フィレモン(女神異聞録ペルソナ・ペルソナ2)の徹底解説・考察まとめ

フィレモンとは、株式会社アトラスのジュブナイルRPGシリーズ『ペルソナ』の1作目と2作目に登場するキャラクターである。主人公とその仲間達にペルソナを与える役目を担う。自らの事を「意識と無意識の狭間に住まう者」と称しており、ペルソナの生成や能力強化に大きく関わってくるベルベットルームに住むイゴール達住人を従えている。その正体は、人の心の海より生まれた「人類のポジティブマインド」を具現化した存在。2作目のラスボス・ニャルラトホテプの半身であり、同時に敵対する存在でもある。

ニャルラトホテプ

珠閒瑠市で起こった全ての異変の原因であり、『ペルソナ2』のラスボスキャラクター。世界滅亡を目論んでいる。その正体は、フィレモンの半身にあたる存在で、人の心の海より生まれた「人類のネガティブマインド」の化身とのこと。「人は完全な存在となり得るか」という命題について、フィレモンと長い間議論を交わしており、否定派である己の考えが正しい事を証明する為に、世界滅亡を目論むようになってしまう。
なお前作『女神異聞録ペルソナ』にも登場しており、その際はボスキャラクターの神取のペルソナとして登場した。『女神異聞録ペルソナ』の物語展開に深く関わってくる事はないが、P1主人公達に神取が負けそうになった際、神取が見せた心の弱さや闇につけ込み、彼の体を乗っ取った。

フィレモンの名言・名セリフ/名シーン・名場面

「シバルバーや水晶髑髏の幻想に頼らずとも、諸君の強い意志と行動こそが、唯一現実を変えるエナジーとなるのだ。」

『ペルソナ2 罪』の物語終盤にて、フィレモンが達哉達に向かって述べた台詞。
物語終盤、達哉達にとって大事な人物であった舞耶が死んでしまい、さらにはニャルラトホテプによって世界も滅亡させられた為に、達哉達は絶望の淵に立たされる事となる。そんな達哉達の様子を見たフィレモンは、彼等に全ての出来事を「なかった事」にする方法を提示する。『ペルソナ2』の事件は、フィレモンとニャルラトホテプが長年議論を続けてきた命題に、己の考えが正しい事を証明するが為に、ニャルラトホテプが引き起こしたものだ。だが、それを引き起こす最初のきっかけとなったのは、本編が開始される10年以上前に、幼き達哉と仲間達が出会ってしまった事にあった。それをなかった事にさえすれば、これまで起こった事は全て「なかった事」になり、舞耶の死も世界滅亡も存在しない、もう1つの世界を生み出せるのだと、フィレモンは達哉達に教える。そしてその際、「本当にそんな事ができるのか」と疑う達哉達に対して、フィレモンが述べた台詞こそが、「シバルバーや水晶髑髏の幻想に頼らずとも、諸君の強い意志と行動こそが、唯一現実を変えるエナジーとなるのだ。」というものである。
「人類のポジティブマインド」の化身であるフィレモン。そんな存在であるからこそ、人類が持つ意思の強さや、その行動が生み出す大きな可能性をフィレモンは誰よりも知っている。本台詞は、そんな彼の立場だからこそ言えた言葉であると同時に、「ポジティブマインド」の化身だからこその説得力を持ったものだともいえる。フィレモンが人類に対して、どのような考えを持っている存在なのかがわかる台詞だといえる。

「私は、全ての人間の意識と無意識の狭間に住まう者…私は君で、君は私だ…」

『ペルソナ2 罪』の物語終盤、10年前の出来事をなかった事にし、世界を「リセット」する事を選んだ達哉達。仲間達が1人1人消えていく中、最後の最後まで「普遍的無意識の間」に残った達哉は、そこでフィレモンから「最後に言っておきたい事はないかね」と訊ねられる。この際、「殴る」と「お礼を言う」の選択肢がプレイヤーには提示され、「殴る」を選ぶと、「私は、全ての人間の意識と無意識の狭間に住まう者…私は君で、君は私だ…」という台詞を目にする事ができる。
なお、フィレモンがこの台詞を述べる直前、達哉に殴られた衝撃でその顔についていた仮面が外れるといったイベントが起こる。その際、『ペルソナ2』では初公開となるフィレモンの素顔が、達哉にそっくりという衝撃的な展開が待ち受けている。なぜこのような顔をしているのかという詳細は不明。だが、フィレモンは人の「心の海」から生まれ、その後も人類の意識と無意識の狭間に住んでいる。つまり、人の「心」になんらかの影響を受けやすい立場にあるキャラクターだと推測できる。つまり、フィレモンの顔が達哉にそっくりなのは、本作の主人公であり、キーキャラクターでもある達哉の心に影響を受けているからだと考えられる。「私は君で、君は私だ…」という言葉からも、フィレモンが「人類の1人」である達哉の心にも通じている存在である事が察せられる。なお『女神異聞録ペルソナ』での顔は、ボスキャラクター・神取にそっくりなものだった。
また『ペルソナ3』以降の『ペルソナ』シリーズでは、「我は汝、汝は我」という台詞が存在する。これは主人公達がペルソナ使いとしての力に覚醒した際に、召喚されたペルソナ達が述べる台詞となっている。ペルソナは、主人公達の「心」の底に潜む「もう1人の自分」が実体化した、「困難に立ち向かうための人格の鎧」だ。つまり召喚できるペルソナ=召喚者の「心」という事になる。その設定は、人の「心の海」から生まれたフィレモンと近しいものがある。「我は汝、汝は我」というのも、「私は君で、君は私だ…」という台詞に近しい。フィレモンのこの台詞は、『ペルソナ』シリーズの題材「ペルソナ」に関わる、大事な台詞だといえる。

「今の諸君の姿も…無数の仮面の一つに過ぎん…ペルソナもまた…数多ある君の姿の一つ…」

『ペルソナ2 罰』の物語序盤でのフィレモンの台詞。物語序盤、舞耶とその仲間達がペルソナ使いとして覚醒したのに気付いたフィレモンは、彼女達を自分のもとへ呼び出す。そうして、彼女達にペルソナ使いとしての力が宿った事や、世界が滅亡の危機に瀕している事を伝える。その際、「ペルソナとは何か」と驚く舞耶達に対し、フィレモンが返した台詞が、この「今の諸君の姿も…無数の仮面の一つに過ぎん…ペルソナもまた…数多ある君の姿の一つ…」である。
ペルソナの存在は、本シリーズにおいて非常に大事であり、決して外す事が出来ない要素となっている。その存在の定義については、各作品毎に多少の差があるが、心の底に潜む「もう1人の自分」が実体化した、「困難に立ち向かうための人格の鎧」、という設定だけは変わらずに引き継がれていっている。フィレモンの言う「ペルソナもまた…数多ある君の姿の一つ」というのは、自分という人間に備わっている様々な側面の1つが形となっているだけ、という意味である。人間は皆、様々な「側面」を持っている。泣き虫な自分、怒りん坊な自分、楽しいと感じた時の自分、そういった様々な側面を併せ持つ。ペルソナは、そんな様々な側面をもとに形作られた存在なのだと、フィレモンは述べているのだ。
特にフィレモンが登場する『女神異聞録ペルソナ』と『ペルソナ2』は、「キャラクター全員が複数のペルソナを所持できる」仕様となっている。正しく、ペルソナというものが、自分の中にある様々な側面の数だけ生まれる存在、だと受け取れなくもない設定だ。ペルソナというものの設定に深く関わる、大事なフィレモンの台詞だといえる。
なお、「キャラクター全員が複数のペルソナを所持できる」というシステムは『ペルソナ3』以降は廃止されている。代わりに、主人公のみが複数のペルソナを所持できる力「ワイルド/トリックスター」を持つ形に変更された。

フィレモンの裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

『ペルソナ4 ザ ゴールデン』(P4G)の追加イベントに盛り込まれたフィレモンに関する「ネタ」

『P4G』で追加されたイベントの会話中に登場した、フィレモンの名前。

『ペルソナ』シリーズの4作目『ペルソナ4』、そのVita版リメイクである『ペルソナ4 ザ ゴールデン』(P4G)にて追加されたイベントに、フィレモンの名前を使ったと思われる「ネタ」が存在している。
それが確認できるのは、(ゲーム内の時間軸で)6月8日に確定で起こるイベントでのこと。『P4G』には、『ペルソナ4』時代には存在しなかった、「バイクに乗れる」という要素が追加されている。しかし、バイクに乗る為にはまず、免許を取る必要がある。6月8日に起こるイベントは、その「免許」を取りに行こうという会話を行うものとなっている。この会話の最中、その場に居た『ペルソナ4』のペルソナ使いの1人、巽完二(たつみ かんじ)が「フィ、フィレ? モン?」と、フィレモンの名前と思しきものを口にしているのだ。
完二がこの発言を行う前に、会話の中に「フェロモン」という単語が登場している。完二の台詞は、日常的に聞き慣れない単語に驚き困惑した結果、言い間違えをしただけのものであったが、『女神異聞録ペルソナ』と『ペルソナ2』に触れた事があるファンを驚かせた事は言うまでもないだろう。『ペルソナ3』以降、登場しなくなってしまっていただけに、この「ネタ」は予想外の出演方法であったと言わざるを得ない。

『ペルソナ5』に登場するペルソナ使い・モルガナはフィレモンと関連している説

フィレモンと関連があるといわれている『ペルソナ5』のモルガナ。

『ペルソナ』シリーズ5作目の『ペルソナ5』に登場する、猫型のペルソナ使い・モルガナ。彼がフィレモンと関わりのあるキャラクターなのではないか、という説がファンの間に存在する。というのも、『ペルソナ5』の物語終盤、モルガナが実はイゴールが生み出した存在であると同時に、「人々の希望」を象徴した存在であった事が判明するのだ。さらに物語の黒幕との戦闘が終わった後、一度モルガナはP5主人公達の前から姿を消す。その際、体が薄くなり宙に消えていくという演出が行われるのだが、これは彼が「人々の希望」の象徴として、人の「心の海」に還った事を示す描写となっている。また姿を消す直前、それまでのモルガナと異なった口調で喋るモルガナも目にできる。その口調はフィレモンそっくりなものとなっており、これはモルガナがフィレモンと同じく人の「心の海」に還る存在であった事、さらに「人類のポジティブマインド」の化身であるフィレモンと「希望」の象徴であるモルガナの存在意義が似ていた事が要因となって、フィレモンと「繋がった」結果のものなのではないか、と推測されている。なお、あくまで推測の為、公式からの明言は一切ない。

シリーズクロスオーバー作品『ペルソナQ2 ニュー シネマ ラビリンス』(PQ2)にフィレモンらしき蝶が登場

フィレモンらしき「金色の蝶」が登場した『PQ2』のキービジュアル。

『ペルソナ』シリーズの3作目~5作目までの計3作品をクロスオーバーさせた作品『ペルソナQ2 ニュー シネマ ラビリンス』(PQ2)に、フィレモンらしき存在が登場している事が判明している。とは言っても登場したのはフィレモン本人ではなく、フィレモンらしき口調で喋る「金色の蝶」である。物語の終盤に登場するのが確認されている。
公式からの明言はないものの、口調が完全にフィレモンであった事や蝶の色が金色であった事から、ファンからはフィレモンなのではないかといわれている。金色の蝶は、『女神異聞録ペルソナ』や『ペルソナ2』において、フィレモンが外界に姿を現す際の姿である。『ペルソナ』シリーズは各作品が個別で完結しているものの、世界線は全て同じとなっている。その為、フィレモンが本作に登場するのも、あり得ない話ではないのだ。

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ペルソナシリーズのシャドウとは?由来・元ネタとなったユング心理学を交えて解説!

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『ペルソナシリーズ』に登場する重要な用語である「ペルソナ」や「シャドウ」は、ユング心理学に由来する言葉だ。ペルソナ4では仲間たちが自身のシャドウと向き合うことでペルソナを獲得するという流れになっており、これらの語句がストーリーと密接に関わっている。 ここではユング心理学ではどのように説明されているのかを交えて、「ペルソナ」や「シャドウ」について解説を行う。

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