙に飛んだ敵に向かって燃える岩を叩きつける。とどめ技では敵を宙に飛ばし、宙を舞う岩に飛び乗り追撃。そして最後の一撃にツルハシで燃える岩と一緒に宙に浮いた敵を地面にまで叩きつけるモーションに変化する。専用楽曲はベースの低音を際立させた楽曲となっている。

キースグリフ・ヘーゼルダイン(Keithgrif Hazeldine)

キースグリフの必殺技「エンシェントワン」

CV:中田譲治

古代の知識収集のため旅している45歳の錬金術士。身長は180cm、AB型。中央出身。遠い異国から大陸へと調査に来ていたところ、偶然アーシャのアトリエ近くの遺跡に来てニオの幻を目撃する。この出来事によりアーシャと知り合うこととなった。アーシャらの住む地域に来たのは多くの錬金術の遺跡が残っているためである。世界中の遺跡や都市を旅して古代の知識をかき集めており、すでに世界の半分は旅してしまったという。彼の旅の目的は過去の錬金術士らによる罪を知ることである。落ち着いた物腰の紳士であるが錬金術の研究のこととなると貪欲な姿勢を取って強硬手段を用いることもある。手段を選ばず、周囲が被る迷惑を考えないので評判が悪いが自身にとっては気にするようなものではない。錬金術については多くの負の遺産に触れてきており、錬金術の遺物を破壊してしまうことを目的としている。作中では遺跡に不法侵入した上に破壊行為や遺物を盗み去ったため指名手配犯となってしまった。
こうした行為をしている背景には錬金術を学ぶ過程で知った過去の錬金術に対する否定的持論があるのだ。彼の考えでは、過去に生きた亜流の錬金術士らが「錬金術の真似事」をしているだけで錬金術の真理を求めなかったため、現在の「黄昏」が起きてしまったというのである。過去の人間らが人工生命体を乱造して兵器利用した結果が世界各地で起こっている様々な破壊現象であり、アーシャらの住む地域では過去に大地の汚染が起こったり、ホルンハイムの地下資源が乱獲されたりしている。キースグリフは過去の人間の姿勢に対し、否を唱えて過去の遺物の破壊行為に及んでいるのだ。
こうしたような悪意ある前時代の錬金術による産物に触れてきたためか人間を悪とみなしている節があり、自分勝手あるいは独りよがりと思われるような行動ばかり起こす。表面に現れる行動やスタンスこそは倫理的でないかのように見えるが、アーシャやニオからは優しい人であると直感的に見抜かれており、世話好きな一面も垣間見えることがある。アーシャに錬金術の道を示したのは彼であり、彼女が錬金術の核心へと迫っていく様子を見て手を差し伸べるようになっていく。馴れ合いは苦手らしいが人間を嫌いになりきれないようで本人に自覚はないが、努力によって成果を出すものには評価している。そして女性に泣かれるのが苦手。本の虫であり凄まじい量の知識を持っており、彼が言うには「弐番館」という錬金術に関する書物を所蔵する図書館の書物をすべて読んでしまったという。錬金術に関する知識はおびただしいが、魔法についてはウィルベルの知識に劣る。なおヘビースモーカーで常にキセルを持っている。
使用する武器は指輪だが、攻撃モーションには体術を用いる。必殺技は「エンシェントワン」。無色の8つの容器を敵に拳や蹴りの体術で叩きつける技となっている。とどめとして使用すると、8つの容器がそれぞれが色とりどりに光り敵の周りに結界を張って封じ込める。フィニッシュには火が点いたタバコをそれに投げて結界ごと爆破させる。とどめ技の専用楽曲はピアノを主旋律としたジャズ調の曲である。
後続作品の『エスカ&ロジーのアトリエ~黄昏の空の錬金術士~』でもアーシャと共に旅をし、先々で問題行動を起こして指名手配となっている。シリーズ終結作の『シャリーのアトリエ~黄昏の海の錬金術士~』でも登場し、半ば夫婦のような距離感の弟子となったアーシャに注意されて薬タバコに変えたという描写もされている。この時代の彼は55歳にまで加齢しており、アーシャのアトリエ時代よりもやや性格が丸くなっている。なおスレイア・ヘーゼルグリムという歴史研究家の姪がおり、『エスカ&ロジーのアトリエ~黄昏の空の錬金術士~』にて登場する。

ユーリス・グルンデン(Juris Grunden)

【アーシャのアトリエDX】スキル/戦闘ボイスまとめ・ユーリス(2:32~とどめ技「グランドスラム」)

CV:鳥海浩輔

狩人として生計を立てる20歳の青年。身長182cmのO型。アーシャが旅の途中で彼の妹であるナナカ・グルンデンと出会い、それをきっかけにアーシャと知り合うことになる。彼の一族のしきたりでは古竜を倒し、その鱗を身に着けることで一人前の猟師として認められることになっている。そのため、古竜を倒すことを目標としている。無口である上にほぼ無表情なために誤解を生みやすいが、妹や家族を大切にする優しい性格である。特に牛飼いであるナナカの心配をし、常に一緒に行動している。そして自然にも魔物にも万物を敬い、常に感謝の気持ちを忘れない生き方をしている青年でもある。気配を消すのが得意で、ユーリスの気配は妹であるナナカにしかわからない。
戦闘で使用する武器はボウガンとナタで必殺技は「グランドスラム」。通常の必殺技ではナタとボウガンで敵に連撃を浴びせ、最後にナタで全力の一斬りをする。とどめ技として使用するとナタによる打撃とボウガンによる矢の連続攻撃ののち敵を宙に浮かせ、フィニッシュには異空間にて巨大な弓を地面に刺して構えて巨大な矢に光を纏わせて射抜き爆破させる。専用楽曲はハリウッド楽曲を意識して作られたという。映画のような壮大な音楽を特徴としている。

ウィルベル・フォル=エルスリート(Wilbell voll=Erslied)

ウィルベルの必殺技「メテオストーム」

CV:瀬戸麻沙美

遠方から来た魔法使い一族の少女で年齢は14歳、身長は141cmのB型。魔法使いであることは周囲に悟られてはいけないという一族の決まりがあるというのだが、彼女自身の衣装や口が軽いという特徴から正体がばれてしまうこともしばしばある。そして魔法は口外禁止の神秘であるらしい。本人は大魔法使いを自称しているが、一族の最長老にして彼女の高祖母(曾祖母のさらに上の世代)である大婆様には全くかなわない。そして大婆様を尊敬している様子で、大婆様のような魔法使いになることを目指して修行している。修行内容は悪霊に魅入られる村の救出や魔界の植物の育成など。魔法についてはキースグリフ以上の豊富な知識を持っているがまだ実力は伴わない成長段階である。古代語に関してもアーシャと同程度あるいはそれ以上に理解することができる。知識があるためか頭でっかちになりがち。そのうえ面倒くさがりで修行もサボりがちになっている。大婆様からはたびたび修行の課題を言い渡されているが、慢心しがちな性格のため一時破門にされてしまう。これに対し、彼女は挽回のチャンスを得るために大博打に打ってかかることになる。作中で大精霊の一人である風の王との契約をし、風を捕まえることに成功するのだ。ちゃっかりした小生意気な末っ子気質だが、元気で明るく前向きな性格をしている。自分で自由に空を飛ぶ魔法を探すという家訓があるようで、空を飛ぶため方法を模索しているという。ただし本作でアーシャと面識を持った時点では既に空を飛ぶ術は身についているようだ。大都市フィルツベルクに来たばかりのアーシャから魔法で使う触媒のにおいを感じ取って、声をかけたのが出会いの始まりとなった。アーシャに自分の修行の手伝いをさせることもあるが、持ち前の知識で彼女を助けることもある。アーシャからは「ベルちゃん」という愛称で呼ばれている。
戦闘で使用する武器はほうきだが、スキルでは召喚魔法で敵を蹴散らす。必殺技は空から隕石を召喚する「メテオストーム」。とどめ技として使用すると、空から大量の隕石を敵に降り注がせて最後の一発として巨大隕石を召喚し、そのまま押しつぶす。専用楽曲は「パヤパヤ」といったコーラスが特徴的なポップな曲となっている。
ウィルベルも後続作品である『エスカ&ロジーのアトリエ~黄昏の空の錬金術士~』と『シャリーのアトリエ~黄昏の海の錬金術士~』の2作品に登場する。エスカとロジーのアトリエでは18歳となって登場し、引き続き大婆様から与えられた課題に励み武者修行している。DLCで追加パーティとなるが、マイナーチェンジ版では自動的にパーティ入りする。シャリーのアトリエでは24歳にまで加齢している。この時の彼女はすでに2名の精霊王との契約を済ませており、大婆様から認められた魔法使いへと成長している。今作ではアーシャを魔法使いであると勘違いしてしまったのをきっかけに知り合うこととなったが、シャリーのアトリエではシャリー(シャルロッテ)から逆に錬金術士だと勘違いされて師匠になる。

リンカ(Linca)

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