宮崎駿や高畑勲が綴っていた「ジブリ日誌」が興味深い!制作裏話から日常の出来事まで盛りだくさん
本記事では世界的に有名なアニメ制作会社「スタジオジブリ」の中心人物である、鈴木敏夫、宮崎駿、高畑勲などが綴っていた「ジブリ日誌」の内容について、まとめて紹介している。書かれている内容は映画の制作に関する裏話の他、日常の出来事やイラストなど非常に多岐にわたる。かなりのボリュームがあるのでぜひコーヒー片手にじっくりと楽しんでみてほしい。
98.1.14(水)
今日で宮崎監督がジブリを退社。
社内中で挨拶にまわっていたが、6月にシニアジブリがジブリから50mしか離れていない場所に建てられることから、いまいち気分が盛り上がらない。
ある人は「2週間後には再びジブリに現れる」と予言している。
98.1.17(土)
今日行う予定だったデジタル見学会はまたしても延期。
昨日宮崎監督が会社の前まで来たという噂が…。
出典: www.ghibli.jp
98.3.23(月)
宮崎監督が、立体のデータをCG部に持ち込み、プリントアウトを依頼。もう辞めたからジブリには来ない、と言っていたワリには、もう何度も来ているような…。
ところで奥田家の子供の名前には必ず「千」の字が使われているのだが、当然この子にも「千」の字を使うべくみんなで名前を考える。
ジブリに来た奥田さんに、鈴木プロデューサー、高畑監督、宮崎監督らが、「奥田千一(せんいち)にしましょう(某中日ファン)」「奥田千利休は?」「お金が儲かりそうだから奥田千両ってのはどうでしょう」「僕と同じ名前で奥田千義がいいですよ」と好きかってなことを言いまくっている。
出典: www.ghibli.jp
「奥田千一(せんいち)にしましょう(某中日ファン)」
98.3.26(木)
7時半より会議室にて企画検討会が行われる。作品は「霧のむこうのふしぎな町」第二回、レポーターは宮崎監督。
前回この企画を取り上げたのが3年10カ月前のため、どんな結論を出したのか、そもそも企画提案者が誰だったかすら覚えていない。
こんな状態なので、参加者は初めてこの企画に向かう気持ちで意見を出し合う。宮崎監督もみんなと話すのが久しぶりなので異様に元気である。そのため検討会は予定時間を超え、2時間半以上にも及ぶ。
98.3.27(金)
高崎映画祭へ出席するため、朝早く出発しなければならない高畑監督は、10時前に早々と退社。明日はフレデリック・バック氏と対談をする予定。
98.3.31(火)
因みに高畑さんがバックさんに建物の説明をしている間、なみき氏と鈴木プロデューサーはその後ろで、互いを罵倒しあう意味不明の掛け合い漫才を展開。仲がいいのか、わるいのかまったく不明。
出典: www.ghibli.jp
98年春、約4年ぶりに再討議された「霧のむこうのふしぎな町」、承知の通り3年後に千と千尋へ
98.7.28(火)
制作の斎藤氏が、生まれて此の方うなぎを食べたことがない事実が発覚、早速明日の土用の牛の日にうなぎをおごることに。
ところがそれを聞きつけ「実は私もうなぎを食べたことがなくて」と虚偽の報告をしてくるもの多数。
98.7.29(水)
制作斎藤氏、うなぎのあまりの旨さに「おれのこれまでの人生は…」と考え込んでいる。
98.7.30(木)
宮崎さんが「ツール・ド・フランス」アルプスステージにはまっている。今日もイラストの仕事を片付けなければならないにも関わらず、応援するマルコ・パンターニが総合首位に立っている為、興奮してそれどころではない様子。
横では商品部浅野氏が「早くしてくださいよ」と嘆いている。
出典: www.ghibli.jp
98.8.2(日)
第二回ツール・ド・信州が開催される。今年は昨年と違い、暑さがさほどでもなく好タイムが続出。
結果は、1位が下馬評通り昨年に引き続き高坂希太郎氏(今年はマッドハウスからの参加)でタイムが5時間21分、2位が昨年怪我の後遺症で本気の出せなかった野崎氏、3位が昨年2位の斎藤氏。4位がAICの堀内氏となる。結局、ジブリからの参加者のほとんどが昨年のタイムを大幅に更新してゴールする。
ところでジブリ門屋氏のピンチヒッターとしてジブリから参加した、コミックボックスの自称元自転車部の三好氏は午後6時半に長野県に入ったところでタイムオーバーということで強制回収。
その他全員完走したジブリチームの冷たい視線を一身に浴びていた。もちろん宮崎監督にも人間扱いはされず。
出典: www.ghibli.jp
人間扱いはされず。w
98.8.26(水)
先日神村氏が車で5分程のところに新しい弁当屋さんを発掘。髪が緑のおばさんにまったくやる気の感じられないコギャルバイト二人が働いている割りには味がかなりまともな為、メインスタッフ等は今日で三日連続でここに夕食を頼んでいる。
毎日スタッフの食生活を一寸だけ豊かに感じさせてくれていたバーの電子レンジが火を吹いて壊れる。
出典: www.ghibli.jp
98.9.9(水)
夜に宮崎監督が来社し「部屋が汚い。きれいにしろ」と社内中を廻る。1階女子トイレ前に原画整理用のハコを置いておいた望月氏は「片付けろ 株主より」という貼紙を名指しで張られていた。
98.9.19(土)
来週末にジブリ2階の改装工事が予定されているが、それに向けて制作部の大掃除が行われる。今日は豚屋で村塾が行われるため、宮崎監督が必ずや粛正に現れるに違いない、との噂が制作部に拡がり、汚いもの、いらないものを捨てまくる。結果見違えるほどきれいに広くなり、何時来ても良い状態になったが、こんな時に限って宮崎監督は現れず。
98.9.30(水)
深夜宮崎監督が来社し、私の机を見て「仕事に関係の無いクラシックの本を家に持って帰れ」と怒っていたらしい。何処かに隠さねば。
出典: www.ghibli.jp
株主との攻防
98.10.14(水)
・二階作画ルームのちょうど真ん中にあるエアコン吹きだし口に突如スズメ蜂が出現。女性スタッフの悲鳴とともに二階は騒然となる。
早速結婚を控えた制作居村氏がキンチョールをもって駆除に登場するも「キンチョールで大丈夫か、妻を一人残すのか」との声に断念。
結局武力はいかん、とのことで平和解決を模索、スタジオ内の電気を消し、天窓から外へ逃がす作戦が取られる。作戦は見事成功し一人のけが人も出さずに無事問題は解決する。
ところでこの吹きだし口近くにいた、日頃沈着冷静で取り乱すことの決してない安藤氏が、蜂から真っ先に逃げて行くのを目撃される。「彼にも弱点があったのか」と周りの人はこそこそ話しをしている。
・深夜鈴木プロデューサーの野球教室が開かれる。「体重を上手く左足に乗せること、ヘッドアップせずボールを最後まで見ること」等々、かつて徳間書店の首位打者で鳴らした鈴木プロデューサーの教えに、田中、門屋両氏もふんふんと頷くばかり。これで金曜日の試合は頂きだ。
出典: www.ghibli.jp
98.11.19(木)
講談社から出た「人物二十世紀」という広辞苑みたいに分厚い本に、宮崎監督を載せたということで本が送られてくる。
本自体がとても面白いのでみんなで取り囲んで見ていたら、いつのまにか宮崎監督の出ている頁へ。歴史上の人物と同列に載っているのを見ると、現実にいる監督とはイメージが結び付かず、妙な気分。
出典: www.ghibli.jp
1月20日(火)
今、何かと話題の牛丼。制作では、まさに「うまい、やすい、はやい」の三拍子で重宝していたのだが…。ここ暫く、ご無沙汰だったので、健康診断も無事終わった事だしと早速、食べに行くことに。
更に、夜は、昨日から始まった新メニュー「豚めし」と健康診断が終わったとたん極端な方に走り出す始末。これで結果が悪ければまさに、自業自得。
1月21日(水)
昨日の健康診断の事だが、食生活及び生活習慣に根本的に問題のある神村氏がここ数年、常にオールA。ジブリの健康診断の信憑性を限りなく無くしていると、管理部の島宮さんから怒られる。
「今年こそは、きちんとした結果を出しなさい。」と言われたのだが、「きちんとした結果」って?
出典: www.ghibli.jp
◆ スタジオジブリ日誌 1999年
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目次 - Contents
- ◆ スタジオジブリ日誌 1994年8月ー1998年7月までのスタジオジブリの毎日の出来事を掲載しています
- ◆ 制作日誌 1994年8月~95年5月
- ◆ スタジオジブリ日誌 1996年
- ◆ スタジオジブリ日誌 1997年
- ◆ 8月3日「ツール・ド・信州」当日である
- ◆ スタジオジブリ日誌 1998年
- ◆ スタジオジブリ日誌 1999年
- ◆「いつものジブリ日誌」1999年9月1日ー2011年9月2日まで。「いつものジブリ日誌」の更新は終了しています。
- ◆ スタジオジブリ日誌 2000年
- ◆ スタジオジブリ日誌 2001年
- ◆ スタジオジブリ日誌 2002年
- ◆ スタジオジブリ日誌 2003年
- ◆ スタジオジブリ日誌 2004年
- ◆ スタジオジブリ日誌 2005年
- ◆ スタジオジブリ日誌 2006年 ◇ 2005/12-2006/6「ゲド戦記」制作日誌
- ◆ スタジオジブリ日誌 2007年
- ◆ スタジオジブリ日誌 2008年