宮崎駿や高畑勲が綴っていた「ジブリ日誌」が興味深い!制作裏話から日常の出来事まで盛りだくさん
本記事では世界的に有名なアニメ制作会社「スタジオジブリ」の中心人物である、鈴木敏夫、宮崎駿、高畑勲などが綴っていた「ジブリ日誌」の内容について、まとめて紹介している。書かれている内容は映画の制作に関する裏話の他、日常の出来事やイラストなど非常に多岐にわたる。かなりのボリュームがあるのでぜひコーヒー片手にじっくりと楽しんでみてほしい。
97.2.15(土)
月曜日から野中さんの元で働くという望月さんのために、業務部の机を増やさねばならない。
机一つ分のスペースをあけるのも容易ではないこの業務部の部屋を見て、鈴木プロデューサーは「この際だから田中をごみ箱に捨てちゃおう。」と返答に困ることを言っている。
出典: www.ghibli.jp
97.2.24(月)
宮崎監督が、昨日の淵の森での下草狩りの後遺症で下半身がへろへろになっている。
Dパート後半の動画が既に保田さんのもとに流れていっているが、背景作業が遅れているため、色指定作業が困難を極めている。無い背景から色を採る神業。
てまわったが、当然あちこちの部署でスタッフが騒然となる。
その後鈴木プロデューサーが打ち合わせを兼ねて、石○さんと食事に行ったが、「なぜ私を誘ってくれなかった」と怒り狂うスタッフ多数。
なんでもアメリカでこの制作日誌を完全に翻訳してホームページに流している人がいると聞いた。
それを聞いた米沢さんは「僕のことをスパイの米沢と書いてますけどアメリカに入国できなくなるんじゃ…」と心配している。
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97.3.7(金)
遅刻常習犯E氏が1時になっても出社しないため、何時も食事を一緒にしているK氏が、E氏の机の上に宮崎監督を真似て「いいかげんにしろ! もう来るな!!」と貼紙をした。
出社してきたE氏はそれを見て顔面真っ青。真相を聞かされて床にへたり込んでいた。
97.3.8(土)
コミックボックス才谷氏来社。相変わらず服装がきたない。
高畑監督、今日は4時頃に出社。
97.3.10(月)
高畑さんが毎日制作、出版部横のスチール机に出勤しているが、老眼鏡をかけながら周りの人に「そんなことも分からないんですか」と議論を仕掛けている。
原画チェックに詰まった宮崎監督が、制作部に来ては高畑監督と「宮沢賢治は…」と議論をしたり「パクさんがそこに座っていると、ここがどっかの町役場に見えるな」とからかったりして気晴らしをしている。
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相変わらず服装がきたない
97.3.11(火)
演助の有富氏が寝違えて、時間が経つにつれ首が回らなくなる。夕方に制作の車で病院送り。
97.3.12(水)
有富氏の首はますます悪化。人間フォークリフトと呼ばれている。
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97.3.13(木)
最近すっかり胃がおかしくなっている私だが、宮崎監督は「食うことに生きがいを感じていたのに、胃がおかしくなったらアイデンティティの崩壊だ」とやけに楽しそう。
鈴木プロデューサーはホワイトボードに「食いすぎで死んだ田中の墓」の絵を描いて喜んでいるし…。これってイジメ?
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97.3.25(火)
朝9時頃、畑をはさんだジブリ北側の家が火事。屋根から炎を吹き上げ、ものすごい火力である。しかし、すぐに消防車が駆け付け消火活動が行われ約15分後には鎮火する。
自分の作業がなかなか進まない宮崎監督は「ジブリも燃えてしまえば良かったのに」と一言。
97.4.9(水)
久しぶりに演助の有冨語録炸裂。宮崎監督がへろへろになっている安藤作画監督を見て、冗談で「有君、総務部行ってヒロポンもらってきて」と言ったら「ハイ!わかりました」と総務部に「ヒロポンください」と走って行ったとか。宮崎監督曰く「無知は力だ」。
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97.4.12(土)
昨日、「ツール・ド・信州」用ユニフォームのサイズ見本が送られてくる。と同時に開催日が8月3日に決定。夏真っ盛りである。死人が出るなこりゃ。
元ジブリ出版部の野崎氏が、高畑監督の原稿を受け取るために来社。ところが高畑監督は急遽休み。唖然とする野崎氏。
ところで野崎氏はジブリにいた頃よりよく食べ、よく寝て、自転車に乗っているからか、足に、やけに筋肉が付いている。
それを見た高坂氏は、「あれは瞬発力を産む筋肉で持久力が付いたわけではない」と現実から目をそらそうとしている。
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97.5.7(水)
宮崎監督に「いつもリタイアの言い訳ばかり探しているのだろう」とからかわれている、某制作デスクは、先日自転車で転倒し、肋骨を痛めてしまったため、宮崎監督に「リタイアの事ばかり考えているから転倒するのだ」と再び格好の攻撃目標となっている。
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◆ 8月3日「ツール・ド・信州」当日である
「ツール・ド・信州」レポート
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STUDIO GHIBLI HOMEPAGE!! ツール・ド・信州 1997年8月3日 ついに「ツール・ド・信州」当日である。朝5時、参加者&サポート&撮影スタッフは、一人も欠けることなくジブリ前に集合。と思ったら、Dペイントの石井君が来ていない事が発覚。(実は石井君、寝坊をしてあわてて後を追ったのだが、サポート隊に連絡をとったところ、本隊とあまりに差が付きすぎてしまって、危ないからリタイアして…
集団で走ると、格好だけはやたらときまっている。
そしていよいよ6時、稲城大橋下を一斉にスタート。あっと言う間に高坂、斎藤、そして怪我してゆっくり走るはずだった野崎がダッシュで集団を引き離す。勝手にやって!という感じ。
そして第一の難所大垂水峠で早くも最初のリタイアが…。
CG部の片塰氏が、峠の頂上付近で突然体調不良に見舞われたのだ。
ああ、デジぺの石井君といい、デジタル部門は今後何かある度に宮崎監督から「どうせデジタルをやってるヤツはすぐリタイアするから」と嫌味を言われるのは必定である。
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97.10.3(金)
鈴木プロデューサーが自慢のモデルガンワルサーPPKに火薬を詰め社内で乱射を始める。それに気づいた高畑監督も「最近のはよくできてますねえ」と言いながら撃ちまくっていた。
97.10.30(木)
宮崎監督が突然社員旅行を「いそがしい」を理由にキャンセル。
会議のため、社員旅行に参加できない鈴木プロデューサー。「なんで、日程の確認をとらないんだ」と田中さんにつめよるが、田中さん曰く「ちゃんと確認とったじゃないですか。」すると鈴木さんは「そんなこと俺が覚えているはずがないじゃないか。」と田中さんに怒っていた……
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97.11.15(土)
そこへ2日目から旅行に参加し、集合写真に入っていない鈴木プロデューサーが、「俺の姿を合成しといて」と金髪美女とのツーショット写真を置いていった。
美女が誰かは秘密らしい(本当は「魔女の宅急便」の英語版でキキを演じている15歳の女優さんで、鈴木プロデューサーは「恋人同士に見えるだろ」と言っているが、どう見ても親子)。
97.11.17(月)
昨日の鈴木プロデューサーの写真について、私が親子に見えると書いたことを知った宮崎監督は「どこが親に見えるんだ?どう見たってただの変な日本人じゃないか」と言っている。
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◆ スタジオジブリ日誌 1998年
1998年7月ー1999年9月
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目次 - Contents
- ◆ スタジオジブリ日誌 1994年8月ー1998年7月までのスタジオジブリの毎日の出来事を掲載しています
- ◆ 制作日誌 1994年8月~95年5月
- ◆ スタジオジブリ日誌 1996年
- ◆ スタジオジブリ日誌 1997年
- ◆ 8月3日「ツール・ド・信州」当日である
- ◆ スタジオジブリ日誌 1998年
- ◆ スタジオジブリ日誌 1999年
- ◆「いつものジブリ日誌」1999年9月1日ー2011年9月2日まで。「いつものジブリ日誌」の更新は終了しています。
- ◆ スタジオジブリ日誌 2000年
- ◆ スタジオジブリ日誌 2001年
- ◆ スタジオジブリ日誌 2002年
- ◆ スタジオジブリ日誌 2003年
- ◆ スタジオジブリ日誌 2004年
- ◆ スタジオジブリ日誌 2005年
- ◆ スタジオジブリ日誌 2006年 ◇ 2005/12-2006/6「ゲド戦記」制作日誌
- ◆ スタジオジブリ日誌 2007年
- ◆ スタジオジブリ日誌 2008年