宮崎駿や高畑勲が綴っていた「ジブリ日誌」が興味深い!制作裏話から日常の出来事まで盛りだくさん
本記事では世界的に有名なアニメ制作会社「スタジオジブリ」の中心人物である、鈴木敏夫、宮崎駿、高畑勲などが綴っていた「ジブリ日誌」の内容について、まとめて紹介している。書かれている内容は映画の制作に関する裏話の他、日常の出来事やイラストなど非常に多岐にわたる。かなりのボリュームがあるのでぜひコーヒー片手にじっくりと楽しんでみてほしい。
96.4.23(火)
演助の新人研修生石曽根君が研修の一環として制作部にくる。朝から早速絵コンテコピーをやってもらうが、それを見た宮崎監督は「田中の新人いじめだ」と社内にふれまわっていた。
鈴木、大森、奥田の中年トリオが、夜の11時すぎに風邪で休んでいる制作業務の野中さんを見舞うと称して、部屋を覗きに行く。
出典: www.ghibli.jp
96.4.24(水)
風邪で二日も休んでいた野中さんが復帰するが、前日中年トリオに部屋を見られたショックから立ち直れていない様子。あーかわいそう。
因みに、野中さんの部屋は、凄まじく散らかっているそうな。部屋を徹底的にかたづけたくば、引っ越しが一番。
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96.5.02(木)
今日は第三回「人間は何を食べてきたか」 馬鈴薯(じゃがいも)の上映会を行う予定であったが、野崎さんが不用意にも、ジブリのバミューダトライアングルと呼ばれている会議室にビデオを置き忘れてしまったため、見事に紛失、急遽「エチオピアの岩窟教会」を観る会に変更。
お詫びに野崎さんのおごりでピザが配られる。
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ジブリのバミューダトライアングル
96.5.06(月)
夕食に篠原さんがスパゲッティを作って休日にもかかわらず今日出勤している全員にご馳走してくれる。全員で机を囲んでイタリア式の夕食をとる。
鈴木プロデューサーがアメリカから帰国、早速ジブリに出社してくる。「もののけ姫」のディズニー配給による全世界公開が決定したもよう。
「金が儲かるんならいいんじゃない」とクールな反応の宮崎監督がさっそく極秘事項だというのに社員にふれまわっていた。
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96.5.18(土)
宮崎監督が一時間程遅刻。ラッシュが12時頃からに変更。
宮崎監督からスパゲッティパーティ開催のため、マイスタームラカミのソーセージを入手せよ、との指令が飛ぶ。夕方のラッシュ時の踏切を車で往復する暴挙。3千円分のソーセージを入手。
ジブリ作品のLDボックス全集「ジブリがいっぱい」の解説書用に頼んだ原稿を、庵野さんがなかなか書いてくれないので、野中さんがノイローゼになりそうだ。あっ、もうなってるか。
96.5.21(火)
飯田馬之助さんがクラナドのCDをもってくるが、宮崎監督が気に入り「もののけ姫」に使いたいなーと言い出す。早速飯田さんに「売れ」と無理やりCDを買い取る。飯田さんのも含めて鈴木プロデューサーから4枚買ってこいとの指示が出る。
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早速飯田さんに「売れ」と無理やりCDを買い取る。
96.6.18(火)
知り合いの某雑誌編集者から「まんだらけ」のカタログが送られてくる。宮崎駿特集と銘打ったそのカタログには、ラピュタを中心に掘り出し物が満載!
「ラピュタ」のレイアウトが2~4万円、セル画が3~8千円、「ナウシカ」のサイン色紙が20万円などなど。最も高い値がついていたのが「ハイジ」第一話の生絵コンテで、なんと60万円!
他に面白いのが「ナウシカ」のポスターの印刷原版(もちろん金属性)が売られていたこと。
メインスタッフルームにてみんなでコピーを取り囲む。二木さんや遠藤さんは自分の描いたレイアウトが売られていることに複雑な表情を浮かべ、宮崎監督は、「色紙一枚20万で売れるんだったら、一日5枚づつ描いて生活しよう」と冗談を言っていた。
勿論鈴木プロデューサーは渋い顔。
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96.9.04(水)
宮崎監督が来たるべき関東大震災に備えて、災害訓練を兼ね、会社で芋煮会を行うことを表明、早速古林さんと味付けその他について激論を交わしていた。
災害訓練&芋煮会に備え、宮崎監督から出た「震災の時にすぐ会社に駆け付けることができる独身社員を10名ほどピックアップせよ」との指令に基づき、会社から2キロ圏内を目安に10人ほど人選するが、「5キロぐらいなら歩いても大丈夫だ」との宮崎監督の意見を取り入れ人選のやり直し。
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96.9.09(月)
宮崎監督が今月絵コンテアップ断念宣言。曰く「今月は落ちる」。
高畑さんがいよいよ次回作の準備のため明日からスタジオIN(ホントか?)。その準備室作成の為、編集室の大改造を実施することに。
96.9.26(木)
さっぱりジブリに出社しない高畑監督に業を煮やした鈴木プロデューサーの命を受け、高畑監督宅へ様子を見に行く。
ジブリに来ないのはジャック・プレベールの詩の翻訳に熱中しているかららしい。今日で完成するので、来週火曜日の夕方から出社したい(明日から、と言わないところが凄い)とのこと。
高畑監督曰く「いやー来てもらって本当にうれしい。毎日、今日は会社に行かなきゃ、と思いながら休んでいたので、良心の呵責に耐えかねていたところだったんです。来てくれて心の重荷が取れました」ですと。
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96.10.26(土)
ラッシュチェックが行われる。猩々のアップCUTが3CUTほど上がってくるが、「気持ちが悪すぎる」という理由でリテーク。ノーマル色を一段落とすことで決着。
96.10.30(水)
久々に高畑監督出勤するも、あっというまに退社。
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96.11.08(金)
大のチャンバラファンである鈴木プロデューサーが日本刀(模造刀)を購入。早速社内で振り回していた。
96.11.09(土)
ラッシュチェックあり。
浦谷さん来社。日本刀を腰に下げ、社内を歩き回る鈴木プロデューサー等を撮影。
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96.11.11(月)
来年の夏に、社内スタッフを中心として、宮崎監督の別荘まで、165キロを一気に走り切る自転車レース「ツール・ド・信濃境」が行われる予定であるが、宮崎監督が名称を「ツール・ド・信州」に改め、大々的にポスターを作り、壁に張り出す。
参加公募用のものと、既に参加を表明している14人のプロフィールを写真入りで紹介し、宮崎監督のコメントも加えたエントリーポスターの2点。
それを見た、日本テレビの奥田プロデューサーが100キロ近くの巨体を揺すりながら「俺も昔は自転車に乗っていたのだ。エントリーしたい」と参加を表明、大会審査委員長・宮崎監督の許可も下り、参加者は総勢15人となった。もちろんエントリーポスターにも写真入りで登場。
しかし、それを見た鈴木プロデューサーは、内心「奥田さんに死なれては困る」とでも思ったのか渋い顔。
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このスタジオはだれもがイカれている。
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目次 - Contents
- ◆ スタジオジブリ日誌 1994年8月ー1998年7月までのスタジオジブリの毎日の出来事を掲載しています
- ◆ 制作日誌 1994年8月~95年5月
- ◆ スタジオジブリ日誌 1996年
- ◆ スタジオジブリ日誌 1997年
- ◆ 8月3日「ツール・ド・信州」当日である
- ◆ スタジオジブリ日誌 1998年
- ◆ スタジオジブリ日誌 1999年
- ◆「いつものジブリ日誌」1999年9月1日ー2011年9月2日まで。「いつものジブリ日誌」の更新は終了しています。
- ◆ スタジオジブリ日誌 2000年
- ◆ スタジオジブリ日誌 2001年
- ◆ スタジオジブリ日誌 2002年
- ◆ スタジオジブリ日誌 2003年
- ◆ スタジオジブリ日誌 2004年
- ◆ スタジオジブリ日誌 2005年
- ◆ スタジオジブリ日誌 2006年 ◇ 2005/12-2006/6「ゲド戦記」制作日誌
- ◆ スタジオジブリ日誌 2007年
- ◆ スタジオジブリ日誌 2008年