おもひでぽろぽろ(ジブリ映画)のネタバレ解説・考察まとめ

1991年公開のスタジオジブリ作品。監督・脚本は高畑勲。制作プロデューサーとして宮崎駿も参加している。ひとり旅に出た27歳の私が“小学5年生のワタシ”と一緒に、それまでの歩みを振り返るストーリー。
声優として今井美樹や柳葉敏郎が参加していることも上映当時には話題となった。
キャッチコピーは「私はワタシと旅に出る」。

『おもひでぽろぽろ』の概要

1991年に公開されたスタジオジブリによる劇場アニメ作品。
監督・脚本は高畑勲が指揮を執っている。
原作は「週刊明星」に1987年3月19日号から同年9月10日号まで連載されていた漫画を元にしている。
主題歌はアマンダ・マクブルーム作詞作曲(歌:ベット・ミドラー)の「The Rose」を監督である高畑勲が日本語に訳し、都はるみが歌った「愛は花、君はその種」。
2016年2月に北米で劇場公開された。
企画立案者はオムニバスプロモーションで、宮崎駿は「アニメ化するには難解な原作で、高畑勲にしか監督できない」と言っている。

作品の舞台は1982年の山形県山形市高瀬地区。全編に徹底したリアリズムが貫かれ仙山線高瀬駅など緻密に描かれている。
作中で基本となるのは1982年。主人公のタエ子が27歳の時であるが、ところどころタエ子が小学5年生だった1966年の回想として描かれている。
1966年のパートは淡い色調で描かれており「思い出の中の風景」という雰囲気を醸し出し、1982年のパートでは、はっきりした色調で描かれており、ここでもリアリズムが貫かれているのがわかる。

興行収入は31億8000万円を記録し、公開中の動員数は約217万人を記録している。

『おもひでぽろぽろ』のあらすじ・ストーリー

生まれも育ちも東京の岡島タエ子は3姉妹の末っ子。東京でOLをしている27歳。小学生の頃から夏休みに友人が田舎のおばあちゃんの家へ行くことに憧れていた。
東京の会社で10日の休暇を取り、姉のナナ子が山形の田舎へ嫁いだ縁もあり、嫁ぎ先の親類の家へ2度目の滞在をさせてもらうことになった。そこで、念願だった田舎暮らしをしながら農家の手伝いを体験させてもらう。
その所々で小学5年生だったころの『ワタシ』の思い出がぽろぽろとでてくる。

27歳のタエ子は未婚。タエ子が結婚しないことを心配し母が縁談の話を持ちかけてくるが、断り続けているため、余計に母が心配していることを姉から聞かされる。

山形へ向かう夜行列車の中でふと小学5年生の頃(1966年)のことを思い出した。
当時、珍しかったパイナップルを父が買ってきてくれたのだが、その味(酸っぱさ)にガッカリし、やはり果物の王様は「バナナ」であると感じたこと。さらに、長女であるナナ子は美大に通っていて、いつも流行の最先端を走っていたこと。次女のヤエ子は宝塚にはまっていたこと。野球上手な広田くんに恋をしたことなど。

思い出に浸っていると小学5年のタエ子が現れ、27歳のタエ子は気がつけばその小学5年の『ワタシ』を連れて、滞在させてもらう山形県の「高瀬」におりたったのだった。
高瀬に着いたタエ子を待っていたのは義兄・カズオの又従妹でタエ子より2歳年下のさわやかな好青年・トシオだった。トシオは元サラリーマンで、今は有機農業を営みながら冬はスキーの指導員をしていた。
トシオの送迎で高瀬への到着直後、早朝のベニバナ摘みを体験すべく直接畑へ向かうタエ子。
タエ子は農作業をすることで「自然の中での生活」に惹かれていった。
滞在先のナナ子の義兄の家(作中では本家と呼ばれている)では、ナナ子の義兄の娘である中学生のナオ子が「みんなが履いているプーマのスニーカーが欲しい」と言って親を困らせていた。タエ子はそんなナオ子に自分の恥ずかしい過去の話をする。
3姉妹の末っ子であるタエ子はいつもおさがりばかりで家族に文句を言っていたこと。成績が悪かったことやタマネギが食べられなかったこと。さらに、家族で食事に行く際にタエ子が行くか行かないかでグズグズしていると家族に放っておかれそうになり慌てて裸足で飛び出し父にビンタされたこと。
タエ子も昔は我儘だったという話を聞かされたナオ子は、プーマのスニーカーを諦めたのだった。

そんな思いでと共に過ごしていくうちに、次第にタエ子は農家の人々の暮らしに強い魅力を感じるようになる。そんなタエ子の心境を見抜いたトシオの祖母は、トシオと結婚してこちらへ永住を考えてみないかと打診する。しかし、タエ子の気持ちは所詮『都会育ちの人が田舎暮らしに憧れている』だけに過ぎず、時として重労働にもなる農家の仕事に、遊び感覚で来ているだけの自分が到底務まる訳がないと悩み、思わず家を飛び出してしまった。

雨の降る中、飛び出してしまったタエ子は本家に向かうトシオと遭遇する。そして車の中でトシオと話をするうちに、少しだけ同級生だった「あべくん」の思い出話をトシオにする。
あべくんは転校してきた男の子で家が貧乏らしくいつも汚い格好をしていた。みんながコソコソと陰口を言っていることにタエ子は賛同できずにいた。
あべくんはすぐに転校が決まり、クラスのみんなと握手をしてお別れをすることになった。最後にタエ子と握手をすればそれで終わりだったのだが、「お前とは握手してやんねーよ」とあべくんから言われてしまう。タエ子はその言葉で、みんなと陰口を言わなかったのは偽善者ぶっていただけで、実は自分が一番あべくんを軽蔑視していたことに気づかされる。これに対してトシオはあべくんがタエ子に好意があったのだと言い切った。先生のいうことで仕方なくみんなとは握手したけど、好きだったタエ子とは恥ずかしかったのだろう、タエ子にだけは本音が言えたんだとトシオに言われたことにより、あべくんに対するタエ子の罪悪感は薄れていった。

そんな話をトシオにしていると、トシオは自分が農業を始めた経緯を話し、「祖母の言ったことなど気にする必要はないし、万が一そうなってもタエ子はタエ子のペースとやり方でやって行けばいいし、無理ならば素直に辞めたっていいんだ」と優しく励ましてくれた。あべくんからは「お前とは握手してやんねーよ」と言われたが、タエ子が握手したいのはトシオだと感じていた。トシオの言葉に勇気を貰ったタエ子は、彼の明るく真っ直ぐな所に少しずつ惹かれ始め、トシオが自分より年上に思えるほど頼もしい存在だと感じていた。

しかし、タエ子は自分の本当の気持ちを言うことができないまま、東京に帰ってしまおうと列車に乗り込む。小学5年生の『わたし』に背中を押され、列車の中で自分の気持ちの答えを出したタエ子は、途中で列車を降りて永住の話に同意する連絡をし、迎えに来たトシオの車で元来た道を戻っていく。そして、精神的に自立し始めたタエ子の姿を、小学5年生のタエ子とその同級生たちの面影がしずかに見守るのであった。

『おもひでぽろぽろ』の登場人物・キャラクター

岡島タエ子(27歳)

CV:今井美樹

東京の会社に勤めるOLで、本作品の主人公。1956年2月22日生まれ。
親の代から東京生まれの東京育ちのためか田舎に憧れを持っている。
姉のナナ子の夫の親戚の家がある山形に滞在する。

岡島タエ子(10歳)

CV:本名陽子

1966年当時の10歳の頃のタエ子。
ごく普通の明るい女の子で、作文は上手だが算数(特に分数の割り算)が苦手。
岡島家の三女として育ち、タマネギが嫌い。やや我儘な一面も持っている。

トシオ

CV:柳葉敏郎

ミツオ(ナナ子の夫)とカズオの又従妹にあたる。
脱サラし農業を始め、有機栽培農業を目指している。
冬場にはスキーのインストラクターも引き受けている。
タエ子より2歳年下ではあるが、タエ子のよき相談相手となっている。

タエ子の父

CV:伊藤正博

サラリーマン。タエ子を「ター防」と呼んでいる。
口数が少なく昭和の父親。

タエ子の母

CV:寺田路恵

専業主婦。着物や割烹着姿での登場シーンが多い。
普段は物静かだが、タエ子の我儘や好き嫌いに呆れており、小言が尽きない。

ナナ子

CV:山下容莉枝

岡島家の長女。1966年の時点で美大の1年生。
常に流行の最先端を歩き、ミニスカートが流行りだした当初に真っ先に着用するなどミーハーな面も見られる。
ナナ子の嫁ぎ先の本家にタエ子はお世話になる。

ヤエ子

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