BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣(ブルーリフレクション)のネタバレ解説・考察まとめ

『BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣』とは、コーエーテクモゲームスの系列会社であるガストブランドが開発したヒロイック・ロールプレイングゲームで、『フィリスのアトリエ』『よるのないくに2』に続く「ガスト美少女まつり」の第3弾ゲームタイトルとして発表された。現代日本を舞台にしており、現実世界と、人間の心や感情によってつくられた異世界「コモン」を舞台に15人の少女たちの友情と戦いが主なストーリーとして描かれている。

突然倒れる有理。そしてその体から立ち上る、感情の暴走を示すオーラに日菜子は驚いてコモンへ向かう。

翌朝、日菜子の携帯に、有理からメールが届く。「へるぷ【緊急】【速報】【知らないでは済まされない】【絶対拡散希望】」単調に書かれたその単語の羅列に、日菜子は血相を変えて有理に電話をする。だが、有理が述べたのは「腹が減った。死にそうだ。ハングリー、フンガー、ファーメ」という単純な理由だった。鳩が豆鉄砲を食ったようになる日菜子に、有理は今まではネットストア頼みで買い物をしており、コンビニなどのリアル店舗で買い物をしたことが一切ないという。しかもネットストアのサイトがメンテナンス中で使えず、それのせいで2日以上飲まず食わずという有様。それにさらに呆れ返りそうになる日菜子だったが、有理が「視界も朦朧としている有様で……いかん、携帯を持つ力も無くなってきた……もう指先の感覚が……」とまで言い出すものだから、日菜子は大急ぎで差し入れを買って有理の元へとひとっ走りする羽目になった。
その後、差し入れで一息ついたや否や、研究に戻ろうとする有理を見かねて、日菜子は彼女を連れて街へと買い出しに向かう。
その後、日菜子と共に初めて外出していろんな店を巡って歩いた有理だが、試着室でもない場所でいきなり服を脱いだり、買ってもいないのにミネラルウォーターを飲んでしまったりと常識外れな行動を繰り返して彼女を振り回した。さらには買い出しの帰りに寄ったカフェで初めて食べたパフェの味に感動するなど、天才的な頭脳を持っているにも関わらず、有理がここまで日常生活の知識を持っていないことに日菜子は途方に暮れていた。そんな中、有理は日菜子にここまでの日常生活の知識がない理由として、「サヴァン症候群」という単語を口にする。脳の機能不全に伴う症状のひとつで、記憶力や計算能力、状況把握能力が常人に比べて異様に高くなるが、その症状を持った人間は深いコミュニケーション障害を持つ者に限るという。自分はそのサヴァン症候群にかかっているからこそ人間の心や感情を理解できない、と有理は語ったのだった。日菜子はそんな現実を信じることも受け入れることもできなかったが、自分にはかけてやる言葉はもちろんどうすることもできなかった。仕方なしに日菜子は荷物を有理の研究室へと運ぶために彼女と共に学校へ戻るが、その時、有理が不意に倒れてしまう。しかも、これまでに見た感情の暴走を表すオーラがその体から立ち上っていた。

コモンで有理のフラグメントを探すが、妙なことにそれらしいものは見つからない。

しかし現実世界に戻って、日菜子が有理に思いを伝えた瞬間、有理のフラグメントは突如として現れた。

そして翌日の早朝、「パフェを食べないと研究が進まない」という子供っぽい理由の電話で叩き起こされた。これにはさすがの日菜子も付き合いきれない様子である。

急いでコモンへと転移し、有理のフラグメントを探すが、奇妙なことにフラグメントが見つからなかった。仕方なしに現実世界に戻ると、有理は目を覚ましていた。来夢に「もしかして、感情がないのかしら?」と言われ、首を傾げる有理。それで日菜子が経緯を話すと、有理は「……そうか。やはり、何もなかったんだな」と、残念そうに頷いた後、感情があることを少しでも期待していた自分がいたことを実感する。「斎木有理という人間には何もない。ただのがらんどう……虚無だ」と、寂しげに空を見上げる有理だったが、日菜子は「心がない人が『期待』なんてするの?」と、問いをぶつける。その問いに驚きに目を見開く有理に、日菜子はこう続ける。もしも本当に有理に心がなければ、感情がないことを疑問になんて思わないはず。そして今の有理はすごく悲しそうな顔をしていて、きっと自分自身が不完全だと言われていることを恐れている。その恐怖や悲しみもまた立派な感情なんだと訴えた。
そんな日菜子の訴えと想いに、感情を理解した有理は心を初めて動かされる。「君と過ごした時間は、とても興味深いものだった……そう、今までになく。ああ……そうか、これが“楽しい”という感情か」と言う有理が、満面の笑顔になった瞬間、フラグメントが姿を現し、同時に有理の手に指輪が現れた。初めてのことに戸惑う有理に、「わからないことがあったら連絡してよ。いつでも相談にのるから。私たちは『友達』だよね?」と、笑顔で呼び掛ける日菜子。それに有理は、静かに、だが笑顔で頷いた。
次の日の早朝、日菜子の携帯に有理からまた電話が届く。「復旧したネットストアでパフェを注文しようとしたら、氷菓系は無理と言われたんだ……どうしたらいい……!?」と、切羽詰まった声でしょうもないことを相談してくる有理。それに呆れ果てた日菜子は、言い終わらないうちに電話を切って寝直そうとすると、有理はまた電話をかけてきて、「いつでも相談に乗ると言っただろう……!? 友達というのは嘘だったのか!?」と、切羽詰まった声でさらに訴えてくる。これに怒った日菜子は、友達にも出来ることと出来ないことがあって、こんな朝早くに店なんて開いてないと抗弁する。だが有理は「メンテ中ということか!? では私の方でシステムに侵入して、強制的にプロセスを立ち上げて……!」と、ズレたことを言って捲し立てようとしてくる。それに対し「そういうことじゃないし!! あぁ〜もうっ、とにかく今は寝かせてぇ〜!!」と、日菜子は怒りのツッコミを爆発させるのだった。

女優さながらの迫真の演技を見せる麻央。だが、演技に込めた感情が強すぎたあまり、またしても暴走と異変を引き起こす。

ついに辿り着いた麻央のフラグメントが見せる真実。それは周囲の悪意と欲望に傷つけ、振り回され、孤独と絶望に心を歪められていく、過去の麻央の姿だった。

麻央の絶望と怨念に呑み込まれそうになったその時、自分を応援してくれた幼い少女たちの声と、夕月、来夢、早苗、千紘、有理ら自分を信じてくれる仲間たちの幻影が、日菜子を目覚めさせる。

ついに麻央とのオーディションの日が訪れた。オーディションにて、日菜子も迫真の演技を見せるが、麻央の演技はプロの女優を務めるだけあってそれ以上に観客を引きつけるパワーというものがあった。日菜子、そして夕月と来夢も息を呑んで見守る中、彼女の感情がまた暴走を始め、その余波によってクラスメイトたちが次々と意識を失う。その瞬間、辺り一面にまたも禍々しい光が放たれ、日菜子たちはコモンへと飛ばされてしまった。
そこで日菜子たちは、再び麻央のフラグメントの元に辿り着いた。今度は前のように禍々しい輝きを放ってはいなく、日菜子は気持ちをしっかり持ってフラグメントを固定化するべく、ゆっくりと手をかざした。その瞬間、「裏切り者!!」という、悲痛な少女の叫び声が聞こえてきて、日菜子が驚きに目を剥いたその時、彼女の視界に麻央の過去と思しき光景が飛び込んでくる。
女優として舞台の上で演じることが大好きだったかつての麻央は、目先のことや利益しか考えない両親の悪巧みによって昔の友人たちとの関係を次々に壊されてしまった。さらに両親からも「金の卵を産むニワトリ」と、利益を得るためのただの道具としか見なされていなく、そんな両親にいいように利用され続けたことで友人たちから恐れられ、蔑まれ、離れられていった。こうして周囲の欲望や悪意によって翻弄され続けた麻央の心は絶望と憎悪に染まっていき、いつしか「悪意こそが人の本質」と歪んだ見解を持つようになった。そして、もう二度と誰かの悪意で傷つけられたり、利用されたりすることがないように、麻央は「私は私のやり方で自分の世界を守る……悪意を全部呑み込む、悪意そのものになってあげる!!!」と歪んだ決断に踏み切った。
過去の麻央がそう叫んだ時、怨念、もとい悪意と見て取れる禍々しいオーラがその過去の麻央の体から噴き出た刹那、日菜子は自分の心が麻央の絶望と悪意の塊に塗り潰されていくのを感じた。やがて「人間なんてみんな、自分だけが大事で他人のことなんかどうでもいい」という麻央の考えを肯定していき、さらに自分がバレエのコンクールで失敗した時は容赦ない罵詈雑言を浴びせられたことを思い出す。そして、その時まで応援してくれた人たちもみんな掌を返して、距離を取るようになったことも思い出してしまった。そうして絶望と悪意に心を完全に塗り潰された日菜子が、意識を手放し、楽になろうとした瞬間「すっごくステキだったよ〜!」「キレイだった。背中に羽が生えてるみたいだった」と、嬉しそうな2人の少女の声が聞こえてきた。その声を聞いた刹那、日菜子はそれが自分の踊りに感動して心から応援してくれたものだと気付き、その声の優しい温もりに触れた時、日菜子は我に返った。人間は悪意だけじゃない。だって自分の中には、この2人の少女の言葉のように温かな思い出がある。そして悪意は誰の中にも存在し、それを消し去るだけの力が善意にはある、と、理解できた日菜子は、夕月や来夢、早苗や更紗と言った自分を信じて支えてくれる仲間たちの幻影に見守られながら自分の足で立ち上がり、空に向かってこう叫んだ。「麻央……私はあなたの悪意を『認めない』!!!」その瞬間、日菜子の体から青く美しい光が放たれて辺り一面を覆い尽くした。

再び侵攻をかけてきたネツァク。だが、以前とは違うパワーに日菜子たちはたちまち窮地に追いやられる。

そんな時、日菜子たちの窮地を救ったのが、麻央だった。

麻央の手が放つ光が、ネツァクが繰り出そうとしたとどめの一撃を遮った。

現実世界に戻ってきた時、自分の心の中にあるものを確かめるという日菜子の狙いに麻央はようやく気づき、日菜子を睨めつけながら「理解できた? 馬鹿どもに振り回された私の思いは。あんな連中を野放しにしちゃいけないって、よく分かったでしょ?」と吐き捨てる。その言葉に日菜子は絶望するのも、人間不信になるのも無理はないと頷いたが、「みんながみんな、悪意だけを持ってるわけじゃない。善意のほうが強い人だって、いっぱいいる。麻央の考え方は一方的すぎる」と反論した。だが、その言葉を「だから皆のことを信じろって? 善人が一人でもいたら百万の悪人を信じろって言うの?」と、麻央は一蹴する。日菜子はそうは言ってないが、自分の経験だけで他の人を全部疑えって言ってるようなもの、芸能界と学校ではそこにいる人の性格も考え方も生き方だって全然違うかもしれない、と反論。こうして日菜子と麻央の考えは平行線であることが明らかとなり、どちらも譲れず、相容れなく、歩み寄れないものとなってしまった。それで次はどうするつもりだと麻央から問われた時、日菜子は麻央の悪意がこれ以上誰かを傷つけるのは放っておけなかった。強い覚悟と決意を持って麻央の前へ進み出たその時、突然また空気が震え、地響きが轟く。日菜子たちが振り返ると、ネツァクがまた姿を現した。
日菜子たちはネツァクに立ち向かうが、ネツァクは以前の時よりも圧倒的に強くなっており、あっという間に防戦一方になる。その時、その場へ進み出てきたのは麻央だった。「指輪をつけていないのにどうして…」と驚きを隠せない日菜子たち。麻央は彼女らを尻目に、ネツァクに向かって「人の縄張りで好き勝手してくれて……ここは私の学校よ? いったい誰の許可を得て暴れまわってるの」と言い放つ。その言葉の後、麻央がゆっくりと手をかざすと、オーラが溢れ出る。そして麻央は、オーラを溢れさせる手をネツァクに向けて「失せろっ!!!」と吼えた。
その瞬間、麻央の手から放たれる光が、攻撃を仕掛けようとしていたネツァクを怯ませた。さらに驚く日菜子たちを尻目に、麻央は「人は愚かで、身勝手で、そして弱い。だからこそ私が見守り、導いていく必要がある。この場所は壊させない……! 私が全て守ってみせる!!!」と宣言する。

現実世界に現れた麻央のフラグメント。その力強く美しい輝きを見せるフラグメントによって、日菜子たちも奇跡のパワーアップを遂げる。

壮絶な空中戦を繰り広げた末、ついにネツァクを打ち破る日菜子。

そして麻央も、口では日菜子を嫌いだと言いながらも、指輪から伝わってきた日菜子の想いによって、彼女と人の想いに対する認識を変えた。

その瞬間、日菜子の目の前に麻央のフラグメントが現れた。その輝きは強く美しいものとなっており、夕月によると日菜子と麻央の想いが共鳴しているという。人間の悪意に絶望する麻央と、善意を信じる日菜子。けれども、自分たちの世界を守りたい想いは同じだからこそ、共鳴が引き起こされたのだ。そして、来夢が麻央に指輪を手渡した瞬間、日菜子、夕月、来夢のそれぞれの武器にものすごい力が流れ込んで、驚異的なパワーアップを遂げた。こうして来夢と夕月、そして麻央を加えた12人の仲間たちと共に日菜子はネツァクに反攻を仕掛け、最後は学校上空での壮絶な空中戦を繰り広げた末にネツァクを完全に撃破し、消滅させることに成功した。
戦いの後、初めて原種を完全に倒したことに喜びを噛み締める日菜子たち。だが麻央の「私の力のおかげってことかしらね」という恩着せがましい物言いに、夕月と来夢が険しい表情になるが、日菜子は「あなたのおかげで学校を守れた」と素直に礼を言った。それに対し麻央はお互い今までのことを謝罪して、仲良しこよしで共同戦線なんて気味が悪いと言い捨てた。しかし、学校を守るためには相容れない者同士割り切って協力するしかないと、日菜子たちとの共闘関係を築くことを受け入れたのだった。
そして最後に、条件として文化祭の演劇の主役を日菜子にやることを突きつけてきた。オーディションの結果はまだ出てないのに、と驚く日菜子に、麻央はあんなものは自分をこの戦いに引き入れるための理由付けみたいなもので、そんなものに今更意味はないと言い切る。そして最後に「私、あんたのことが嫌いよ、白井。本当、虫酸が走るくらい」と吐き捨てたが、自分の手の中の指輪を見て、この指輪から日菜子の気持ちが感じられて、そんな世界もあるんだって思ったと穏やかそうに言った。「せいぜい精進しなさい。本気であなたの世界を表現したいなら、ちゃんと相手に伝わるようにすることね」と、言い残してから、麻央は去っていった。

夕月・来夢編(第9章〜第11章)

有理から無情にも告げられた真実。その言葉に激しく動揺し、日菜子は夕月と来夢に縋り付くが、夕月と来夢も口を重くするばかりで答えようとしない。

日菜子から聞かされた真実に動揺しながらも、更紗はなんとか日菜子を励まそうとするが、その必死の思いは日菜子には届かない。

逆に日菜子から涙ながらに当り散らされ、またも感情を暴走させてしまう。

ネツァクとの戦いを経て、もうすぐ自分の足を取り戻せることへの期待に胸を高鳴らせる日菜子。そこへ「君の足は……治らないよ」と、冷たく待ったをかけてきたのは、有理だった。驚きに振り返る日菜子。そして有理は「願いなんて叶わない。これは、そういう戦いではないのだろう?」と、夕月と来夢に問いかける。動揺を隠せない日菜子に、有理は根拠をこう述べた。この戦いは現実世界へと侵略をかけてくる原種との戦いで、すべての原種を倒しても現実世界の平和が守られるだけ。そしてリフレクターやフラグメントの力は原種が現れた時以外には使うことはできず、日菜子の足が治るような物理的干渉は起こらない、と言う。無情にも有理から告げられたその言葉に衝撃を受け、動揺する日菜子。藁にもすがるような思いで来夢や夕月に嘘だよね、と尋ねるが、来夢からも「……嘘じゃないよ。すべての原種を倒したとしても、願いは、叶わない……」と、諦めきった表情で言われた。「そんな……騙したのっ?! 願いが叶うって言ったのも、全部嘘だったのっ!?」と、涙を目に溜め、悲痛に叫ぶ日菜子。来夢と夕月は、表情を重苦しくするばかりで何も答えようとしない。そんな二人の姿に心を押し潰された日菜子は、涙ながらにその場から走り去ってしまう。
戦う理由を、自分にとって唯一の希望を失い、途方と悲嘆に暮れる日菜子。そんな時、屋上でひとりバレエの練習をしている更紗を見つける。ひどく浮かない表情をした日菜子に気づき、訝しげになった更紗が声をかけると、日菜子は有理から原種を倒しても足が治らず、来夢と夕月もそのことを肯定したことを話した。その事実に衝撃を受ける更紗。しかしまだ何か手段があるかもしれないし、夕月と来夢の言っていることが本当かどうか確証もないかも、と、動揺しながらも日菜子を励まそうとする。「だったら、まだ諦めるべきじゃない……! 投げやりになるのはまだ早いでしょう!?」と必死に訴える更紗だが、願いが叶わない事実を受け入れられないでいる日菜子は、その訴えに耳を貸すことなどできる訳がなかった。「更紗にはわからないよ!! 踊ることのできる更紗には、自由に足を動かすことのできる未来がある更紗には、わからない……適当な気休めを言わないでっ!!」と、ありのままの苦しみと絶望を込めた叫びを涙ながらにぶつけてしまう日菜子。すると更紗は「私……私は、そんなつもりで言ったわけじゃ……うわあああああ……!」という悲鳴と共に、またも感情を暴走させてしまった。

お互いの思いを認め合えたことで、笑顔になる日菜子と更紗。

19851119hz4
19851119hz4
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