RDG レッドデータガール(ラノベ・漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『RDG レッドデータガール』とは、荻原規子によるライトノベル作品、ならびにライトノベルを元にP.A.WORKSが作成したテレビアニメ、琴音らんまるが『月刊少年エース』(角川書店)にて連載したコミカライズ作品である。「姫神」が憑依する家系に生まれた少女・鈴原泉水子が、特殊能力を持つ生徒たちが集まる全寮制の高校に入学し、成長していく姿を描く物語。魅力的な同級生たちとの友情、山伏の家系の少年・相楽深行との恋愛関係が見どころである。

『RDG レッドデータガール』の概要

『RDG レッドデータガール』とは、荻原規子によるライトノベル作品である。P.A.WORKSによるテレビアニメ化、琴音らんまるによるコミカライズなど、メディアミックスも盛んに行われている。
ライトノベルは、カドカワ銀のさじシリーズ(KADOKAWA)より2008年から2017年にかけて全7巻が刊行された。挿絵は、銀のさじ版と角川文庫版では酒井駒子、角川スニーカー文庫版では岸田メルがそれぞれ手がけている。
コミカライズは、琴音らんまるにより『月刊少年エース』(角川書店)にて2012年から2014年にかけて連載された。キャラクター原案は岸田メルが担当した。
テレビアニメは、2013年4月から6月にかけてTOKYO MXほかにて全12話が放送された。
「姫神」が憑依する家系に生まれた少女・鈴原泉水子(すずはらいずみこ)が、特殊能力を持つ生徒たちが集まる全寮制の高校に入学して成長していく姿を描くファンタジー作品。魅力的なキャラクターたちとの友情、同級生・相楽深行(さがらみゆき)との恋愛関係が見どころである。

『RDG レッドデータガール』のあらすじ・ストーリー

神社で育った少女・泉水子と山伏の少年・深行

鈴原泉水子(すずはらいずみこ)は、世界遺産として知られる熊野古道・玉倉山にある玉倉神社で生まれ育った。仕事のため不在にしている両親の代わりに祖父の鈴原竹臣(すずはらたけおみ)と暮らし、山の麓の町にある粟谷中学校には神社の神官・野々村慎吾(ののむらしんご)の車で通っていた。
実は泉水子の家系は、「姫神」と呼ばれる異能の存在を憑依させることができる力を受け継いでいた。その力がまだ目覚めていない泉水子は姫神の存在を知らされず、長い髪の毛を三つ編みにすることでその力を封印し、祖父の竹臣と神官の野々村、父の友人である相楽雪政(さがらゆきまさ)に大切に保護されてきた。
中学3年生になった泉水子は竹臣に進学先について相談するが、父親の鈴原大成(すずはらだいせい)がすでに東京の高校を泉水子の進学先に選んでいるということが分かる。この一方的な決定に、泉水子は「あり得ない」と反発し、力を封印している前髪を自分で少し切る。その結果、中学校のパソコンがすべて破壊されてしまい、雪政は泉水子をサポートするために息子・相楽深行(さがらみゆき)を粟谷中学校に転校させる。
深行は、息子の意志を尊重せずに泉水子の下僕となることを強要する雪政に強い反抗心を抱いており、最初は泉水子にもきつくあたる。一方で表面上は愛想が良く成績も優秀なため、クラスにもすぐに馴染んでしまう。
引っ込み思案な性格から親しい友人が2人しかいない泉水子は学校で疎外感を抱いていたが、そんな彼女に和宮さとる(わみやさとる)が接近する。和宮は影の薄いクラスメイトだったが、これを機に泉水子も彼を意識するようになる。

修学旅行でトラブルに巻き込まれる泉水子と深行

そんな折、粟谷中学校の3年生は修学旅行で東京に行くことになり、泉水子と深行はその機会を使って東京に暮らす泉水子の母・鈴原紫子(すずはらゆかりこ)に会いに行くことにする。しかし道中で泉水子の力が発動してしまい、電車や改札機を次々と破壊した他、「何か黒い影がついてくる」と言って泉水子は怯える。しかしその黒い影の正体は雪政だった。泉水子、雪政、深行の3人は、紫子の家に転がり込むが、その場で三つ編みを解いた泉水子に姫神が憑依する。姫神は「泉水子がわたしの最後の器になる。あと15年ですべてが決まる」という予言を残す。
玉倉神社に戻った泉水子だが、東京に行ったことで彼女の力は変容していた。彼女を変えてしまったことを非難し、和宮が深行を排除しようと行動に出る。実は和宮は、泉水子が作り出した玉倉山の神霊だったのだ。泉水子は和宮が自身の願いから生まれたものであるとして、「わたしに従いなさい」と命じて和宮が深行に危害を加えることを阻止する。
泉水子は、大成が進学先として選んでいた鳳城学園(ほうじょうがくえん)への進学を決意する。そんな泉水子を守るため、深行もまた鳳城学園への進学を決めるのだった。

鳳城学園における異能の生徒たちとの出会い

高校生になった泉水子と深行は、東京都の高尾山北側に位置する私立の中高一貫校・鳳城学園に進学する。学生寮で生活することになった泉水子は、ルームメイトの宗田真響(そうだまゆら)と知り合う。真響は中等部からの持ち上がりの生徒であり、長野県戸隠の忍者の家系の出身であった。彼女には3つ子の弟・真夏(まなつ)と真澄(ますみ)がいるが、真澄は幼い頃に亡くなっており、真響と真夏が同時に念じることで霊となった真澄を呼び出すことができるのだった。
鳳城学園にはそのような異能の生徒たちが多く集められており、未来のために保護すべき「人的世界遺産」に認定されることを目標に、学園1位を目指してしのぎを削っていた。実は真響は中等部3年間は常に学年2位の成績であり、式神使いの高柳一条(たかやなぎいちじょう)と1位の座を争って対立していた。
泉水子は、自身の力を封印していた眼鏡を外したことで、高柳が学園中に飛ばしていた式神を見ることができるようになる。その結果、真響・真夏が真澄を呼び出し、それらの式神を一蹴することに成功した。
ある時、泉水子は生徒会長の如月・ジーン・仄香(きさらぎ・ジーン・ほのか)に日舞の稽古に誘われる。稽古場で対面した彼女の師匠である初代生徒会長・村上穂高(むらかみほだか)は、自分が人的世界遺産の選定に携わる「審神者」のひとりであると説明する。その時、泉水子の三つ編みが突如解け、姫神が憑依する。姫神は「判定者は穂高ではなく、選ぶのは泉水子自身である」と穂高に告げ、深行には「泉水子を姫神にさせてはならない」と囁く。深行がその言葉の意味を掴みかねている時、カラスに姿を変えた和宮が現れる。泉水子を守るために結託することを決意した深行と和宮は、深行が和宮を取り込むことで一体化する。

夏合宿で明らかになる泉水子の異能の力

夏を迎え、真響・真夏の姉弟、深行が所属する生徒会では文化祭の準備が本格化する。文化祭のテーマは「戦国学園祭」に決定し、生徒会執行部は真響・真夏の故郷である戸隠での夏合宿を決行する。しかしその場で、真夏が幼い頃から可愛がっていた馬のタビが安楽死されたことで、真夏が姿を消してしまう。その後「真澄と同じものになったほうが、真響のそばにいてやれる」という内容のメールを受け取った真響は、真澄が真夏を連れて行ってしまうことに怯える。
真夏を連れ戻すため、泉水子は自ら三つ編みを解いて戸隠に隠された別の層に足を踏み入れる。現れた真澄に真夏の居場所を聞かされた泉水子は神楽を舞うことで岩戸を開けようとするが、真夏に姿を変えた真澄に「岩戸を開けてはいけない」と忠告される。そこに真響と深行も到着するが、岩戸にはすでに亀裂ができており、そこから現れた九頭竜に4人は飲み込まれそうになる。しかし間一髪で姫神となった紫子が現れ、九頭竜に語りかけたことで、九頭竜は岩戸に戻り亀裂は塞がったのだった。

深行に明かされた姫神の正体と真意

戦国学園祭のための衣装着付け講習会で、泉水子はお姫様のモデルとなる。その場で穂高から、「深行は泉水子には分不相応な相手だ」と告げられ、泉水子はなぜか憤りを覚えている自分に気が付く。一方、モデルを務めるために三つ編みを解いた泉水子の姿をみて、姫神の出現を恐れた深行は凍りつく。講習会は無事に終了するが、深行が駆け寄った瞬間、泉水子に姫神が憑依し、深行に自身の正体と真意を明かす。曰く、姫神は未来世界から来た存在であり、姫神のいた未来で彼女は人類を根絶やしにしてしまった。過去を遡る能力を使って、人類滅亡の未来を阻止する方法を模索していた。しかしその過程で抹殺され、世界遺産に登録されてしまったことで、今度は別の者が人類滅亡のきっかけを作ってしまった。そこで姫神は、自身が世界遺産にならなくて済む未来を探すため、再び過去に戻ってやり直しをしている最中なのだという。深行は、姫神が憑依したままの泉水子の体を抱きしめて「戻ってこい」と叫ぶ。我に帰った泉水子は、しばらくして姫神が憑依していた間の記憶が蘇り、「姫神は深行を選び、深行もまた姫神が好きなのではないか」と心を痛める。

学園祭で窮地に陥ったことにより距離を縮める泉水子と深行

いよいよ戦国学園祭が始まった。高柳は陰陽師たちの力を使い、学園内に別の層を作り出そうと画策していた。深行は紫子が送ってきた赤い携帯電話を、「使えると思うことが大事だ」と言って泉水子に渡す。
学園祭中、泉水子は陰陽師の結界の中で高柳たちに話しかけられる。話しているうちに高柳への敵対心が消えていくのを感じる泉水子だが、高柳が不用意に深行の名前を出したことで、泉水子は高柳の術により深行の存在を忘れさせられていたことに気づく。泉水子は激怒し、高柳が学園中に飛ばしていた式神や気球をすべて消し去り、学園中の電子機器を使用不能にしてしまう。異変に気がついた深行と真夏が結界の中に駆けつけるが、そこには犬に姿を変えた高柳がいた。
一方泉水子は真澄がいる別の層に足を踏み入れていた。泉水子の後を追い、深行も和宮カラス、高柳犬と共に別の層に入る。深行が発信すると赤い携帯電話はすぐに繋がり、深行は「来いって言えよ、行くから」と泉水子に告げる。泉水子が「すぐ来て」と叫ぶと、電話からはカラスが飛び出し、深行に姿を変える。「おれが必要だって言えよ」と言う深行に対し、泉水子は「すごく大事なことだからその返事はとっておくね」と答える。泉水子の神楽舞により、学園は普段の姿を取り戻す。

泉水子の世界遺産登録を阻止し、心を通い合わせる泉水子と深行

学園祭での騒動が落ち着き、鳳城学園では授業が再開される。しかしその日に深行の姿はなく、泉水子は深行がいないと何事にも手がつけられない自分に気づいて動揺する。
生徒会では、仄香により穂高が学園1の異能者を選ぶ判定者であることが明かされる。穂高は「学園祭の1件からしても、学園1の異能者は泉水子1択だ」と述べるが、それに対して高柳が異議を申し立て、穂高も再判定を認める。
戻ってきた深行は泉水子に「姫神にならずに自分の意思で生きていく道を探してやる」と言い、泉水子は幸せな気持ちになる。
学園1を決める再判定のための術くらべではあっさりと勝負がつき、泉水子が学園1の異能者であると判定が下る。しかし泉水子は、自分が世界遺産になってはいけない理由を話し、姫神を隠すために協力してほしいとみんなに頼む。その後、生徒会を含めたチームを世界遺産に推薦できるかもしれないという話が浮上する。中山瑞穂(なかやまみずほ)は泉水子と深行を拉致しようと目論むが、山伏たちのはたらきによりその思惑は打ち砕かれる。冬休み、玉倉に戻った泉水子は星を見ようと玉倉山の山頂に上る。保温ポットに入れたココアを飲みながら美しい星を見上げていると、そこに5時間かけて山を登ってきた深行が現れる。泉水子と深行はココアを飲みながら話をする。深行は泉水子に、一緒に泉水子の研究をすることを提案する。そして「まだここまで会いに来たわけを教えていない」と言って、背を屈めて泉水子に口付けをする。

『RDG レッドデータガール』の登場人物・キャラクター

主要人物

鈴原 泉水子(すずはら いずみこ)

CV:早見沙織
「姫神」が憑依する体質を受け継ぐ家系に生まれた少女。実は彼女自身が姫神そのものであることがのちに明かされる。
両親は仕事のため家庭におらず、熊野の玉倉神社で宮司を務める祖父のもとで中学3年生まで育てられた。
山奥にある神社で暮らしているため、放課後遊びに行くこともできず、人見知りの性格のため中学校で親しく話せる友人は渡辺あゆみ(わたなべあゆみ)と三田春菜(みたはるな)の2人だけである。
その特異体質のため、鈴原家並びに相楽雪政率いる山伏のグループは泉水子を大切に守り育てており、眼鏡や長い三つ編みはその能力を封印するためのものである。
電子機器との相性が悪く、コンピュータや携帯電話を使うと故障させてしまう。

姫神(ひめかみ)

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