【都市伝説】山にまつわる不思議な話まとめ!猟師・マタギから聞いた逸話を紹介

日本の猟師・マタギに伝わる話や、山にまつわる都市伝説をまとめました。山で行方不明になった後、そのまま自然の中に溶け込み暮らす「山人」の伝説や、山中を歩いていると、人が住めないような場所に突然家が現れる「迷い家」など、不思議な話を紹介していきます。

・山人

『やまひと』と読む。
遭難者、自らの意思で山に入る者、様々であるが、山では毎年のように行方不明者が出る。
遭難者、自ら命を絶ちに入山する者、態様は様々であるが、全てがすぐ命を失うわけではない。

彼らの中には、どういう訳か山に順応し、そのまま自然の中に溶け込み暮らしている者もおり、そうした自然へ帰化?した者を山人と称しているとのこと。

こうした山人は、人気を避け暮らすため、中々出会うことはない。
この山人にじ様が遭遇したときの話。

昭和50年代のことというから今から40年近く前の話。

その日、じ様は猟犬一匹を伴い、山へ鳥撃ちに出かけた。
中々獲物にありつけないまま山中で昼を迎えた頃だった。

山道をと歩いていると、連れてきた猟犬が「グルル…」と前方の林方向に唸り始めた。
それに合わせ、じ様も立ち止まり、即座に警戒態勢に入った。

犬が野生生物に反応したことで、鳥獣が突然飛び出してくる。
こうした経験はこれまでもあり、冷静に対応しないと相手が猪や熊であった際、思わぬ目に遭うこともある。

また、相手を確認しないまま弾を放ったところ、人間であったというのもよくある話であった。
じ様はいつでも銃を撃てるよう、また誤りがないよう、緊張状態で身構えていた。

林の中からガサガサと音がした。
それが林の中を抜けて遠ざかる。
そして、その林から80m先ら辺りの山道にそいつは出てきた。
野犬だった。

熊ではなかったことにホッと気を抜いたじ様。
しかし、その先に更に6、7頭の野犬の群れが目に入った。
(これはいかん、襲われたら敵わんわ)
そう思い、道を引き返そうとした時、気付いた。

野犬の群れの中に人間がいた。

といっても、それは二足歩行という以外は、通常の人間でないことは明らかだ。
まずは全裸だ。

肌は黒人のように真っ黒、髪やヒゲと思われるものは伸び放題。
身長はあまり高くなく、かなり痩せていた。

猫背で、何か執拗に首を上下に振りながらこちらに向かって歩いて来る。
そいつが近づいてくるに連れ、異様な臭いが鼻についた。

そして目はギラギラとしており、獣そのもので、真っ直ぐにじ様を捉えている。
明らかに常人の目つきではない。

じ様は(ホントにこんな奴がおったんだわ)と思い、正直戸惑ったという。
熊や猪が出てくれた方が、まだ対処の仕様があった。

襲ってくるのか?撃たにゃならんのか?人間か?どうしたらええんじゃ?
そんなことを考えていた。

先人から山人の存在は聞いていた。
が、それらは「何かを食べていた」とか「山の奥にはいって行くのを見た」等の、遠目に見た目撃談ばかり。

近づいてきたとか、襲われたという話は聞いたことがない。
戸惑いから恐怖に変わった。
山人はじ様の目の前、20メートルくらいに迫っていた。
「ふう、はぁ」
そんな息遣いも聞こえてきた。

じ様は耐えられず、その指は勝手に引き金を引いていた。
がーーーーーーん!!
山中にこだまする銃声。
その瞬間、山人は明らかに驚いたような感じで立ち止まった。
弾は外れたらしい。
山人は林に飛び込み、そのまま姿を消した。
野犬の群れもそれに続いたのか、付近にその姿はなかった。
じ様は逃げた。

集落にたどり着いた時の安堵感はこれまでになかったという。
じ様は集落の皆に「山人を見た!」と、この経緯を触れ回ったそうだ。
しかし、皆々の反応は存外薄く、何か馬鹿馬鹿しくなったとのこと。

それ以降、この話はしたことがなかったそうな。

・迷い家

出典: ideahack.me

『まよいが』と読む。
山中を歩いていると、明らかに人が住む場所ではないところに、突然家が現れる。
これを迷い家と言う。

家の中には人はおらず、その家の家具等を持ち出すと裕福になれるとか、逆に不幸に見舞われるとか。

じ様はこの迷い家に二度遭遇したことがあるという。

一度目は昭和40年ころというから、今から50年くらい前のこと。

じ様もまだ若く、ベテランの老猟師と一緒に山に入っていた。
深山を歩いていると、突然開けた土地が現れ、そこに家があった。
それは昔の豪農屋敷のような日本家屋だった。
母屋の他に離れもある。

その上、大きな蔵も見え、大きな屋敷であることがわかった。
白壁も汚れておらず、建てたばかりのような綺麗さだ。

どう考えても、深山の中腹にこんな立派な屋敷を建てる人間がいるわけがない。
じ様が不思議に思っていると、老猟師はそれを見て、「離れるぞ」一言だった。

老猟師曰く
「あれはなんだかわからん。が、幻に違いないことは確か。」
「幻にしても何にしても人の家から何かを持ち出してはいかん」
「それは泥棒だ。悪事をして幸せになれるわけなかろうが」
とのことだった。

二回目は昭和60年ころ、というから今から30年くらい前のこと。

今度はじ様が与一という仇名の若い猟師を連れ立って猟に出たときのことだった。

与一という仇名は那須与一のように一発必中から来ているのかと尋ねれば、じ様曰
く「目上でも誰でも挨拶は「よー」で遠慮がない、で与一になった」らしい。

与一はかなりずうずうしい性格で、誰にでも馴れ馴れしかったので、村の一部からは嫌われていたらしい。

しかし、じ様にとっては、その馴れ馴れしさが「なんとなくかわいい」存在だったらしく、この頃は何かと与一と連れ立って猟をしていたらしい。

与一とともに深く山に立ち入ると、ありえない場所に家を見た。
山の頂上付近である。

こんなところに家がある訳が無い。

しかも現代風(といっても、昭和60年代のデザイン)の一般住宅だった。
汚れたような感じがせず、新築のように見える。

じ様は(あ、これは迷い家だな)と思い、立ち去ろうとした。

与一は「じ様、何だ?こんなところに」と、じ様に尋ねてきた。
じ様は「これは迷い家だ」と、先老猟師の言った内容を伝えるも、与一は聞く耳を持たなかった。

面白そうだからちょっと家の中に入ってくる。
じ様の静止も聞かず、家の中に入っていった。

程なくして与一は「何もなかったわ、誰もいないしツマンネ」と言って戻ってきた。
その一週間後、与一は亡くなった。

急性心臓死だそうな。
じ様曰く、「与一はひょっとしたら迷い家から何か持ち出したかもしれん」と。

・木霊

これは昭和60年代のこと。
じ様が山に入ると、
「おーい」
と聞こえた。
子供とも大人とも男とも女ともわからない声だ。
しかし誰かが助けを求めているのかもしれない。
じ様が
「おーい」
と返すと、
「おーい」
と聞こえる。

声の聞こえる方向に道を進めると更に
「おーい」
と大きく聞こえる。
じ様が
「おーい」
と返す。
それを繰り返し、いよいよ川に出た。
誰もいない。
川のせせらぎが一瞬止まったように感じた。
瞬間
「あははっははっははっはははははははあはは…」
と大きな笑い声。
男女の別もつかないが、とにかく山中に響くような大声だったという。
じ様は逃げた。
その声が何であるのか未だにわからない。

・禁猟期間

出典: wallpaperlepi.com

秋田・岩手の県境の山里に住む、元マタギの老人の話が怖くはないが印象的だったので書く。

その老人は昔イワナ釣りの名人で、猟に出ない日は毎日釣りをするほど釣りが好きだったそうだ。
しかし、今は全く釣りをしなくなったのだという。これには理由があった。

あるとき、大きな淵で片目が潰れた40センチを優に超える大イワナを掛けたが、手元まであと少しというところで糸を切られてしまった
マタギの老人は地団駄踏んで、いつか仕留めてやると心に誓ったそうだ。

季節は流れ、夏になった。その年は天候が不順の年で、郷では近年稀に見る不作の年になるのではないかとまことしやかに囁かれていた
半農半猟の生活を営んでいたマタギ老人も、今年はまず間違いなく凶作になるだろうことを確信していたのだという

そこでマタギ老人は一計を案じた。クマを何頭か仕留めて今のうちに現金を作り、凶作に備えようとしたのだ
しかしその時はまだ禁猟期間中であったので、鉄砲担いで山に入ることはできない
そこで、ドラム缶を繋げた箱罠をこっそり仕掛けることにした

老人はお手製の箱罠を、あの大イワナを逃した谷の林道脇に仕掛けた

しかし、箱罠を仕掛けてすぐに大雨が振り、その谷川が氾濫した
雨は何日も降り続き、茶色く濁った水がどうどうと山を下った

もともと谷川は細く、箱罠は鉄製であるので流されはしまいと老人は思ったそうだが、箱罠にもしクマがかかっていたら溺死を免れまい
無責任ではあるが、クマを哀れと思う半分、後始末のことを考えると憂鬱だったそうだ

雨が上がると、今度は急に日照りになった
じりじりと日が照りつけ、この間氾濫したはずの沢からはあっという間に水が干上がった
そうなるといよいよ面倒である。
マタギ老人は箱罠を何日も放置していた

しかしどうも収まりが悪い。
頭から箱罠のことが離れない上、勝手に罠を仕掛けてあるのを人に見られたら……と思うと、多少不安になってきた。
そこで老人は意を決して、あの箱罠を回収しに行くことにしたのだという

谷に到着し、箱罠に近づくと、物凄い腐臭がした。やはりクマは掛かっていたのだ

息を止めて箱罠を除くと、中にいたのはぐちゃぐちゃに腐り果て、その上の旱天に日干になった、見たこともない大グマだった

いまだがつてこれほどの大グマにはお目にかかったことがない
惜しいことをした、面倒臭がらずに回収しに来るんだった……と思いながら箱罠を開け、
中からクマの死骸をひきずり出した瞬間、老人ははっと息を呑んだ

ズルリ、と箱罠から出てきたのは、クマの死体だけではなかった

あろうことか、中から、あの自分が取り逃がしたはずの片目の大イワナが出てきたのだという

おかしい。偶然にもあの大水の時にこのイワナがこの箱罠に迷い込むかしたとしても、その後の旱天で干物になっているはずである

しかし、箱罠から出てきたのはどこも干からびておらず、それどころか、
本当にたった今まで谷川を泳いでいたのではないかというほどに、不気味に綺麗だったそうである

そのうち、これは通常有り得ないことであるという理解がやってくると、
イワナの潰れた目に睨まれた気がして、急に怖くなったのだという

老人は血相変えてその大イワナを掴み、沢に降りるや水に浮かべた
何度も何度も水をかけ、「生ぎでけろ! 生ぎでけろ!」と呼びかけたが、ダメだった

老人が手を離すと、大イワナはブワーッと水面に浮かび、沢の下流へと流されていって見えなくなった

その後二、三日の記憶はどうも曖昧だ、という

しばらくして家族から聞いた話では、箱罠を回収しに行ったはずの老人が手ぶらで、しかも真っ青な顔で帰ってきたので、
家族が何があったと問い詰めても老人は何も話さず、うつろな目で焼酎を煽り、
何かブツブツとうわ言を呟きながら寝室の布団に寝込んでしまったのだという

「あの時は俺も、何だか魂抜かれたような気がして、気違いみでぇになってよ……
あの時、遊びで殺生してんのを、誰かに怒られたのではねぇがって思ってな……」

マタギの老人はそれ以来、ぷっつりとイワナ釣りをやめてしまったのだという

何だか不思議な、山と川のお話。

・キヒサル

出典: sedori-biz.jp

爺様に聞いた話。

爺様は、御年93才。
20代から80過ぎて足腰が弱るまで猟に出てた。

猟といっても職業でなく、冬季の猟期のみ趣味と実益を兼ねてらしい。

その筋では結構有名な爺らしく、20年近く地元の猟友会長をやってた。

んで、彼岸に墓参りに帰った時、洒落怖で気になった話を聞いてみた。

半惚けなんで聞き取るのに非常に苦労したが、そういう物はおったとの事。

地元では「鬼猿(きさる)」とか「食猿(くいざる)」とか呼ばれていたらしい。
昔から、猟をする連中の間で先輩から教えられている。

「ここいらだけでなく、そんな物は山じゃあっちこっちに居らあ」と言ってた。

別に定期的ってわけではないらしいが、何年かおきに獲物が居なくなる地域がでる。
そんな山に入ると、まず連れている猟犬が異常に怯えるので何となく判るという。

また、奴に近づくと獣臭とはあきらかに違う、血生臭さを感じる。
姿は大体が猿だが、熊や猪の場合もある。奴らは仲間でもなんでも皆食ってしまう。
そんな時にはすぐ山から出て、そこら一帯の山は2~3年あきらめろ。

もし山に入っても、そこで獲った獲物は触るな・持ち帰るな、触ると移るぞと
爺様は教わったとの事。

爺様が実際にそれらしき物に遭った時はまだ40代の頃、猿だったという。
教えられたとおり犬は騒ぐし、近くに獲物は居らず、臭かったという。

近くに普通より一回り大きい挙動不審の猿がいて、「これがそうか」

と思った途端に怖くなって直ぐ山を降りたそうだ。

「なんで猿なのか」と聞いてみたところ、
「猿は群れるから、しばらく食う物に困んねえからかな」って笑ってた。

chika7777
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