BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣（ブルーリフレクション）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

そして、その場に駆けつけてきた夕月と来夢と共に、日菜子はコモンへ向かい、更紗のフラグメントを見つける。魔物に阻まれながらもフラグメントの固定化を試みる日菜子。すると、フラグメントから聞こえてきた更紗の声は、こう言っていた。「なんで……? 日菜子が、バレエを辞める……? 日菜子がいなくなったら、私は、何を目標にバレエを踊ればいいの……?」更紗の本当の感情はバレエを辞めた日菜子への怒りではなく、内心では憧れて、自分の目標としていた日菜子がいなくなることへの恐怖だった。その更紗の感情に触れた時、日菜子はバレエを失った人生を送ることを余儀なくされた時の恐怖を思い出す。自分と同じバレエを人生そのものとしていたはずの更紗だからこそ、失うことを恐れる気持ちを痛いほど理解した日菜子は、現実世界に戻り、改めて更紗と話をしようとした。その瞬間、どこからともなく地響きが響き渡り、数多の人間と木を混ぜ合わせた醜悪な外見をした巨大な怪物が現れる。驚きを隠せない日菜子。夕月と来夢は、その巨大な怪物を見て「あれが、原種だよ」と言う。
その時、その場に凛と早苗が慌てた様子で駆けつけてきた。その巨大な怪物、「イェソド」と呼ばれる原種が現れた時、突然自分たち以外の人間が、時間が止まったように動かなくなってしまったという。それはイェソドが現れたのが原因であり、このままだとイェソドによって全てが破壊されて、みんなも動けないまま死んでしまうと夕月と来夢は言った。イェソドの出現によって現実世界が一時的にコモンと似たような環境になったため、コモンと同じくリフレクターに変身することができた日菜子たちは、凛と早苗、さらに夕月と来夢から指輪を渡されたことで動けるようになった更紗を加え、初めての原種との戦いに臨むのだった。
大激闘の末、イェソドを撃退した日菜子たち。この戦いを経て、日菜子は「私の“願い”なんて……決まってる! 私は、もう一度バレエを踊れるようになる! 原種を全部倒して、またステージに立つ!!」と決心する。その日菜子の決心と、日菜子たちから事情を聴いた更紗は、リフレクターとして戦う彼女に自分も協力すると約束を交わす。「あ、あなたのためじゃない。あくまで自分のためよ。ライバルがいないと張り合いがないもの!」と言い張る更紗には、先ほどまでの焦りと恐怖からの刺々しさはなく、憧れの目標でライバルを想いやる彼女なりの優しい笑みが浮かんでいた。

こうしてリフレクターになることを決意した日菜子だったが、ついに目の前に現れた原種という強大な敵を前にどう戦えばいいのか思い悩んでいた。夕月と来夢もかける言葉が見つからず迷っていたところ、ひとりの活発そうな日焼け肌の女子生徒が現れた。「白井っ、お昼食べないの?」と声をかけてきた彼女の名は、鳴宮圭。バスケ部に所属するスポーツ少女で、クラス一のお節介焼きとして知られる圭は、まだクラスに馴染めてないでいる日菜子を気にかけて何かと世話を焼こうとしてくる。そればかりか、聞いてもいないのに自分の特技とか好きな食べ物とかを打ち明けてきて、さらに自分は膝に怪我をしているという人に言えない悩みを抱えているのに、「運動が苦手そう」とイメージまで勝手に決め付けてくる圭。そんな悪気がない振る舞いとはいえ自分の中に踏み込もうとしてくる圭に、「なんなの、この人……さっきから自分勝手に絡んできて」と、日菜子は苛立ちを募らせていく。そして放課後、友達を紹介すると言ってしつこく付きまとってくる圭に、「今はいいって言ってるじゃない!! 私のことは放っておいて!!」と、日菜子の苛立ちがまたも爆発する。その剣幕に圭もたじろいだ一瞬、日菜子は勢いに乗って激しい言葉をこう立て続けにぶつける。「悩んでるってわかるなら悩ませてよ!! 誰もが手を差し伸べてほしいわけじゃないって、あなたにはわからないの!? 話してって言うけど、あなたに話したって解決できない悩みなの!!」そして、呆然とする圭をその場に残し、日菜子は走り去ってしまう。

翌日、なんとか落ち着きを取り戻した日菜子は、昨日の圭への暴言を吐いたことを後悔しており、謝らなければと思っていた。するとそこへまた、圭が現れる。どうやら昨日のことがこたえたのか、圭は浮かない表情をしていた。日菜子が謝ろうと声をかけた時、圭は昨日と同じ明るい表情と軽いノリで振る舞ってきた。それに戸惑いながらも日菜子が昨日のことを謝ると、「なんだ〜、そのことか!」と、さらに明るい表情と軽いノリで返してきた。それに驚く日菜子に、圭は自分はあんなことで折れはしないし、日菜子の時のように悩んでる友人にしつこく言い寄ることで友人からしょっちゅう注意されてると笑い飛ばす。それにさらに戸惑う日菜子に、圭は今度は自分と一緒にスポーツをしようと切り出してきた。ますます困惑する日菜子に「思いっきり体を動かせば、たいていの悩み事は吹き飛ぶからね! 白井、あんまりスポーツ得意そうじゃないし、アタイがいろいろと教えてあげるよ!」と、豪語する。そうしてまたスポーツができないと決めつけられたことに、三たび日菜子の苛立ちが募る中、そこへ早苗が現れて昔はバレエをやっていたことを明かしてしまう。そして、その場の流れに乗せられる形で日菜子は圭とスポーツ勝負をすることになってしまった。
競う種目は水泳となり、「ターンの時に5秒以上差をつけられたら負け」というルールのもと、日菜子は圭の出方をうかがいながら泳ぎ続ける。そうして接戦が繰り広げられる中、突然日菜子の指輪が輝きだし、その場が眩い光に包まれる。気がついた時には、日菜子はコモンにいた。追いついてきた夕月と来夢によると、この現象は圭の感情の暴走ではなく、日菜子が無意識に指輪の力を使ってしまったことにあるかもしれないという。そこで見つけた圭のフラグメントに触れると、フラグメントからの圭の声がこう言ってきた。「楽しい……! 白井、運動できるって本当だったんだ。こんな楽しい勝負、なかなかできないんだから、最後までやらないと勿体無い!!」自分との勝負を心から楽しむ純粋な圭の喜びの感情にふれたことで、日菜子は自分もいつの間にか圭との勝負を楽しんでいたことに気づき、微笑ましくなった。「……私も、その気持ちわかる。圭と勝負して、どうやって勝とうか必死だった。これって、純粋に勝負を楽しんでいたってことだよね……」その心の呟きと共に、バレエをやっていた頃も楽しくて仕方がなかったことを思い出した日菜子は、ついに圭のフラグメントも固定化した。その後、現実世界に戻って勝負を続けたが、結果は引き分けとなった。だが圭は、結果を惜しむよりも、日菜子が真剣に自分との勝負を臨んでくれたことを素直に喜んだ。それからシャワールームで、日菜子は夕月に指輪を渡され、友情の証として圭に渡すよう勧められる。そして日菜子から指輪をもらったことに、圭はさらに喜び、一人盛り上がったのだった。

それから次の日、日菜子の前に、活発そうな赤いツインテールの女子生徒が現れた。「ねぇ! あなた、魔法少女でしょっ?」と、いきなりそう声をかけてきた女子生徒の名は、一ノ瀬亜子。放送部に所属する彼女は、学校の中で起こる様々な事件や出来事を追って、その中からスクープ記事を仕立てようと日々奔走していた。そんな亜子が日菜子に声をかけてきた理由は夕月と来夢にあり、あの二人がいつ頃からこの学校にいたのかまったくわからず、入学式の写真にすら写っていないことからスクープの匂いを嗅ぎつけてきたのだった。
その亜子の言葉を聞いて、夕月と来夢のことが気になった日菜子は、亜子に強引に付き合わされる形で、探偵のようにふたりを尾行したり、物陰から観察することになる。だが、これといった収穫はない。それでも諦めないと躍起になる亜子だったが、放課後、夕月と来夢の後を追おうとした矢先、校門の前でと一台の高級車に乗った男性に「どこに行く? 家は逆方向だろう。寄り道せず帰るよう、いつも注意しているだろう」と、呼び止められる。その時、急にしおらしい態度になった亜子は尾行をやめて帰ってしまった。
その次の日、亜子が学校に来ていなく、そればかりか行方不明になったという噂を耳にした。妙な胸騒ぎを感じる日菜子。すると放課後、屋上へ向かって走っていく亜子の姿を目撃し、後を追っていくと、屋上で不気味なオーラに包まれ、頭を抱えて苦しそうにうずくまる彼女を発見した。どうやら感情が暴走している。そう察した日菜子は、後からやってきた夕月と来夢と共にコモンへと飛び込み、その奥で亜子のフラグメントを発見した。フラグメントに触れた時、日菜子の脳裏に、自宅でひとり悲しそうに俯いている亜子の姿が飛び込んでくる。「いい子にしてなきゃ……いつまでも夢を追いかけてちゃダメ……ちゃんと、お父さんの前ではいい子にしてないと……」と、悲しそうにそう呟く亜子。その亜子の言葉から、昨日の高級車の男性は亜子の父親だと日菜子は気付いた。亜子には叶えたい夢があるが、その夢は父親が望んでいるものとは違うため、父親が望むいい子でいなければならないという思いと板挟みになってしまっていたのだ。

そこで固定化しようとしたが、亜子のフラグメントは魔物によってひどく傷つけられており、このまま固定化すると危険な状態になると夕月から止められ、固定化するには亜子と一度話をしてその気持ちを受け止める必要があると教えられた。そこで日菜子は一度現実世界に戻ることにした。現実世界に戻ると、亜子はうつろな表情でその場に座り込んでおり、「わたしには夢がある……でも、お父さんの前ではちゃんとしなきゃ……けど……諦めたくない……」と、ブツブツ呟いていた。それを見た日菜子は、「そんなに辛いなら、きちんとお父さんに言えばいいじゃない!」と、訴えた。そして、ずっと一緒に居る家族だからこそ本音で向き合い、自分がどう思っているか、何を悩んでいるかを伝えないといけない。そして父親とまだ話しもしていない以上、話してみないと本当のところはわからないし、いい子のふりをしたって、どこかで行き詰るだけだ、ともさらに力強い声で訴えた。その日菜子の訴えを聞いた時、「そっか……そうだね」と、立ち上がった亜子の表情に生気が戻った。その瞬間、日菜子の目の前に、亜子のフラグメントが現れる。夕月と来夢曰く、無事に回復したから出てこれたというそのフラグメントを日菜子が固定化すると、亜子のものと思しき指輪が手の中に現れた。そして亜子は、夕月から渡されたその指輪によって日菜子たちの正体に気づいたが、「白井ちゃんには助けてもらったし、友達だからね。秘密にしておくよ!」と、心配無用とばかりに笑いかけてきた。それからリフレクターである日菜子たちの存在から、魔法少女というファンタジーな存在が本当にいることに胸をときめかせ、亜子は自分が追っているその将来の夢であるジャーナリストとして書くのが楽しみで、父親も説得できそうだとさらに朗らかに笑ったのだった。

しほり・千紘・史緒編（第5章）

ある日、日菜子は夕月と来夢から「恋愛相談をきいてほしい子がいる」と聞かされた。それからその日の放課後、「こんにちは。約束の場所って、ここであってる?」と、ひとりのスタイル抜群の女子生徒がやってくる。彼女の名は、菅本しほり。大人びていてスタイル抜群である彼女は、なんと15人に告白されるほど男子生徒に大人気だが、いずれもただの友達としての関係としか捉えていない。そんな中、日菜子がおしゃれに興味を持っていなく、メイクもあまりしていないことに気づいたしほりは、「それってもったいなくない? 女の子として人生半分損してるよ? 女子力は戦闘力なんだから!」と、いきなり相談の最中であるにも関わらず日菜子にメイクのレッスンを施してしまう。
それからしほりの手によってメイクを施された日菜子を見て、雰囲気が変わったと夕月と来夢も絶賛する。そして日菜子も夕月と来夢の感想に戸惑いながらも、メイクについて考えてみようかな、と言った。その時、「なに? 今度はその子? 懲りずにそうやって他人を利用してるの?」と、そこへしほりの友人と思しき女子生徒が刺々しい雰囲気で割って入ってくる。彼女は好きだった男子がしほりに夢中になってしまったことから、しほりに対して憎悪めいた嫉妬を募らせていたのだ。そんなつもりじゃない、と困惑、動揺するしほりだが、しほりの友人は御構い無しに非難の言葉を矢継ぎ早にこう浴びせる。「みんな言ってるんだから……ちょっときれいだからっていい気になって、女王様気取りになってるって……結局あんたは、自分が誰より上だと思ってるのよ!!」その時、「やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」と悲鳴をあげたしほりの目から光が消え、感情が暴走する。