超光戦士シャンゼリオン(特撮)のネタバレ解説・考察まとめ
『超光戦士シャンゼリオン』(ちょうこうせんしシャンゼリオン)とは、1996年に放送された東映による特撮作品。同作に登場するヒーローの名称でもある。ノリの軽い破天荒な主人公による型破りな作風で知られ、非情にコメディ色が強い。しかし番組終盤ではシリアスなストーリーが続き、最終回の衝撃的な展開については長く語り継がれている。
私立探偵の涼村暁は、偶然からスーパーヒーロー・シャンゼリオンに変身する能力を獲得し、自分の楽しみのためにこの力を使おうと画策。善悪双方の組織に心底呆れられながら戦い続けていく。
『超光戦士シャンゼリオン』の概要
『超光戦士シャンゼリオン』(ちょうこうせんしシャンゼリオン)とは、1996年に放送された東映による特撮作品。同作に登場するヒーローの名称でもある。
アルファベットではフランス語表記の「Changéríon」だが、英語表記の「Changerion」が使われることも多い。
ノリの軽い破天荒な主人公による型破りな作風で知られ、不条理ギャグや大真面目にジョークを語るなど、非情にコメディ色が強い。しかし番組終盤では一転してシリアスなストーリーが続き、特に最終回の衝撃的な展開については長く語り継がれている。
本来4クールでの放送が予定されていたが、スタッフ側の都合で3クールに短縮になった。キャストにアクシデントやスケジュール調整の不具合が多発したことでも知られ、初期のヒロインはそれが理由で降板、2人目のヒロインも中盤から登場しなくなっていった。これらの問題点と本作で培われたノウハウと人脈は、そのまま『平成仮面ライダーシリーズ』に活用されることとなった。
私立探偵の涼村暁(すずむら あきら)は、偶然からスーパーヒーロー・シャンゼリオンに変身する能力を獲得する。この力は人間を襲う闇次元の怪人ダークザイドと戦うため、S.A.I.D.O.C(ザイドック)という組織が作り出したものだったが、暁は「いいものを手に入れた、超ラッキー」と人々のためではなく自分のためにヒーローの力を使う気満々だった。
S.A.I.D.O.Cの面々が必死に暁を説得し、本来は敵であるダークザイドの怪人たちからも「真面目にやれ」と説教される中、暁は自由気ままに、あくまで自分のために、ごく稀に誰かを守るために戦い続ける。
『超光戦士シャンゼリオン』のあらすじ・ストーリー
お気楽ヒーローの誕生
闇次元という別世界で暮らしていた怪人ダークザイドは、自らの世界が崩壊の危機に瀕したため、人間たちの世界へと進出しようとしていた。彼らが人間の世界で生きていくには、人間の生命エネルギーである「ラーム」が必要不可欠であるため、ダークザイドは密かに人間を襲い始める。
これを知った科学者の宗方猛(むなかた たけし)は、私財を投じて対ダークザイド組織S.A.I.D.O.C(ザイドック)を設立。速水克彦(はやみ かつひこ)、南エリ(みなみ エリ) といった隊員たちと共に、人類をダークザイドから守るための戦いを始める。
そんなS.A.I.D.O.Cの切り札こそは、宗方が発見したクリスタルパワーによって変身するスーパーヒーロー・シャンゼリオンだった。しかしようやくこの技術が完成した矢先、速水に渡すためのクリスタルパワーを輸送するトラックがダークザイドの襲撃を受け、放出されたクリスタルパワーがたまたま近くにいた私立探偵の涼村暁(すずむら あきら)に照射される。
このアクシデントにより、暁はシャンゼリオンに変身する能力を獲得。しかし軽薄で自己中心的な暁は、「人類に危機が迫っている」と速水や宗方にいくら説得されてもどこ吹く風で、自分の利益のためにシャンゼリオンの力を使おうとする。私立探偵という仕事柄、ダークザイド絡みの事件に関わることも多い暁だったが、彼のそんな姿勢は侵略者であるダークザイドからも呆れられるのだった。
ライバルと戦友
気ままに振る舞いながらも依頼や速水たちにむりやり巻き込まれる形でダークザイドの戦士を次々と倒す暁の存在は、次第に彼らからも警戒されるようになっていく。特に人間界では黒岩省吾(くろいわ しょうご)の名で活動する暗黒騎士ガウザー(あんこくきしガウザー)は、暁を「ふざけてはいるが戦士としては強力で勘も鋭い、侮りがたい存在」と強く意識し、彼をライバル視する。
暁もまた黒岩を「他のダークザイドとは強さも精神力もまるで違う強敵」と認識し、彼を相手にする時は慎重に立ち回る。しかしその黒岩は「闇次元が滅ぶ以上、ダークザイドもまた滅んだ種である」として人間に積極的に危害を加える様子をなかなか見せず、エリに恋をするなど人間界でまともに社会生活を送り、S.A.I.D.O.Cでもない暁からすれば是が非でも戦う理由もなく、2人の決着は持ちこされていく。
一方、本来シャンゼリオンになるはずだった速水は、その力を暁が好き勝手に使うことに忸怩たる思いを抱いていた。そんなある日、闇次元の調査に赴いた宗方が持ち帰った「闇の種」をそうとは知らずに食べてしまった速水は、“梅干を食べる”ことでザ・ブレイダーという超人に変身する力を得る。
この効果は全くの偶然として発揮されるもので、変身中の記憶は速水の中から失われてしまうため、彼自身は「みんなが言うザ・ブレイダーというヒーローを俺も見てみたい」と本気で口にするのみだった。頼もしい戦友を得て、暁はダークザイドと戦い続ける。
皇帝の握ったもの
ある時、黒岩が都知事選に立候補する。戸籍こそ偽造だが手続き自体は真っ当なもので、法律的な手段で彼を止めることはできない状態だった。S.A.I.D.O.Cはこれに驚き、なんとか黒岩の当選を阻止しようと動き出す。暁も暁で黒岩の真意を確かめ、場合によっては決着をつけようと考えるが、黒岩は彼が我欲に弱いことをとっくに見抜いていた。徹底した懐柔策を取られた暁は腑抜けになり、宗方や速水の工作も虚しく黒岩は都知事に当選する。
都知事となった黒岩が始めたのは、東京を国として独立させることだった。これにより自分が最高権力者となり、闇次元と同じ力の支配を完成させて、ダークザイドたちの新たな拠り所を作るのが黒岩の目的だったのである。スパイとして送り込まれていたエリに己の野望の実現を誇る黒岩だったが、それが結局は他のダークザイドとなんら変わらない力で全てを押さえつけることでしかないことに気づいた彼女からは「失望した」との言葉と別離を告げられる。
それでも都民の支配に邁進する黒岩だったが、力による施政の結果父親を奪われた少年が、彼の前に現れる。殺意に満ちた眼差しで拳銃を構える少年を見た黒岩は、人間に変身した姿のまま銃弾を浴びて致命傷を負う。
自分でも理解できていなかったが、黒岩は人間界で暁やエリを見て過ごす内に「自分も人間になりたい」と願うようになっていた。策略を用いて暁を完封し、その心を我が物としたかったエリに見放された時、彼はようやく自分の本当の気持ちに気づき、“人間として死ぬ”ことを選んだのだった。ダークザイド屈指の戦士でもあった黒岩は、復讐に燃える少年の銃弾によって、「邪悪な為政者」という1人の人間として絶命する。その死に様は無様であり、無残であり、それでいてどこか誇らしげだった。
夢の中の夢
黒岩が倒れた後もダークザイド絡みの事件は無くならず、暁は依頼を解決する中で、あるいは速水たちにむりやり連れ回される形で、シャンゼリオンとして戦い続ける。そんなある日、暁は奇妙な夢を見る。
夢の中では暁はS.A.I.D.O.Cの一員で、真面目で勇敢な戦士であり、人類全体がダークザイドに追い詰められていく中で速水や宗方と共に必死に戦い続けていた。仲間たちからも心配されるほど人類のために己の全てを捧げる彼は、ある時ふと「ちゃらんぽらんな私立探偵をやっている夢を見た。あんな風に気楽に生きられたらどんなにいいだろう」と言葉を漏らす。
ここで暁は目覚め、今見たものが自分の夢なのか、あるいは自分の方が夢の中の自分が見た夢なのか分からなくなる。「そんなことどうでもいいから早く来い」と速水にどやされつつ、暁の日常は続いていく。
一方、夢の中の暁は、宗方の死やエリの裏切り、壮絶極まる速水の戦死とS.A.I.D.O.Cの壊滅という衝撃的な事態に見舞われて追い詰められていた。人類側で対抗できる戦力がほぼ消滅し、ダークザイドの総攻撃が始まる中、夢の中の暁は「それでも俺は諦めない」と宣言。ダークザイドの猛攻により爆発に包まれる中、シャンゼリオンへの変身の構えを取るのだった。
『超光戦士シャンゼリオン』の登場人物・キャラクター
涼村暁(すずむら あきら/演:萩野崇)
本作の主人公。自称名門探偵事務所の所長だが、放漫経営が祟ってあちこちに借金がある。
性格は気ままで軽薄、自分本位でいい加減。物語冒頭でシャンゼリオンへの変身能力を得るがヒーローとしての自覚は全く無く、この力をどう自分の生活に華々しい活躍に役立てようかと画策する。一方で他者への優しさや根本的な善良さは備えており、るいの心遣いを台無しにされたことに激怒して黒岩を含む複数のダークザイドを圧倒するなど、決める時は決める男。
橘朱美(たちばな あけみ/演:林美恵)
涼村探偵事務所の秘書。暁より遥かにしっかりした女性で、涼村探偵事務所がギリギリで運営できていたのは彼女の貢献によるところが大きい。
物語が始まってからしばらくして、幼稚園の先生という生きがいを見つけ、探偵事務所を去っていった。これは演者である林が学業との折り合いをつけられなくなったという、作劇とは別の事情があっての展開だった。
桐原るい(きりはら るい/演:松井友香)
朱美が探偵事務所を去った後、依頼人としてやってきた少女。暁を気に入り、押しかけるようにして新たな秘書となる。実は綾乃小路財閥の跡取り娘で、物語終盤で父の跡を継ぐ形で物語からフェードアウトした。
実は本作収録の終盤に、演者の松井が交通事故に遭うというアクシデントがあり、降板したのはそれが理由である。
速水克彦(はやみ かつひこ/演:相澤一成)
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目次 - Contents
- 『超光戦士シャンゼリオン』の概要
- 『超光戦士シャンゼリオン』のあらすじ・ストーリー
- お気楽ヒーローの誕生
- ライバルと戦友
- 皇帝の握ったもの
- 夢の中の夢
- 『超光戦士シャンゼリオン』の登場人物・キャラクター
- 涼村暁(すずむら あきら/演:萩野崇)
- 橘朱美(たちばな あけみ/演:林美恵)
- 桐原るい(きりはら るい/演:松井友香)
- 速水克彦(はやみ かつひこ/演:相澤一成)
- 南エリ(みなみ エリ/演:東風平千香)
- 宗方猛(むなかた たけし/演:市山登)
- 黒岩省吾(くろいわ しょうご/演:小川敦志)/暗黒騎士ガウザー(あんこくきしガウザー)
- 『超光戦士シャンゼリオン』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 暁「俺ってやっぱり、決まりすぎだぜ!」
- 黒岩「知っているか!」
- 暁「サバじゃねぇ!」
- 『超光戦士シャンゼリオン』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 衝撃的な最終回の真実
- 『超光戦士シャンゼリオン』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):MISA「OVER THE TIMES〜時を越えて」(第1 - 19話、第21 - 39話)
- ED(エンディング):本位田牧「微笑みの出発(たびだち)」(第1 - 13話、第39話)
- ED(エンディング):KAT「シャンゼリオン〜光りの未来」(第14話 - 第38話)